悪魔族は贔屓しない。   作:倭猛らない

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最速の死神は空を裂いてやってくる。…ほら、聞こえるか。この音だ……

AW-71 マッハファルコン



大会へ

 

 チンピラを警察に突き出してから約一週間。かなり平和な日々が続いた。いや、先行ワンキルぶちかましたせいで周りからは結構引かれたけど。店長は「やるね〜。さすが最強店員だー」って褒めてくれた。癒し〜。あとチビ達も「すげー!にいちゃんつえー!」「デッキとあいしょーばっちりね!」「……すごかった」「いいのが見れたよー。ありがとねー」って言ってくれた。へへへ。いい事したぜ。

 

 まぁ、俺とこのデッキ……悪魔デッキは別に相性がいいわけじゃないんだけどな。アイツら曰く、「我々が運命線弄ってカードの順番変えたりしたら、デッキ伏せてる意味もシャッフルする意味もなくないですか?」「はぁ?あんなのインチキだ。我らはやらねーぞ」「運で戦え」……らしい。百理あるかもしれん。まあつまりは愛とか絆とかじゃなくて、単なるビジネスライクだ。

 

 さて、今日は日曜日。ちょっと自宅から遠出して、デカめの大会に行くのだ。ちょいと賞金稼ぎにな。

 

「優勝者には500万バトルポイントと、県立の最新対戦スペースの優待券。優勝はできなくとも、対戦でバトルポイント貰えるし、参加賞に汎用カードも貰える……美味すぎるな」

 

 ぶっちゃけ、俺のデッキだと本当に勝ち上がれるかどうかは運次第。上振れ願いながら、出来る事をやって頑張るしかない。……電車が来た。

 

「……行くか」

 

 

 

 ──────────

 

 

 

 会場内は異様な雰囲気に包まれていた。その理由は、黒髪赤眼の少年のデッキ。

 

「おいアイツ、悪魔族デッキ使ってやがるぞ……」

 

「……勝てると思ってんのか?」

 

「県内某所のカードショップのバイトに、とんでもない強さの悪魔使いがいるらしいわ。彼の事じゃないかしら……」

 

「アレだろ、AW(アニマルウェポン)使いが先行ワンキルされたって噂だろ。あんなもんどっかで尾びれ背びれ胸びれついてるに決まってんだろーが」

 

「いやぁ、にしてはなぁ……」

 

 噂話をしている男女がチラリ、と。件の黒髪赤眼の少年が戦っているテーブルを見てみる。

 

「ク、クソッ!!手札からスペル、「簡易召喚(インスタントサモン)」を発動!手札からパワー500以下のモンスターを……」

 

「させません。反撃(カウンター)で手札からソニックスペル、「悪魔の契約(デーモンズコントラクト)」を発動。このカードを破棄し、更にフィールドの「序列(デーモンズ)」と名の付くモンスターを破壊する事で、「簡易召喚(インスタントサモン)」を無効にします。破壊対象は「序列三十七位(デーモンズサーティーセブン) フェルネクス」にします。反撃(カウンター)ありますか?」

 

「ぐっううっ……!!な、ない……」

 

「では効果処理。フェルネクスを破壊し、「簡易召喚(インスタントサモン)」を無効に。更に破壊されたフェルネクスの効果を発動。このモンスターのパワーを-200する事でフィールドに残ります。そしてフィールドカード「悪魔の遊戯場(ヘルズパーク)」の常時発動効果②により、悪魔族が破壊されたので、自分のライフを300減らし、デッキから1枚ドロー。何かありますか?」

 

「ない……」

 

「ではフェルネクスのパワーを-200してフィールドに残し、ライフを減らして、1枚ドローします。このタイミングで「序列十一位(デーモンズイレブン) シグオム」の手札発動効果を発揮。このカードを自分の手札1枚を破棄する事で追加召喚します。何かありますか?」

 

「ない……」

 

「では手札から「七大罪科(デビルズシン) 怠惰のフェルベルゴール」を破棄。シグオムを追加召喚します。召喚時効果、手札の「序列(デーモンズ)」と名の付くモンスター1体を、召喚条件を無視して追加召喚。この効果で召喚したモンスターの召喚時効果は発動できないです。何かありますか?」

 

「ない……」

 

「では手札から「序列一位(デーモンズワン) ヴァール」を追加召喚します。何かありますか?」

 

「ないです……」

 

「俺もないです。どうぞ」

 

「ターンエンド……」

 

 

 

「……本物じゃねぇか?」

 

「……かもなぁ」

 

「えっぐいわねぇ……」

 

 対戦相手の大男が、どんどんとシワシワになっていってる気がするのは、恐らく気のせいではないだろう。

 

「自分のターンで、攻撃を完全に受け切られた上に展開までされるのきっついんだよなぁ……」

 

「分かる……」

 

「悲しくなるわよねぇ……」

 

 苦笑いする集団のすぐ隣で、惨劇が続く。

 

「ではアタックシーン。このタイミングで、墓地の「悪魔の契約(デーモンズコントラクト)」の効果を発動します。自分のライフを500削り、手札に戻します。反撃(カウンター)ありますか?」

 

「ないです……」

 

「では「悪魔の契約(デーモンズコントラクト)」の効果に反撃(カウンター)で「悪魔の交渉(デーモンズネゴシエーション)」を発動。自分のライフを半分にする事で、以下の効果のいずれかひとつを発揮します。

 ①このターンの間、相手はスペルカードを発動できない。

 ②このターンの間、自分のライフ減少は相手プレイヤーが肩代わりする。

 ③相手のモンスター1体の効果を無効にする。この効果は永続する。

 俺は②の効果を適用し、発揮します。何かありますか?」

 

「ないです…………」

 

「では効果を処理します。先に「悪魔の交渉(デーモンズネゴシエーション)」の効果が発揮され、このターン俺が受けるダメージは貴方が代わりに受けます。続いて墓地の「悪魔の契約(デーモンズコントラクト)」の効果を発動。自分のライフを500削り、手札に戻します。「悪魔の交渉(デーモンズネゴシエーション)」の効果により、俺への500ダメージを貴方が肩代わりします。ダメージを受けてください」

 

「はい……」

 

「では「序列一位(デーモンズワン) ヴァール」で攻撃。攻撃時効果により、手札の「悪魔」と名の付くスペルカードを破棄する事で追加攻撃できます。何かありますか?」

 

「ないです……」

 

「では先程回収した「悪魔の契約(デーモンズコントラクト)」を破棄し、追加攻撃権を得ます。何かありますか?」

 

「ありません……ライフで受けます……」

 

「では再びヴァールで攻撃します。攻撃時効果は発揮しません。何かありますか?」

 

「ありません、ライフで……」

 

「リーサルです。ありがとうございました、良い対戦(バトル)でした」

 

「し、勝者!あくまつかい選手!」

 

 そりゃ、お前にとっちゃ良いバトルだったろうよ。と、聞き耳を立てていたり、覗き見をしていた者は思いながら、パチパチと拍手を送る。

 

「ぐすん……」

 

 若干涙ぐみながら、参加賞をスタッフから受け取って大男は……「筋肉蛮族(マッスラー)」の異名を持つ彼は、その筋肉を縮こませて去っていく。その背には、深い哀愁が漂っていた。

 

「可哀想に……まあ、先ずは一勝だ」

 

 増えたバトルポイントを見てニヤニヤしながら、少年は二回戦の舞台へ向けて歩み始めた。

 

 





来たぞ!ミサイルカだ!迎撃しろ!!

AW-02 ミサイルカ

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