ファンサービスは僕のモットーですから   作:ジャギィ

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第21話

“覇王龍ズァーク”が復活するという最悪の事態が遊矢と柚子の手によって解決し、一晩が経った…

 

未だにシティのトップス階層では大勢のコモンズ達による暴動が続く中、それでもフレンドシップカップは継続していた

 

『あーもうっ!!いつまで続いてんのよこの暴動!?ホンットにしつこいわねえ!せっかくのフレンドシップカップが台無しじゃない!…え、カメラ回ってる?………コホン。さあ!フレンドシップカップもいよいよ終わりが見えてきました!今大会を勝ち上がってきたのはこの4人!』

 

雑に誤魔化しながら、モニターに映るデュエリスト達を読み上げていく

 

『数多の召喚法を駆使する“榊遊矢”!!』

 

『“デュエリストクラッシャー”として悪名高い“セルゲイ・ヴォルコフ”!!』

 

『コモンズの希望の星“ユーゴ”!!』

 

『最優勝候補と注目を浴びる“IV”!!』

 

『ベスト4まで勝ち上がってきたこのデュエリスト達の誰が優勝し、シティの王者“ジャック・アトラス”とデュエルする事になるのか!?』

 

時間帯は早朝。空は曇天で朝日は見えないが、そんな事はライディングデュエルを止める理由にはならない

 

『あーっと、ここで皆さんにお知らせです!どうやら大会運営側のトラブルの都合上、試合順が変わるようです!そんな訳で、3回戦第1試合は“遊矢”VS“セルゲイ”ではなく、“ユーゴ”VS“IV”となります!!』

 

ヘリの中から見下ろすメリッサの目には、Dホイールに跨ってスタートラインに並ぶIVとユーゴの姿があった

 

「よう、棄権なんてマヌケな終わり方にならなくて何よりだぜ」

「お前、よくも遊矢を俺達に押し付けやがったな。おかげで連れてくるのに苦労したんだぞ!」

「いいじゃねえかよ。大事なお仲間なんだからなぁ」

 

舌戦によるジャブの打ち合いもそこそこに、IVは本題を切り出した

 

「…遊矢の野郎はどうなってんだ?」

「…完全に重症だぜ、ありゃあ。連れてきてから部屋の前で別れるまで、一言も喋りゃしねえんだ」

(そりゃそうだろうな)

 

アカデミアと1年近く戦い続けたユートに、シティという苛烈な競争社会を生き抜いてきたユーゴ、そもそも自分の娯楽の為ならば他者も平気で害せるユーリと違い、遊矢はずっと平穏な世界で生きてきた

 

遊勝が守ってきたスタンダード次元のデュエルモンスターズを、大切な幼馴染を守る為に戦ってきた所で、いきなり自分の正体がかつて世界を滅ぼした存在の生まれ変わりだと暴露され、しかも柚子までその手で殺しかけたのだ。その精神的ショックは計り知れない

 

『俺達でさえズァークの真実は受け入れ難いものなんだ。俺達の中で1番優しく…ズァークと真反対の存在である遊矢が耐えられないのも当然の話だ』

「だな…なあIV、アンタ遊矢の事どうにかしてやれねえのか?遊矢の師匠なんだろ?」

「誰が師匠だ」

 

いきなり湧いてきた謎の新事実にIVは素で返す

 

「俺達は1度ひとつになった。だからズァーク以外にも、他の奴らの事も少しは分かるんだ。…遊矢はアンタの事、親父さんと同じくらい尊敬しているんだぜ」

「なんでだよ」

 

思わず演技も忘れてしまうレベルの今明かされる衝撃の真実ゥだった

 

遊勝とはジャンルが違うし、やってる事は完全にヒールだし、そもそも散々ボコって精神的にも痛めつけてきた奴を、なんで父親と同ランクに据えてんだよと考えつつも、IVはユーゴにこう言った

 

「俺らがやれる事なんざたかが知れてんだよ。あいつがズァークの力とどう向き合うかの問題なんだからな…あとはあいつ(遊矢)がどうにかするしかねえ」

「でもよぉ!遊矢が居なかったら、俺もユートもズァークの中で消されていた!あいつは命の恩人なんだ、なんとかしてやりてえ!」

「テメェらのお気持ちなんざ知った事かよ」

 

