Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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第六十六話 新潟侵攻

2001年2月。長岡基地は一面の雪に覆われていた。

冬の静けさを破るように、突如、基地内に緊急警報が鳴り響く。

 

「繰り返す。佐渡島ハイヴよりBETAの大規模進行が確認された。

 長岡方面に向けた侵攻を確認。すべての戦術機部隊は即時戦闘配置につけ」

 

鋼鉄の檻のような訓練施設にその声が反響し、レッドキグナス中隊は即座に動き出す。

雪を蹴って駆けるブーツの音、滑走路へ向かう整備班の怒号、緊張感が基地全体を包み込んでいた。

 

「来たな……今年初の大仕事ってか」

涼介がコックピットハッチを下ろしながら呟く。

 

「油断するな。佐渡島からなら突撃級と要撃級が中心になる。高速接近に備えろ」

保科が全隊に指示を飛ばし、各分隊が出撃準備に入る。

 

コマンドポストでは青島葵中尉が無表情で戦域情報を精査していた。

マルチモニターに表示される戦術マップには、赤い進行ルートがいくつも本州へ向かって伸びている。

 

「CPより各分隊、作戦コード“雪嵐(ブリザード・ストーム)”を発令します。

 戦術目標は新潟市街地の死守、および佐渡島方面からのBETA迎撃――」

 

「了解、青島中尉。あとは俺たちに任せろっての」

滑走路に向かう涼介が通信越しに返す。

そのまま通信を閉じようとした時、ふと口元が緩む。

 

「なぁ、青島中尉……」

 

「……なんですか?」

 

「この作戦が終わったら、デートしてくれ!」

 

「…………考えておきます」

 

中隊全体がクスリと笑った。

緊張感に包まれた空気の中、それは中隊にとっていつも通りの、変わらぬ儀式だった。

 

「よっしゃ、A小隊行くぞォォ!!!」

涼介が咆哮し、不知火が射出される。

松本・松原・雁部もそれに続く。吹雪の滑走路を蹴って飛び立つ機体群。

 

「B小隊、迎撃体制を維持。涼介たちの支援に回るぞ」

保科の指示で小川、岸本、小林が続く。

 

「C小隊、長距離支援位置へ展開!制圧砲の準備を怠るなよ!」

富田の指揮のもと、大友、紗栄、前園の機体が雪を巻き上げながら飛び立つ。

 

一糸乱れぬ動き。

それは彼らが幾度もの戦場を共にして築いてきた絆の証だった。

 

「兄貴……あんたが隣にいてくれるなら、俺はまた戦える」

涼介が呟き、保科の不知火壱型丙と並ぶ。互いに無言で頷き合った。

 

「佐渡島からの主戦力、推定突撃級300、要撃級500、その他混成――新潟市街地まであと20分で接触」

青島の落ち着いた声が全戦術機に流れる。

 

「全機、構えッ!奴らに正月ボケしてるヒマなんざねえって教えてやるぞ!」

涼介が吼え、先陣を切る。

 

雪原の彼方、赤い奔流のように広がるBETAの群れが現れる。

それに向かい、空を切るように飛ぶ不知火の群れ――レッドキグナス中隊。

 

彼らの2001年は、静寂を破る戦火とともに幕を開けた。

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