悪魔族は贔屓しない。   作:倭猛らない

4 / 29

消えぬ炎を与えよう。対価は貴様の魂だ。

序列三十七位(デーモンズサーティーセブン) フェルネクス




召喚制限を易々と踏み倒すエキセントリックガール

 

 二回戦の舞台に上がると、一人の少女が佇んでいた。なんか……すんごい格好してるな。何故お腹を出しているんだ?

 

「……あなたが、わたしの相手?」

 

「そう……だな、うん。やろうか?」

 

「うん。スタッフ、審判おねがい」

 

「お任せを!!では赤コーナー、あくまつかい選手!青コーナー、キサラギ選手!両者、対戦(バトル)を開始してください!!」

 

 キサラギ……聞いたことない選手だ。てかそんなに露出してたらお腹冷やすぞ、エキセントリックガール。ジーンズのダメージエグイな。戦場帰り? 

 

「先行はどちらが取りますか?要望が被るようならコイントスで決定します」

 

「デッキセット、レディー。手札準備(ハンズレディー)。俺はどっちでも」

 

「デッキセットレディー……手札準備(ハンズレディー)。わたしもどっちでも」

 

「では、コイントスで決定します。表ならあくまつかい選手、裏ならキサラギ選手で。そいっ!」

 

 キィンッと親指に弾かれたコインを、審判がパチンと手で挟んだ。……多分裏だな。

 

「裏!では先行はキサラギ選手からです!」

 

 やはりな。コイツも愛されている。

 

「うん。じゃあ、いくよ」

 

「「対戦(バトル)」」

 

 ……手札は「序列十位(デーモンズテン) ブイエール」

悪魔の遊戯場(ヘルズパーク)

「パワーリバース」

悪魔の囁き(デビルズウィスパー)

 

 まあまあだな。粘って七大罪科(デビルズシン)か、ヴァールかアルガレスを引きたいところ。

 

「ターンスタート、ドロースキップ。リカバースキップ、メインシーン。わたしは手札からフィールドカード、「影絵会(シャドーミーティング)」を配置する」

 

 影絵テーマの必須カード……!影絵デッキか。デッキオープンを多用してサーチするテーマ。初動は遅めだが、勢いに乗ると手が付けられんパワーデッキ。戦うのは初めてだ。

 

「手札から「影絵犬(シャドードッグ)」を召喚。召喚時効果でデッキから3枚オープンして、その中の影絵カードを1枚手札に加える。残ったカードは墓地へ……」

 

 手札から呼び出されるは、犬の形をした影。遠吠えをあげるような動作をした後、デッキからカードがオープンされる。

 

「オープンされたのは「影絵の早業(シャドーテクニック)」、「影絵兎(シャドーラビット)」、「影絵分離術(シャドーディバイド)」。手札に加えるのは「影絵兎(シャドーラビット)」。更に「影絵の早業(シャドーテクニック)」は影絵モンスターによりデッキからオープンされた時、手札に加えることが出来る。残った「影絵分離術(シャドーディバイド)」は破棄……」

 

 うーん、出来れば止めておきたかったが……ないものねだりか。「悪魔(デーモンズ)」スペルカードは効果無効を持つ場合が多いが、そのせいでデッキに1枚しか入れられないのがほとんど。初期手札にはなかなかこない。

 その代わり墓地からライフをコストに回収出来るが、多用厳禁。相手のライフバーンで死ぬ(n敗)

 

「手札から「影絵の早業(シャドーテクニック)」。効果で手札の影絵モンスターを1体追加召喚……。さっき手札に加えた「影絵兎(シャドーラビット)」を追加召喚。……そういえば、何かある?聞き忘れてた」

 

「大丈夫、何もないです。使う時割り込むから気にせず続けて貰えれば」

 

「うん、ありがとう。「影絵兎(シャドーラビット)」の召喚時効果、デッキを上から5枚オープンして、影絵カードと影絵モンスターを1枚ずつ手札に加える。もしくは、オープンされた影絵モンスターをフィールドの影絵モンスターの下へ置く。残ったカードは破棄で……」

 

 とんでもねぇアドカードだな。1枚で2枚回収とは。初動が遅いって誰が言ったんだ?超早いぞ。

 

