Muv-Luv Alternative:Red Cygnus 血染めの白鳥達 作:NageT
長岡市北西部、灰色の冬空の下。
雪解け前の地面を砕きながら、不知火が12機、低空を疾走していた。
前方には、瓦礫と化した市街地を埋め尽くすほどのBETAの群れ。砲撃音と咆哮が混じり合い、地獄のような轟きが続く。
「レーダーに反応、左前方二時方向、群れが密集しています!」
小川の報告に、保科が即座に応じる。
「A小隊、正面突破! C小隊は左から回り込め、包囲しろ!」
「了解!」と同時に、涼介の声が弾けた。
「おう、行くぜ兄貴! 置いてくなよ!」
「お前が突っ込みすぎるなよ……」隼人の苦い声が返る。
涼介の不知火が機体を傾け、瓦礫を跳び越えてBETA群へ突撃。
突撃砲が火を噴き、先頭の戦車級を易々と貫く。続けざまに長刀を抜き放ち、肉迫した要撃級の首元を一閃。蒸発した肉片と熱風が吹き付ける。
「おらァッ! 次ィ!」
涼介の不知火が滑るように後退し、背後からの突撃を躱す。すぐさま岸本が援護射撃で触手の根元を吹き飛ばした。
「感謝しろよ、涼介!」
「悪ぃな! 今度一杯奢るぜ!」
左翼を回り込んだ第二小隊は、雁部と富田が前衛を張り、戦車級の進路を断つ。
「こっちは塞いだ! 兄貴、右から抜けろ!」
「よし、全機、横隊を維持して押し込め!」
不知火の跳躍ユニットが雪と瓦礫を巻き上げ、12機の不知火の巨影が一斉にBETA群へ突入。
その瞬間、地平線の向こうから光線級の蒼白い閃光が奔った。
「レーザー来るぞ、散開!」
保科の号令と同時に、編隊が蜘蛛の子を散らすように跳び退く。地面を抉る熱線が通過し、アスファルトが瞬時に黒焦げになる。
「チッ、光線級は二体か……いや、三体だ!」
望遠センサーで数を数え、すぐさま保科が指示を飛ばす。
「岸本、小川、右の二体を落とせ! 涼介は俺と中央を叩く!」
「了解!」
涼介が機体を横滑りさせながら突撃砲を連射。中央の光線級が砕け、その頭部が熱と爆炎に包まれる。
その隙に保科が斬り込み、残骸を一刀両断。
「中央、沈黙!」
「右も撃破!」隼人の声が重なり、戦況が一気に有利へ傾く。
しかし、群れの奥から足音が響き、数百単位のの要撃級が姿を現した。
「おいおい、マジか……」涼介が舌打ちする。
「怯むな! こいつらを落とせば潮目が変わる!」保科の声に、全員の返事が重なった。
12機が三方向から同時に要撃級へ殺到する。
涼介が突撃し、次々と要撃級を斬り落とし、富田が突撃砲の120mmを叩き込む。雁部が突撃砲で36mmをばら撒き隙間を貫き、保科が最後の一体長刀を突き立てた。
要撃級が地鳴りを立てて崩れ、後は小型種の掃討に移る。
「今だ、押し切れ!」
全員が再び突撃し、残存の戦車級を次々と撃破。
不知火が爆炎と煙を切り裂き、瓦礫の上を駆け抜ける。
数時間後――
長岡市北部に広がっていたBETAの群れは、ほぼ殲滅されていた。
各機の装甲には傷と焦げ跡が刻まれ、機体内部の冷却系は悲鳴を上げている。
「……終わったか」隼人が低く呟く。
「おう、無事帰ってデートだな」涼介が笑いながら言うと、保科が小さくため息をつく。
「戦場で余計なこと言うな。だが……よくやった、全員」
冬空の下、灰色の巨影がゆっくりと基地へと帰投していった。
今回からA.B.C分隊から小隊表記に変更させていただいてます。
そもそも分隊でなぜ書いていたのか作者も謎でした。
過去の話もちょっとづつ修正していきますので、これからもよろしくお願いします。