ファンサービスは僕のモットーですから   作:ジャギィ

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第14話

IV対デニス。IVにとっては初めてのライディングデュエルが今、幕を開けた

 

ライトで照らされた夜のコースを、オートパイロットシステムにより自動的に疾走するDホイールが駆ける。第一コーナーを制したのは……IVが乗る『ホープ・トゥ・ディスペアー』だった

 

「先行は僕からだ!僕は「ギミック・パペットーボム・エッグ」を召喚!」

 

出てきたのは「キラーナイト」に並ぶ、IVの「ギミック・パペット」デッキにおける切り込み隊長

 

「手札の「ギミック・パペットーシャドー・フィーラー」を捨てて、「ボム・エッグ」のモンスター効果発動!「相手に800ポイントのダメージを与える」か「ターン終了時までこのカードのレベルを8にする」か、どちらかの効果を選んで適用します。僕は800ポイントのダメージを与える効果を選択!」

「わっと!」

 

LP4000→3200

 

『デニスに先制ダメージが入ったー!』

「いきなりやってくれるね」

「僕はこれでターンエンドです。さあ、君のエンタメデュエルを見せてもらいましょう」

「そんな風にリクエストされちゃあ応えない訳にはいかないね。ボクのターン、ドロー!ボクは「Em(エンタメイジ)ヒグルミ」を召喚!」

 

デニスのフィールドに、まるでソフトクリームのようにひっくり返した帽子をコーンに見立て、その上に重ねられたストロベリーみたいな火の玉のぬいぐるみが乗ったモンスターが現れる

 

「ボクのフィールドに「Em」モンスターがいる時、手札の「Emボール・ライダー」は特殊召喚出来る!そして特殊召喚した「ボール・ライダー」は、自分フィールドの「Em」1体を破壊出来る。「ヒグルミ」を破壊する!」

『せっかく出したモンスターを破壊?』

「ここで「ヒグルミ」のモンスター効果!フィールド上のこのカードが戦闘・効果で破壊された時、手札かデッキから「ヒグルミ」以外の「Em」1体を特殊召喚出来る!カモン!「Emファイヤー・ダンサー」!」

 

フィールドにそれぞれ、ボールに乗った或いは大きなリングを2つ持った道化師が出てくる

 

「召喚・特殊召喚に成功した「ファイヤー・ダンサー」の効果で「ファイヤー・ダンサー」以外の「Em」をデッキから手札に加える!「Emミラー・コンダクター」を手札に!」

『デニス、最低限の手札消費でフィールドにレベル4のモンスターを2体並べたー!これは来るかー!?』

「ボクは、レベル4の「ボール・ライダー」と「ファイヤー・ダンサー」の2体で、オーバーレイ!」

 

 

Show(ショー) must(マスト) go(ゴー) on(オン)!!天空の奇術師よ!華やかに舞台を駆け巡れ!!」

 

 

「エクシーズ召喚!!」

 

 

「来い、ランク4!「Emトラピーズ・マジシャン」!」

 

 

『ハハハハハ!』

 

 

デニス・マックフィールドの象徴にしてフェイバリットカード。白い奇術師が、手に持ったステッキで空中ブランコのように空を舞いながら登場した

 

Emトラピーズ・マジシャン

ランク4 ATK2500

 

『出ました、エクシーズ召喚!攻撃力は2500!1600の「ボム・エッグ」を破壊することが出来ます!』

Amazing(アメイジング)!華やかな演出で召喚までの冗長さを感じさせないテクニック!見事なお手並みです!」

「お褒めに与り光栄だよIV。でも、ボクのエンタメデュエルはまだまだこれからだよ!「トラピーズ・マジシャン」で「ギミック・パペットーボム・エッグ」を攻撃!」

 

その宣言を聞いたIVは身をかがめ、カードをキャッチしてそれをデュエルディスクに急いで差し込む

 

「アクションマジック「回避」で、「トラピーズ・マジシャン」の攻撃を無効にする!」

 

これを止める術がデニスにはない為、「トラピーズ・マジシャン」の攻撃は防がれた

 

「ショーはまだ始まったばかり…急いで終わらせる必要はありませんよ、デニス君」

「そう簡単にはいかないか。ボクはこれでターンエンド」

「僕のターン!「ボム・エッグ」を守備表示に変更。カードを2枚セットして、ターンエンド」

『ここで守りを固めにきたIV!この盤面をデニスは、どう乗り越えるつもりなのか!?』

「ボクのターン!守りを固めて逆転のチャンスを狙っているのかもしれないが、そんな隙は与えないよ!ボクはスケール6の「Emファイヤー・ダンサー」と、スケール3の「Emミラー・コンダクター」で、ペンデュラムスケールをセッティング!」

 

デニスを乗せたDホイールの背後に、追従する光の二柱が現れる

 

「これでレベル4と5のモンスターが同時に召喚可能!

