ファンサービスは僕のモットーですから   作:ジャギィ

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前回は活動報告にて、弱音を吐いてファンの皆さんに多大なる御迷惑と御不安をお掛けして、本当に申し訳ありませんでした
皆さんの多くの御意見に目を通し、熟考した結果、オリカは使わない方針で行くことに決定いたしました。活動報告にもその旨を伝える内容を新しく投稿させていただいております

これからも「ファンサービスは僕のモットーですから」をよろしくお願いします


デュエル内容をいっぱい修正した結果、色んなセリフを端折ったり雑にアクションカードを使う結果になってしまいました。ごめんなさい

ー追記ー

ログから見直してデュエル内容をまた修正してみました。今後こそ大丈夫…なはず…


第18話

『さあフレンドシップカップ第2回戦もいよいよ大詰め!ドンドン盛り上げていっちゃおー!!』

 

明るい声音でメリッサ・クレールが場を温めていく。歓声も野次も飛び交う中、コースのスタートラインに2人のDホイーラーが横並びになる

 

『コモンズの意地を見せつけるのか!シンジ・ウェーバー!!

 

甘いマスクに凶悪な本性!今度はどんな残虐なデュエルを見せるつもりなのか!?IVー!!』

 

“ホープ・トゥ・ディスペアー”に跨ったIVは、どこか不機嫌そうなシンジに話しかけた

 

「初めまして、シンジ・ウェーバーさん。互いに悔いのない、全力を尽くしたデュエルをしましょう」

「ふん…何が“全力のデュエル”だ」

 

シンジは敵愾心を一切隠さない表情でIVを睨み、侮蔑し切った口調で口を開く

 

「お前は遊矢達の仲間らしいが、その性根は俺達コモンズの敵であるトップスの奴らと同じだ!弱者を見下し、虐げ、嬲る事を楽しむクズ共…!そんな奴の言う事なんざ信じられるか!!」

 

握り拳を掲げ、会場にいる多くのコモンズ達にシンジは語り掛ける

 

「この街は間違っている!ごく一部の者が富を独占し、それに逆らう者は問答無用で排除する…こんな理不尽がまかり通っていいはずがない!!」

 

『そうだーっ!!』

『クソみたいなトップスをぶちのめせー!!』

 

『知るかよそんな事ー!!』

『IVー!また最高に刺激的なデュエルを見せてくれー!』

 

『ちょっとちょっと!対立を煽るような発言は止めてくれない!?』

 

シンジの言葉に同調するコモンズもいる一方で、今を生きられればそれで良いという者や、今この瞬間の娯楽を楽しみたいとIVのファンサービスに魅入られた者も野次を飛ばす。それをトップス達は、汚物でも見るかのような視線を向けていた

 

今にも暴動が始まりそうな観客席。コモンズ達の感情の波が大きくなっていき、大爆発が起きる…まさにそんな直前だった

 

パァン!!!

 

破裂したような拍手がスタジアム中に響き渡る。あまりにハッキリとした音に全員が静まり返る中、その音を出した者…IVは両手を広げて言った

 

「2ターン」

「何?」

「彼、シンジ・ウェーバーに2ターンの猶予を与えましょう。その上で、両者で数えて5ターン目に…僕がこのデュエルで勝利します」

 

静寂

 

その宣言の後、数秒間スタジアムは静寂に包まれ…それが破られた瞬間、噴火したかのように一気に会場中が湧き上がった

 

『な、なんとIV、勝利宣言です!!ターンを指定して、シンジ・ウェーバー相手に勝利すると宣言しました!!まるで“キング”ジャック・アトラスのように!!』

「テメェ…!ふざけてるのか!?」

「テメェの下らねえ演説よりはふざけてねえつもりだぜ」

「何だと!?」

 

IVの顔は、先程までの人畜無害そうな好青年の表情ではなかった。心の底からシンジをゴミクズだと見下しきった、サディストの表情を覗かせていた

 

「その目をやめろ!俺達を見下してんじゃねえ!!」

「お前は道端で彷徨いているアリンコを眺める時、わざわざ同じ目線に立ってやるのか?」

「アリンコだと…!?俺達の事を言ってんのか!?」

「お気に召さなかったか?ならミジンコか?それともゴキブリか?あぁ…寄生虫ってのもあるな。選ばせてやるよ、どう呼ばれたい?」

 

次から次へと投げ掛けられる侮辱の言葉にシンジは顔を真っ赤にする。今にも殴り掛からんとDホイールから降りようとし、しかしシグナルが点灯し始めた事で断念せざるを得なかった

 

