悪魔族は贔屓しない。   作:倭猛らない

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それぞれが野望を抱き、己が目的へ邁進する。
同盟を組み、時に裏切り、戦え。

戦乱の世


アタックスキップ、ターンエンド。

 

「メイン。召喚条件はフィールドに「足軽」と名の付くモンスターが1体以上。「足軽大将 リザードラゴ」を召喚じゃ。召喚時効果により、デッキから「足軽リザード」を1体追加召喚するぞい。効果で1枚ドローし、続いてフィールドカード、「一夜竜城」を配置」

 

 血と火薬と血煙で視界が悪いフィールドに、竜の意匠が施された城が立つ。簡易の対戦スペースなのに雰囲気あるな。

 

「一夜竜城」は、「ドラゴン族」に加えてもうひとつ種別(カテゴリー)を持つ自分のモンスターが攻撃した時、デッキから1枚ドローできるフィールドカード。派手さはないが、堅実に地盤を固めるドラゴン族の汎用カードだ。何より、この効果は重複する。「一夜竜城」を並べれば並べる程、攻撃で大きなアドバンテージが取れる。

 

 そして、「武仕(ぶし)」のリザード達は召喚時効果に1ドローを持ってる場合が多く、手札の補充とリザード達の数の暴力で、ムサシードが来るまで戦うのが基本スタイルだ。パワーも絶妙な数値で、グレイモールによる無限肉壁が機能しない。今回はフェルネクスが最適な壁役だが……今回来るかな。

 

「アタックシーンじゃ。往けぃ、「剣豪リザード」!」

 

「その前に、だ。アタックシーンに移行したタイミングで手札から「悪魔の囁き(デビルズウィスパー)」を発動する。このターンの間、パワー300以下の相手モンスターのコントロールを得る。対象は「足軽リザード」。反撃(カウンター)は?」

 

「むっ、無いのぅ」

 

「では「悪魔の囁き(デビルズウィスパー)」に反撃(カウンター)し、「悪魔の手腕(デビルズハンド)」!相手モンスター1体を攻撃不能にする。対象は「剣豪リザード」!」

 

「……やりおるわ。反撃(カウンター)はないぞぃ」

 

「では効果処理。「剣豪リザード」は攻撃出来ず、「足軽リザード」が1体、このターンの間は俺の支配下だ」

 

 手札から現れた悪魔が、「剣豪リザード」を無理やり地面に押さえつけ、「足軽リザード」に何かを耳打ちする。すると、リザードの目が怪しく輝き、ゆったりと俺のフィールドに移動した。悪魔はそんな様子を見てケラケラ笑いながら、「剣豪リザード」を押さえ付けている手腕を残して消えていく。趣味悪いなホントに。

 

「では「足軽リザード」で攻撃!「一夜竜城」の効果により、1枚ドローじゃの」

 

「何もない。コントロールを奪った「足軽リザード」で防御(ブロック)する」

 

 駆け出した「足軽リザード」達は互いに槍を相手の身体に突き刺し、相討ちになる。

 

「フィールドカード、「戦乱の世」の効果を発動させようかの。「武仕(ぶし)」の種別(カテゴリー)を持つ自分のモンスターが戦闘で破壊された時、デッキから1枚ドローじゃ」

 

 何しても基本ドローされる盤面だな。崩したい所だが、そんな所にリソースは使ってられない。プランもできてるし、向こうの動き次第か。

 

「ではアタックシーン終了で、ターンエンドじゃの」

 

 ん、足軽大将では攻撃しないのか。スペル警戒か? まぁいいや、ライフ(いのち)拾いしたぜ。

 

「ターン開始。ドローシーン、リカバーシーン、メインシーン。引き続きなにもせずアタックスキップ。ターンエンドだ」

 

「…………なにか企んでおるな。貴様の策を、ライフごと踏み潰してやろう。ターンスタート」

 

