「レベル6の「EMモンキーボード」に、レベル1の「調律の魔術師」をチューニング!!」
「二色の眼の竜よ!流星と共に降り注ぎ、赤熱纏いて飛来せよ!!」
「シンクロ召喚!!」
「現れろ、レベル7!
フレンドシップカップ2日目。デュエルを行うスタジアムは、昨日のIVとデニスのデュエルによって破壊されライディングデュエルが行えない状態の為、2回戦以降のデュエルはシティ中に張り巡らされたライディングデュエル用のデュエルコースにてやる事となった
そして、第1試合の遊矢VS権現坂のデュエルはクライマックスを迎えようとしていた
体の奥から湧き出た衝動と共に、新たに生み出されたシンクロモンスター
空から現れた赤熱した隕石を内から砕き、咆哮と共に「オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン」はフィールドに舞い降り、遊矢のDホイールを追走する
オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン
レベル7 ATK2500
『遊矢のフィールドに、新たなシンクロモンスターが登場ー!しかし権現坂のフィールドには守備力3800の「スサノーO」の他に、特殊召喚した相手モンスターの数だけ守備力が上がる「キュウーB」も残っている!遊矢のフィールドには特殊召喚されたモンスターが2体!「メテオバースト・ドラゴン」では「キュウーB」を突破する事が出来ない!』
榊遊矢 LP200
VS
権現坂昇 LP3000
実況担当であるメリッサの言う通り、今の遊矢のモンスターでは相手の特殊召喚モンスターの数だけ守備力をアップさせ、更に「超重武者装留ーグレート・ウォール」と「マカルガエシ」「イワトオシ」を装備した「キュウーB」はおろか、「スサノーO」を突破する事も難しかった
超重荒神スサノーO
DEF3800
超重魔獣キュウーB
DEF6400→5500
「遊矢、そのモンスターでは「キュウーB」はおろか「スサノーO」を倒す事も出来ん!仮にここで守備を固めた所で、「イワトオシ」を装備した「キュウーB」には貫通効果がある!次の俺の攻撃でお前のライフは確実に0になるぞ!」
「分かってるさ。だから、このターンで決着を付ける!」
「何!」
「「EMラディッシュ・ホース」のペンデュラム効果!権現坂のフィールドにいる「キュウーB」と俺のフィールドの「EMモモンカーペット」を対象に発動でき、選択した「EM」の攻撃力分、「キュウーB」の攻撃力を下げる!」
「モモンカーペット」の攻撃力は1000。その数値分、焔の尾を持った魔獣の攻撃力をダウンさせる
ATK1900→900
「「キュウーB」は守備表示!いくら攻撃力を下げた所で…」
「手札から魔法カード「守備封じ」を発動!」
「そのカードは!」
そのカードの発動と共に、光の糸が「キュウーB」に絡まる。そして防御体勢を取っていた「キュウーB」を無理やり攻撃体勢に変える
DEF5500→ATK1100
「「守備封じ」の効果で、モンスター1体を守備表示から攻撃表示に変更する!」
「「キュウーB」の攻撃力を下げたのはこれが狙いか…!しかし!それでも俺のライフを削り切る事は出来ない!」
遊矢は、不敵に笑った
「──それはどうかな?」
「何!?」
「本当のお楽しみは、これからだ!!これが逆転のキーカード、「ギャップ・パワー」だ!!」
「「ギャップ・パワー」?」
「このカードは、俺のライフが相手より少ない場合、その差の半分の数値分、俺のモンスター1体の攻撃力をアップさせる魔法カード!」
「ライフ差の半分の数値だと?…はっ!」
遊矢と権現坂の実力は拮抗している。それなのにこれほどライフアドバンテージに差が出ていたのは、偏に遊矢がこのデュエル中にあるカード…「調律の魔術師」を多用していたが故だった
「調律の魔術師」は場に出る度に400ポイント自分にダメージを与え、相手は逆に回復させる扱いの難しいチューナーモンスター。その「調律の魔術師」を何度も蘇らせては権現坂の猛攻を凌ぎ、最終的に「オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン」のシンクロ召喚に使われた訳だが…
権現坂は気づいた
「調律の魔術師」によって意図的に広げられたライフ差…全ては、この一撃の為の布石だったのだと
「俺と権現坂のライフ差は2800!その半分、1400ポイント、「メテオバースト・ドラゴン」の攻撃力に加える!」
両者を繋ぐ赤いオーラ、それが二色の眼を持つ竜に降り注ぎ、その身体から発する熱量を猛烈に上げる
ATK2500→3900
「攻撃力3900!!」
『この攻撃が通れば、遊矢の逆転勝利だぁ!!』
「バトルだ!「オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン」で「超重魔獣キュウーB」を攻撃!!」
しかし、それを大人しく通す権現坂ではなかった
「させん!「キュウーB」に装備された「超重武者装留ーグレート・ウォール」の効果!装備モンスターが攻撃対象となった時、このカードを墓地に送って発動し、その攻撃を無効にして装備モンスターの守備力を0にする!」
『「キュウーB」の守備力は0になってしまうが、これで権現坂に次のターンの猶予が与えられ、反撃のチャンスが回ってくる!』
(遊矢には1枚だけ手札がある。ならば…!)