『それでは、デュエル開始のカウントダウンを!!3…2…1…』

 

ランプが青に変わった瞬間、Dホイールの後輪が回り出した

 

 

「「ライディングデュエル、アクセラレーションッ!!」」

 

 

走り出した2両のDホイールはスタジアムのコースを抜け、シティ中に張り巡らされたライディングデュエル用のコースを夕焼けの中駆ける

 

それをメリッサはカメラを回したヘリコプターの中から眺め、実況を開始する

 

『さあ始まりました、フレンドシップカップ2回戦最終デュエル!最初のコースを先に曲がった方がデュエルの先攻権を獲得します!』

「テメェは必ず潰してやるっ!!まずはお粗末なターン宣言から台無しにする!!」

 

IVの先の宣言は、IVが先攻を取れなければ成立しない。つまりここで先攻を得られれば、このクズ野郎に初っ端から赤っ恥を掛かせられるのだとシンジは考えた

 

Dホイール初心者に負ける道理などないとシンジはギリギリまで加速し…

 

ビュォン!

 

「なっ!?」

『ちょっ、IVがいきなり急加速!?そのままじゃ曲がりきれずコースアウトしてしまうんだけど!?』

 

メリッサの解説通り、コースを曲がるにはあまりに不適切な速度でDホイールを走らせるIV。そのままの速度では、Dホイーラーとして熟練者のシンジですらコースアウトは免れない

 

「死ぬ気か!?」

 

全員が固唾を呑む中、しかしIVは尋常ではない角度までDホイールを傾け、その速度を維持したまま第1コースを曲がりきった

 

「なんだと!?」

『な、なんとIV、第1コースを先に制しましたー!…何あの角度、45°以上傾いてなかった…?

「俺の先攻!」

 

多くの者達の驚愕を置き去りに、IVはファンサービスの準備を始める

 

「まず俺は「ギミック・パペットーリトル・ソルジャーズ」を召喚。こいつの召喚・特殊召喚時効果により、デッキから「ギミック・パペットーブラッディ・ドール」を墓地に送り、「リトル・ソルジャーズ」のレベルを効果で墓地に送った「ブラッディ・ドール」と同じ8に!」

 

レベル4→8

 

「1ターンに1度、手札以外から墓地に送られた「ブラッディ・ドール」の効果で、このカードを手札に。そして今手札に加えた「ブラッディ・ドール」の効果で、EXデッキの「ジャイアントキラー」を公開して効果発動。このモンスターと、公開したエクシーズモンスターのランクと同じレベルを持つ「ギミック・パペット」モンスターをデッキから特殊召喚する。「ブラッディ・ドール」と「カトル・スクリーム」を特殊召喚!」

『IV、瞬く間にフィールドにレベル8のモンスターを3体並べてみせたー!これは来るかー!?』

 

 

評議会と地下労働施設で、それぞれモニターでデュエルを見ていた零児と黒咲はIVの狙いに気づく

 

「レベル8のモンスターが3体…ッ…そうか、あのモンスターを!」

「なるほど…あれを使うならば、あの宣言も頷ける…」

 

 

「俺はレベル8の「ギミック・パペット」モンスター3体でオーバーレイ!3体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!

 

エクシーズ召喚!!」

 

3つのオーバーレイユニットを取り込み、大爆発を起こす宇宙。その巨大な渦から…玉座がせり上がってきた

 

 

「現れろ、“No.88”」

 

 

玉座に座すは、獅子の頭部を持った王たる人形。剣を地に突き立て悠然と敵を見下ろす眼光。その甲冑の右肩には、“ナンバーズ”の証である“88”が紫に蠢く

 

 

 

「百獣の王よ。己の全てをその胸に抱え、勝利の運命をこの手に!!」

 

 

 

「「ギミック・パペットーデステニー・レオ」!!」

 

 

 

No.88 ギミック・パペットーデステニー・レオ

ランク8 ATK3200

 

「なんだっ、こいつは…!?」

『で、で、デカぁぁぁい!!今まで出てきたモンスターも皆おっきかったけど、このモンスターはそれらをも超える巨体です!!』

 

玉座に堂々と座りながらIVのDホイールに付いていく「デステニー・レオ」。その大きさは、立ち上がり手を伸ばせば空高く飛んでいるメリッサ達が乗るヘリにも届きそうなほどだ。それを真正面から見ているシンジは、とんでもないプレッシャーを浴びせられていることだろう

 