あくまで見守るスタンスを崩さないIV

 

「それにだ、お前らにンな事考えてる余裕があるのか?」

『何?』

「どういう意味だよ?」

「俺はロジェの野郎にこう言ったんだよ。「コモンズのガキを嬲り殺しにしてシティの連中を絶望させる為に、先に俺にデュエルをさせろ」ってな」

「…やっぱ、試合順が変わったのはアンタが原因かよ」

「分かるか?俺はお前らを徹底的に嬲り、すり潰し、壊し尽くすデュエルをする予定だ。気を引き締めて掛からねえと…遊矢の前にテメェらが潰れる事になるぜ?」

 

子供が見れば泣き出しそうな恐ろしく獰猛な笑みを見せるIVに、ユーゴとユートはフッと笑ってみせた

 

「IV…アンタ、やっぱ優しいんだな」

「…はぁ?」

「遊矢の為にわざわざ時間稼ぎをして、俺達に忠告までして、遊矢がアンタを慕う気持ちが少し分かった気がするぜ」

 

そんな返しをされたIVは、照れ隠しをする訳でも舌打ちをする訳でもなく、ただ「ハッ!」と鼻で笑ってみせた

 

「そんなお涙頂戴なセンチな理由じゃねえよ。赤馬零王をぶっ潰すまであいつには潰れてもらっちゃあ困るし、あくまで俺の1番の目的はファンサービスなんだからな」

「ファンサービスだぁ?」

「そうさ。俺の猛攻を崖っぷちギリギリまで耐え切り、そして逆転する。…お前らのファンサービスを、俺と遊矢に見せてみるんだな」

『…ブレないな、この男…』

「へっ!要はアンタに勝てばいいって事だろ!?その勝負、乗ってやるぜ!!」

『それでは、第3回戦のデュエルを開始するわよ!!3…2…1…!』

 

 

「「ライディングデュエル、アクセラレーションッ!!」」

 

 

IVとユーゴのDホイールが疾走する

 

紋章の力でマシンのスペックを無理やり引き出せるIVだが、元々のDホイーラーとしての才能に加え、操縦技術もシティの中で群を抜いて高いユーゴ相手では流石に分が悪く、先に第一コーナーを制したのはユーゴだった

 

「俺の先攻だ!俺は「SRマジックハウンド」を召喚!」

 

ユーゴのフィールドにマジックハンドの胴体と顎を持った赤い猟犬が出てくる

 

「召喚に成功した「マジックハウンド」の効果!デッキから「SR赤目のダイス」を墓地に送り、魔法カード「スピードリバース」で今墓地に送った「赤目のダイス」をフィールドに特殊召喚する!チューナーモンスター「赤目のダイス」を特殊召喚!特殊召喚した「赤目のダイス」のモンスター効果!ターンの終わりまで「マジックハウンド」のレベルを5に変更!」

 

レベル3→5

 

シンクロデッキ特有の激しく長い動きをユーゴは滞ることなくコントロールする

 

「俺のフィールドに機械族の効果モンスターが2体のみ存在する時、魔法カード「アイアン・ドロー」は発動出来る!その効果で2枚ドロー!ただし、このカードを発動した後、ターン終了時まで俺は1回しかモンスターが特殊召喚出来なくなる!」

『激しい手札消費をドローカードで補って、シンクロ召喚への布石を整えたユーゴ!』

「やるな…」

「俺はレベル5となった「マジックハウンド」に、レベル1の「赤目のダイス」をチューニング!」

 

「十文字の姿持つ魔剣よ!その力で全ての敵を切り裂け!」

 

「シンクロ召喚!!」

 

「現れろ、レベル6!「HSR魔剣ダーマ」!!」

 

HSR(ハイスピードロイド)魔剣ダーマ

レベル6 ATK2200

 

けん先が長く鋭い剣になって、真っ二つに分かれた玉を皿胴に付けた大きなけん玉のモンスターが出現する

 