 

ペンデュラム召喚!!

 

宣言と共に、手札から「Emウィンド・サッカー」と「Emカップ・トリッカー」が、EXデッキから「Emヒグルミ」が同時召喚される

 

『デニスのフィールドに、一気に3体のモンスターが特殊召喚されました!』

「「ウィンド・サッカー」のモンスター効果!1ターンに1度、自分フィールドの全てのレベル4「Em」モンスターのレベルを5に変更する!」

 

レベル4→5

 

「レベル5のモンスターが3体…!」

「ボクはレベル5のモンスター3体で、オーバーレイ!エクシーズ召喚!!」

 

「降り立て、魔界の芸術家!ランク5!「Em影絵師シャドー・メイカー」!!」

 

『フフフフフ…』

 

まるでシールを剥がすかのように現れた影が地面から剥がれ、巨大なハサミを持ったマジシャンに変貌する

 

Em影絵師シャドー・メイカー

ランク5 ATK2600

 

「自分フィールドにエクシーズモンスターが2体以上存在する時、マジックカード「エクシーズ・ギフト」は発動出来る!「トラピーズ・マジシャン」と「シャドー・メイカー」のORUを1つずつ取り除くことで、カードを2枚ドローする!」

 

そうしてドローしたカードをデニスが見て、一瞬固まったかのように硬直する。しかし不自然がないようすぐに動き出し、デュエルを再開する

 

「それでは、世にも奇妙なマジックショーの始まりです!「トラピーズ・マジシャン」のモンスター効果!1ターンに1度、ORUを1つ取り除き、フィールド上のモンスター1体対象に発動!対象のモンスターはこのターン2回攻撃出来るようになり、バトルフェイズ終了時に破壊される!ボクは「影絵師シャドー・メイカー」を選択!」

『これで「シャドー・メイカー」は、このターン2回の攻撃が行えることに!IV、ピーンチ!!』

「そしてこの瞬間、「シャドー・メイカー」のモンスター効果!このモンスターが効果の対象となった時、ORUを1つ取り除く事で、EXデッキから2体目の「シャドー・メイカー」を特殊召喚出来る!」

 

「シャドー・メイカー」の影が伸びると、それが2体目の「シャドー・メイカー」へと変化する

 

「更に、今ORUとして墓地に送られた「カップ・トリッカー」のモンスター効果!2体の「シャドー・メイカー」を対象に発動し、片方のORUをもう片方に移す!」

「「シャドー・メイカー」は効果の対象になった時、ORUを使用する事で同名モンスターを特殊召喚出来る…!」

Exactly(その通り)!「シャドー・メイカー」の効果をもう1度発動!最後のORUを取り除き、3体目の「シャドー・メイカー」を特殊召喚!」

『デニスのフィールドに4体ものエクシーズモンスター!これは勝負あったかー!?』

 

これでデニスの場に「トラピーズ・マジシャン」と3体の「シャドー・メイカー」が並ぶ。しかも「シャドー・メイカー」の内1体は破壊されるとはいえ2回攻撃が可能。全てORUを失っているが、総攻撃を受ければIVのライフは8000ポイントあったとしても消し飛んでしまう

 

IVは攻撃される前にアクションカードを取ろうと手を伸ばすが、デニスがそれを防ごうと指示を出す

 

「やらせないよ!「トラピーズ・マジシャン」、そのアクションカードを取れ!」

 

一定のスピードで走行するDホイールより、浮遊する人型モンスターの方が速さも小回りもずっと優秀だ。先に「トラピーズ・マジシャン」にカードを取られる形で、IVのアクションマジックの確保は失敗してしまった

 

