ファンサービスは僕のモットーですから   作:ジャギィ

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燃え尽き症候群とソシャゲイベントがいっぺんに来て、遅くなってしまいましたすみません

昨日マスターデュエルでデュエリストカップが始まりましたね。僕はメイン垢でめっちゃファンサービスしながらはしゃぎまくりました

ちなみにサブ垢は“シャーク”デッキ。スカッとするぜ!


第10話

舞網チャンピオンシップは中止となった

 

第3回戦で襲撃を仕掛けてきた融合次元の刺客の存在を重く見た零児は、急遽大会を中断し、市民達に全てを説明した

 

4つの次元、迫る侵略者、それらを食い止める為に本大会で選抜された精鋭デュエリスト集団“ランサーズ”の存在…市民達は受け入れたというより、理解出来ないが故に暴徒とはならなかった

 

一方、そんな零児の計画と決定に強く反発する者もいた。榊遊矢だった

 

デュエルを戦争に使う事もそうだが、2回戦敗退以降失踪していた紫雲院素良が融合次元の敵として立ちはだかり、決着を付けられないまま決別した事。何より、3回戦で文字通り消えた(カード化された)者達の中に柚子の存在があった事により、幼馴染を失ったと思い込んだ遊矢は涙を流しながら憤慨し、その怒りを零児にぶつけた

 

逃げることは許されないと察した零児はこのデュエルを承諾。1週間前の有耶無耶になったデュエルの決着を付ける事となった…

 

 

 

「二色の眼の竜よ。深き闇より蘇り、怒りの炎で地上の全てを焼き払え!」

 

 

 

「エクシーズ召喚!!」

 

 

 

「いでよ、ランク7!災い呼ぶ烈火の竜!「覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン」ッ!!」

 

 

 

覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン

ランク7 ATK3000

 

 

遊矢と零児のデュエルも終わりに近づいていた

 

遊矢の残りのライフは100、零児は3500と大きく差がついて、フィールドと手札も零児の方が潤沢。更に大型エクシーズ「DDD双暁王カリ・ユガ」の存在もあり、追い詰められていた遊矢だったが……逆転のドローから一気にフィールドに2体の「オッドアイズ」を並べ、「レイジング・ドラゴン」のエクシーズ召喚に成功するのだった

 

「な、何じゃありゃあ!?」

「Wow!エクシーズのペンデュラムモンスター!?」

 

そのデュエルを観戦している、3回戦を生き残った沢渡シンゴやLDSの留学生デニス・マックフィールドはペンデュラムとエクシーズ、両方の性質を持ったモンスターの登場に驚きの声を上げる

 

「ぐっ!? ううう……!!」

 

瞬間、胸の奥から大きく響く鼓動に遊矢は苦しむ。体の中から理性をガリガリ削るような破壊衝動を、ここ最近で急激に鍛え上げられた精神力で必死に抑え込む

 

「遊矢、大丈夫なのか!?」

「くっ……だ、大丈夫だ、権現坂…」

 

権現坂の心配する声に大粒の汗を流しながらも返事をし、瞳の中に確かな理性を輝かせながら遊矢は「オッドアイズ・レイジング・ドラゴン」を己の意志で操作する

 

「「オッドアイズ・レイジング・ドラゴン」のモンスター効果!エクシーズモンスターを素材として召喚されたこのモンスターは、ORUを2つ取り除く事で、このカードを除く全てのカードを破壊する!」

「何!?」

「全てのカードを破壊ぃ!?」

「更に、この効果で破壊したカード1枚につき、「オッドアイズ・レイジング・ドラゴン」の攻撃力は200ポイントアップする!」

「遊矢のフィールドには2枚、赤馬零児のフィールドには6枚のカード!この効果が通れば、攻撃力は1600ポイント上がって4600になり、一撃でライフを減らし切れる!」

 

想像以上に強力な効果に周囲が戦慄する中、零児は己が勝つ為の足掻きを見せる

 

「「契約洗浄(リース・ロンダリング)」発動!この罠カードは、魔法・罠ゾーンの「契約書」カード全てを破壊し、破壊した分カードをドロー!更にドローした数だけ1000のライフを回復する!」

 

赤馬零児 LP3500→4500

 

「契約洗浄」が永続魔法「魔神王の契約書」を破壊して、それによる恩恵を零児は得る

 

「なんだと!?」

「「レイジング・ドラゴン」の効果で破壊する前に自分のカードを減らして、且つライフと手札も得るとは」

「構うもんか!行け、「レイジング・ドラゴン」!