先攻1ターン目から召喚されたシンクロモンスター。しかし先攻はバトルフェイズが行えない以上、このモンスターが呼び出されたのには当然理由がある

 

「「魔剣ダーマ」のモンスター効果!1ターンに1度、墓地の機械族モンスター1体をゲームから除外する事で、相手に500ポイントのダメージを与えられる!俺は「マジックハウンド」を除外して、IVに500ダメージ!」

 

けん先から出た青いビームが不規則に曲がり、IVのライフを削る

 

「っと…」

 

LP4000→3500

 

『ユーゴの先制攻撃が決まったー!』

「俺はこれでターンエンドだ!」

 

先にダメージを与えられたIVは、それでこそと言わんばかりの表情でユーゴを見つめる

 

「俺のターン、ドロー!まず俺は、手札の「ギミック・パペットーブラッディ・ドール」の効果を発動!EXデッキの「ギガンテス・ドール」を公開し、「ギガンテス・ドール」のランクと同じ数値のレベルを持つ「ギミック・パペット」1体を、「ブラッディ・ドール」と共にデッキから特殊召喚する!「ギガンテス・ドール」のランクは4!よってデッキから「ギミック・パペットーリトル・ソルジャーズ」を特殊召喚する!」

「レベル8のモンスターを出さねえのか?」

『いや、「リトル・ソルジャーズ」の効果は…』

「「リトル・ソルジャーズ」が特殊召喚に成功した時、デッキのレベル8の「ギミック・パペット」モンスター、「カトル・スクリーム」を墓地に送って効果発動!「リトル・ソルジャーズ」のレベルを、墓地に送ったモンスターと同じにする!」

 

レベル4→8

 

「そういう事かよ!」

『レベル8のモンスターが2体…来るぞ!ユーゴ!』

「俺はレベル8の「ブラッディ・ドール」と、レベル8となった「リトル・ソルジャーズ」の2体で、オーバーレイ!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!!」

 

 

「現れろ、“No.15”」

 

 

「地獄からの使者、運命の糸を操る人形…」

 

 

「「ギミック・パペット-ジャイアントキラー」!!」

 

 

No.15 ギミック・パペットージャイアントキラー

ランク8 DEF2500

 

『で、出たァ!!IVのデュエル、ファンサービスの象徴とも言える、残虐極まるエースモンスター!!』

「「ジャイアントキラー」のモンスター効果!1ターンに2度まで、ORUを1つ取り除き、相手の特殊召喚したモンスター1体を破壊する!」

 

気怠げに開かれた両掌から大量の糸が飛び出し、けん玉モンスターを雁字搦めに拘束し、自身の胸部で回転する金属ローラーの中へ引っ張る

 

「「魔剣ダーマ」!くっ!」

 

ギャリギャリギャリギャリギャリ!!

 

見た子供達全員をギャン泣きさせた実績のある邪悪な破壊作業で、「魔剣ダーマ」は漆黒の人形の胸の中に引きずり込まれて解体される

 

「ORUとして墓地に送られた「ブラッディ・ドール」は手札以外から墓地へ送られた時、1ターンに1度、このカード自身を手札に戻す事が出来る。そして俺は手札の「キラーナイト」のモンスター効果を発動。墓地の「カトル・スクリーム」を対象に発動し、効果を無効にして守備表示で特殊召喚する!その後「キラーナイト」を手札から攻撃表示で特殊召喚!」

『あれだけ動いておきながら、たった1枚しか手札を消費していないとは、なんて強力なデッキだ…』

「オイ!そのデッキちょっとズルくねえかぁ!?」

(こちとら強化されるまで長年待ってたんだよ。文句なら製作者(KONAMI)に言いな)

「さあ、最初のファンサービスだ!「キラーナイト」でプレイヤーにダイレクトアタック!」

 

曲剣をギラリと光らせ、ユーゴのライフを半分近く削ろうと「キラーナイト」が飛びかかる。それを見たユーゴは即座に加速し、その先にあったカードを拾って発動する

 

「アクションマジック「回避」!相手モンスターの攻撃を1度無効にする!」

「むっ」

 

あっさりと攻撃を躱されるが、IVは攻撃が不発になった事よりもユーゴのあまりにスムーズな動きに訝しんだ。まるでアクションデュエルに慣れた者特有の淀みない動き…

 

(そうか、統合された影響で遊矢のアクションデュエルの経験がユーゴの中に残っているのか。遊矢ほどの動きじゃないが、これは少し骨が折れるか…?)

