Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達   作:NageT

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間話 訓練校編:卒業エピソード

新発田訓練校を発つ日──。

 

荷物を詰め終えた涼介たちは、それぞれの旅立ちに向けて最後の時間を過ごしていた。

 

中庭では、池田が寮の壁に“訓練校103期生”とマジックで落書きしていた。

「やっぱ、こういうのは残しとかなきゃな。俺ら、確かにここにいたってやつをさ」

「誰かに消されんぞそれ」

「消されたらまた書きに来るよ、戦術機でも乗って」

 

冗談めかしたその言葉の裏には、どこか“帰る場所にしたい”という思いがあった。

涼介も、歳刀も、そして静も──その落書きの横に、それぞれの名前を添えていく。

 

涼介と池田が満足そうに落書きを見て頷いている。

 

静はその光景を少し離れた木陰から見つめていた。涙はない。ただ、ぽつりと呟いた。

 

「──なんでこんなにも、別れが苦しいんだろうな」

 

その呟きに答えたのは、意外にも歳刀だった。

「苦しいと思えるほど、真剣に生きた証拠だ。俺たちは、よくやったよ」

 

皆、それぞれの未来へ散っていく。もう、全員が同じ部隊になることはないかもしれない。

だが──この場所、この瞬間は、彼ら全員の“原点”として胸に刻まれた。

 

 

数日後。涼介と歳刀は同じ列車に乗り、長岡基地へと向かっていた。

 

雪解けの遅い山間を走る列車は、重たい音を立てながら、未来へと進む。

涼介は窓際に座り、外の景色をぼんやりと眺めていた。冬枯れの大地の向こうに、うっすらと残る雪の佐渡島が見えた気がした。

 

「なぁ、歳刀……なんでそんなに余裕あんの? お前だけテンションおかしくないか?」

「お前が緊張し過ぎてるだけだ!俺はやっと“スタート地点”に立った気がしてる」

そう言いながらも歳刀は手帳を開いては閉じてを繰り返していた。

 

涼介はその様子を見ながら、ふっと息を漏らす。

「お前もなんだかんだ緊張してんじゃねぇか……」

「うるさい……しない方がおかしいだろ」

ジト目で見てくる涼介に歳刀は恥ずかしそうに手帳を閉じて目を逸らす。

 

涼介はそのまま、自分の足元に置いた荷物を見下ろした。

その上には一枚の紙──配属命令書。「帝国陸軍 長岡基地所属 第17戦術機甲大隊サマートライアングル大隊 レッドキグナス中隊」と記されている。

 

「……兄貴と同じ部隊か」

1人呟く涼介に

「保科隼人だっけ?お前から散々聞いた名だ」と歳刀。

「おう、兄貴分。ずっと勝てなかった」

「確か100戦くらいとか言ってたな?」

「そう……100戦全敗」

「やめた方がいい、俺なら諦める」

歳刀は窓の外を見ながら呟く。

「ま、勝てる気はしてないけどな……それでも、負ける気もしないってのが今の俺かな」

 

歳刀がくすりと笑った。

「何だそれ。意味がわからん」

「今はそれでいい、いつか兄貴を超えるんだよ。」

「相変わらず、よくわからんやつだ。」

「フン……言っとけ」

 

列車は山間を抜け、徐々に視界が広がっていく。

遠く、雪解けの野を越えた先──長岡の街が姿を現した。

 

涼介は最後に、拳を軽く胸に当てた。

「待ってろよ、兄貴、今度は──追いついてやるからさ」

 

──旅立ちは、もうすぐだ。

 




ここまでで第一章終了です!
早く戦術機に乗りたいけどこの辺の話はしっかり書きたかったんですよね。
次章から地獄が始まります。
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