 

『レイジング・インフェルノ』!!」

 

翼から放たれる怒りの業火が零児のフィールドを焼き尽くす。「カリ・ユガ」を含めた2体のモンスター、ペンデュラム2枚と「契約洗浄」、そして遊矢自身のペンデュラムと計7枚のカードが破壊され、破壊されたカードは炎のエネルギーとなり「レイジング・ドラゴン」に吸収される

 

ATK3000→4400

 

「くっ… 「DDアーク」のモンスター効果!このモンスターが効果で破壊された時、EXデッキの表側表示で存在する「DDアーク」以外の「DD」ペンデュラムモンスターを効果を無効にして特殊召喚する!私は「DD魔導賢者ケプラー」を守備表示で特殊召喚!」

「あの状況で更に壁モンスターを出すとは…!」

「バトル!「オッドアイズ・レイジング・ドラゴン」の攻撃!」

 

炎の熱が覇王烈竜の口に集まり、大気を歪める

 

「「レイジング・ドラゴン」は1ターンに2回攻撃出来る!」

「何…っ!?」

 

 

「『憤激の、ディストラクションバースト』ッ!!」

 

 

「ぐうう……!ぐあああああっ!!」

 

 

この連撃までは零児も防ぐ手段がないらしく、「ケプラー」ごと熱線に飲み込まれ、大幅にライフを削られる

 

赤馬零児 LP4500→100

 

「零児さん!!」

「社長!!」

 

吹き飛ばされる零児を見て、日美香と中島が叫ぶ。零児は2人を手を向けて止めると、ゆっくりと立ち上がりながら強い意志でこちらを見る遊矢を見つめる

 

(強い…!実力だけではない。圧倒的に不利な状況でもブレない心の芯も手に入れている…!『男子三日会わざれば刮目して見よ』という言葉があるが……たった1週間でこれほどまで変わるか…!)

「私のターン、ドロー!」

 

零児はドローしたカードを見て、眼鏡のレンズを光らせる

 

「私はチューナーモンスター「DDナイト・ハウリング」を召喚!「ナイト・ハウリング」の召喚時効果により、墓地から「DDグリフォン」を特殊召喚!」

「「DDグリフォン」…「テムジン」の召喚に使ったモンスターか!」

「レベル4の「グリフォン」にレベル3の「ナイト・ハウリング」チューニング!」

 

「闇を切り裂く咆哮よ。疾風の速さを得て、新たな王の産声となれ!」

 

「シンクロ召喚!」

 

「生誕せよ!レベル7!「DDD疾風王アレクサンダー」!」

 

DDD疾風王アレクサンダー

レベル7 ATK2500

 

「そして永続魔法「闇魔界の契約書」を発動し、その効果を発動。墓地かEXデッキの表側表示で存在するペンデュラムモンスターをペンデュラムゾーンに置く。先のシンクロ召喚時、EXデッキに送られた「DDグリフォン」をペンデュラムゾーンに」

(そうか、「DDグリフォン」のペンデュラム効果!でも「グリフォン」の効果で上げられる攻撃力は、フィールドと墓地の契約書1枚につき500ポイント。フィールドの「闇魔界」と、墓地の「地獄門」「魔神王」ではまだ1枚足りない…一体何をするつもりなんだ…?)