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」

 

ユーゴはドローカードを見た。そして頭の中で無数のカードが選ばれて繋がり、勝利への道筋を作り出す

 

(これだ!)

「俺のフィールドにモンスターが存在しない時、手札の「SRベイゴマックス」は特殊召喚する事が出来る!」

 

ベーゴマが連なって出来た蛇ともムカデとも言えるモンスターが現れ、その瞬間ユーゴはデッキからモンスターをサーチする

 

「特殊召喚した「ベイゴマックス」の効果で、デッキから「SRタケトンボーグ」を手札に加える!そして、俺のフィールドに風属性の「ベイゴマックス」が存在する事により「タケトンボーグ」を手札から特殊召喚!」

(そこから「ダンテ」にエクシーズ召喚…したりしねえよな?)

 

前世で一時期大流行りした出張パーツとしての動きに少しトラウマを刺激されながらも、ユーゴへの観察は止めない

 

「更に「SRダブルヨーヨー」を召喚!このモンスターが召喚に成功した時、レベル3以下の「スピードロイド」を1体墓地から特殊召喚する!甦れ!「SR赤目のダイス」!俺はレベル4の「ダブルヨーヨー」に、レベル1の「赤目のダイス」をチューニング!」

 

「双翼抱く煌めくボディ!その翼で天空に跳ね上がれ!」

 

「シンクロ召喚!!」

 

「現れろ、レベル5!「HSRマッハゴー・イータ」!!」

 

HSRマッハゴー・イータ

レベル5 ATK2000

 

エンジンを噴かして空を飛ぶ巨大な羽子板が、羽根を随伴させて虚空から現れる

 

「あいつの効果は確か…!そういう事か!」

『ユーゴ、新たなモンスターをシンクロ召喚!しかし「マッハゴー・イータ」の攻撃力は2000、守備力2500の「ジャイアントキラー」は突破出来ず!このままでは次のIVのターンで「ジャイアントキラー」の効果で破壊されてしまいます!』

「「マッハゴー・イータ」のモンスター効果!自身をリリースする事で、ターン終了時までフィールドの全てのモンスターのレベルを1つ上げる!」

 

8→9

4→5

3→4

3→4

 

『って、せっかくモンスターを消しちゃうの?……いえ、違うわ!ユーゴのモンスターのレベルが4に!?』

「俺はレベル4となった「ベイゴマックス」と「タケトンボーグ」の2体で、オーバーレイ!!」

 

 

「漆黒の闇の中より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙…今降臨せよ!!」

 

 

「エクシーズ召喚!!」

 

 

「現れろ!ランク4!「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」!!」

 

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン

ランク4 ATK2500

 

『なんと!シンクロ召喚からのエクシーズ召喚です!』

「「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」の効果、発動!ORUを1つ使い、ターンの終わりまで、相手のレベル5以上のモンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値分、このモンスターの攻撃力をアップさせる!『トリーズン・ディスチャージ』!」

 

骨格めいた翼が展開して雷を放ち、雄牛の人形を捕らえてパワーを吸収する

 

ATK2000→1000

ATK2500→3500

 

「もう1つのORUも使い、今度は()()()を対象に発動!『トリーズン・ディスチャージ』!」

 

「ダーク・リベリオン」の紫電が唸り、()()()()()()()()4()()()()()()()()()はずの「キラーナイト」を捕縛する

 

ATK1800→900

ATK3500→4400

 

『「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」の攻撃力が4400まで跳ね上がりました!この為に全てのモンスターのレベルを上げたのね!』

「一気にケリをつけさせてもらうぜ!バトル!「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」で、「ギミック・パペットーキラーナイト」を攻撃!」

 

 

「『反逆の、ライトニング・ディスオベイ』!!」

 

 

この攻撃が通ればIVのライフは一気に0になる。それが分かっていたからこそ、IVはホープ・トゥ・ディスペアーを加速させてアクションカードを取ろうとしていた

 

「させるかよ!」

 

もちろんそれを見逃すユーゴではなく、IVより前を走っていた事もあって、IVが狙っていたアクションカードを難なく確保した

 

(…? 減速した…?)