装備されていた「グレート・ウォール」が変形し、「キュウーB」の盾になるよう前に出る。「メテオバースト・ドラゴン」が防がれるが、直後に遊矢は手札を切った
「速攻魔法「ダブル・アップ・チャンス」発動!攻撃が無効になった時、攻撃を無効にされたモンスターの攻撃力を倍にしてもう1度攻撃する事が出来る!」
『1回戦で決め手になったカード!権現坂の防御を読み切って、もう1度攻撃ー!』
「やはり握っていたな!しかし読み通りだ!俺のフィールドに「超重武者」モンスターが守備表示で存在し、相手がバトルフェイズに魔法・罠・モンスターの効果を使用した時、墓地の「超重武者装留ビッグバン」を除外して効果発動!そのカードの発動を無効にし破壊!その後、フィールドのモンスターを全て破壊し、お互いのプレイヤーは1000ポイントのダメージを受ける!」
『ああー!?この効果が通ってしまえば、ライフ差が大きく劣っている遊矢のライフだけ0になってしまうー!』
コアのような物を内部で光らせたモンスターが墓地から現れる。そのコアは明滅し、破滅の爆発を起こす
「俺の勝ちだ!遊矢!」
「「メテオバースト・ドラゴン」の効果!」
そしてその瞬間、遊矢は叫んだ
「このタイミングでだと!?」
権現坂の驚愕を他所に、赫熱の竜はその体色と相反する胸部の巨大で蒼い水晶体を輝かせる。そして、その輝きが臨海に達した瞬間…… 蒼い波動が放たれた
「『メテオリック・インパクト』!!」
その波動が直撃した「ビッグバン」は力の源が絶たれたかのようにコアから光が消え失せ、墓地に改めて送られる
「「ビッグバン」!?」
「「オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン」がフィールド上に存在する限り、相手プレイヤーはバトルフェイズ中にモンスター効果の発動が出来なくなる!つまり、「ビッグバン」は発動そのものが不発となる!」
「なんだと!?」
「「超重武者」はフルモンスターでこそ真価を発揮するカード。当然バトルフェイズ中に発動するカードもモンスターとして扱うカードが多い。だから「メテオバースト・ドラゴン」がいる限り、バトル中の「超重武者」はその多くが封じられる!」
これで権現坂はアクションマジックを使う以外、「メテオバースト・ドラゴン」の攻撃を防ぐ事は出来なくなった
「…………見事」
しかし、権現坂は「不動のデュエル」(アクションカードの使用を自ら封じたデュエル)の信念を折ってまで藻掻くつもりはなかった。仮に何かの間違いでアクションカードを使って延命したとしても、そもそも墓地にアクションカードが落ちてしまえば「超重武者」はその効力を失い、どの道勝利への道筋は途絶えてしまう
だからこそ権現坂は、長年苦楽を共にした友に向かって大声で促す
「遠慮はいらん!!来い、遊矢ぁ!!」
「っ………行け!「メテオバースト・ドラゴン」!!」
ATK3900→7800
一瞬躊躇い、迷い、しかし決断した遊矢の叫びが「オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン」を突き動かす
「『赫灼の、ブレイズ・バースト』!」
水晶体の輝きが、今度は喉を通して口内に蓄積していき…凄まじい熱と同時に「超重魔獣」を穿った
「うおおおおおおおっ!!」
権現坂昇 LP3000→0
スタート地点でもあるスタジアムでDホイールが止まり、権現坂はヘルメットを脱いで一息つく。そこに同じく会場に着いていた遊矢がヘルメットを投げ捨ててDホイールから降り、権現坂に駆け寄る
「権現坂!!」
「遊矢、良いデュエルだった。分かってはいたが、以前デュエルした時よりも更に腕を上げたな」
「そんな事言ってる場合かっ!お前は試合に負けたんだぞ!つまり、権現坂はこれから…!」
『クソッ、離せぇ!…い、嫌だ!!あんな地獄に落とされるなんて絶対に嫌だぁッ!!』
自分が打ち倒したデュエルチェイサーが、必死の抵抗も虚しく係員達に連れ去られていく光景が脳裏によぎる