「遊矢」

 

相手の手の内を読み切ろうと遊矢は頭を回転させるが、零児に突如話し掛けられた事で中断させられる

 

「君という1人のデュエリスト…いや、1人の男に敬意を表し……私も、真の奥の手を君に見せるとしよう」

「真の奥の手…?」

「私は!「DDD疾風王アレクサンダー」1体でオーバーレイ!」

「なんだって!?」

「シンクロモンスター1体でエクシーズ召喚!?」

「このモンスターは、フィールドの「DDD」1体でエクシーズ召喚する事が可能なエクシーズモンスター…さあ、刮目して見るがいい!」

 

 

「悪魔より百の記憶の欠片授けられし王よ!その叡智を振り子と掛け合わせ、新時代へ踏み込め!」

 

 

「エクシーズ召喚!!」

 

 

「降臨せよ!ランク10!「DDD赦俿王(しゃちおう)デス・マキナ」!!」

 

 

DDD赦俿王デス・マキナ

ランク10 ATK3000

 

「ランク10のエクシーズをいきなり召喚だぁ!?」

「しかも見ろ!あのカードは…!」

 

権現坂の言葉に全員が注目する「デス・マキナ」のカード…それは()()()()()()()()()()()()のカードだった

 

特に遊矢は目を見開いて驚愕を露わにする

 

「ペンデュラムエクシーズ…!?」

「その通り。君に遅れる形となったが、我々がペンデュラムを研究した事で完成した集大成の1枚だ」

「どうして…!?」

 

それはペンデュラムエクシーズが製造された事に対する疑問ではなく、あまりにも時期が早過ぎる事に対するものだった

 

何せ、つい最近、1週間前のデュエルで使われたペンデュラムカードが不具合を起こすプロトタイプだったのだ。そこから完成したペンデュラムカードを量産した事は驚嘆に値するが、だからこそ、その発展型であるペンデュラムエクシーズを開発する時間的猶予などあるはずがないのだ

 

その疑問を正確に読み取った零児は、表情からは読み取りづらい悔しさを滲ませた声で答える

 

「…ペンデュラムの研究の集大成、と先は言ったが…実は正しくない。本当はエクシーズモンスターの研究の方で大きな進歩があり、それによる恩恵で生まれたのがこの「デス・マキナ」だ」

 

遊矢の脳裏に、昨日のIVとのやり取りが思い浮かぶ

 

「「No.」…?」

「…知っていたか…」

 

もっと正確に言えば、「No.」の解析は一割程度も進められなかったのだ。分かった事は、「No.」は膨大な召喚エネルギーを溜め込められる器であり、IVが所持している「No.」だけが特別な力を有している事

 

曰く、時折()()()()()()()()()()()()()データ解析を阻害され、研究が思うように進められなかったというのが開発班の証言だ

 

「…話をし過ぎたな…デュエルに戻るとしよう」

「っ!」

「「DDグリフォン」のペンデュラム効果!1ターンに1度、私のフィールドの悪魔族モンスター1体の攻撃力を、ターンの終わりまでフィールド、墓地の「契約書」カード1枚につき500ポイント上げ、その後「DDグリフォン」を破壊する!「契約書」カードは合計で3枚…よって、攻撃力は1500ポイントアップする!」

 

ATK3000→4500

 

「これで「デス・マキナ」の攻撃力は「オッドアイズ・レイジング・ドラゴン」の攻撃力を上回った」

「そんな…!」

「バトル…!「DDD赦俿王デス・マキナ」で「覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン」を攻撃!」

 

玉座に座る「デス・マキナ」が強く足踏みする。するとそこから発した不可避の波動が覇王烈竜の動きを完全に止め、次の瞬間にはいつの間にか玉座から下りて目の前で浮遊する赦俿王の姿

 

 

「『ブラック・ウィズダム』!!」

 

 

そして、大きく振りかぶった拳が…覇王烈竜を一撃で粉砕した

 

 

「うわあああああっ!!!」

 

 

榊遊矢 LP100→0

 

 

決着はついた

 

「ッ………クソォッ!!」

 

吹き飛ばされた遊矢は手と膝をついて俯き、悔しさのあまり握り拳で地面を殴った。それほど遊矢にとって、この戦いは負けられないものだった。しかし…それでも遊矢は負けてしまった

 

悔しさと柚子を失った喪失感に再び涙を流す遊矢に、零児はある事実を突きつける

 

「遊矢、聞け。柊柚子は生きている」

「!?」

 

顔を上げた遊矢は、驚き、一筋の希望を見つけた表情をしていた

 