「よっしゃアクションカードゲットォ!これで──」

 

カードに夢中だったユーゴと違い、ユートはアクションカードをあっさり諦めたIVを不審に思い、ずっと見ていた

 

『───!?──ユーゴ!!アクションカードを拾わなかったのはわざとだっ!!』

「えっ?」

 

 

…だからこそ、IVの口角が弧を描いた事に唯一気付けた

 

 

「リバースカードオープン!「ドレインシールド」!!」

「何ぃ!?「ドレインシールド」だと!?」

「攻撃モンスター1体を対象に発動!その攻撃を無効にしそのモンスターの攻撃力分、俺のライフを回復させる!」

 

漆黒の反逆竜の放った逆鱗の一撃が、虹色に輝くバリアに止められる。「ダーク・リベリオン」の全身から迸るオーラが吸い取られ、全てIVに還元されていく

 

LP3500→7900

 

「ライフポイントが、7900だと!?」

『な、なんという事でしょうか!?IVのライフは0になるどころか、初期ライフポイントの倍近くまで自分のライフを回復させてしまいました!!IVの凶悪なモンスター達相手に、これだけのライフを削り切るのは無謀という他ありません!!』

 

会場や市街で観戦していた多くの者達は動揺が隠せなかった。明らかに決着がつく流れを、IVはたった一手、1枚のカードで逆転させてしまったのだから

 

『俺達のデッキに「ダーク・リベリオン」が入っている事をIVが忘れている訳がない。その上でレベルの高い「カトル・スクリーム」を壁にした事を考えれば…』

「最初から「ダーク・リベリオン」の攻撃を誘ってたって事かよ!」

「その通りだ。…流石にライフを一気に削り切って来れるとまでは思っていなかったがな」

 

予想外だったと褒め称えるIVだが、2人からすれば何の慰めにもならない

 

「そも、「ダーク・リベリオン」といい「クリアウィング」といい、お前らの戦術は一撃に特化した攻撃が多い。だったらその対策を取るのは当然だとは思わないのか?」

「くっ…!」

「しかしお前らはまだ運がいいぜ。これが「魔法の筒(マジック・シリンダー)」とかだったらその時点でゲームエンドだったからなぁ」

 

IVの言う通りだった。もしIVが時間を稼ぐという目的でデッキを弄ってなければ、遅延特化ではない「ギミック・パペット」と戦うことになり、手加減して尚、数ターンも持たない可能性すらあった

 

「俺は、カードを3枚セットして、ターンエンド…!」

 

それほど両者には実力、デッキの質、カードパワー全てにおいて大きな開きがあった

 

ATK4400→2500

ATK1000→2000

ATK900→1800

 

「俺のターン、ドロー。さて…ファンサービス、第二幕の開幕だ!!」

「っ!!」

「「ジャイアントキラー」の効果!ORUを1つ使い、「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」を破壊する!」

 

「ジャイアントキラー」の魔の手が「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」に迫る。しかも「ダーク・リベリオン」はエクシーズモンスター。もし破壊効果が成立すれば、元々の攻撃力分2500ポイントの大ダメージをユーゴは食らうことになってしまう

 

「罠カード「幻影翼(ファントム・ウィング)」!「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」に対して発動し、対象のモンスターは攻撃力が500ポイントアップし、このターン戦闘・効果では1度だけ破壊されなくなる!」

 

ATK2500→3000

 

「ダーク・リベリオン」の翼から紫電ではなく、影が翼膜のような形で溢れてくる。巨大な影の翼が無数の糸を遮断し、破砕人形の攻撃を防ぐ

 

「これで「ジャイアントキラー」の効果はなくなった!」

「何凌いだ気でいやがるんだ?まだ俺はモンスターを出してもいないんだぜ」

「…!」

「手札の「ブラッディ・ドール」の効果発動!」

 