このフレンドシップカップで敗北した者達は、誰ひとり例外なく表舞台から姿を消し、その行き先が地下の強制労働施設だという事を、遊矢の担当をしている少年のボーイ、サムから聞いていた
つまり、権現坂はこれからその地下施設に送り込まれるという事になる。そうした結果に導いたのは勝利者である遊矢だ。だからこそ遊矢はデュエル中、権現坂に叱咤激励されるまで勝つ事に消極的な態度を見せていたし、今も尚、権現坂の身を案じていた
「気にするな遊矢。こうなる事も承知の上でお前を焚き付けた。その上でお前は俺に勝ったのだ。ならお前はもっと胸を張って、そして前に進むべきだ」
「そんな事、出来るわけないだろっ!!権現坂は俺にとって大切な友達なんだ!お前を踏み台にして先に進めなんてっ」
「
権現坂の怒声が響き渡った。遠くで聞いていたメリッサも仰け反るほどの音量で発せられたそれは、遊矢の体を芯からビリビリを震わせる
「目的を見失うな遊矢!!お前の目的はなんだ!?父の意志を継いでアカデミアの暴虐を止め、柚子を取り戻すのだろう!?その為にも俺達の誰かがキングを倒し、俺達の力を評議会に示す必要がある!!それを忘れるなっ!!」
「ご、権現坂…で、でも…」
「それにだ、遊矢。俺も、沢渡も、セレナも、誰ひとり犠牲になる気などない。必ず地上に戻って、お前の勝利を見届けるつもりだ。だから…」
握り拳を作ってそれを遊矢の胸元にコツンと当てると、権現坂は笑いながら言った
「お前はお前の成すべき事を成せ」
「権現坂…」
「俺はお前を信じる。だから、お前も俺達を信じろ」
「…ああ…分かったよ、権現坂」
「うむ!」
係員が近付いてくる。権現坂は抵抗する事もなく付いて行き、暗い廊下の奥へと消えていった
遊矢の内にあるのは、前に進もうとする決意と、あまりに思い通りにいかない現実に対する落胆
(分かっちゃいた…そのつもりでいたけど、俺達の常識やモラルがまるで通じない…辛いな…)
この
より正確に言えばトップスは娯楽として楽しんでもいるが、それもサーカスやマジックショーとしてではなく、コロッセオの殺し合いのような…人の命や人生を消費する、血生臭いものだった
そんなシンクロ次元のデュエルを、遊矢はアカデミアのデュエルと同じように感じ取っていた。1度の敗北で全てを失う事が当たり前なデュエルの在り方など、失敗や敗北から多くを学び、強くなった遊矢からすれば、到底受け入れられるようなものではなかった
それに、と遊矢はデッキから
(母さんから御守りとして貰ったこの「スマイル・ワールド」…扱いが凄く難しい。今の俺じゃあこのカードを上手く使いこなせない。カードのコストやブラフとして伏せるのが精一杯…)
それでも「スマイル・ワールド」をデッキに入れるのは、このカードと一緒に戦えば父も一緒に戦ってくれてるような…何の根拠もないそんな理由が、遊矢を勇気づけてくれたからだった
(勝たなくちゃ…)
ドクンッ
そんな遊矢の決意に呼応するように、内側で何かが蠢き
そして…そんな遊矢の決意を嘲笑うかのように
柊柚子はセルゲイ・ヴォルコフに敗北し、そのまま行方不明になった
さて、そんなとんでもないアクシデントが起きた第2試合を挟んで、黒咲とユーゴによる第3試合が始まろうとしていたのだが
ここでも試合前に1つアクシデント…いや、軽いいざこざが起きた
「貴様、何故「ダーク・リベリオン」を持っているっ!」
「うわっ!?い、いきなりなんだよ!?」
黒咲がDホイールに乗っているユーゴに近づき、胸ぐらを掴みながらそう詰め寄ったのだった。唐突過ぎる黒咲の行動にユーゴも反応出来ず、タジタジになりながら困惑する
「あのカードは元々ユートが持っていたカードだ!それを貴様が持っているのは何故だ!ユートをどうした!」
「ユートだって?おい、どういう事か説明…はぁ?替わる?ちょっと待て、こんな場所で替わったら、皆に見られ──」
「どうした、答えられないのか!答えるつもりがないというのなら…!」
『ちょ、ちょっとぉ!?試合前に暴力はNGよ!』
ガシッ!
