Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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第七十一話 団結するキグナス

涼介と紗栄、鍋島兄妹が向かい合う形で立っている。

 

「はぁ……ホントにこんな事になって、ここまで来るとは思わなかったよ」

 

紗栄が額の汗を拭いながら呟く。

 

「お前が仕掛けたんだろーが!」

涼介が即座に噛みつくように返す。

「やるって決めた以上、妹だろうと全力で潰すからな!」

 

その言葉に、観客席に陣取っていたキグナス中隊の面々からどっと笑いが起きた。

 

「いいか、紗栄」

保科が真剣な顔で紗栄の肩に手を置いた。

「涼介は必ず突っ込んでくる。まずはそこで気後れするな。足を止めさせれば、勝機は見えてくる……いいか?あの突撃バカの思考を読め!」

 

「はい……!」紗栄が目を見開き、頷く。

 

「鍋島少尉、私もCPとしてバックアップしますので、ご心配なく」青島が珍しくサムズアップしながら、口元を引き締める。

 

「うおおーっ、紗栄ちゃん頑張れー!」

「負けんなよ鍋島少尉!僕たちがついてます!」

「ぬっころせ〜!」

「遂に小さい鍋島が兄貴を超える日が来たっけね!」

 

次々と声援が飛ぶ。保科、松本、大友、前園、岸本、松原、小林、富田、雁部、小川、青島……気づけばキグナス中隊の全員が紗栄の後ろに集まり、思い思いに応援していた。

 

その様子を見ていた涼介は腕を組み、こめかみをピクピクとさせる。

 

「なんで俺のほうは誰もいねーんだよ……!!」

 

叫ぶ涼介に対し、中隊員たちは冷ややかな視線を返す。

 

「だってねぇ〜」

と大友が憐れむような顔で肩をすくめる。

「紗栄ちゃんかわいいし、大人気ないバカ兄貴がフルボッコにされるとこ見たいよね、みんな?」

 

「「おぉーっ!!」」中隊員たちが声を揃えて盛り上がる。

 

「ぐぬぬ……」

涼介は歯を食いしばりながら、シュミレーターの操縦席に向かう。

「覚悟しとけよ、紗栄……兄の強さ、骨の髄まで刻みつけてやんよ!!」

 

鼻息を荒くし、フンッと勢いよく乗り込む涼介。すでに勝負のスイッチは完全に入っていた。

 

「これで鍋島中尉は冷静さを失い、怒りのまま突っ込んでくる……まずは足を狙え」

冷静に小川が指をさしながら紗栄に作戦を伝える。

「仮に外しても、地面への衝撃で足が止まる可能性がある」

 

「了解しました!絶対に私がチビ兄を倒してきます!」

 

シュミレーターの座席に乗り込む紗栄。彼女の背中を、中隊の皆が見送る。彼らの声援、思い、信頼がひとつになって彼女を包んでいた。

 

扉が閉まり、起動音がシュミレータールームに響き渡る。

 

レッドキグナス中隊、始まって以来の兄妹喧嘩が、今、幕を開ける――。

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