「監視カメラで彼女が何者かと共に消える様子を捉えていた。あれは次元移動特有の現象だ。おそらく柊柚子は、スタンダード次元とは異なる次元に跳ばされたと見ていい」

「何故それを先に言わんのだ!」

「言って止まるような精神状態ではなかった」

 

そして、零児にはもう1つ思惑があった。それが、榊遊矢の成長を確かめ、()()()()()()

 

幼馴染を取り戻す決意を固めている遊矢を見つつ、零児は内心で安堵していた

 

(彼は想像以上の成長を遂げた。「デス・マキナ」がなければ逆転は不可能だった… 彼ならば、ランサーズを任せられる。未熟な所も甘い所もあるが、そこは他の者達と協力して補えばいい。彼には仲間を率いる素質がある)

 

榊遊矢の存在を中心に、ランサーズは団結し、打倒アカデミアを果たすであろうと固く信じていた

 

そこにもはや……()()()()()()()()()()

 

 

 

ランサーズの遠征は4日後と定め、その場で解散したその日の夜

 

コン コン コン

 

『……入りな』

「…失礼する…」

 

零児はとある病室の扉をノックすると、返事が来たので取手に手を掛け、ゆっくりと扉を開く。すると中には、病院着を着てベッドの上で穏やかな寝息を立てるコロンと、それを見守るように丸椅子に腰掛けてこちらに背を向けるIVがいた

 

零児は扉を閉め、数瞬その様子を眺めた後…腰を曲げて深く深く頭を下げた

 

「IV…此度の事態、本当に申し訳なかった」

「…驚いたぜ。わざわざトップが直々に謝罪しに来るなんてな…一体どんな思惑があってきたんだ…?」

「君の不満と怒りが、私以外に向かない為にだ」

 

この者相手に嘘偽りは通じない。例え通じたとしても、後でバレれば最悪の事態になるのは容易に想像が出来た。だから零児は、打算も含めた本音だけでIVに語り掛ける

 

「私の敵戦力の見積もりが甘かったばかりに、君との契約を違えてしまった。君は、本来ならば守る必要のないLDSの生徒を守ってくれさえしたというのに…全て私の采配ミスだ」

 

志島北斗と黒咲隼の証言から、ようやく得る事が出来たIVの本気のデュエル、そしてその後の出来事。それを聞いた時、本気で零児は冷や汗が止まらなかった

 

IVが過激な人物である事は最初の邂逅の時点で薄々察してはいたが、カード化どころか殺しすら微塵も躊躇しないレベルだとまでは思っていなかった。人は良くも悪くも社会の中で生きている。社会の中で生きる以上立場や外聞というものは必須であり、これを失えば人はまともに生きていけないものだ

 

しかし…IVにそれは関係のない話でしかなかった。何故ならばIVは、文字通り力だけで生きていける人間だったからだ。彼が人間社会に溶け込んで生きていたのは、デメットとコロンが彼の存在を引き留めていたからに他ならない。その楔が完全に外れてしまえば、街一つ容易く滅ぼせる破壊の権化が間違いなく解き放たれていた

 

若くして社長という立場につき、スタンダード次元のトップ企業に成長させた手腕を持つ零児は、IVへの評価を誤魔化さなかった。IVは間違いなく次元1つ…否、世界そのものを滅ぼせる素質と精神性を持った存在といえる

 

だが同時に、零児はIVの善性も強く信じていた

 

そも、今回IVが悪魔に堕ち掛けたのも、彼にとって大切な人物が襲われ、奪われたからに他ならない。そんな事をされれば、誰だって怒りと憎しみに飲まれる。むしろ奪われた者との繋がりが強ければ強いほど、怒りと憎しみはより強くなるものだ

 

それでも尚、IVは無用な破壊を避けていた。例えそこにどんな自分本位な理由や思惑があろうと、少なくともアカデミアに比べれば十分過ぎるほど理性的だ

 

ランサーズは遊矢を始めとした多くの者達に任せられる。会社の事も重要事項含めて全てのマニュアル化は済ませてある。母と弟に辛い思いをさせること、そして父の不始末を自らの手で片付けられないことだけが心残りだったが……それらを振り切って、零児は片膝をつく

