悪魔族は贔屓しない。   作:倭猛らない

1 / 29

書いてみたかったカードゲームのアレ。流行ってるんだもん、やりたくなるよ。ルールはふわっとさせておきます……細かく書くと矛盾が出て馬鹿晒しそうなので……


バトルモンスターズ、ソレは有史以前から存在する

 

 トレーディングカードゲーム、バトルモンスターズ。それが今、この世界を席巻していた。……席巻しているのは人類史黎明期からずっとか。よく分からんけど。

 

 人類はこのゲームが大昔から大好きらしい。地球の何処かには、カードのイラストや効果が記された地上絵が幾つもあって、未だに遺跡からは古代の石版カードが発掘され、現代の紙カードとなって蘇り続けている。

 

 ふと、街中の広告に目を遣ると……

 

「これで貴方のカードも安全!新型ウルトラハードスリーブ発売!」

 

 高ぇよ、スリーブ1枚で1万も取ってんじゃねぇよ。1デッキに必要なカード枚数は最低で40枚。つまり、このスリーブを使うならデッキを組む金とは別に40万必要になる。……まぁ、銃弾も弾く驚き保護性能ゆえ、致し方ないとは思うが。変な方向に人類のスキルツリーが伸びてる気がする。

 

 皆このカードゲームをやってる。学生や社会人は勿論、政治家、医者、弁護士、警察と職業に関係なく皆やっている。なんなら幼稚園児がやってるのも見たことある。妙に派手な髪色の少女だったのを覚えてるわ。

 

 国が莫大な国家予算を組み、究極(アルティメット)レアカードを買いとったり、道行く人々の腰にはほぼ例外なくデッキケースが下げられていたり……人々の常識がこのカードゲームありきで育まれていると言って良い。

 

「なんだかなぁ……」

 

 なんだか釈然としない。もちろん俺もやってるし確かに面白い。なんなら生計まで立てさせて貰っている。けど、世界の全てがバトルモンスターズ中心に回るほどか?と思う。

 

 昔からあった疎外感が、今も俺の中に渦巻いている。

 

「お疲れ様でーす」

 

「お疲れ〜戒君」

 

 バイト先のカードショップに入り、店長に挨拶する。ストリートファイトでそれなりに暴れてバトルポイント*1稼いでたら、相手が店長だった。めっちゃ強かったが何とか勝利をもぎ取ると……

 

「君凄く強いねぇ〜。私カードショップやってるんだけどさ、もし良かったらバイトに来ない?君みたいに強い子が居てくれたら、心強いんだけどなぁ〜」

 

 と誘いを受けたのだ。カードショップには常に人が賑わっていて、トラブルも結構起きる。店長もかなりの腕利きだが、純粋に手が足りない。ぶっちゃけ強いやつなんて幾ら居てもいいし、その分トラブルメイカー共への抑止力になる。

 

 今日は土曜。休日だけあって一層賑わっている。忙しくなりそうだ。……今月のショップバトルっていつだっけ。今日?明日の気もする。

 

「今日ってショップバトルの日でしたっけ、店長?」

 

「そうだよ、ちゃんとカレンダー見た?」

 

「見ても直ぐに頭から抜けるんです。じゃ、俺あっちの方見てきますね」

 

「はーい。全くも〜」

 

 基本的に、人がカードを創ることはない。自然に発生(ポップ)したカードか古代の遺物(カード)を人が発見し、報告を受けた『世界バトルモンスターズ連合』が複製し、世に発表する。昨日はその発表があった日。詰め込んだ新カードがショップバトルのスケジュールを蹴飛ばして頭の外へ出してしまった。しょうがないと思う。勘弁して店長。

 

「何すんだよ!!」

 

 …………トラブルの気配だ。なんだなんだ、どうした小学生(チビ)共と…………うーん、いかにもガラの悪そうな兄ちゃん。俺の姿に気付いた赤髪の少年が訴えかけてくる。

 

「てーいんさん!!コイツ俺らが引いたスーパーレア横取りしやがったんだ!」

 

「テメェらには勿体ねぇからオレ様が貰ってやるってんだよ!!分かんねぇガキどもだなぁ!!?」

 

「大きな声はご遠慮ください。他のお客様へのご迷惑となりますので」

 

 あーはいはい、そういうパターンね。

 

「あげるなんて言ってないのに!」

 

「そーよそーよ!!おーぼーよ!」

 

「らんぼーだねー。いかりのあふがんだよー」

 

 少年、少女、少女、……セリフが少女じゃない不思議ガール。何だこの少年、その歳でハーレムかい。いや、逆にその歳だからなのか。

 

 よくある。本当によくあるパターンだ。老若男女問わずやってるバトルモンスターズ。故に、小さな子を狙った強請りや恐喝も往々にしてある。こういう場合、だいたい対戦で白黒つけるんだが……彼らはデッキ持ってきてないみたいだな。俺がやるか。

 

「トレードであれば口出ししませんが、お客様のソレは強奪です。それ以上の横暴には、店員として対処させて頂きます」

 

 そう言って、懐からデッキを取り出すと、ガラ悪兄ちゃんもデッキを取り出して吼えた。

 

「やってみろやガキィ!!」

 

「「対戦(バトル)」!」

 

 対戦スペースへ移動し、デッキをセットする。その様子を見ていたのか、パタパタと店長がやって来た。

 

「何の騒ぎ〜?」

 

「小さなお客様への強請りです。黙らせた後警察に引き渡そうと思いますが、良いですかね?」

 

「りょーかい、こっちで呼んでおくね〜」

 

「はっ!!テメェ、オレ様に勝てるとでも!?」

 

 自信満々だな。まあ、勝てば最低でも数万で売れるスーパーレアを強奪できるんだ。嬉しいだろうな。

 

 基本、警察は対戦の結果に介入しない。勝ち負けによって発生した不利益や理不尽を警察に訴えてもどうにもならないのだ。法治国家が意味を成さないのでは……と思ったそこのあなた。その通りです。とんでもないカードテロリストが割りと跋扈してます。多分、コイツもその下っ端。

 

「早く終わらせましょう。この後ショップバトルですので」

 

「クソガキがぁ……!先行は譲ってやる!手札準備(ハンズレディー)!」

 

 先行は譲る、か。妨害カード多めのデッキなのか? チンピラ崩れのデッキとしてはそれなりに上等だが……。俺のデッキは妨害を妨害する。恐れることは無いな。初期手札を4枚引く。さて、今回の面々は〜……

 

七大罪科(デビルズシン) 怠惰のフェルベルゴール」

序列三位(デーモンズスリー) バルサゴ」

「決死の血眼」

悪魔の契約遵守(デーモンズオベイプロミス)

 

「な、なるほど。手札準備(ハンズレディー)、ターンスタート」

 

 やべぇ。ワンキルできる……

 

 

*1
世界共通の電子マネー。現金と同じように使えて、公共料金の支払いにも使える。バトルモンスターズ関連商品を買ったりすると自然に貯まり、対戦でも勝った相手から回収できたりする。なんなら対戦するだけでも貯まる。





その門は入口。恐ろしい地獄への。でも、悪魔は出てこないのよね。出口ではないみたい。

地獄の門(ヘルズゲート)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。