 口調がジジイ風じゃなくなってますよおじいちゃ〜ん。教育者をやるにあたって、好々爺演じてるの知ってるぞ〜。本当はガチガチの堅物保守ジジイだもんな。

 

「ドローシーン、リカバーシーン、メイン。スペルカード「屍竜の誘い」を発動。墓地にいる「ドラゴン族」種別(カテゴリー)のモンスター1体につき、ドラゴンゾンビトークンを1体召喚する。最大3体まで。儂の墓地には「足軽リザード」が2体。よって2体のトークンを召喚」

 

 ボロボロな具足を身に付けたリザードの腐乱死体が2体、地面から這い出てくる。まさに生ける死体(リビングデッド)だ。

 

「ドラゴン族」はサポートがとにかく多い。一重に「ドラゴン族」デッキといっても、もうひとつの種別(カテゴリー)次第で動きもリーサルも全然違う。

 

火獄(かごく)」が混じる「業竜」デッキは一撃一撃の重いパワータイプ。

機鋼(メカニカル)」が混じる「機龍(ドラゴノイド)」デッキはカッチカチな防御タイプ。

天至(てんし)」が混じる「天位竜」デッキはライフを増減させて、

屍徒(しと)」が混じる「不死龍(アンデッドラゴン)」デッキは墓地からモンスターが湧き出し続ける。

 

 挙げたデッキはごく一部に過ぎない。あんまりにも多過ぎる。サポート供給過多だろもう。ドラゴン族が基盤だからどのデッキもパワフルで、戦ってて楽しい。

 

 今使われた「屍竜の誘い」は「不死龍(アンデッドラゴン)」デッキがよく使うスペル。……というか、対象が「ドラゴン族」だけだからどのドラゴンデッキでも使える。つよい。

 

「「足軽大将 リザードラゴ」の効果により、儂のフィールドにいる「ドラゴン族」モンスター全てに種別(カテゴリー)武仕(ぶし)」が付与される。ドラゴンゾンビトークンも例外ではない」

 

 リザード達の白濁した目を遮るように、無造作に兜が被せられる。随分雑な種別(カテゴリー)付与だなぁ。……ヴァルバストの悪魔族付与も同じ感じだわ。悪魔の羽と尻尾が生えるアレ。

 

「そして手札から「鉄砲隊 ヤモリザード」を召喚する」

 

 土煙の中から銃声が鳴り響き、人型のヤモリが現れる。その両手には戦国時代のゲームチェンジャー、種子島鉄砲が握られていた。出てくる前に演出として撃ち放ったからか、わたわたと忙しなく装填作業を行っている。ちょっと可愛い。

 

「メイン終了、アタックシーン。往け、「剣豪リザード」!攻撃時効果により、デッキから1枚ドロー。もうひとつの効果でこのモンスター以下のパワーを持つ相手モンスターを1体破壊し、フィールドに戦国カウンターを1つ置けるが…………対象がおらんな。「一夜竜城」の効果により1枚ドローする」

 

「何もない。ライフで受ける」

 

 ムサシードの召喚には、戦国カウンターが必要だ。このカウンターは、相手のモンスターを破壊する事で溜まる場合が多い。ならなるべく壁役も並べず、素直にライフで受けた方が遅延になる。……ま、時間の問題だろうけど。

 

 剣豪が刀を振るい、俺のライフを削る。

 

「「足軽大将 リザードラゴ」よ、続け!「一夜竜城」の効果により、1枚ドロー!」

 

 駆け出すは、足軽よりも一回り大きい足軽大将。鱗がトゲトゲしてて、よりドラゴンらしい見た目だ。大太刀を構えて突っ込んでくる。

 

「何もない。ライフで受ける」

 

「何のつもりだ。このまま負けるつもりか?」

 

「こういうつもりだ。手札から「序列十位(デーモンズテン) ブイエール」の効果を発動。自分が1ターンの間に2回直接攻撃を受けた時、このモンスターを直ちに追加召喚できる。来い、地獄の総裁!」