…しかしその拳は、ユーゴ…いや、目の前の男によってあっさり止められた
「
そして、その聞き覚えのある声を聞いて、黒咲は目を見開いた
「その声……まさか!?」
「そうだ、隼、俺だ。“ユート”だ」
驚愕する黒咲。ヘルメットで分かりにくいが黒と紫の髪色に、怒りが形となったような強い決意の眼差し…親友として長年を共にした黒咲が見間違えるはずがなかった
「連絡が途絶えて済まなかった。今、俺は肉体を失っていて、その精神だけがこの肉体…ユーゴの中にある。だから俺は今まで自由に動けなかったんだ」
「肉体を失っただと…!?どういう事だ、ユート!」
『ユート?え、ユーゴじゃない?…そういえば心なしか、ユーゴと雰囲気が違うような…』
「むっ、マズイな」
ヘルメットの下にある顔がユーゴではないとバレれば失格になってしまう。メリッサの声を聞いたユートは時間がないと判断し、伝える事だけ伝えようとする
「隼、悪いが時間がない。この大会はユーゴにとっても大切なものなんだ。あいつの夢をこんな形で壊したくない…」
「ユート…」
「俺から言えるのは、ユーゴはアカデミアでは、俺達の敵ではないという事だ。それでもお前は安易に信じないだろう…だったら、このデュエルを通して、あいつを見極めればいい…」
「ユート!」
ユートの気配が遠のいていくのを黒咲は感じた。やがて目の前の人物はユートや遊矢と同じ顔をした別人…ユーゴへと戻る
「……ユ、ユートの野郎ー!いきなり人の意識を乗っ取って、しかも俺を見極めろだの勝手な事も言いやがって!」
『あ、間違いなくユーゴね…でもさっきのはどう見ても…私の気のせい?…でもなぁ…』
メリッサが訝しむ中、黒咲は地団駄を踏むユーゴを静かに見つめ、少ししてから口を開いた
「……ユーゴと言ったか」
「あん?」
「例え親友の言葉であっても、お前が融合次元の手先ではないということの証明にはならない」
「だ・か・ら!!俺はユーゴーじゃなくてユーゴ!!ホントに分かってんのかよ!?大体、ユートが言ってた瑠璃って子を攫った俺達そっくりのクソ野郎には、俺だってリンを攫われて…」
「故に…お前が「ダーク・リベリオン」を持つに値するか、この俺が見定める!もしお前が負ければ…「ダーク・リベリオン」は渡してもらう!」
「…はぁ!?あ、あのなぁ、そもそもこのカードは俺の中のユートの…ってオイ!」
言うだけの事を言って、自分のDホイールの元へ去っていく黒咲。混乱するユーゴの背後に、ユーゴだけが認識出来る、背後霊のようにフワフワ浮遊する半透明のユートが出てくる
『無駄だユーゴ、ああなった隼は俺でも止められない。お前の力を隼に見せつけてやるしかない』
「ひ、他人事みてぇに言いやがって…!」
『言っておくが、今回のデュエル、俺は一切助言もしないし手も貸さないからな』
「あーゆーのはアドバイスじゃなくて余計なお世話っつーんだよ!普段からグチグチうるせーし、お前はリンかよ!!」
(…リンという子も苦労しているんだな…)
Dホイールに乗って黒咲の隣に陣取るユーゴを見ながら、ユートは柚子にも怒られていたユーゴのだらしない私生活を思い出しながら、呆れたといった風にため息を吐いた
『なんかもうよく分かんないけど、仲直り出来たってことでいいのよね?…それじゃあ気を取り直して!2回戦第3試合、黒咲隼VSユーゴのデュエルを始めるわよー!!』
「「ライディングデュエル!」」
「「アクセラレーションッ!!」」
そのデュエルは、まさに苛烈な殴り合いといった様相だった
ユーゴが「魔剣ダーマ」で先制パンチを与えたかと思えば、黒咲が「ライズ・ファルコン」で反撃し
その「ライズ・ファルコン」を「チャンバライダー」で破壊したかと思えば、「RUMーデス・ダブル・フォース」で戦闘破壊された「ライズ・ファルコン」を「サテライト・キャノン・ファルコン」にランクアップさせ、返しのターンで返り討ちにしたり
それを「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」が「ハイ・スピード・リレベル」で攻撃力を上げて撃破したかと思えば、更にランクが上で強固な耐性を持つ「アルティメット・ファルコン」が出てきたりと
目まぐるしいシーソーゲームに観客も大盛り上がりの中、互いのライフポイントが500となった状況で、デュエルは最終局面へと移行した…
「神聖なる光蓄えし翼煌めかせ、その輝きで敵を討て!!」
「シンクロ召喚!!」