「しまった!」

「ありがとう「トラピーズ・マジシャン」。アクションマジック「奇跡」発動!1度だけ「トラピーズ・マジシャン」は戦闘で破壊されず、戦闘ダメージも半分になる!」

『え?ここで使っても無駄じゃない?』

「レディ、「奇跡」は「回避」と比べると弱いイメージがあるけど、どんなタイミングでも発動出来るって最大のメリットがあるのさ。「回避」じゃ、攻撃されるまで他のアクションカードが拾えなくなるからね」

『なるほど〜。そう考えると、相手にアクションカードを使わせないだけで十分な効果が見込める訳ね』

「そういう事♪…さあ、ショーの幕引きと行こうか!バトル!「トラピーズ・マジシャン」で「ボム・エッグ」を攻撃!」

 

アクションカードが取れなかったIVにこれを防ぐ手段はなく、「トラピーズ・マジシャン」の攻撃で「ボム・エッグ」は破壊されてしまった

 

「くっ!」

「「シャドー・メイカー」でダイレクトアタック!」

 

当然これも防ぐ手段のないIVは、大幅にライフを削られる

 

「うわあああああああっ!!!」

 

LP4000→1400

 

「っ…!相手の直接攻撃で戦闘ダメージを受けた時、墓地の「ギミック・パペットーシャドー・フィーラー」は攻撃表示で特殊召喚出来る!その後、自分は1000ポイントのダメージを受ける!…ぐぅ!」

 

頭のない上半身だけの人形に、2体の人形が頭部からくっついた奇怪な人形が「Em」達を立ちはだかるように出てくる

 

ATK1000

 

LP1400→400

 

『うわっ、キモチワル………じゃなくて!事前に防御カードを仕込んでいたIVですが、攻撃はたったの1000ポイント!これでは次の攻撃でライフポイントが0になってしまいます!』

「「シャドー・フィーラー」は戦闘で破壊されない効果を持っている!」

「でもこの攻撃でキミのライフは0だよ!行け、「シャドー・メイカー」!2回目の攻撃!」

 

「シャドー・メイカー」の攻撃が迫る中、IVは伏せていたカードを発動する

 

「リバースカードオープン!永続罠「スピリット・バリア」!」

「何!?」

「「スピリット・バリア」が存在する限り、モンスター同士の戦闘で発生する僕へのダメージを、全て0にする!」

 

攻撃が命中する「シャドー・フィーラー」だが、「シャドー・フィーラー」がバリアの役割になる事で本来IVに届く衝撃も霧散し、バラバラにされた「シャドー・フィーラー」もくっついて元に戻ることで、戦闘破壊から免れる

 

『すっごーい!!たった1枚の罠カードを発動しただけで、鉄壁の布陣を作り上げてしまったー!』

「これで君の攻撃は全て無力化しましたよ!」

「くっ…バトルの終了と共に、「トラピーズ・マジシャン」の効果を受けた「シャドー・メイカー」は破壊される…」

 

デニスは圧倒的不利な状況を鮮やかな手並みで凌ぎ切ったIVに対して悪寒を覚えた。このままではマズイ事になると嫌でも予想出来た

 

「ボクはカードを1枚セットして、ターンエンド!」

「この瞬間、罠カード発動!」

「ッ!?このタイミングで!?」

「「傀儡葬儀(くぐつそうぎ)ーパペット・パレード」!このカードは僕のモンスターの数が相手モンスターの数より少ない時、その差の数の同名以外の「ギミック・パペット」モンスターをデッキから特殊召喚出来る!君のフィールドには3体、僕のフィールドには1体!よって、デッキから「ギミック・パペットーネクロ・ドール」と「ギミック・パペットーブラッディ・ドール」を特殊召喚!」

 

IVの場に、可憐だが、どこか不気味である乙女人形達が出現する

 

「更に、自分のライフポイントが相手より2000以上少なければ、デッキから「RUM」通常魔法を1枚、フィールドにセット出来る!」

「何だって!?」

「僕は「RUMーアージェント・カオス・フォース」を選択して、これをセット!」

『なんという事でしょうか!!IV、圧倒的不利な状況から、一気にモンスターを増やし、更にカードもセットしてきたー!これは逆転の可能性の芽が大いに出てきたかもしれません!』

(「RUM」をセットする為には、2800以上のダメージを受ける必要があった…でも「シャドー・フィーラー」の効果を使えば、1800ポイントの直接攻撃までカードをセット出来る範囲を広げられる…!アクションカードを取りに行ったのは、このコンボを確実に通す為のブラフ…!?)

