死する星より分かたれた虹翼の龍神。
希望、輝き、未来を象徴する。
虹星龍神 ホープフル・ドラグノヴァ
(シークレット 悪末ver)
藤との激戦を終えて。数人と電話番号を交換し、見送られながら廃工場を後にした俺。外はすっかり夜になっていたので、適当なビジホにチェックイン。
狭めな部屋の中、それなりな柔らかさのベッドへ横になる。
「……楽しかったけど、疲れたな」
ほんとに疲れた。
朝にジジィと。昼から夜まで藤達と大連戦。
あれほど濃密な
横になりながら、スマホで今日戦ったデッキを調べる。
……「
「
ギャンブルは……「
……イカサマ無しでガチギャンブルしてたってことかよ、あの
くあぁ……とあくびをこぼしながら、時計をチラリ。
「寝るには早いな……」
そういえば、飯もまだだ。適当にコンビニで何か買ってくるか。甘いものが食べたい。
知っているか、血糖値スパイクで死ぬように眠るのは心地良いんだ。ヴェールゼバルブもそうだそうだと言っています。
『早死にするぞ』
好きなことして死ぬんなら本望だろうが。よく分かってんだろお前ら。
「行くか」
さぁて、何買おうか。と考えながらロビーに出ると、フロントに声を掛けられた。
「お客様、近頃プレイヤー狩りが当ホテル近辺に出没しております。外出の際は、どうかお気を付けください……」
プレイヤー狩りぃ?随分物騒だなこの辺。まぁちょっと出るだけだし、大丈夫大丈夫。
「ようお兄ちゃん、有り金とデッキ、BPも全部置いて行けよ」
「じゃないと痛い目遭っちゃうよ~ん?」
舌ピやら鼻ピ開けた強面共にぐるっと囲まれています。なんでこうなるのか。……いや、普通に迂闊だったか。腹減ってんだからしょうがないと言い訳します。
というか、痛い目遭うもなにもお前ら手ぇ出せないだろ。
モヒカンの男が近付いてくる。
「反抗すんなら
「取れてねぇよ」
「…………あぁ?」
「釣り合いが取れてねぇって言ってんだけど」
「…………お前、状況分かってんのか?」
「俺は勝ちさえすれば、勝者の報酬に頼らずともアンタ等を追い払える」
「お前らが負けても尚、厚顔無恥にも付き纏ってくるなら話は別だけどな」
そっちに恩恵があって、こっちにないのは不公平。不利益しか被らないテーブルに着くつもりはない。
コイツ等プレイヤー狩りは、無理矢理暴力でデッキやカードを奪ったりはしない。普通に捕まるから。態々
なんともまぁ、カッコがつかない。あんなにイキり散らかした言動をしている割に、ちゃあんと弁えているのだ。面白れぇ~~。
こめかみに青筋を立てて男たちが吠える。
「このガキがぁ……!!」
「チィ、しゃあねぇな。そんなら……」
坊主頭に刺青を入れた男が、カードを1枚取り出す。なんだ、真っ黒のカード……?
「
「は?」
瞬間、カードが弾けて闇が周囲に広がる。やがてそれはドーム状になり、俺たちを包み込む。
なにこれ、お前らわかる?……わかるけど言わない?じゃあいいや。契約はしないから黙ってろ。
「ケケケ、こうなりゃお前も終わりだぜぇ……」
「ここは「闇の領域」。
別に
「この領域内で敗北した者は、勝者に絶対服従。拒否しようとも嫌がろうとも、「闇の呪縛」により闇が呪いとなり、無理矢理従わせる。お前が勝ったなら、オレ達をお前の思う通りにしても良いわけだ」
これでイーブンだろう?と視線を向ける、高そうな眼鏡をかけた男。
俺が負けたら、コイツらにデッキ、カード、有り金、BPを奪われる。俺が勝てば、コイツらになんでもやらせる事ができる。
……うーん、まぁいいか。「
はぁ。にー、しー、ろー、はー……八人か。丁度いい。
「準備しろ、早くやろう」
「漸くその気になったかよ、オレがやらせて貰うぜ」
「あー、違う違う」
「全員でかかって来いよ」
「……はぁ?」
悪魔族入れれば、一度に全員相手できる。
バッグからデッキを七つ取り出すと、地面から生えてきた闇の触腕がデッキを持ち、更にシャッフルまでし始めた。あざす、便利だね。
「コイツ……!」
「どういう事だぁ!?」
この「闇の領域」とやらに閉じ込められているのは、俺だけじゃない。発動したコイツら自身もだ。敗者に課されるペナルティから察するに、この領域は特定の誰かを支援するものではなく、あくまで中立のもの。コイツらの思う通りに動くものではないのだろう。
ご丁寧に電波も遮断されているし、拒否されたり嫌がられたらこれで標的を閉じ込め、潰すのがコイツらのやり方か。
……いや、なんか引っかかる。
結局
やっぱり、何かしらコイツらへのメリットがあると考えるのが自然か?
「お前らビビってんじゃねぇぞ!!デッキを幾つも使う奴は、ひとつひとつのデッキとの相性はそこまで良くないってのが普通だ!」
「いやそっちも大概マズいだろ!雑魚相手にはむしろオレらの運命力が……!」
「馬鹿が!それ以上喋んじゃねぇ!」
何か言い争いが始まった。やはりと云うべきか、コイツらに仲間意識なんてものはない。甘い蜜啜る為に集まっただけの虫ケラってことだ。
パンッと手を叩いて、眼鏡の男が喋り出す。
「勝ちゃこっちのもんだろ。寧ろ1on1じゃないのは好都合だ。思考力も分散し削がれ、最適手を取れない相手に負けると思ってんのか?やるぞお前ら」
「……チッ!」
「この領域内のことは、あの方も見てる。余計な口は叩かない事だ」
あの方ぁ?……多分コイツらの上司かな。ソイツが「
……まぁそれは今はいい。
どうやらやってくれるようだし、速攻で派手に潰してやるとしよう。腹減ってんだよ俺は。
全てシャッフルし終えた触腕が、いつの間にかそこにあったバトルテーブルにデッキを並べる。ご丁寧に俺を中心として囲むような配置だ。
「モリモリワンパンフェンリガルム」
「
「切腹強要バーン」
「無限デッキバーンストーム」
「
「ネムレトスペバ」
「
ロマンデッキ、テーマデッキ、コンボデッキ。沢山組んだ中でもお気に入り、選り取り見取りのデッキ達。
俺がこれらを持ってきた理由はただひとつ。
圧倒的な初見殺し的強さを誇るから。大会はおろか、BP稼ぎやプライベートマッチにも出すことを憚られる程の悪辣さを持っているから。「モリモリワンパンフェンリガルム」以外は、俺の一人回し以外での
「悪いけど、今から始まるのは……」
一方的な蹂躙だ。
ガンダムザガンかっこいい。