Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達 作:NageT
長岡基地の昼下がり太陽に照らされる演習場。その一角、涼介と保科は今日も向かい合っていた。
「さぁて、兄貴。今日こそは勝たせてもらうぜ?」
「もう490戦くらいか、そのセリフも聞き飽きたぜ」
保科が苦笑しながら首を回す。涼介は上着を脱ぎ捨て、いつもよりもやる気を見せていた。
「今日のなにでやんだ?」
「徒手格闘、射撃、持久走、早食い、ケン玉の五本勝負だ」
「バカか!? ケン玉ってなんだよ!」
「ケン玉ならいけるかなって」
周囲に集まったレッドキグナス中隊の面々は、またかと笑いながら見守っている。
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徒手格闘。
開始五秒。涼介の右フックを余裕で見切った保科が一本背負い。
地面に叩きつけられた涼介が呻いた。
「この……クソ兄貴……」
「口より体動かせ。自己流じゃなくて、近接格闘教本通りにやれって言ってんだろ」
「うっせー……」
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射撃。
精密射撃のスコアは保科98点、涼介87点。
「くっそ、何でそこ外す!?」
「落ち着きが足りん。息を吸って、止めて、撃て」
「……敵の言葉は聞かねぇよ!」
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持久走。
5kmの周回コース。最初は涼介が飛び出したが、後半で保科が余裕の逆転。
「くっそぉ、兄貴なんで煙草吸ってのに、そんなスタミナあんだよ」
「お前も吸ってるだろ……飯の量と日々の鍛錬だ」
「なら次は飯だ!」
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早食い。
飯をかきこむ涼介。途中でむせた。
「はい!負け!」
「まだ噛んでる途中だろ兄貴!」
「完食までが勝負だ。残念だったな」
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そしてケン玉。
「はい、けん→大皿→小皿→とめけん」
保科が完璧に決める。
一方の涼介、開始十秒で剣に刺さらず玉を落とす。
「なぁ兄貴……マジでこれ、ホントに人間か?」
「努力と執念の差だ」
「才能じゃなくて執念なのがまた腹立つ……」
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試合終了。中隊員たちが拍手と共に騒ぐ。
「はい、戦績更新。四百九十八戦全敗、お疲れ!」
「やかましいわ! 兄貴、次は絶対勝つからな!」
「ほぉ、それ何回目だ? メモっといてやるか」
⸻
その時、保科のもとに通信が届いた。内容を確認すると、表情が一瞬だけ引き締まる。
「……来たか」
「なんだ兄貴、今の?」
「中隊長機の件だ。不知火壱型丙が正式に配備される」
「は? あのクセ強の……」
「そう。クセはあるが、性能は間違いない。俺が乗る」
「いいなぁ、兄貴が乗ったら無双じゃねぇか。俺も乗りてぇよ!」
保科は小さく笑った。
「お前に乗りこなせるのか?」
「むっ……確かに否定はできねぇけどさ!」
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不知火壱型丙は、試験配備すら限られた機体だ。
大型の跳躍ユニット、武御雷用のジェネレーター、強化アクチュエーター……すべてが特化されたモンスター。
だが、ピーキーな挙動と悪燃費がネックでもある。
「結構なジャジャ馬で紗栄みたいだけどいけるのか?」
「俺がやるしかねぇ。それに、紗栄だったら俺なら簡単に操れるぜ」
「……くっそ言ってくれるぜ」
「俺はお前らの兄貴だからな」
「俺だって負けねぇよ……次は絶対勝つからな」
保科は涼介の頭を軽く叩き、背を向けた。
「とりあえずはこいつの完熟訓練だな。付き合えよ?」
「……まだ慣れてないうちに負かしてやるよ」
「ああ、楽しみにしてるよ」
夕暮れの中、背中越しに涼介は小さく拳を握る。
今度こそ、今度こそ勝ってやる――その思いだけは、確かに強くなっていた。
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