【TS転生】気づいたら、大好きだったカードゲームのディストピアアニメの世界で幼女になっていた件   作:銀層

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19話 アイテムゲット

俺たちは、薄暗いダンジョンの中を慎重に進んでいた。

天井から吊るされた古びたランタンが、ゆらゆらと赤黒い光を投げかけている。

 

「とりあえず、この辺のモンスターを狩っていきましょう」

音華が剣を肩に担ぎながら言う。

「龍華さんがすぐに追ってこれるように、道を確保しておかないと」

 

「そうだね。この辺のモンスターは弱そうだし」

軽く笑いながらも、音華の目は油断していない。

 

「そうしましょう」

光華も短く頷き、カードを構える。

 

獣たちが襲い掛かってきた。

展開力の高いビースト系──それがこの階層の特徴だ。

だが道中で全体除去カードをしっかり拾ってきた俺たちにとっては、想定内の相手。

 

「……やっぱり、予想通りか。歯ごたえは薄いね」

音華が肩をすくめる。

「だからって油断は禁物だね」

そう言う彼女の声は、自分自身への戒めのようでもあった。

 

「ここの敵は自然文明オンリーですね。入口付近は、まだ力押しできるレベルです」

光華が手元のデッキを確認しながら分析する。

「じゃあ──入口で籠城だ。迎え撃つ形でいこう」

 

 

私たちはひたすら獣を狩り続けていた。

何度も、何度も。

気づけば三十分は経っている。

 

「……龍華、おそいね」

音華がぽつりと漏らす。

 

「大丈夫だ。きっと来る」

俺は短く返す。

 

「私たちにできるのは、ここで耐えることだけです」

光華は淡々と告げるが、その瞳の奥には緊張の色があった。

 

──その時。

ダンジョンの奥から、一際大きな狼が姿を現した。

金色の瞳が俺たちを値踏みするように細められる。

 

「人間のくせに……ここまで我らを削り切るとはな」

低く唸るような声。

 

「黒悪魔が入口前に現れたときは警戒したが……」

狼は牙を見せ、にやりと笑う。

 

「どうやら貴様らのリーダーが倒したらしいな」

そして、次の一言で空気が凍りつく。

 

「今、そのリーダーは足止め中だ」

「俺では勝てん相手だ。だから──人質になってもらうぞ」

 

「人語を話し……しかも戦術まで立てている」

「間違いない。あいつが、このダンジョンのボスだ」

音華はわずかに眉をひそめ、しかし冷静な声で言った。

 

「私が出ます。私の勝負を見てください」

「それで対策をしてください」

声に迷いはなかった。

 

音華と光華が一瞬だけ目を合わせ、そして同時に頷いた。

その表情には不安もあったが、それ以上に──俺の覚悟を受け取ったという確かな色があった。

 

~~

 

ビースト種族のミッドレンジデッキのミラーマッチが開始された。

俺が一体を召喚すれば、奴は牙を剥いて即座に狩り取る。

奴が二体を並べれば、俺は躊躇なくその群れを蹴散らす。

 

展開と破壊──ただそれだけのはずなのに、

一手ごとに心臓を握られるような緊張が走る。

 

「……完全にミラーマッチだな」

狼は微笑んでいる。

同じビーストデッキ同士、力押しも奇襲もほとんど通らない。

だからこそ──一瞬の隙を突いて先に盤面を制圧した方が勝つ。

 

獣たちの咆哮とカードを叩きつける音が、まるで剣戟のように重なり合う。

 

 

狼が牙を剥き、カードを叩きつけた。

《獣王 アカディミア》10コスト、10/10

召喚時、自分フィールドに1/1の獣を三十体、瞬く間に呼び出す化け物カード。

盤面は瞬時に牙と爪で埋め尽くされ、まるで獣の軍勢が雪崩れ込むかのようだ。

 

「これを返すことは難しいぞ」

狼は勝利を確信して笑う。

 

だが──俺も迷わずカードを切る。

《紅蓮獣バーサク・タイガー》

6コスト、3/3。召喚時、敵陣すべてに1ダメージ。そして、破壊した数だけ相手ライフに直接ダメージを叩き込む。

 

虎が咆哮した瞬間──

轟炎が爆ぜ、三十の獣たちが一斉に吹き飛ぶ。

破壊数は三十。つまり、追加ダメージは三十点。

その炎は群れを焼き尽くすだけでは終わらず、まるで獣王の心臓を直接握り潰すかのように、相手のライフを一撃で削り切った。

 

こうして──俺の勝利は決まった。

獣王は断末魔を上げる間もなく霧散し、カードの破片のような光となって消え去る。

 

その場に、ひとつのアイテムが残った。

ペンダントだ。

名称:《獣の叫び》──効果は「獣を5体召喚するたびに、デッキ内のすべての獣カードを+1/+1する」。

ビーストデッキ使いなら喉から手が出るほど欲しい一品だ。

 

「……やった」

小さく呟く俺。

 

その時、背後から声がした。

「どうやら、私がやってくる前に勝負がついたようだな」

遅れて龍華が姿を現す。

 

「ダンジョンのボスを倒してしまうとは──やるな」

軽く笑うその表情は、俺を評価する色を隠しきれていなかった。

 

「ふぅ……なんとかなったな」

音華が肩で息をつき、額の汗をぬぐう。戦闘の熱気がまだ肌に残っていた。

 

「次も──こうしてアイテムを集めていくんですね」

光華は手に入れたばかりのペンダントを光にかざし、目を細める。

 

俺たちの目標は、黒悪魔族をたおすこと。

ただ、俺たちは弱すぎる。だから強くなる。

強くなるために、各地のダンジョンを巡り、レアアイテムを可能な限り集めること。

強敵との戦闘も、罠も、そして予想外のイベントも──すべてはその過程に過ぎない。

 

こうして──俺たちのアイテム収集の旅が、静かに幕を開けた。

 

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