 

まるでこちらのカードと考えを全て把握していたとしか思えないカード捌きに、デニスは内心戦慄する

 

しかも「パペット・パレード」の効果を考えれば、「トラピーズ・マジシャン」の効果で「シャドー・メイカー」が破壊されないバトルフェイズ中に発動するのが1番良いはず。しかしそれでは、せっかく増やしたモンスターも残る「シャドー・メイカー」の攻撃で破壊される

 

だからこそ「シャドー・フィーラー」と「スピリット・バリア」のコンボでデニスに攻撃を諦めさせ、その後隙を狙ってアドバンテージを稼いできたというわけだ

 

そしてIVのターンが始まる…と思っていると、IVはいきなり立ち上がり、両腕を広げて観衆達の注目を集めた

 

「Ladies and Gentlemen!!今宵はフレンドシップカップを見に御集まり頂き、誠にありがとうございます!!」

 

「っ!?」

『え…?い、いきなり何?』

 

「惜しくも成功には至りませんでしたが、デニス・マックフィールド氏の素晴らしいプレイングとデュエルタクティクスに、どうか皆様、惜しみない拍手を!!」

 

困惑している観客達だったが、最初に小さな拍手(おそらく小さい子供のもの)が鳴り続けると、波紋が広がるように音の範囲が広がっていき、最終的に会場全域から万雷の拍手がデニスに降り注がれた

 

「え…?あ……え?」

 

マジシャン故に観客の対応には慣れているデニスも、あまりに唐突且つ大き過ぎる歓声に声を漏らすしかなかった

 

『な、なんかよく分かんないけど凄い事に…で、でも、イイわよね!これぞまさにフレンドシップカップに相応しい光景!『シティは1つ!みんな友達!』!!』

 

メリッサがそうやって無理やり締めた中、IVの演説が終わろうとする

 

「そして、彼の素晴らしいエンタメデュエルと、観客の皆様の期待に応えるべく、僕も渾身のファンサービスをもってお返し致しましょう!!」

 

 

 

「恐怖と苦痛に満ちた、絶望の表情をプレゼントしてやる事でなぁっ!!」

 

 

 

『…………え?』

 

「俺のターン……ドロー!!」

 

メリッサと観客達、デュエルの中継を見ているシティの住人全員が、突如豹変したIVの表情と声音に困惑する中、IVのファンサービスが始まった

 

「俺はレベル8の「シャドー・フィーラー」と「ネクロ・ドール」の2体で、オーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

 

「現れろ、“No.15”」

 

 

「地獄からの使者、運命の糸を操る人形…」

 

 

「「ギミック・パペット-ジャイアントキラー」!!」

 

 

No.15 ギミック・パペットージャイアントキラー

ランク8 ATK1500

 

 

『で、でかい!何なのこのモンスター!?』

「「ジャイアントキラー」の効果発動!1ターンに2度まで、ORUを1つ使うことで、相手の特殊召喚されたモンスター1体を破壊する!まず俺が破壊するのは「影絵師シャドー・メイカー」!」

 

「シャドー・メイカー」の2体いる内の1体に、「ジャイアントキラー」の掌から伸びた多量の糸が絡みつく

 

『シャ、「シャドー・メイカー」が1体、糸に捕まってしまいました!このまま一体どうする』

 

ガコォォン……ギャリギャリギャリギャリ!

 

『つもり───え?』

 

本日、何度もかも分からない呆けた声がマイク越しに空気を震わす。メリッサが見たのは胸部の破砕機のようなものを動かす漆黒の巨大人形と、必死の抵抗も虚しくそこに引きずり込まれようとしている影絵師の姿

 

『ちょ、ちょっと、冗談でしょ!?このデュエル、シティ中に放映されてるんだけど!?待っ──』

 

メリッサの制止は当然届かず

 

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!

 

『ウオォォォオオォ…!!』

 

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!