「チッ…!しかし、いくら高い攻撃力だろうと、先攻はバトルを行えない!守備を固めれば…!」

「浅いなシンジ・ウェーバー。だからお前達コモンズは揃って負け犬なんだよ」

「なんだと!?」

「「デステニー・レオ」はバトルをする必要がない。戦わずして勝つ、王の力…そいつを見せてやる」

 

IVは手を空高く掲げ、高らかに効果宣言する

 

「俺の魔法&罠ゾーンにカードが存在しない時、「デステニー・レオ」の効果発動!ORUを1つ取り除き、このモンスターにデステニーカウンターを1つ置く!」

『デステニーカウンター?』

「この効果を使用したターン、俺はバトルを行えなくなる。しかし、このデステニーカウンターが3つ、「デステニー・レオ」に置かれた瞬間………俺はデュエルに勝利する」

「な、何ぃ!!?」

『な、な、なんとぉ!!世にも珍しい特殊勝利効果です!つまり、あと2ターンの間にシンジが「デステニー・レオ」を破壊出来なければ、5ターン目にIVが自動的に勝利する事になります!!』

 

観客や中継を見ていた者達はもちろん、ランサーズの面々もその強力な能力にざわめいていた

 

ただでさえ3200という高い攻撃力を有しているのに、処理に手間取ってしまえばそのまま特殊勝利の餌食になるのだ。やられる側はたまったものではない

 

デステニーカウンター 0→1

 

「俺はカードを3枚セットしてターンエンド」

「くっ…俺のターン、ドロー!」

 

あまりの巨体に怯みそうになるのを、反骨心で誤魔化してプレイングを開始する

 

「面白え!その木偶の坊、突き崩してやるぜ!俺は「おろかな埋葬」を発動!デッキからモンスターカード1枚を墓地に送る!「B・Fー毒針のニードル」を墓地に送り、「B・Fー早撃ちのアルバレスト」を召喚!」

 

B・F(ビー・フォース)”、蜂をモチーフにしたシンジ・ウェーバーの持つシンクロテーマのカード。1つ1つは小さくとも、集まれば強大な敵を倒せるという、シンジの信条にピッタリなテーマと言えよう

 

その特徴はなんといっても、シンクロという召喚システムと昆虫族の種族特性が合わさって生まれた…怒涛の展開力

 

「召喚に成功した「早撃ちのアルバレスト」の効果発動!墓地からレベル3以下の「B・F」1体を特殊召喚する!俺はチューナーモンスター「B・Fー毒針のニードル」を特殊召喚!特殊召喚に成功した「毒針のニードル」の効果で、デッキから「B・Fー必中のピン」を手札に加える!今手札に加えた「必中のピン」は、俺のフィールドに昆虫族がいる時特殊召喚出来る!更に「B・Fー連撃のツインボウ」は1ターンに1度、手札から特殊召喚出来る!」

『シンジ、怒涛の連続召喚で一気にモンスターを並べてきた!フィールドには4体のモンスター、その内1体はチューナーモンスター!これは来るかー!?』

「確かにそいつは厄介だが、カウンターを乗せる効果なら破壊しなくたってやりようは幾らでもある!まずは「必中のピン」の効果!1ターンに1度、俺のフィールドにいる「必中のピン」の数だけ相手に200ポイントのダメージを与える!」

 

口元に針を持つ虻に似た小型の蜂が針を飛ばしてくるが、その小ささに見合った小さなダメージしか与えられない

 

LP4000→3800

 

「軽いな、この程度」

「そうやってバカにしていられるのも今のうちだ!その小さな穴が、やがて砦をも崩壊させる致命の一撃となる!「必中のピン」をリリースして「毒針のニードル」のモンスター効果!「デステニー・レオ」の効果をターンの終わりまで無効にする!」

『え?それって何の意味が…うん?』

 

無意味な行動なのではとメリッサは思ったが、後ろのカメラマンにカンペでも見せられたのか、後ろを向きつつ読み上げていく

 

『えーと、「自身にカウンターを乗せる効果は、カウンターを置くところまで含めてそのモンスター自身の効果である。よって効果を無効にされれば、そのモンスター効果によって置かれたカウンターも無効扱いとなって消滅する」……って、それってIVがヤバくない!?』

 

ヤバいのである

 

この効果が通れば、ORUを1回使用している「デステニー・レオ」はデステニーカウンターを3つ揃える事が出来なくなる。勝利予告が崩されるのだ

 

「王様気取りのオンボロ人形め!!これで文字通り木偶の坊だ!」

「リバースカード、ダブルオープン!!」

「何、2枚ともだと!?」

「「傀儡遊儀ーサービスト・パペット」そして「デモンズ・チェーン」!対象はどちらも「毒針のニードル」!」

 