「いでよ!レベル8!「クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン」!!」
水晶に反射された煌めく光と共に現れたのは、巨体となった全身にクリスタルを纏い、特に翼が大きな水晶に変化した「クリアウィング」の進化形態
それの前に、蒼い体躯と金の翼を持った、“究極”の名を冠する隼が立ちはだかる
クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン
レベル8 ATK3000
「攻撃力3000…!しかし「アルティメット・ファルコン」の攻撃力3500には届かない!」
「そいつはどうかな?」
「むっ!」
「墓地に送られた「SRーOMKガム」のモンスター効果!このカードがシンクロ召喚に使われ墓地に送られた時、デッキの1番上のカードを墓地に送る。そしてそのカードが「スピードロイド」モンスターカードだったならば、「クリスタルウィング」の攻撃力を1000ポイントアップさせる!」
『ユーゴ、ここで博打に出たぁ!!もしカードを当てる事が出来れば「クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン」の攻撃力は4000となり、残りライフ僅か500の黒咲に勝つことが出来る!しかし、もし外れてしまえば逆に「アルティメット・ファルコン」に「クリスタルウィング」が攻撃されてしまい、ユーゴの敗北となる!しかもユーゴはここまでのデュエルで10枚以上のモンスターカードが墓地に送られている!果たしてカードを引き当てる事が出来るのかぁ!?』
実況解説の言うように、シンクロデッキはその特色から、後半になればなるほどデッキのモンスターが枯渇しやすい。そんな局面でギャンブルに身を任せるのは、かなり無謀と言えた
「カード…!」
(このドローに、全てが掛かっている…!)
「……………ドローッ!!」
ユーゴも、ユートも、黒咲も、メリッサも、デュエルを観戦している皆が息を呑む中…カードがドローされた
そして引いたカードを確認し…ユーゴは破顔した
「よっしゃあ当たりだっ!!墓地に送られたカードは「SR三つ目のダイス」!「クリスタルウィング」の攻撃力は1000アップだ!!」
「何!?」
水晶の翼竜にオーラがまとわり、攻撃力を底上げさせる
ATK3000→4000
「こいつで終いだぁ!!「クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン」で、「RRーアルティメット・ファルコン」を攻撃!!」
「クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン」が消える
否、消えたのではない。一筋の光にしか見えないほど高速の動きでシティの空を飛翔しているのだ。そして光と旋風を纏った「クリスタルウィング」が落下し…
「『烈風のぉ……クリスタロス・エッジ』ィッ!!」
光の矢と化して「アルティメット・ファルコン」を貫いた
「ぐあああああ!!」
黒咲隼 LP500→0
『勝者、ユーゴッ!!ベスト4への進出決定ぃ!』
メリッサが観客達を盛り上げていく中、スタジアムに戻ってヘルメットを外すユーゴの元に、黒咲が近寄ってくる
「よぉ、お前のお眼鏡にはかなったかよ?」
「…ああ、認めよう。お前は「ダーク・リベリオン」を持つに相応しいデュエリストだ」
しかし、黒咲は沈痛な面持ちでユーゴに問う
「しかし…ユートはこれからどうなるんだ?ずっとお前の中に居続ける事になるのか?」
「うぇ、勘弁してくれって!今でさえ厄介なのに、この先ずっととか冗談じゃねえよ」
「真面目に…!」
「大丈夫だって」
そう答えるユーゴの目は夢と希望に満ち溢れていた。そこに黒咲は、親友の面影を重ねる
「必ずユートの体は取り戻す。そんで、一緒にあのクソ野郎からリンと瑠璃って子も助け出す!」
「お前…」
「それにはまず、この大会でキングに勝たねえとなっ!…うっせ!お前だって何も分かってねえんだから一緒だろ!…ちょ、その事はお前にゃ関係ねえだろ!!」
その姿は、かつて故郷ハートランドで共にプロデュエリストを目指し、切磋琢磨していた時のユートと同じだった。希望と、夢と、未来を信じていて…
一人芝居のように虚空に指さしてギャーギャー文句を言うユーゴに呆れたような笑みを浮かべながら、黒咲はスタジアムから退場していった
ちょっと本作の今後における悩みごとを活動報告にて投稿しました
興味のある方は目を通してくれると幸いです