 

「シャドー・メイカー」の断末魔をBGMに行われた「ジャイアントキラー」の無慈悲な解体作業は、シティ全域に大公開となった。悲鳴と叫びを上げる者、絶句する者、目を背ける者、そして当然ながらギャン泣きする多くの子供達

 

フレンドシップカップが始まって以来初の、間違いなくシティが1つとなった瞬間であった……皮肉なことに

 

「「シャドー・メイカー」!」

「そして、破壊したモンスターがエクシーズモンスターならば、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!」

「ッ!!」

 

「俺のファンサービスだ、受け取れぇ!!」

 

破砕機の奥から顔を覗かせた砲塔がデニスに照準を合わせ、高エネルギー弾を撃ち込んだ

 

それを事前に察知して動いていたデニスはアクションカードを手に取り、それを発動する

 

「アクションマジック「ターボ・ブースター」!選んだモンスター1体の攻撃力を500ポイント上げ、更にこのターン貫通能力を与える!「トラピーズ・マジシャン」の攻撃力をアップ!」

 

ATK2500→3000

 

「「トラピーズ・マジシャン」には自身の攻撃力以下の戦闘・効果ダメージを受けなくする効果がある!「トラピーズ・マジシャン」の攻撃力が3000に上がった事で、「シャドー・メイカー」の攻撃力、2600ポイント分のダメージを無効にする!ッうぅ!!」

 

「トラピーズ・マジシャン」によってダメージはカットされたものの、そのとてつもない衝撃にデニスは呻く

 

「ORUとして墓地に送られた「シャドー・フィーラー」はゲームから除外される…やるじゃねえかマジシャン野郎。ならば次はそいつに消えてもらうぜ!「ジャイアントキラー」の効果をもう1度発動!」

 

間髪入れず放たれた糸が天空の奇術師を拘束し、地獄のローラーの前まで引きずり上げる

 

『ああーっ!!「ジャイアントキラー」の魔の手が「トラピーズ・マジシャン」にまで!ピンチー!』

「そうはさせない!「トラピーズ・マジシャン」を対象に永続罠「ディメンション・ガーディアン」発動!このカードは自分の表側攻撃表示モンスターを対象に発動でき、「ディメンション・ガーディアン」が場にある限り、対象となった「トラピーズ・マジシャン」は戦闘・効果では破壊されない!」

 

また悍ましい音を鳴らしながら「ジャイアントキラー」の中に飲み込まれるデニスのモンスター。しかし先程と違い音がいつまで経っても止まらず、するとコミカルな音と共にステッキを持った手がローラーの中から現れる

 

「戻ってこい!「トラピーズ・マジシャン」!」

『ハハハハハ!』

 

そのステッキに光のロープがくっついて勢いよく引っ張ると、無傷の「トラピーズ・マジシャン」が飛び出し、奇跡の大脱出を果たす

 

「即興の脱出マジック、成功って感じかな…!」

『「トラピーズ・マジシャン」、奇跡の生還ー!!これでIVの「ジャイアントキラー」はもう効果が使えません!デニス、反撃の時かー!?』

「何勘違いしてやがる?」

『へ?』

「まだ俺のメインフェイズは終了してないぜ!!ORUとして墓地に送られた「ネクロ・ドール」のモンスター効果!墓地の「ギミック・パペット」モンスター1体をゲームから除外し、このカードを墓地から特殊召喚する!」

 

「ボム・エッグ」を除外して、フィールドに再び舞い戻る「ネクロ・ドール」

 

『レベル8のモンスターが2体…これって!?』

「レベル8の「ブラッディ・ドール」と「ネクロ・ドール」でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

「現れろ、“No.40”!!「ギミック・パペットーヘブンズ・ストリングス」!!」

 

No.40 ギミック・パペットーヘブンズ・ストリングス

ランク8 ATK3000

 

『攻撃力3000!!』

「まだだ!リバースカードオープン!「RUMーアージェント・カオス・フォース」!」

「「RUM」…!」

「このカードの効果で、俺のフィールド上のランク5以上のエクシーズモンスター1体を、1つランクが上のエクシーズモンスターへと、カオス化させる!」

「カオス化…!?」

「俺はランク8の「ジャイアントキラー」でオーバーレイ!1体のモンスターで、オーバーレイネットワークを再構築!

