TS主人公がVTuberやるのはよく見る話で、また別ジャンルにはなりますが、義妹が寝落ちして義兄がVTuberの存在知って〜って流れもよく見る話。

とりあえずちょこちょこ手を加えて合体ッ!してみました。

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正直義兄をTSさせるか、主人公をTSさせるかでめっちゃ悩んだのですが、現地民の義兄TSさせると文字数がとんでもない事になりそうだったので主人公TSさせました。


寝落ちがきっかけで義兄がVTuberであることをTS娘が知ってしまう、ありそうでなかった逆の話

将来の夢もなく、やりたいこともなく、ただただ流れに身を任せるだけの人生。

 

思い返すと、実につまらない人生だった。

両親にも、友人にも、同僚達にも恵まれた俺は、一般的に見れば、幸福な人生を送れていたのだと思う。

 

多少の困難はあれど、乗り越えられない程でもなく、その都度その都度乗り越えて、今日まで生きてきた。

 

……でも、結局のところ、そこに俺の意思はなかったように思える。

 

周りの意見に身を任せ、少しでも批判されるような素振りが見えればすぐさま同調し、他者の顔色ばかりを伺って生きる。

それが、これまで何も考えずに流れに身を任せて来た俺の処世術だった。

 

一々記憶を掘り返さなくても分かる。

ここまで生きてきた中で、俺が自分から動いたことなど片手で数えられる程度だと。

 

……結局それも物心ついた直後とかだったりだし、この性格は筋金入りなのかもしれないけど。

 

「はっ、ははは…」

 

降りしきる雨粒たちが、自嘲しながら笑う俺の体を濡らす。

それと同時に雨水で塗れた地面へと、胸元から流れた赤い液体が混ざって行く。

 

ああ…なんで、こうなったんだっけ?

 

この雨天の中でも、独特の存在感を放つそれに目を向け、思考に耽る。

 

きっかけは些細なものだった。

 

どんな職場には1人でもいるであろう、社会を舐め腐った――とは言わないまでも、どこか舐めたような態度を取る同僚。

態度はともかく、仕事はまあまあできる方で、他の同僚達も気に入らないながらも、認めてはいた。

 

そんな彼が、とある問題を起こした。

担当した書類の一部に、明らかな不備があり、彼はそれに気付くことなく、取引先へと送ってしまったのだ。

 

それだけならばまだリカバリーも効いたのだろうが……あろうことか、彼はそれ以外にもやらかしてしまったのだ。

 

「ま、さか…押し付けてく、るとは……な」

 

これまでのことから、いつかはこうなる気がしていたとはいえ、実際やられてみると……絶句せざるを得なかった。

 

あまりにも露骨過ぎて、あちらの方々も困惑するレベルだったというのに、ゴリ押しを決めたその勢いだけは賞賛するけども……

 

まぁでも、勢いだけで誤魔化せるなら、ウチの会社なんてとっくの前に潰れてる訳で。

 

……結論から言うと、彼はクビを切られることとなった。

 

仕事はできるから見逃されていただけで、損害出すならいらないって感じである。残当。

 

で、問題はここから。

 

なんでだの、おかしいだのと散々騒いでいたが、まぁそりゃそうなるよなと冷めた目で見ていた俺――彼的に下に見ていた奴が評価されたことが余程気に入らなかったのか、めちゃくちゃ恨まれるハメになった。

 

今回の件がきっかけだと思い込んでるのがデカいみたいだけど、君が知らないだけで俺結構評価されてる方だったからね?

 

ウチの会社、別にブラックでもなんでもないんだし、働けばそれ相応に評価してくれるし。

 

……なんて内心で某夢の国のネズミの如くハハッ☆っと馬鹿にしながら、いつも通り過ごしてみれば、コレ(・・)である。

 

「ハッ、はは………ハハハハ!お、お前が悪いんだ!思い通りにならないのが悪いんだよ!」

 

「ちっ、くしょ……ッ!!」

 

恨みという感情の恐ろしさを甘く見ていた。

 

白昼堂々、赤く染まった鉄パイプを振り下ろした男は、どこからどう見ても正気ではなく、ただただ訳の分からない主張をしながら喚いている。

 

「もう終わりだ……これで終わりだ!オレも、お前も!!」

 

そう叫ぶ男の目を見て、理解した。

――否、させられた。

 

失う恐怖を忘れた人間は、最も恐ろしい存在なのだと。

 

「こ、んな、とこっ!…ろで……」

 

「に、逃がすかよ!」

 

段々と遠ざかって行く悲鳴の数々をBGMに、人生のゲームオーバーが近いことを実感する。

 