「先ずはオープン……影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)、「影絵亀 甲羅(シャドータートル・アーマー)」、「手製の暗影(ハンドメイドシャドー)」、「影絵虎(シャドータイガー)」、「影絵混合術(シャドーミキシング)」。……手札に加えるのは「影絵混合術(シャドーミキシング)」と「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」……。残りは破棄。メインシーン終了、アタックスキップ。ターンエンド……」

 

 ……なんか明らかにヤバそうなカードが手札に加わらなかったか?多分アイツがフィニッシャーだよな……。一緒に手札に加えた「影絵混合術(シャドーミキシング)」は多分召喚に使うカードだ。どっちにも混合って入ってるし。

 

「ターンスタート、ドローシーン」

 

 引いたカードは「序列五十六位(デーモンズフィフティーシックス) グレイモール」。悪くない。今は使えないけど。多分、「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」の対策になると思う。

 

「リカバーシーン、メインシーン開始。手札からフィールドカード、「悪魔の遊戯場(ヘルズパーク)」を配置」

 

悪魔の遊戯場(ヘルズパーク)」はターン1で相手モンスターの追加召喚を、手札1枚をコストに無効化する効果に加えて悪魔族モンスターが破壊された時、ライフをコストに1枚ドローできる優秀なフィールドカード。当然3枚(フル)積み。

 

「メインシーン終了、アタックスキップ。ターンエンドで」

 

 ここは何もしない。相手の攻撃に合わせる。

 

「ん。じゃあターンスタート。ドローシーン、リカバーシーン、メイン。…………いくよ

 

「!」

 

 来るか。

 

「我が影は混沌。全てを呑み込み混ぜ合わせる、攪拌の獣神!「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」、召喚!」

 

「この瞬間、手札の「影絵混合術(シャドーミキシング)」を発動……!召喚制限を持つ影絵モンスターを召喚する時、手札にあるこのカードを破棄する事で、召喚制限を無視して召喚できる……!よって、「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」の召喚制限、「自分の場と墓地に「影絵」モンスターが合わせて15枚以上なければ重ねて召喚出来ない」を無視する……!フィールドの「影絵兎(シャドーラビット)」の上に重ねて召喚!!」

 

 影の兎から闇が溢れ、竜巻のように舞い上がる。1秒、2秒と経過する毎に威圧感が増していき、5秒経った頃に闇が弾ける。そこには、様々な動物の特徴を持つ獣神が立っていた。その姿はケンタウロスのようで、獣の下半身と人のような上半身で構成されている。纏う影はもはや、奈落の闇そのもの。暗黒の奥から血のように紅い目が4つ、俺を見つめていた。

 

「フィールドの「影絵会(シャドーミーティング)」常時発動効果②により、「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」の下へ墓地の「影絵虎(シャドータイガー)」を追加……。影絵モンスターは下にある影絵モンスターの枚数分パワーを上昇させる。……「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」のパワーは、現在+200されてる」

 

 なーんか、とんでもないな。激重制限踏み倒してんじゃねぇよ。影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)のパワーは2200。素は2000か。制限に見合ったパワーだ。それを先行2ターン目から出されちゃたまったもんじゃないな。とにかく粘らなくては。

 

「手札から、「序列五十六位(デーモンズフィフティーシックス) グレイモール」の効果発動!このカードはパワー700以上の相手モンスターが召喚された時、直ちに召喚できる。反撃(カウンター)ありますか?」

 

「ううん、ないよ」

 

「では「序列五十六位(デーモンズフィフティーシックス) グレイモール」を召喚する!」

 

 俺の手札から紋章(シジル)が浮かび上がり、その中から際どいボンテージを着た、豊満な身体付きの美女悪魔が現れる。黒く艶のある髪を靡かせながら、コウモリの翼を大きく広げた。

 

「むぅ……」

 

 ……なんか、キサラギがグレイモールを凝視しながら黙りこくっている。普通に「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」でぶん殴ってくれるとありがたいんだけど。……おいグレイモール、前屈みになってその豊満な胸を彼女に見せつけるな。どういう意図だよそれ。

 

