悪魔族は贔屓しない。   作:倭猛らない

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武仕(ぶし)モンスター達の急先鋒。ワイバーンとの絆は硬く、お互いに決して見捨てたりしない。

俺達は、最期まで一緒だ。だろ、相棒?

Gurrrrrrr……

戦国竜騎 リザードラグーン


学生に将来の話は禁句。……俺もう学生じゃないけど

 

 ジジイの思惑はおそらくこうだ。

 

 退学届は脅しで、本気ではない。が、当然納得いかない俺は対戦(バトル)を申し込んでくるはず。

 

 自分が勝てば、悪魔族を今後使わない事を条件に退学届を取り消す。そして俺を部長へ……。

 

 万が一自分が負けたとしても。退学届を取り消され、部長になる事も拒否されるだろうと。こうなると全て振り出しに戻ったように見えるが、「厳粛な対戦(バトル)の結果」の一点張りで俺が部長になる道は閉ざせる。外からの追求もそれで封殺できる。ジジイも俺が部長になんて興味無いのは知ってるしな。

 

 つまりは、どちらに転んでも退学にはならない……はずだった。ジジイの計画には致命的にガバった部分がある。

 

 それは俺の好感度。

 

 調整ミスってルート逸れるとか、ギャルゲかな?

 

 いやぁね。俺に悪魔族を捨てさせる為に色々言ったんだろうけどさ、普通に許せねぇよ。使うのやめねぇって言ってんだろぶっ飛ばすぞオラッ!おォンッ!?オメーの思い通りになんてなってやんねー!!ペッ!!

 

「ジジイさぁ。色々考えてやってんのは分かるんだけどさ、もっと人に言った方がいいよ。せっかく喋れるのに喋んないならさ、年季入った置物と変わんねぇって。ほい、名前書いたぞ」

 

「……かもしれんのぅ。……判子持っとるか?」

 

「学生が常に判子持ち歩いてると思うな。代わりに血判でいいでしょ」

 

 適当に悪魔族デッキから抜いた1枚で親指を少し切る。じんわり滲む血を親指の腹に広げて、名前の横に捺印した。

 

「はい、これでいいでしょ」

 

「……血判か。奇しくもこれで、書類偽造の疑いを持たれることはないじゃろう」

 

 確かに。本人のDNAと合致する血判が捺されてる時点でな。

 

「……色々と、すまなかったな」

 

「別に許しはしないけど、気が楽になるんなら謝ればいいよ」

 

「いや、これはケジメだ。儂は教職を辞する」

 

 ほー。耄碌してるとはいえ、未だに影響力のあるジジイがか。ふーん。ま、良いんでねぇの?

 

「お主に数々の中傷をしてまで悪魔族を諦めさせようとするも、叶わず。あまつさえ退学という道を拓いてしまった。お主という一人の学生を、学園から追い出すことになった。これは大きな過失じゃ、これ以上ないと言ってよい」

 

「ふーん……あ、理事どうすんの、協会の」

 

「それも辞する」

 

「へー」

 

 ガチじゃん。教職辞める程度なら笑ってやるつもりだったけど、これは完全隠居モードだ。

 

「ま、いいや。もう関係ないし、好きにしたらいい。俺はこれで自由ってことで」

 

「うむ。…………して、この先どうするつもりじゃ」

 

「それ学生に聞く?地雷だよそれ」

 

「む、いや、そういう意味では……いや、同じか」

 

 ま、俺もう学生じゃないけど。職業不詳……いや、バイトしてるわ。……バイトしてても職業不詳だっけ?

 

 この先。これから。将来。学生は聞きたくないし考えたくない事だろう。

 

 俺は、別にやりたいこととか特にない。就職とかも……別にストリートファイトで日銭稼いでればいいかなぁって。両親が残した遺産もあるし。

 

 ん〜。ストリートファイトもあんまり同じ地域でやると「荒らし」認定されて誰も戦ってくれなくなるしなぁ。だから今は家から離れた場所でやってるし、そこで店長とも会った。……ぶっちゃけ、悪魔族デッキって戦ってて楽しいデッキではないしな。使ってる分には愉しいんだけど。度重なる反撃(カウンター)、妨害、コントロール奪取、手札破棄……基本一度戦った相手はもう対戦してくれない。

 

 どうしようかなぁ。

 

 戦いたいし、BPも稼ぎたい。ただ、同じ場所には留まって居られない……いや、なら丁度いいのがあるな。

 

「旅でもするか」

 

「旅か。…………最近物騒じゃ。お主の実力なら心配は要らんとは思うが……するなら気を付けよ」

 

「分かってるよーん。…………ん、チャイム鳴ったな。じゃ人目に付かないように帰るわ。さよなら〜」

 

「うむ……達者でな」

 

 一限目のチャイムが鳴ると同時に、校長室を出るのであった。もう会うこともないだろう。さらばクソジジイ、クソ学園。蝿にでも集られてな。

 

 ……あー、うるさいうるさい。黙れヴェールゼバルブ、お前じゃない。単なる表現っていうか…………ああもう。……てか店長にも話しないとな。

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ、戒?」

 





天下無双の愛刀。血肉や脂に塗れても、その切れ味に些かの陰りもない。

無銘鉄重
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