「他ならぬ自分のことは、自分が一番よく分かる」とはよく言ったものだろう。

 

今すぐ治療すればまだ間に合うかもしれないが、病院に担ぎ込まれる頃にはもう遅い。

 

生き延びるには血を流し過ぎた。

 

奇跡でも起きて生還したとしても、後遺症やその他諸々で尾を引くことになるのは想像にかたくない。

 

――「だったらもういいんじゃないか」と悪魔が囁く。

――「だからといって諦めていいのか」と天使が叫ぶ。

 

二つの問い掛けに対し、俺は……俺は、悪魔の手を取った。

 

母さんや父さん、こんな俺にも仲良くしてくれた友人達には心底申し訳ないが……もう苦しいのは嫌なんだ。

 

痛いのも、寒いのも、怖いのも、寂しいのも、もう嫌だった。

 

俺はこの苦しみに勝てるほど強くない。

――常々逃げ続けてきたような人間だし、当たり前だが。

 

だからなのか、思ったよりすんなりと諦められた。

流れ出した走馬灯を呑気に眺めていると、ついにお迎えの時がやって来た。

 

お約束とも言える急激な眠気に襲われ、目を開いていることすら億劫なる。

脱力しきった体はノータイムで視界を暗転させ、今世への別れを告げた。

 

……本当に最後までくだらない人生だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というのが私(・)の前世である。

まさか転生というものが現実で起こるとは……このリハクの(ry

 

転生やら憑依やらはフィクション。

お話の中にしか存在しないとばかり思っていたから、正直驚きである。

 

死んだと思ったらリ〇ちゃん人形で遊んでいた時のあの感情は、多分もう一生忘れられないと思う。

 

なんとも形容しがたい気持ちになったし、私がリ〇ちゃん人形のような、女の子のおもちゃで遊んでいたことに酷い違和感を覚えた。

 

ま、今の私は女だし、むしろそっちが当たり前だったんだけど。

……まぁーとにかく、慣れるまでは時間かかったよね。色んな意味で。

 

多分JKの平均か、それよりちょいあるくらいだろう身長に、ちょっと垂れ目がちな瞳、肩上あたりの緩いボブヘアー。

あと、中の上か、見る人が見たら上の下と判定してくれるかもしれないマイフェイス。

 

……どうせなら美少女がよかったと思ったのは内緒。

 

家族構成は、母と父に少し年の離れた兄が一人。

 

優しくおっとり美人な母と、己の仕事に誇りを持った父、明るくムードメーカーな兄と、愉快で大好きな家族達。

 

ちなみに、父と兄とは血が繋がっていない。

私がちょうど中学校に入った頃に、母と今の父が再婚し、現在に至っている。

 

過去に色々あったらしいんだけど、私は特に気にしてないし、興味もない。

 

強いて言うなら、前世では一人っ子で、兄弟という関係性には憧れてたから嬉しいといったくらい。

 

……精神的には年下の人を兄と呼ぶのは複雑だけど。

 

「ううん…」

 

友達と時間を忘れて遊び倒してしまい、気付けばもう11時。

 

慌てて電車に飛び乗り帰宅するも、時既に遅し。

ドアを開けた先、影の差したにっこり笑顔で仁王立ちしていた母にこっぴどく怒られ、涙を滲ませながら自室へ向かう。

 

道すがら兄の部屋の前を通ると、なにやら騒ぐような声が聞こえてくる。

 

「またやってる……」

 

兄さんは在宅のリモートワークって言ってるけど、こんな騒いで怒られないのかな。

騒いでる割にはまだ声も小さいし、何かしらの防音対策はしてるみたいだけど、それはそれこれはこれである。

 

私はこれでも元サラリーマン。

社会の歯車として生きてきた経験もあるし、色々と知識もある。

 

そんな私だからこそ言いたい、いくらなんでもワーワー騒ぎ過ぎなんじゃないかと。

 

…………なんて、今の私が言ったところでね。

もう私は俺(・)じゃない。今の私はただの平凡JKなんだから。

それに、兄さんの人生は兄さんのもの。私が口出しするもんでもないし。

 

「ってヤバっ、早くお風呂入らなきゃ」

 

忘れてた忘れてた…!

 

脱ぎ捨てた衣類を洗濯機にボッシュート。

いつもより手早く体を洗い、髪が乾き次第ベッドに入った。

 

そして、眠りについてから何時間か経った深夜。

 

「ふぅ」

 

夜中目が覚めるアレを経て、自室へ戻るその道中。

眠気から自然と視界が下がっていき、面倒だからとそのまま足下を見ながら歩いていた。

 

義兄の部屋の前を通り過ぎようとして、ドアの隙間から光が漏れていることに気付き、歩みを止める。

 

電気がついてる……まだやってるの?

