【TS転生】気づいたら、大好きだったカードゲームのディストピアアニメの世界で幼女になっていた件   作:銀層

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20話 黒悪魔の攻略準備

黒悪魔を討つため──半年もの間、俺たちはダンジョンを潜り続けた。

カードを集め、アイテムを集め、時には命を削りながらも、ただ前へと進んできた。

 

だが、決定的に足りないものがある。──数だ。

たった4人で、あの黒悪魔族の根城を攻め切れるほど甘い相手ではない。

 

「……私たちは、確かに強くなった」

龍華が視線を落とし、低くつぶやく。

「けど、この戦力じゃ……黒悪魔を落とすのに時間がかかりそうだな」

 

「そこそこ腕の立つ仲間が、もう少し欲しいね」

彼女の言葉に、重く同意するように空気が沈む。

 

「持久戦になったら、どこかでミスが出る」

音華が冷静に言葉を差し込む。

「潜入で闇討ち……なんて手も考えたけど、あいつら相手じゃ、奇襲も通じないだろう」

 

「……半年間で、この程度しか強くなれていませんし」

光華は膝の上で手を組み、視線を落としたままつぶやいた。

 

「圧倒的に強くなる──それも一つの手だ」

龍華が低く答える。

「だが、それには……あまりにも時間がかかりすぎる」

 

沈黙が、場を支配する。

遠くで、黒悪魔族の砦から響く低い咆哮だけが耳に残る。

 

「すぐに、私たちと同じ実力の兵士を10人……そんなの、作れるはずがない」

音華が口を開く。

「それこそ──花園の騎士団みたいに、芽吹く前に潰されるのがオチだ」

 

重い言葉の一つ一つが、現実という壁の厚さを突きつけてくる。

 

「……そうだ。天界と取引しましょう」

俺は口を開いた。

「カードも、そこそこ集まっています」

 

「これだけの量じゃ、奴らは本気では動かない」

龍華は首を横に振る。

 

「それでも──しないよりはマシだろう」

「……まぁな。何かのきっかけになるかもしれない」

「とりあえず、一度天界に戻ってみる」

龍華は決意を口にし、視線を砦の向こうに向けた。

 

 

~~

 

天界に着いた龍華は、本部ではなく、いくつもの小組織が集まる拠点へと足を運んだ。

黒悪魔族の討伐を目標とする小規模の戦闘集団──人数は少ないが、目的が同じというだけで、心強さを感じる。

 

龍華は、その団長・柊の前に立つ。

これまでの経緯を簡潔に、しかし熱を込めて語った。

 

「なるほどね……君たちの動機は理解できる」

柊の低い声には、警戒と興味が入り混じっている。

 

「ただな──実力があるかどうかは、話を聞いただけじゃ分からない」

「俺たちもアイテムを集め、カードを強化し、何度も黒悪魔の城を叩いた」

柊の表情には悔しさが浮かんでいる。

「だが、それでも攻略は叶わなかった」

「何度も攻め込み、何度も失敗したんだ」

 

「だから──実力を示してもらおう」

柊はゆっくりと立ち上がり、鋭い視線を龍華に向ける。

 

「実力を見るとは……どうするつもりだ?」

龍華は眉をひそめて問いかけた。

 

柊は口の端をわずかに吊り上げる。

「簡単だ。俺と一緒にダンジョンへ潜ってもらう」

「ただし──俺は手を出さない。見るのはお前たちの戦いぶりだ」

 

その言葉に場の空気がわずかに張りつめる。

試されるのは、ただの勝敗ではない。立ち回り、判断力、そして仲間との連携までもだ。

 

「……分かった。そうしよう」

龍華は短く息を吐き、頷いた。

 

~~

 

「天界との取引は、うまくいかなかったんですか?」

音華が問いかける。

 

「天界に行ったとき、黒悪魔と戦っている小さい組織の存在を思い出したんだ」

「そこに話をつけてきた。──条件付きだけどな」

龍華は少し間を置いてから、口を開いた。

 

「条件?」

光華が首を傾げる。

 

「私たちの実力を見て、十分なら手助けしてくれるって話だ」

 

「心強いですけど……実力って、どうやって測るんですか?」

光華の問いに、低い声が割って入った。

 

「それは──このダンジョンを攻略してもらうことだ」

声の主、柊はゆっくりと指を伸ばし、眼前の巨大な岩山を指し示す。

 

「電翼龍の巣だ。ここを突破できるだけの力が、俺たちと肩を並べる最低条件だ」

 

そこには、稲光のような形をした裂け目が走り、雷鳴とともに重々しい咆哮が響いていた。

 

「なるほど……確かに、ここを突破できるなら、協力してもらえるのか」

龍華は険しい表情で裂け目を見上げる。

 

柊が裂け目の向こうを見据えたまま、口を開いた。

「電翼龍──攻撃力は凶悪だが、防御は薄い。そして何より、貫通攻撃が恐ろしく強い」

 

俺たちは息を呑む。貫通ダメージ……つまり、前線をいくら固めても、後列や本体まで容赦なく削り取られるということだ。

 

「奴らは盤面のコントロールとライフの削りを同時にこなせる。しかもその速度は、黒悪魔の中級クラスと肩を並べるほどだ」

 

雷鳴が裂け目を照らし、一瞬だけ内部の巨大な影が浮かび上がる。翼の先に閃光を帯びた龍──その姿は、まるで嵐そのものだった。

 

「なるほどね。中級クラスを攻略しないと信頼できないってことか」

龍華の口元に、ゆっくりと笑みが浮かぶ。

「試験としては……ちょうどいいわけだな」

 

稲光が天を裂き、彼女の瞳に一瞬だけ銀の光が走る。

「いいだろう。全力で証明してやる」

その声には、挑戦を前にした戦士の高揚と、獲物を前にした獣の静かな自信が滲んでいた。

 

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