先のターンと同じ光景が繰り返される

 

「EXデッキのランク8「ヘブンズ・ストリングス」を公開し、デッキからレベル8の「ギミック・パペットーネクロ・ドール」を特殊召喚!その後手札の「ブラッディ・ドール」も特殊召喚!レベル8の「ネクロ・ドール」と「カトル・スクリーム」でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

 

「希望を与えるスターよ!ファンを魅了し、舞台の上に立て!」

 

 

「「ギミック・パペットーファンタジクス・マキナ」!!」

 

 

お辞儀しながら現れた白を基調とした大型の人形モンスターに、遠目に見ていたメリッサも驚く

 

『ええ!?IVそっくりのモンスターカード!?流石の私もこれには驚きを隠せません!』

「「ファンタジクス・マキナ」のモンスター効果!ORUを1つ使い、デッキから「RUM」魔法カード1枚をデッキから手札に加える!「RUMーアージェント・カオス・フォース」を手札に!」

『「RUM」!』

「そして「アージェント・カオス・フォース」発動!「ファンタジクス・マキナ」をカオス化させる!「ファンタジクス・マキナ」1体でオーバーレイ!1体のモンスターで、オーバーレイネットワークを再構築!!

 

カオスエクシーズ・チェンジ!!」

 

 

 

「舞台を操る真の黒幕よ!愚かなデク人形共を玩び、希望を絶望に堕とせ!!」

 

 

 

「降誕せよ!!「CX ギミック・パペットーファナティクス・マキナ」!!」

 

 

CX ギミック・パペットーファナティクス・マキナ

ランク9 ATK3100

 

『「ファンタジクス・マキナ」が、更に巨大で、禍々しい姿に進化しましたー!……もしかして、本性の姿?

「「ファナティクス・マキナ」は特殊召喚した時、デッキから「パペット」罠カード1枚を持ってくる事が出来る!「傀儡遊儀ーサービスト・パペット」を手札に!そして、ORUを1つ取り除き「ファナティクス・マキナ」の効果発動!「ファンタジクス・マキナ」のORUとして墓地に送った「カトル・スクリーム」を相手フィールド上に特殊召喚する!」

「自分のモンスターを俺のフィールドに?」

『何かある…!』

「この瞬間、「ファナティクス・マキナ」のモンスター効果!相手フィールドにモンスターが特殊召喚された時、その内の1体を対象に発動し、対象のモンスターを破壊し元々の攻撃力の半分のダメージを与える!」

「何!」

 

悪魔の人形から放たれた糸が「カトル・スクリーム」を絡め取り、破壊のローラーに引きずり込んで粉々に破壊し尽くす

 

『自分のモンスターも容赦なく…!』

「元々の攻撃力2000の半分、1000のダメージだ!」

 

「『ディスペアー・カノン』!!」

 

破壊の奔流がユーゴの乗るDホイールのすぐ側に着弾し、衝撃波がプレイヤーのライフを削る

 

「うわぁ!…くっ…!」

 

LP4000→3000

 

「俺のファンサービスはまだこんなもんじゃねえぜ!「ギミック・パペットーギア・チェンジャー」を召喚!「ギア・チェンジャー」は自身のレベルを他の「ギミック・パペット」モンスターと同じ数値に変更する事が出来る!俺は「ブラッディ・ドール」を選択!」

 

レベル1→8

 

「またレベル8のモンスターが…!」

「「ブラッディ・ドール」と「ギア・チェンジャー」の2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

「現れろ“No.40”!!「ギミック・パペットーヘブンズ・ストリングス」!」

 

No.40 ギミック・パペットーヘブンズ・ストリングス

ランク8 ATK3000

 

「更に、ランク5以上のエクシーズモンスターが特殊召喚された事により墓地の「アージェント・カオス・フォース」の効果発動!デュエル中1度だけ、このカードを手札に戻す!そして即座にこのカードを発動し、「ジャイアントキラー」をカオス化させる!

