Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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間話 保科隼人の苦悩

 長岡基地の司令部、その一室。

 小さな報告書の束と並んで、封緘された一通の私信がデスクの上に置かれていた。

 

 保科隼人大尉は、それを手に取り、中に書かれていた文言を何度も読み返していた。

 

 > 「帝国軍戦術機教導部より、貴官を富士教導隊教導官として招聘したく――」

 

 レッドキグナス中隊の戦績は、間違いなく「成果」として評価されていた。

 激戦の中、半数近くの部隊が壊滅する中で彼らは“生き残り”、戦果を挙げた。

 中でも中隊長として的確な指揮を行った保科隼人の名は、帝国軍上層部にも届いていた。

 

 「……まさか、本当に来るとはな」

 

 富士教導隊――それは帝国軍において最も精鋭が集まる訓練部隊。

 訓練兵時代に見上げた、あの肩に赤い星を纏い仮想敵国カラーに塗られた洋上迷彩の戦術機が揃う舞台。

 密かに憧れを抱いていたその場所に、自らが招かれる日が来るとは思わなかった。

 

 隼人は手を止め、ふと、隊舎の外を見る。

 

 不知火の整備を手伝っている涼介――いや、鍋島中尉の姿があった。

 その表情は、どこか抜けていても、仲間を守ろうとする眼差しは人一倍強い。

 

 だが、まだ危うい。

 高梨の死、C小隊の損失、松原の迷い。彼自身も、まだ心のどこかで痛みを抱えている。

 

 (俺が抜けたら、誰があいつを抑える?)

 

 いずれ涼介がこの中隊を率いる日が来るかもしれない。

 だが、それはまだ先の話だ。今この瞬間を支える柱が、今消えるわけにはいかなかった。

 

 その夜、隼人は司令部へ返信文を送った。

 

 > 「貴意、光栄に存じます。しかし現状、私には離れるべきではない任務がございます」

 

 返事を書いたあと、どこか安堵した自分に気付き、苦笑いを浮かべた。

 

 「……ま、俺にゃ似合わねえよな、あんな場所」

 

 翌朝。中隊本部に戻った隼人の机の上には、新たな報告書が積まれていた。

 タイトルには【帝国陸軍レッドキグナス中隊再編計画(第2次改訂案)】と記されていた。

 

 順に目を通していくと、一枚に既に知っている名前があった。

 

 > 小川 陸 少尉(帝国陸軍川越基地):ガンスイーパー

 > ※戦術機「陽炎」より「不知火」への機種転換予定。戦闘時臨時編入済、正式配属確定。

 

 「……ようやく、正式に入ったか」

 

 不器用ながら、あの地獄のような市街戦を生き抜いた青年。

 目立った戦果は少ないが、安定した操縦と冷静な判断力――保科が次世代に期待を抱く数少ない存在だった。

 

 「器用貧乏ってのも、案外貴重な人材だよな……」

 

 そして、最後のページをめくった時だった。

 

 補充兵の一覧。

 

 その中に、思わず眉をひそめる名前があった。

 

「そうか……そうだったか…」

 

手で頭を押さえて笑っている様な泣いている様な複雑な表情で天を仰ぐ。

 

 

「さてどうしたもんか……」

 

 

もう一度資料に視線を落とし確認する内容は先程と変わってはいない。

ガシガシと頭をかいて隼人は部屋を出る。

 

外に出た隼人は胸ポケットから煙草出して火をつける。

 

ふぅっと紫煙を吐き出し

 

「あいつになんて説明するか……」

 

 

立ち上る紫煙を見つめ隼人は1人呟く。

 

 

夜は老けていくが答えは見つからない、保科隼人の苦悩は続く。

 

好きなキャラクターアンケート

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