「ん!アタックシーン!「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」!あいつを殺って!攻撃時効果で、フィールドの影絵モンスターを好きなだけこのカードの下へ置く!「影絵犬(シャドードッグ)」を吸収!さらに常時発動効果でパワーが+100!合計2300!!」

 

 暴の化身かよ。

 

影絵犬(シャドードッグ)」を吸収し、命令を受けた「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」が攻撃を開始する。右半身を巨大な虎のアギトへ変え、グレイモールへ喰らいついて噛み砕く。リョナの極み。だが、策は成った。

 

「グレイモールの破壊時効果!パワーが倍以上の相手モンスターに破壊された時、デッキから1枚ドローしてフィールドに残る!」

 

 噛み砕かれた後に吐き捨てられて宙を舞うグレイモールだが、瞬く間に傷が塞がり、何事もなくふわりと地面に着地した。煽るようにあっかんべーまでする余裕っぷり。

 

「むむむ……」

 

 グレイモールのパワーは700。その倍は1400。「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」のパワーは、その遥か上である2300。パワーが高すぎるが故に、突破できない。1400以内に収まる、ちょうどいいパワーのモンスターで破壊するか、効果破壊でフィールドから退かすか……。どちらにせよ、高いパワーを持つフィニッシャー単体では突破が難しい壁役だ。更にドロー効果まで仕込んでいる。超優秀。

 

「悪魔族モンスターが破壊されたので「悪魔の遊戯場(ヘルズパーク)」の常時発動効果②により、自分のライフを300減らしてデッキから1枚ドローする」

 

 引いたカードはそれぞれ「悪魔の契約遵守(デーモンズオベイプロミス)」、「悪魔の手腕(デビルズハンド)」。……スペルばっかだな。全然いいけど。使える使える。

 

「んんん…………このターンでは崩せない。ターン終了……」

 

 よーし。こっちには「パワーリバース」がある。2枚ドローしてアドは稼いだし、そろそろやっちまっていいでしょう。耐性あるなら……うん。こっちもパワーカード出すしかない。

 

「ターンスタート、ドローシーン」

 

 引いたカードは……お、「序列十一位(デーモンズイレブン) シグオム」。自分の手札1枚をコストに召喚できて、フィールドに居る限りずっと相手の手札を開示させるカード。召喚時効果も強い。擦っていきたいが、今召喚できる「序列(デーモンズ)」カードがブイエールしかない。ブイエールはブイエール自身の効果じゃなけりゃ召喚できないんだ。

 

 悪魔デッキは、個々のカードは強いし、噛み合う時もあるにはある。だけど……今回はちょっと噛み合ってない。残念。

 

「リカバーシーン。メインは何もせずにそのままアタックシーンへ移行。グレイモールで攻撃!」

 

「くる……」

 

 グレイモールが翼を広げて突撃する。当然、「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」は迎撃の構えだ。

 

「このタイミングで手札からソニックスペル、「パワーリバース」を発動する!効果により、グレイモールのパワーと「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」のパワーを入れ替える!」

 

「無駄……!「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」の常時発動効果②により、下にある影絵モンスターカードを1枚……「影絵兎(シャドーラビット)」を破棄!これで、相手の効果の対象にならない!パワーが2200に下がるけど、「パワーリバース」は無効になる!」

 

 効果対象にならない!?パワー2000で!?そんなもん先行2ターン目で出すな!

 

 今度は身体中に無数の犬のアギトを造り、グレイモールを迎撃する「影絵混合獣神(カオティックシャドービースト)」。触手のように伸ばされたアギトが、グレイモールをバラバラに噛み裂いた。が、効果によりまた復活する。

 

 このターンで突破は難しいか……。レアヴィータが出てくれれば何とかなりそうだが……。

 

「グレイモールの効果で、デッキから1枚ドローしてフィールドに残る。更に、「悪魔の遊戯場(ヘルズパーク)」の効果でライフを減らし、1枚ドロー……」

 

 引いたカードは、「浄化の光」。そしてもう1枚は……

 

「あっ!!」

 

七大罪科(デビルズシン) 憤怒のサイターン」

 

このカードは手札に加えられた時、直ちに追加召喚しなくてはならない

 

 

 





愛を貴方に与えましょう。対価は魂でいいわよ。

序列五十六位(デーモンズフィフティーシックス) グレイモール

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。