「毒針のニードル」にチェーン1、「サービスト・パペット」にチェーン2、「デモンズ・チェーン」にチェーン3が乗り、逆順に処理されていく

 

「「デモンズ・チェーン」が表側表示で存在する限り、対象モンスターの攻撃、効果を無効にする!」

「何!?」

「そして「サービスト・パペット」は俺のフィールドの「ギミック・パペット」エクシーズモンスターの数だけ、相手モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る!「毒針のニードル」を俺のフィールドに!」

 

虚空から射出された糸が小さな蜂を雁字搦めにし、IVのフィールドに引きずり込む。そして「毒針のニードル」の効果が起動するが、悪魔の鎖によって力を奪われている為、無効化される

 

「テメェ、俺のモンスターをっ!」

『シンジ、唯一のチューナーモンスターを奪われてしまいました!これではシンクロ召喚する事が出来ませーん!』

「ぐっ…!俺はターンエンド…!」

「この瞬間永続罠「闇の増産工場」を発動。「毒針のニードル」をリリースして1枚ドロー」

『上手い!奪ったモンスターをリリースして、リソースを回復していくー!』

「コケにしやがって…!」

 

「毒針のニードル」はドローカードに変換されるが、破壊ではない為「デモンズ・チェーン」はフィールドに残る

 

「俺のターン、ドロー!」

「だ、だが、テメェのフィールドには2枚の永続罠が残っている!ならばこのターン、デステニーカウンターを置く事は出来な…」

「「マジック・プランター」2枚発動」

 

その効果内容は自分フィールドの永続罠1枚をコストに2枚ドローするというもの。「デモンズ・チェーン」と「闇の増産工場」が溶け消え、4枚の手札に変換する

 

「っ………!!」

「俺がそんな凡ミスをすると本気で思っていたのか?」

『なんと華麗な手札捌き!効果発動に邪魔なカードを取り除くばかりかドローまでしてしまったぁ!そうこうしている内に勝利へのカウントダウンは順調に進んでいくー!』

 

1→2

 

今度は4枚ものカードを一気に伏せ、更に「一族の結束」で「デステニー・レオ」を4000まで上昇させてから、IVはターンを終了させた

 

『さーて、シンジ選手のターンです!このターンで「デステニー・レオ」をどうにかしてしまわなければ敗北が確定してしまいます!シンジ・ウェーバーは果たして逆転ができ…』

「ふざけるな…!ふざけるな…!!ふざけるな…!!!」

『…シ、シンジ?シンジ選手ー?だ、大丈夫?』

「クソっクソっクソっ!!見下すな…見下すな…!!俺達を、コモンズを、見下してんじゃねえええ!!」

 

これまでのIVの数々の侮辱の言葉、見下した余裕の態度、シンジを掌で踊らせるようなデュエル

 

積み重なったトップスを彷彿とさせる行動の数々。それらが…怒りによってシンジの臨界点を超えた

 

「俺の、タァァァン!!」

「この瞬間、お前の墓地の「毒針のニードル」を対象に速攻魔法「墓穴の指名者」を発動」

 

突如墓穴から現れた緑色の腕が「毒針のニードル」を捕まえる。羽音を鳴らして必死に抵抗するも、抵抗虚しく特攻蜂はどこかに連れ去られてしまった

 

「「墓穴の指名者」は対象のモンスターをゲームから除外する。そして除外されたモンスターとその同名モンスターは、次のターンの終了時まで互いに効果は無効になる」

「……っ!!」

『おぉーっとこれはシンジにとって厳しい展開!「毒針のニードル」の効果が使えないということは、他の方法で「デステニー・レオ」を破壊或いは無力化しなければ負けが確定してしまいます!』

「構うものかぁ!永続魔法「B・F・W(ビー・フォース・ウィンド)」発動ぉ!そして「連撃のツインボウ」を特殊召喚!「ツイン・ボウ」の特殊召喚成功時、「B・F・W」の効果!1ターンに2度まで、召喚・特殊召喚した「B・F」モンスターより低い攻撃力を持つ「B・F」モンスターを手札に加える!「毒針のニードル」を手札に加え、召喚!!」

「だが、そいつのサーチ効果も無効化能力も使えねえぜ」

「黙れッ!!「B・F・W」の効果で「必中のピン」を手札に加え、自身の効果で特殊召喚!そして俺は、レベル3の「連撃のツインボウ」2体とレベル4の「早撃ちのアルバレスト」1体に、レベル2の「毒針のニードル」をチューニング!!」

『これって…レベル12シンクロ!?』

 

 

 