 

カオスエクシーズ・チェンジ!!」

 

 

「現れろ、“CNo.15”!!」

 

 

「人類の英知の結晶が、運命の糸を断ち切る使者を呼ぶ!」

 

 

「「ギミック・パペットーシリアルキラー」!!」

 

 

CNo.15 ギミック・パペットーシリアルキラー

ランク9 ATK2500

 

 

「なんだ、このモンスターは…!?」

『なんという事でしょう!?「ジャイアントキラー」が、別のモンスターへと変形しました!』

「さあ、俺の本当のファンサービスはこれからだぜ!!「シリアルキラー」のモンスター効果!ORUを1つ使い、相手フィールドのカードを1枚破壊する!「ディメンション・ガーディアン」を破壊!『エクスターミネーション・スラッシャー』!!」

 

丸鋸が軌跡を描いて「ディメンション・ガーディアン」を切り刻み、破壊した。IVは道中のアクションカードを手に取ると、バトルフェイズに移行する

 

「バトルだ!「ヘブンズ・ストリングス」で最後の「シャドー・メイカー」を攻撃!『ヘブンズ・ブレード』!!」

 

その巨体からは想像も出来ない機敏な動きで剣を振るい、モンスターを一刀両断する

 

ダメージは「トラピーズ・マジシャン」で0になるが、状況が不利になる事に変わりはない

 

「ぐう!」

「「シリアルキラー」で「トラピーズ・マジシャン」に攻撃!ダメージステップ時にアクションマジック「ハイジャンプ」発動!攻撃力を1000上昇させる!」

 

ATK2500→3500

 

「シリアルキラー」が顔を「トラピーズ・マジシャン」に向ける。すると「シリアルキラー」の顔面が展開して赤い中身が露出し、その口から無骨なガトリング砲を伸ばした

 

 

「『ジェノサイド・ガトリング・バースト』!!」

 

 

そのまま乱射される機関銃。弾丸の1発1発が「トラピーズ・マジシャン」を削り取り、死のダンスを踊らせる。そして「トラピーズ・マジシャン」は爆散し、その爆風がデニスを襲った

 

「うわあああっ!!」

 

オートパイロットモードでなければ、Dホイールは激しく回転した後にクラッシュするだろう程の痛みがデニスを苛む

 

「っ……!「トラピーズ・マジシャン」が破壊された事により、デッキから「Emハット・トリッカー」を特殊召喚する…!」

「俺はこれでターンエンドだ。テメェのエンタメデュエルはここで終わりか?さあ、俺のファンサービスをもっと堪能してくれよぉ?」

『な、なんて残虐なデュエルなの…!?その甘いマスク、紳士的な物腰とは真逆の、本性はまさに悪魔のようなデュエリスト、IV!!とんでもないデュエルを、今我々は見ているのかもしれません!!…いやホントにとんでもないわよ。引くわー、いくらイケメンでも』

 

マイクに拾われないようボソリと呟くメリッサであった

 

「あの状況からここまで巻き返してくるなんて…!キミほどのデュエリストがなんで今まで無名だったのか、不思議で仕方ないよ」

「褒め言葉として受け取っておくぜ。しかし不思議か…俺も不思議で仕方がないぜ」

「何がだい?」

 

 

「なんで俺の情報もアカデミアにリークしやがった?」

 

 

「………は?」

 

そのセリフにデニスも、モニター越しに聞いていた遊矢達も固まった

 

「な、何を言って」

「しらばっくれても無駄だ、もう裏は取れてんだぜ」

 

真実を突きつけられても尚、偽りの仮面を被るデニスを嘲笑いながら、IVは説明する

 

「まず、俺は俺のプロフィールを確保し、それを流した相手に見当をつけた。紫雲院素良、セレナ、バレット、こいつらは俺と接触していたアカデミア所属の人間だ。こいつらの内誰かが、特にスパイで塾の話も聞いていた紫雲院辺りが犯人だと俺は最初に考えていた…だがな、レオ・コーポレーションが尋問したオベリスク・フォース共から得たある情報で、考えが変わった」

「情報だって…?」

「それがな、スパイがスタンダード次元の情報を垂れ流したのは、塾を襲撃する2()()()だったんだとよ」

 

つまり、舞網チャンピオンシップが始まる前日だという事だ。素良が人形塾の話を聞いたのは大会初日、セレナとバレットの2人と接触したのは大会2日目…候補にあった3人が情報を流すのは物理的に不可能だった