 

カオスエクシーズ・チェンジ!!」

 

 

「現れろ、“CNo.15”!!」

 

 

「人類の英知の結晶が、運命の糸を断ち切る使者を呼ぶ!」

 

 

「「ギミック・パペットーシリアルキラー」!!」

 

 

CNo.15 ギミック・パペットーシリアルキラー

ランク9 ATK2500

 

 

次々と行われていく連続エクシーズ。ユーゴの背後には、ランク8とランク9の大型エクシーズモンスターが計3体並ぶという、悪夢のような光景が広がっていた

 

『い…息吐く暇もない連続エクシーズ召喚!!IVのフィールドに、攻撃力2500以上の大型モンスターが一気に3体!ユーゴ、とんでもなくピーンチ!!』

「オ、オイ!?アンタ、これで本当に手加減してるって言うつもりかよ!?」

「してるぜ、かなりな。だがそんなどうでもいい事に気を回してる暇なんかねえぜ?」

「っ!!」

「たっぷり味わえ、ファンサービスを!!「シリアルキラー」のモンスター効果!ORUを1つ取り除き、相手フィールドのカード1枚を対象に発動し、そのカードを破壊!更に破壊したカードがモンスターならば、その元々の攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える!俺は「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」を対象にする!やれ、「シリアルキラー」!」

 

「『エクスターミネーション・スラッシャー』ッ!!」

 

回転する丸鋸が「ダーク・リベリオン」に向かって射出され、バラバラに切り刻もうとする瞬間、ユーゴは手に持っていたカードをディスクにセットした

 

「アクションマジック「ミラー・バリア」!「ダーク・リベリオン」はこのターン、効果では破壊されなくなる!」

 

ミラーボールのようなバリアが反逆の竜を包み、飛来する丸鋸を弾き飛ばしていく

 

『ユーゴ、この破壊も防いでいく!!』

「ならばバトルだ!「ギミック・パペットーファナティクス・マキナ」で「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」を攻撃!!」

 

破滅を齎す巨大な黒人形は、格納していた棘付きの黒い鞭を両手に1つずつ持つと、それを「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」を向けて振り下ろす

 

 

「『ドゥームズ・ダンス(破滅の踊り)』!!」

 

 

我が手で踊らされながら破滅しろと、まるでそう語り掛けるような「ファナティクス・マキナ」の攻撃が「ダーク・リベリオン」に迫り…

 

「永続罠発動!「強制終了」!」

「何っ」

「このカードは、このカード以外の俺のフィールドのカードを墓地に送る事で、バトルフェイズを強制的に終了させる事が出来る!俺は…「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」を墓地に送る!」

 

しかし「ダーク・リベリオン」は命中の直前に粒子となって掻き消え、鞭が空振ると同時にIVのバトルフェイズが終了するシグナルが鳴る

 

「すまねえ、ユート!」

『いや、IVの猛攻を防ぐにはあれが1番だった。気にするな』

 

そんなやり取りを眺めながら感嘆の息を漏らすIV

 

「いいねぇ…まだまだファンサービスのしがいがあるってもんだ。俺はカードを2枚セットして、ターンエンド!」

「IVのターン終了時、俺は罠カード「裁きの天秤」を発動!」

 

公開されたセットカードが光り輝き、ユーゴのデッキトップも輝く

 

「「裁きの天秤」は、相手フィールドのカードの数が俺のフィールド・手札の合計数より多い場合に発動出来る!俺はその差の数だけカードをドローする!」

「俺のフィールドには4体のモンスターと2枚の伏せカード、一方ユーゴのフィールドと手札は「裁きの天秤」も含めて2枚だけ…」

「その差、4枚のカードをドローするぜ!」

『ここで一気に4枚ものカードをドロー!ここからユーゴの反撃が始まるかー!?』

 

手札は補充出来た。しかしユーゴの状況は最悪、相手は手加減して尚バケモノみたいな強さを誇るIV

 

「さぁてと、見せてもらおうじゃねえか。お前らの……覚悟って奴をよ」

 

人形使いが、一体何を見定めているのか

 

それは誰にも分からなかった




やっぱり「ギミック・パペット」はちょっと本気出しただけでスゲー文字数多くなってソリティアになっちゃう。書いてたら虚無な気分になって、少し本作のIVの気持ちが分かったかもしれない
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