 

「土下座しろと言うならばしよう。命を寄越せと言うならば喜んで差し出そう。だから…だから……頼むっ、この街には、住人達には、母さんには、零羅には」

 

そして、両手をつき、もう片方の膝をつけようと…

 

「手を出さ」

「やめろ」

 

動かそうとした所で、零児の体は土下座一歩手前の姿勢で静止した

 

「っ…!?」

 

困惑する零児を無視して体は勝手に動き、無理やり普通の立ち姿になる。その体には、複数のキラリと光る糸のようなものが零児の目には見えた

 

「これは…!」

「お前だってプロデュエリストの端くれだろうが。だったら…ファン()をがっかりさせるような醜態を晒すんじゃねぇよ」

 

そこに戒めとしての憤りは感じても、怨敵への憎悪はなかった。そんなIVに対し、零児は唯一動かせる口を動かして聞く

 

「何故だ…?私は、君が私に対し怒りを、恨みを抱いているものだとばかり思っていた。何故そうも冷静なのだ…?」

「ない訳じゃねえよ。だがな……1番の失敗をしたのは俺だ。こうなる事は俺の方が予想出来た。それを棚に上げておいてお前に怒りをぶつけんのは、あまりに滑稽だろうがよ」

 

IVはこの世界の未来を知っている。ならばオベリスクフォースへの対策ももっと出来る事があった。だがIVはそれを怠ってしまった。それ故にあの様な事態が起きてしまったというのならば、IV以上に何も知らないにも拘わらず、最善を尽くした零児を責めるのはお門違いというものだ

 

それにな、とIVは続ける

 

「コロンが言ってたぜ。あいつら(オベリスクフォース)…もっと多くの数がいたってな」

 

そう、あの襲撃の時、現れたオベリスクフォースは一組ではなく三組だったという事実をIVと黒咲はコロンから聞いていた

 

おかしいと思ったのだ。いくらオベリスクフォースが強くとも、火事の現場で散らばっていたカード枚数は20を超えている…それだけ過剰に送られた戦力を1人も欠けずに、ましてや短時間で突破するなど不可能だ

 

しかし、戦力が3倍も増えていれば話は別だ。例え自分や味方が負けても、相手を疲弊させて後続に繋げれば敵を容易く葬れる。その繰り返しにより、3チーム中2チームが融合次元に強制帰還したが、残る1チームにより護衛部隊は全滅。その後コロン達が襲われ、そこにIVと黒咲が到着した…という事だ

 

「そうと分かりゃあ、お前を憎んだりはできねェよ。憎む奴は………別にいるんだからな」

 

オベリスクフォースが分隊規模で個人だけを狙って襲撃してきた事実、“ターゲット”という奴らの言葉…これらの情報を踏まえれば、IVの情報をリークした者、精鋭部隊の独断では決してありえない、奴らに命令を下した者が存在する事になる

 

そして、オベリスクフォースを命令出来る奴など1人しかいない

 

(赤馬零王……ッ!!!)

 

腹の底から憎悪というマグマが噴き出しそうな気分だった。それでも、IVがその感情を無理やり抑え込められているのは、眼前で寝息を立てる1人の少女がいるに他ならなかった

 

その内心は黒咲越しに情報を伝えられていた零児にも察する事が出来た。だからこそ、そんな彼に何も償えない自身が情けなくて仕方がなかった。動けるようになった零児は、そのまま立ち尽くしながらその背中に語り掛ける

 

「君は…私を断ずる気はない、という事か」

「少なくとも今はそんな気分じゃねえ……コロンを1人にも出来ねえ。だからお前達(ランサーズ)にも着いていかねえ…」

「…口約束に過ぎないかもしれんが…この事に対する償いは必ずする。彼女(コロン)と君の住処も生活も我が社が保証する。だから…待っていてほしい」

 

マントを翻し、覇気のこもった声音で宣言する

 

「我々がアカデミアを…赤馬零王を打倒する時まで…!!」

 

実父に対する温情も容赦も全て捨てた、強い決意を(まなこ)に宿しながら、零児はその場を後にした

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