 

そうなると、当然脳裏に浮かぶのは、原作知識で事前に知っていた()()1()()()()()()の存在。しかしそれだけでは証拠もクソもなく、犯人と断定することは出来ない。だからこそ、IVは赤馬零児に協力を申し込んだ

 

「社長は俺に貸しがあったからな、協力させるのは簡単だったぜ。俺が人形デュエル塾所属だという情報はレオ・コーポレーションでしか入手出来ない。なら、犯人はレオ・コーポレーションやLDSに属する或いは系列企業や傘下の会社や塾に潜んでいる可能性が高い。後はそこから俺や黒咲達のように、経歴がない若しくは怪しい奴を、特に海外の連中を中心にしらみ潰しで調べていった結果…お前が1番が怪しいという結論になったんだよ」

「そんな、たった1日そこらで調べられる訳が…!」

「苦労したぜ」

(最短でテメェが怪しく見えるよう、社長や黒咲、他の奴らを誘導するのにな)

 

先に答えを知ってなければ、数日どころか1ヶ月掛かってもおかしくなかっただろう。だがIVは巧みな話術や偏った情報精査で、デニスがもっとも怪しくなるよう誘導し続けた

 

そして1度でも怪しんで情報を引っ張りあげれば、出るわ出るわ怪しい戸籍情報や不明な経歴。スタンダード次元一の企業が総力を挙げて一個人を調べ上げるのだ、間違いなどあろうはずもなかった

 

「少なくともテメェはスタンダードの人間じゃねえ。だが黒咲曰く、エクシーズ使いであるはずのお前の事を一切知らないんだとよ…シンクロ次元でエクシーズやペンデュラムが使われていない事は、シティ中の人間が証明してくれてるぜ。そうなると…残る答えはもう1つしかねえよなぁ?」

「…………」

『ちょっと、何の話をしているの?アカデミア?スパイ?』

 

黙りこくるデニス。訝しむ人々だったが、彼は顔を上げて手札のカードを1枚手に取ると、それをIVに見せつけた

 

「答え…それって──『これ』の事かい?」

 

そう───「融合」の魔法カードを

 

「「「ッ!!」」」

 

「やっと尻尾を出しやがったな」

「バレちゃあ仕方ない。推理ショーに正解したご褒美だ、キミには最高のエンターテインメントをお見せしよう。ボクのターン……ドロー!!」

 

ドローしたカードを見たデニスは一瞬目を瞑り…直後目を見開いて、そのドローカードをディスクに差し込んだ

 

「マジックカード「古代の機械混沌融合(アンティーク・ギア・カオス・フュージョン)」!手札の「融合」1枚墓地に送ることで効果発動!融合モンスターの召喚に必要な融合素材と同数の、墓地に存在するEXデッキのカードを除外する!そしてデッキ・EXデッキから、融合素材モンスター一組を効果と召喚条件を無効にして特殊召喚する!」

 

デニスの墓地から4枚のエクシーズモンスターが除外され、それと同数の機械仕掛けの猟犬達が同時に登場する

 

「「古代の機械猟犬」!「双頭猟犬」!「参頭猟犬」!「究極猟犬」!合計4体の「古代の機械」モンスターを、特殊召喚!!」

 

「「古代の機械」って!?じゃあ、デニスは本当に…!」

 

「4体の「古代の機械」を融合!」

 

 

(いにしえ)の魂受け継ぎし、機械仕掛けの猟犬共よ!その十の首混じり合わせ、混沌にして、絶大なる力とならん!!」

 

 

「融合召喚!!」

 

 

「現れろ!!レベル10!「古代の機械混沌巨人」!!」

 

 

古代の機械混沌巨人

レベル10 ATK4500

 

 

『で、で、でかい!な、な、何これぇ!?』

 

モノアイを禍々しく輝かせる、機械仕掛けの破壊神。「シリアルキラー」や「ヘブンズ・ストリングス」と比べても頭一つ分は大きなモンスターの登場に、観客達は見上げて唖然とする

 

『デニスが召喚したのは、なんとレベル10!攻撃力4500の超大型モンスター!!』

 

デニス・マックフィールドは、そんな観客達のどよめきに目も向けず、目の前の敵を見据えて宣言した

 

 

「さあ…ハンティングゲームの時間だ」

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