「蜂起せし我らが力にて、不遜なる天上に風穴を開けよ!!」

 

 

 

「シンクロ召喚!!」

 

 

 

それは、巨大な革命の蜂

 

紫を主とした、黒と金の混じった体色。腹には大小異なるルビーのような球体が幾つもはめ込まれており、何より目を引くのは、左右の脚に2つずつ、そして腹の針に位置する部分に1つ

 

 

 

「立ち上がれ!レベル12!「B・Fー革命のグラン・パルチザン」!!」

 

 

 

その名を冠するように、巨大なパルチザンがギラリと輝いていた

 

B・Fー革命のグラン・パルチザン

レベル12 ATK3000

 

『お、驚きました!シンジ、1回戦の時とは別の、超大型シンクロモンスターを隠し持っていました!!』

「手札からマジックカード「スター・ブラスト」を発動!ライフを500支払い、「グラン・パルチザン」のレベルを1つ下げる!」

 

LP4000→3500

レベル12→11

 

『ここでライフを払ってまでレベルを下げた…?』

「「B・F・W」のもう1つの効果!俺のフィールドの昆虫族モンスター1体を選択し、選択したモンスターはこのターン、シンクロ召喚の際チューナーとして扱う事が出来る!俺は「必中のピン」を対象に発動!」

「レベル11のモンスターと、レベル1のチューナー…」

「俺はレベル11となった「グラン・パルチザン」に、レベル1の「必中のピン」をチューニング!!」

 

 

「結集せし絆の力にて、傲岸たる巨悪の壁を射貫け!!」

 

 

「シンクロ召喚!!」

 

 

「現れろ!レベル12!「B・Fー決戦のビッグ・バリスタ」!!」

 

 

B・Fー決戦のビッグ・バリスタ

レベル12 ATK3000

 

 

「グラン・パルチザン」と入れ替わる形で、背中が大型の弩弓(バリスタ)の形になっている巨大な赤蜂が登場する

 

「特殊召喚した「ビッグ・バリスタ」の効果発動!俺の墓地の昆虫族モンスター全てをゲームから除外し、除外されている昆虫族の数×500、全ての相手モンスターの攻守を下げる!」

『シンジの墓地の「B・F」を全て除外すれば、除外された昆虫族モンスターの数は計8体となり、つまり下がる数値は4000!「デステニー・レオ」の攻撃力は0になってしまうー!!』

「それだけじゃねえ!除外された「グラン・パルチザン」の効果!このモンスターはゲームから除外された時、特殊召喚でき、その後除外されている昆虫族の数だけ相手フィールド上のカードを破壊する!更に破壊したカード1枚につき、500ポイントのダメージを相手に与える!」

『じゃあ、IVのフィールドのカードは全部破壊されて、オマケに2500ポイントの大ダメージ!?』

 

異次元に繋がっている大穴、そこから革命の蜂が姿を現し、脚と腹部にある計5本のパルチザンの矛先が「デステニー・レオ」と4枚の魔法・罠カードに狙いを定める

 

「リバースカードオープン!」

「無駄だっ!「グラン・パルチザン」は効果で破壊されねえ!いけ!「グラン・パルチザン」!!」

 

矛先を模した強大なエネルギーの塊。それが5つ、IVのフィールドに射出され…着弾と同時に大爆発した。その衝撃は大きく離れたヘリをも揺らした

 

『キャアアア!!』

「思い知ったか!!最初から恵まれていたテメェには一生理解出来ねえ!これがお前らが見下す弱者達が手を取り合う事で生まれた、絆の力だ!!」

 

撒き散らされた粉塵を睨みつけらながら拳を突き上げ、全シティ中のコモンズの心に火をつけるように、革命家は宣言した

 

 

「俺達の革命は終わらない!コモンズの、俺達の絆は不滅だぁ!!」

 

 

 

「だから負ける」

 

 

 

蒙昧だから、盲信するから、足元の勝利も拾えない

 

そう嘲笑うようなIVの声と共に

 

 

IV LP3800→6800→6300

 

No.88 ギミック・パペットーデステニー・レオ

ATK4000→3200→1600

 

 

煙の中から()()()「デステニー・レオ」が現れた

 

「な……何!?」

『え…?なんで「デステニー・レオ」の攻撃力が残って…しかもIVは逆に回復してるし…』

 

シンジはもちろんの事、メリッサを通じて観客達全員が「デステニー・レオ」の変化の少なさとIVの大きなライフゲインに驚く

 