 

 紋章(シジル)の中から、この対戦(バトル)で初めて悪魔が姿を現す。獅子の頭から直接足が5本生えているその姿は、まさに驚愕の姿と言える。こう見えても自然哲学や薬草の薬効に精通し、癒しの力を振るう悪魔だ。

 

「召喚時効果。このターンの間に受けたダメージ数の半分だけ、ライフを回復させる」

 

「剣豪リザード」のパワーは300、足軽大将のパワーは600。合計は900。つまりその半分である450、ライフが回復する。

 

 ふぅ。デッキから抜く前で良かったよブイエール。

 

「パワー600の悪魔……」

 

 ドラゴンゾンビトークンはパワー100。ヤモリザードはパワー200。「一夜竜城」で攻撃時に1枚ドローできるし、破壊されても「戦乱の世」で1枚ドローできる事を考えると、攻撃するのも良しだ。

 

 けれども、態々「屍竜の誘い」を使ってドラゴンゾンビトークンを並べたということから推測するに、「ドラゴン族」と「武仕(ぶし)」が複数体フィールドに居る事が召喚条件のモンスターが手札にいるんじゃないかなぁ。

 

 どうせムサシードはもう引けてるだろうし、あとは戦国カウンターを増やして条件を満たすだけ。そのカウンター増加役を担うモンスターが必要。まあ、その役割と召喚条件を加味すると……戦国竜騎だろう。「辻斬(つじぎ)リザード」*1と「屍竜の誘い」を合わせて使った方がカウンター楽に増やせると思うけど……ま、それはいいや。

 

 つまるところ、次のターンに召喚したいモンスターの召喚条件を考えると突っ込ませたくない、2枚ドローのアドは欲しい……って感じ。長考はよせ。するならするって言え!YEAH(言えー)

 

「……アタックシーン終了、ターンエンド」

 

 慎重だな、石橋を叩いて渡ると。叩きすぎて橋が崩れなきゃいいけど。…………サイターン引きませんように。いや、引いても良いんだけどさ。向こうの手札多いし。ただ今まで組んだプランが全部おじゃんになるからやめて欲しいかなぁ……

 

「ターンスタート。ドローシーン、リカバーシーン、メインシーン」

 

 引いたカードは「悪魔の仕込み(デビルズプレパレーション)」。ふぃー、フラグを建築した気がしたが、気のせいだったようだ。

 

 仕込み(プレパレーション)は使っておくのも悪くはない。手札にシルファードはいないけど、準備しておくに越したことはないだろう。

 

「手札から「悪魔の仕込み(デビルズプレパレーション)」を使用。効果により、デッキを上から5枚破棄。その中の悪魔族モンスターの数だけ、フィールドに悪魔カウンターを置く」

 

「させん。反撃(カウンター)で手札から「徹底好戦」を発動。手札からパワー300以下の「武仕(ぶし)」モンスターを1枚破棄する事で、相手のスペル効果を無効にする」

 

 手札で死にがちな低パワーモンスターを使った妨害カードか。まあ仕方ない、通そう。

 

「ない」

 

「では手札から「狙撃弓兵 イモリザード」を破棄し、「悪魔の仕込み(デビルズプレパレーション)」の効果は無効になる」

 

 俺のデッキに触れようとした悪魔の腕を、ジジイの墓地から放たれた弓矢が貫く。死してなお忠を尽くす的な感じで、良い演出だ。

 

 そんじゃあまぁ、このターンはこれでいいか。

 

「メイン終了、アタックスキップ。ターンエンド」

 

「貴様……舐めておるのか!」

 

「進めてくださーい」

 

「……良かろう。ターンスタート、ドローシーン、リカバーシーン、メイン。召喚条件は種別(カテゴリー)「ドラゴン族」「武仕(ぶし)」を持つモンスターがフィールドに5体以上。儂のフィールドにはドラゴンゾンビトークンが2体、足軽大将、剣豪、鉄砲隊が1体ずつ。条件は満たされておる」

