死なずの王。
身体は朽ち果てかけ、意識は殆どない。
それでも。終わりを奪われた者たちへ、終わりをもたらす誓いを守り続けている。
「リカバー、メイン。条件は相手のライフが3000以上。クリア!「
「召喚時効果!自分のライフを500削り、相手のモンスター1体を墓地へ送る。対象は「
「おォ」
俺のライフを吸収したグラシャグラスが、黒い霧を吐き出す。ソレは瞬く間にカナレーを包み込み、塵に変えた。ホント、助かるぜグラシャグラス。
「アタックシーン!行け、グラシャグラス!」
「このタイミングで、手札からソニックスペル「亡者の誘い」を使用ォ!墓地からパワー200以下の
ん。……あー、そういえばヒルコック引いた時と同じタイミングで、「早撃ち決闘場」の1枚ドローしてたか。確認しそびれてた。まぁ使わせたと考えればいい。
地から土にまみれたゾンビが生える。緩慢な動きでフィールドに立った瞬間、その首がグラシャグラスの牙によって噛み砕かれる。これで破壊だが……破壊時効果が使われるな。
「「名もなき
まぁ、無難なワンドロー効果だ。引いたのは「動く死体の黒脂」。こちらの攻撃を妨害できるカードではない。
「続ける。シグオムで攻撃!」
「無いぜェ。ライフで受ける!」
シグオムが再び空間を歪めて引き裂く。その中から現れたのは巨大な顎。……おそらく、ティラノサウルスのものだ。遥か太古から呼び出されたソレが藤に噛みつき、ライフを減らす。
「うわッ!?……心臓に悪ィな、ソイツ」
「ハハハハ。これでアタックシーン終了、ターンエンドだ」
「……よゥし、ターンスタート!ドローシーン!」
ドローされたのは
自分フィールドの「
このカードを破壊することで、手札の召喚条件を持たない「
墓地の「
自分のターンに1度、手札を1枚破棄する事でデッキを2枚破棄できる。
死体を食らう
死ねない亡者すらも、生態系は受け入れて糧にするのだ。
あらヤダ、しっかり強いわこの子。スーパー潤滑剤じゃん、就活で売り文句にしろ。
しかも、ちゃんと全部「できる」効果なのがいいね。使い所を選べるのは十分に長所だ。ただ、今の盤面と手札では召喚してもうま味薄い。召喚するなら、黒脂の方だろうか。
「来なァ!数多の屍取り込む怪魔、「動く死体の黒脂」!制限によりィ、墓地の「
ズリュと、墓地から黒いなにかが盛り上がる。それは死体から滲み出た脂だ。バング、ブラスカルデ、
足も、手も、頭も胴体もない。凡そ生物と呼べる特徴が見当たらない。ただ黒い脂が這いずっているだけ。より不気味なのは、脂の奥でバングと
こいつは面倒だ。コイツの破壊時、召喚する際に除外した「
グラシャグラスの破壊時がなければ、な。
「アタックシーン!「動く死体の黒脂」で攻撃!効果により、デッキから3枚破棄!破棄した中に
黒い脂が藤のデッキを吹き飛ばす。その中の「
「グラシャグラスで
牙を剥き出しにしてグラシャグラスが吠え、死体の山に挑みかかる。パワーが倍ある相手にも関わらず、その行動に一切の迷いは見えない。振るう爪を脂が絡め取り、ジュウジュウと音を立てて溶かしていく。やがて爪だけではなく腕、身体、頭と脂の触手が伸びて、内側へ取り込んでいく。グロい。
が、グラシャグラスは頭を取り込まれる直前に黒い霧を吐き出した。
「グラシャグラスの破壊時効果。自分のライフを半分削り、相手モンスター1体を墓地へ送る」
「おォッと。そう来やがるかァ」
「墓地へ送る効果」で墓地へ移動したカードは、破壊時効果を発動できない。小学生でも知ってる事だ。
黒い霧に蝕まれて、グラシャグラスごと「動く死体の黒脂」が塵へと消えていく。
グラシャグラスは生粋の
特に、破壊時の「自分のライフを半分削り、相手モンスター1体を墓地へ送る」が優秀だ。コストが自分のライフの半分だから、自傷で死ぬ事がない。まぁ、ガッツリ持っていかれる事もあるけど。今回のように。
「自分のライフを半減させてまで潰すかァ。よく分かってんじゃねェか」
「見え透いたマスカン通す奴なんて居ないでしょって。「
「アタックシーン終了、ターンエンドだ」
流石に今の状態でブラスカルデを着地させるワケにはいかない。レアヴィータの手札発動効果を掻い潜られるし、最悪そのまんまゲームエンドまである。……引いたのは「
「ターンスタート、ドローシーン」
引いたカードは……「
攻撃はどうするかどうか、だな。レアヴィータ着地させる為に少し誘ってみるか。
「リカバーシーン、メインシーン。何もせずアタックシーン。シグオムで攻撃する!」
「このタイミングで墓地の「死鳥獣 ネクロガルダー」の効果発動ォ!このカードをデッキの下へ戻し、手札の「
「何もない」
「ならば死を喰う翼、「屍喰らい スカヴァルチャー」を追加召喚だァ!」
黒い羽根が舞い、竜巻が発生する。その中から現れるは黒翼の巨鳥。ハゲ頭が特徴的な掃除屋だ。シグオムの前に立ちはだかり、叫声をあげる。
「召喚時効果は使わねェ!」
「何もない」
「ならば
命令を受けて巨鳥が飛翔し、鋭いかぎ爪でシグオムを捕らえんと降下する。それを目の当たりにしたシグオムは一度だけ、指をパチンと鳴らした。
スカヴァルチャー直上の空間が裂け、中から空飛ぶ円盤が姿を現す。ニョニョニョニョニョ……と独特な音と共に円盤の下部から光が照射され、直下の巨鳥を捕らえた。直後、円盤は捕らえたスカヴァルチャーごと裂けた空間の中へ消えていった。……うーん、見事な
「……これ、破壊時発動できんのかァ?連れ去られてんだが……」
「知らないのか、宇宙人は連れ去った生物を実験に使って殺すんだ。もちろん使えるさ」
「エグい事しやがる。……気を取り直してェ、破壊時効果発動!墓地の「
「何もないぞ」
「墓地のデソード、ライデス、「動く死体の黒脂」をデッキに戻すぜェ。よって3枚ドロォー!」
引かれたカードは……「異次元回収アンカー」、「
……戻ってくるか、ブラスカルデ。
「アタックシーン終了、ターンエンド」
「俺のターン!ドロー、リカバー、メインだァ!手札からスペル、「異次元回収アンカー」を使う!除外されたカードを1枚手札に戻す!」
引かれたカードは「スペルブレイク」。来たな御三家*1スペル。……
「ない」
「そんじゃァ戻ってこい!「
「黒套の骸、終わりなき死を終わらせる者!来い、「
黒い風が吹く。それは王の訪れを知らせる風。終わりもたらす骸の王が来た。
いや、まぁ正直安心した。対エース抱え落ちは悲しい。
「召喚時効果ァ!自分の手札、フィールド、墓地のモンスター全てに
これが強ぇんだ。「お前は
「よってェ、除外される「名もなき
「続いて「名もなき
引かれたカードは「屍山血河」。大局に差し障りはないな。
「ある。手札の「
「────来るかァ!!」
フィールドに海水が満ちる。
「日を呪うもの、ねじれるもの、海を統べるもの。比肩を許さぬ、最も強き蛇。「
最強の生物としてデザインされた海蛇。
故に、自身より強いものを許さない。