「バカな!?なんで「デステニー・レオ」が破壊されてねえばかりか、ライフは逆に回復してやがんだ!?テメェ、一体何をしやがった!?」

「ハハハハ!勝った気になって効果処理をキチンと確認しねえから何も分からねえんだよマヌケ」

「何だと!?」

「さっきの流れのログをよく見な」

 

そう促されてデュエルディスクのログを確認するシンジ

 

すると、使用された大量のセットカード、そしてIVのフィールドに1枚のカードが増えている事に気づいた

 

「こいつは!」

「そう、俺は「ビッグ・バリスタ」の効果発動に対し、3枚のリバースカード「ハーフ・シャット」「メタ・バース」そして「非常食」を発動していたのさ。「メタ・バース」はデッキのフィールド魔法1枚を選び、手札に加えるか直接フィールドに発動出来る。この効果で「地獄人形の館」を発動した」

 

「デステニー・レオ」の背後に不気味な洋館が薄らと映っており、その加護が「デステニー・レオ」を守っていた

 

「「地獄人形の館」はフィールド上に存在する限り、「ギミック・パペット」モンスターは戦闘で破壊されず、エクシーズモンスター以外のモンスター効果を受け付けなくする。「ビッグ・バリスタ」及び「グラン・パルチザン」の効果が効かなかったのはこれが理由だ。そして「非常食」で「メタ・バース」「ハーフ・シャット」「一族の結束」を墓地に送り、3000ライフを回復。「グラン・パルチザン」の効果発動時に破壊対象が減った事で「地獄人形の館」しか破壊出来なくなったのさ」

 

少々ややこしいが、「グラン・パルチザン」の効果は「ビッグ・バリスタ」にチェーンする形ではなく効果処理後に発動する効果だ。つまり「グラン・パルチザン」にチェーンして「メタ・バース」を使っても「ビッグ・バリスタ」の効果解決後の為「地獄人形の館」の発動が間に合わず「デステニー・レオ」の攻撃力は0になってしまう。だからこそ、IVは先んじて3枚のリバースカードを発動したのであった

 

「だ、だが!これで「デステニー・レオ」以外のカードは全て無くなった!しかも計7体の「B・F」が除外されている事で、「グラン・パルチザン」の効果で俺の昆虫族シンクロモンスターの攻撃力は1400ポイント上がる!」

 

3000→4400

3000→4400

 

「ライフは削り切れねえが、「デステニー・レオ」さえ破壊しちまえば…!」

「本当に救いようがねえな」

「は…?」

「さっき俺はこう言ったんだぜ?「3()()()()()()()()()()()」と…」

「…!ま、まさか…!」

 

希望が砕けたようなシンジの顔。それを見たIVはニタリと口の端を吊り上げた

 

「最後の魔法カード「ハーフ・シャット」…こいつは対象のモンスターのターンの終わりまで、攻撃力を半分にする代わりに戦闘破壊耐性を付与する。「デステニー・レオ」を選択した事により、「デステニー・レオ」の攻撃力は半分になり、戦闘で破壊されなくなった」

『あれ?それなら普通に「和睦の使者」とかの方が良くない?なんでそんな使いにくいカードを…』

 

そんなメリッサの疑問にIVは答える

 

「理由は2つ。1つはモンスターは残したいがダメージは受けておきたい状況などがあるからだ。俺のデッキには相手とのライフ差で発動するカードも存在するからな」

『なるほどなるほど』

「そしてもう1つの理由が」

 

少し間を置き、ニタリ…という擬音がピッタリな笑みを浮かべながら続きを言う

 

「……こういう相手がギリギリで勝つ事が出来ないシチュエーションを作れるカードの方が都合がいいんだよ。…希望を奪われた美しい顔を見る事が出来るからなぁ」

「…うっわぁ…シュミわるぅ…」

 

邪悪なIVの表情にドン引きするメリッサ

 

セルゲイという選手も、身も心も美しいデュエリストを自ら叩き潰す事に快楽を感じるヴァンダリズムに似た思想を持っていたが、IVもどっこいどっこいなのではないかと内心思うメリッサなのであった

 

「冷静さを失って勝利を捨てたな、シンジ・ウェーバー」

 

そう語り掛けるIVのシンジを見る目は最初から変わらない。心底不快な害虫でも見るかのような、冷たい目

 

「何故「ビッグ・バリスタ」を出す前に「必中のピン」の効果を使わなかった?何故もっとシンクロモンスターを経由して「グラン・パルチザン」を出さなかった?たかが700、されど700…その小さな積み重ねを軽視して忘れなければ、お前は勝てたかもしれなかったというのに」

「ぐっ、ぐうう…!!」

 

まさにIVの言う通りだった

 