 

 来るか。

 

「来たれぃ、乱世切り裂く竜翼!「戦国竜騎 リザードラグーン」!」

 

 咆哮が轟き、フィールドに飛影が現れる。

 

 空から急降下してきたソレは、大きな翼を目一杯広げて速度を殺し、着地する。デカめのワイバーンだ。その背には鎧で身を固めた竜人が騎乗しており、片手で十文字槍を振るいながら鬨の声をあげた。

 

「召喚時効果により、儂のフィールドにいる「武仕(ぶし)」モンスターにパワー+200。「一夜竜城」の効果により1枚ドロー!」

 

 竜人に続いて、フィールドのリザード達が鬨の声をあげる。常時発動効果ではないため、リザードラグーンを始末しても+分が消えない。まぁ些末なことだ。トークン共はパワー300、足軽大将はパワー800。ヤモリザードは400になって、剣豪は500。そしてリザードラグーンのパワーは1900。……俺は前のターンで強化(パンプ)前の剣豪と足軽大将の攻撃を受けてライフ残量4550…………まだ大丈夫か。どうせブイエールの防御(ブロック)は無意味になるし。

 

「メイン終了、アタックシーン!往けっ、リザードラグーン!攻撃時効果①により、自分フィールドにいる「武仕」モンスター1体につき、フィールドに戦国カウンターを1つ置く。フィールドにはリザードラグーンを含めて6体。戦国カウンターを6個置く」

 

「そして攻撃時効果②により、このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、再び攻撃権を得る!」

 

 連パン可能で、パワーも2000にギリ届かないが高水準。サブアタッカーとしては破格の性能だ。

 

「ブイエールで防御(ブロック)する」

 

 命令を受けたブイエールが駆け出そうとしたその時、高速で突っ込んできたリザードラグーンに轢き潰される。ま、パワー差1000以上あるしな。抵抗する間もない。

 

「ブイエールを破壊した事により、リザードラグーンは攻撃権を得る!再び往け、リザードラグーン!効果により、フィールドに戦国カウンターを6個置き、「一夜竜城」で1枚ドローする!」

 

「ない。ライフで受ける」

 

 超常的な飛行軌道を描きながら、戦国竜騎が俺へ突撃してくる。いてて。

 

「続け、ドラゴンゾンビトークン!剣豪リザード!ヤモリザード!足軽大将!」

 

「ない。全部ライフで受ける」

 

 雪崩の如く押し寄せてくるリザード達。それぞれが持つ得物を使って、俺のライフをギリギリまで削っていく。……残りライフは350。デカめのバーンが飛んできたら終わりだけど、まぁないだろう。保守ジジイが異物(テーマ外カード)入れるとも思えんし。

 

「ターンエンド。……貴様に勝ち目はもう無い。降参(サレンダー)せい」

 

「いやでーす、ターンスタート。ドローシーン、リカバーシーン、メインは何もせずアタックスキップ。ターンエンドで」

 

「……それが貴様の選んだ道か。良かろう、介錯してやる」

 

 結構でーす。はよして。

 

「ターンスタート。ドローシーン、リカバーシーン……メイン。召喚条件はフィールドに戦国カウンターが10個以上と種別(カテゴリー)「ドラゴン族」「武仕(ぶし)」を持つモンスターが5体以上。いずれも満たされておる」

 

 やっとか。長かったな〜……。いや、最短ではあるけど。

 

 

「戦乱の昇龍、二刀にて天を戴く!「二天一龍 ムサシードドラゴン」、見参!」

 

 

*1
モンスターを破壊し、戦国カウンターを1つ増やす効果を持つ。「相手のモンスター」とは言っていないので、自分のモンスターを破壊してカウンターを増やせるカード。





…………あんな所に城なんてあったか?

一夜竜城
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