「必中のピン」の効果を使い、更にシンクロモンスターを経由してモンスターを墓地に貯めれば「グラン・パルチザン」達の攻撃力は4800になり、「デステニー・レオ」を破壊出来なくてもIVのライフは0に出来た。無論アクションカードもあるから簡単には終わらない話だが、少なくとも勝機はあった

 

「ま…まだだ…!まだ負けちゃいねえ!「グラン・パルチザン」!「ビッグ・バリスタ」!「デステニー・レオ」を攻撃!」

 

しかし、そんな事実を認めたくないシンジは、悪あがきとばかりに攻撃し、アクションカードを探す

 

「!! あった、アクションカード!」

 

しかも見えたのは「ハイジャンプ」、攻撃力を1000ポイント上げるアクションマジックだ。それを取れば「グラン・パルチザン」の攻撃力は5400になり、逆転勝利する

 

身を屈め、手を伸ばし、アクションカードに手が届く…

 

パシィ

 

「あっ」

 

…そんな見え見えの行動を見逃す訳もなく、シンジの手が触れる直前に「ハイジャンプ」をIVが取った

 

そしてIVはアクションカードを使わずに、シンジを嘲笑いながらヒラヒラと見せびらかした。俺はこれを使わなくても勝てるんだぜ、とでも言うかのように

 

「ク、クソ…!クソォォォォォ!!」

「ハァーッハハハハハハハ!!」

 

直後、2体の革命蜂による攻撃が「デステニー・レオ」に直撃するが、座ったまま微動だにせず全ての攻撃を受け切ったその姿には、王者の貫禄があった

 

LP6300→3500→700

 

「バカな…俺達の革命が…」

「…戦意喪失か。とことん負け犬根性が染み付いてやがるな……俺のターン!」

 

時間制限により強制的にターンが進められ、IVのラストターンが始まる

 

「「デステニー・レオ」のモンスター効果!ORUを1つ使い、最後のデステニーカウンターを置く!」

 

3つ目のカウンターが置かれた瞬間、「デステニー・レオ」が立ち上がり、地に突き立てている大剣を光らせた

 

「この瞬間、「デステニー・レオ」の特殊能力発動!」

 

その威光は、革命の蜂も決戦の蜂も、シンジのモンスターを全て等しく焼き尽くし、プレイヤーに勝利をもたらす

 

 

「『デステニー・マジェスティ』!!」

 

 

「ぐわあああああああっ!!」

 

 

 

『勝者!IVォォォォォ!!』

『うおおおおおおおおっ!!!』

『『『IV!!IV!!IV!!』』』

 

スタジアムに到着したIVを迎えたのは、勝利への喝采とIVコール。熱狂の渦に包まれた観客達に手を挙げてファンサービスすれば、そこから歓声が飛んでくる

 

「大した人気ぶりですね、IV君」

「おや…?」

 

声のする方に振り向けば、そこには付き人を連れたジャン・ミシェル・ロジェの姿があった。IVは仰々しくボウ・アンド・スクレープめいたお辞儀をする

 

「これはこれはロジェ長官殿、まさかこんな所にまで来て頂けるとは」

「君は最優勝候補ですからね。期待も大きいのですよ」

 

そんな他愛のない社交辞令を言い合う中…その男は来た

 

「テメェ、IV!!」

「うん?」

「おや?」

 

やってきたのはシンジ・ウェーバーだった。先ほどの意気消沈とした姿が嘘のような、怒り心頭といった様子でIVに向かってくる

 

「どうもシンジさん。如何でしたか?僕のファンサービスは」

「何がファンサービスだっ!!そんな事はどうでもいいんだよ!!テメェ、あのジャン・ミシェル・ロジェとグルだったのか!!道理で俺達コモンズを見下す訳だぜ!!」

 

自分を負かした相手が怨敵の親玉と繋がっていた…その事実がシンジの怒りの炎を更に炎上させ、彼の口からとんでもない言葉を吐き出させる

 

「さっきのデュエルも八百長だったんだろ!テメェらトップスのクズ共の常套手段だからな!治安維持局長官と繋がって、不正をしたんだ!!」

『なんと、八百長!?もしそれが本当だとすれば、フレンドシップカップ始まって以来の不祥事となります!シティに情報を届けるレポーターとして、真実を追求しなければなりません!!』

 

そう言ってその場から離れようとするメリッサだったが…

 

「なんと、八百長!?それはいけません!ファンの皆を喜ばせる事が目的の僕のデュエルに不正があったなどと、ファンに対する最低の冒涜に他なりません!」

 

それを引き止めたのは、他でもない当事者のIVだった。わざとらしく大声を上げて八百長デュエルに嘆く姿に、メリッサやざわついていた観客席はもちろん、告発したシンジでさえ戸惑っていた

 

「あ……?何言ってんだお前…」

「しかし困りました。八百長という事は、僕自身の他にも協力者がいなければ成り立ちません。それは一体誰なのでしょうか?観客の皆さん?いや違う。審判?いいや違う」

 

そしてIVは、獲物を見つけたと言わんばかりに口元を歪め、目の前にいる人物を指さして、言った

 

「そう…貴方です、シンジ・ウェーバーさん」

「なっ…!?」

「だってそうでしょう?デュエルの八百長は対戦相手がわざと負ける事で成立する…今回デュエルに勝ったのが僕だという事は、貴方が協力者でなければ八百長にはならない」

 

IVはこれ以上なく丁寧にお辞儀し、頭を下げ、慇懃無礼に礼を言った

 

「ありがとうございますシンジさん。ロジェ長官と繋がりがある僕を勝たせる為に、コモンズを代表して負け犬になってくれて」

「テ、テンメェ…!!」

 

シンジにとって最悪の侮辱と共にコモンズをこれでもかと扱き下ろした礼をされ…大声で怒鳴り返した

 

「コモンズをバカにすんのもいい加減にしろこのクズ野郎がぁ!!テメェらトップス共の為に負けてやるなんざ、死んでもゴメンだっ!!」

 

…………

 

「…そうですかそうですか。つまり貴方はわざと負けたつもりなどこれっぽっちもなかったと」

「だったらなんだ!?」

「という事らしいですよ。メリッサ・クレールさん」

 

急にセリフの手番を渡され、困惑するメリッサは促されるように続きを述べる

 

『…え、ええ〜と〜……それってつまりぃ…IVは八百長をしていない…って事になるわよね…?』

「………はっ!?」

 

失言に気づいたシンジは周りを見渡す

 

観客席中から数々の冷え切った視線がシンジに集まる。トップスは当然ながら、仲間であるはずのコモンズ達の一部ですら、心底軽蔑した目で見ていた。「クズ」「言い掛かり」「最低」「デュエリストとしてのプライドがない」「見苦しい」「恥知らず」…あらゆる罵倒と非難の言葉が視線で物語っていた

 

「ち、違う…!俺はそんなつもりじゃ…!こ、こいつ(IV)だ!俺はこいつに嵌められて──」

「見苦しいですよ、シンジ・ウェーバー」

 

この状況で尚も責任転嫁するシンジをロジェが咎める

 

「敗者の分際で勝者を侮辱し、泥を投げつけるなど、醜悪極まりない…目障りです、消えなさい」

 

すると待機していた係員達に羽交い締めにされ、身動きが取れなくなるシンジ

 

「なっ…クソ!離しやがれ!!IVォ…IV!!」

「暴力はいけません。フッハハハハハハハハ…」

 

そんな無様なシンジの姿を見て気分を良くしたのか、IVは嘲笑うように語り掛ける

 

「ですが笑えますねぇ。この一件で貴方は最低のデュエリストとして表舞台から追放、一方私は今ではフレンドシップカップの最優勝候補…随分と差がつきました。悔しいでしょうねぇ」

「テメェ!」

「連れていきなさい」

 

ロジェの命令で係員達がシンジを無理やり退場させようと引き摺る。抵抗しながらも連れ去られていくしかないシンジは、憤怒の表情で絶叫した

 

「許さねえ…!!テメェだけはぜってぇに許さねえぞ!!IVォォォォォォォォォォッ!!」

 

多くの者達が後味の悪さを感じながらも、フレンドシップカップ第2回戦はこれにて幕を閉じた

 

 

 

そして…第3回戦が始まる2日目の夜

 

そこにアカデミアのオベリスク・フォースがシンクロ次元に侵入し、ランサーズ、治安維持局も巻き込んだ、柊柚子とセレナの身柄を奪い合う三つ巴の戦いが水面下で勃発するのであった

 

「遊矢じゃ、ない…?貴方、一体誰…!?」

 

だが、誰もが…この世界の知識と未来を知るIVでさえ、予想出来なかったであろう

 

「誰、だと…?ククク…良いだろう。教えてやろう…」

 

『IVがランサーズに加入した』事により発生した、小さな変化の積み重ねが…

 

 

 

「我が名は“ズァーク”!!この世の全てを破壊する為に生まれた、最強のデュエリストなり!!」

 

 

 

最悪のバタフライエフェクトを引き起こす事になるなど

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