思わず呆れながら、眠気で回らない頭でドアを見つめ、あくびを噛み殺す。

滲んだ涙を袖で拭いながら、少し考えた。

 

現時刻は午前3時。

こんな時間まで電気がついてるということは、恐らく仕事関係。

例のリモートワークとやらで何かがあったのだろう。

 

……でもそれにしてもいつもとは違う感じがする。

 

今日のように、夜目が覚めることはこれまでもあった。

けどその場合、大抵耳を澄ます――必要もなく兄さんの声を聞くことができた。

 

夜中なんだし、近所迷惑とか考えた方がいいんじゃない。

そう何週間に一回忠告するくらいには心配してたし、それに関して兄さんにも自覚はあったのかも。

 

面白いくらい顔引きつらせてたもの。

まあ引きつってても、元がいいから普通にイケメンだったんだけどね。

 

実際、元男の視点で見ても、兄さんの顔はめちゃくちゃ整ってたりする。

学校でよくあるクラス1は余裕で取れるだろうし、なんなら学校1も狙えるレベル。

 

私?無理無理。どうせ中の上レベルだし、勝てっこないない。

 

「あ」

 

考え込んでいるうちに電源が落ちたのか、画面が暗転していたスマホをポケットに仕舞う。

 

……また眠くなってきた。

瞼が重くなってきた目を細め、噛み殺せなかったあくびに口に手を当てる。

 

真面目にどうするべきか。

仕事の邪魔はしたくないけど、風邪を引かれても困る訳で。

特に最近インフルも流行ってるし……

 

中指でドアを軽く叩き、3回ほどノックしながら、少しだけボリュームを下げて声をかける。

 

「兄さん、まだ起きてるの?仕事中?」

 

返事は……ない。

 

首を傾げ、もう一度ノックするべきか考える。

普通ならもう返事が返って来てもいい筈なんだけど……ヘッドホンでも付けてるのかな?

 

一応、もう一回だけ……

 

「おーい、寝てるの?風邪引くよ?」

 

……やっぱり、返事はない。

 

ドアに耳を当て、耳を澄ましてみても、やはり声は聞こえない。防音もしてるっぽいし、もしかして聞こえてない?

ちょっとだけ声出して……いや、それはダメだよね。兄さんの部屋はともかく、廊下なんてなんも対策してないし。

 

……仕方ないか。

 

「入るよ?」

 

ノブを捻って扉を開け、中の様子を伺う。

 

「へぇ…」

 

まず目に入ったのは、壁や天井に敷き詰められた防音用らしい、黒くて穴の空いたマットような物が放つ、独特な存在感のある部屋。

 

正面には電源の入ったモニターが数台設置されている。

光を灯しながら、なんらかの画面を表示するディスプレイと、それらが繋がっている先であろうパソコン。今も尚稼働音を鳴らしていることから分かるように、熱心に仕事に取り組んでいるようだ。

 

「結構しっかりしてるんだ」

 

室内を見渡しながら、1歩、また1歩と歩を進める。

大きめのチェアを横から覗き込めば、案の定、机に突っ伏した体勢の兄が夢の世界へ旅立っていた。

 

「やっぱり寝てる……ほら起きて、風邪引くよ」

 

肩を叩き、頭を揺さぶるが、到底起きそうにない。こりゃ相当深い眠りに落ちてるなぁ……どうしよ。

 

「寝落ちだろうし、仕事ほっといたら向こうに迷惑かかるよね……でもリモートワークにも色々あるみたいだし、勝手なことする訳にも……」

 

仮にも社会人だった私。何も知らない素人が、余計なことをしたらどうなるのかは嫌という程理解している。

 

「ちょっと、おーい!いい加減起きなよ…!」

 

が、この通り、その当人は起きずにむにゃむにゃ言っている。

 

……とにかく情報が欲しい。

チラリと画面に目線を移し――たところで私の意識が固まった。

 

「え、なにこれ…?」

 

【あ、気づいたー?】

【やっほー】

【彼女ちゃんwktk】

【hshs】

【(^ω^ ≡ ^ω^)おっおっおっ】

 

「え、えっ…ん?……は?」

 

は?な、なんぞこれ(困惑)

 

【混乱してる(笑)】

【そりゃそうだ】

【そりゃ(いきなりこんな事になったら)そう(もなる)よ】

【ヴぇHAHAHA!!】

【声かわええ】

 

なにこれ…いや本当になにこれ……

 

見るからにイケメンなアニメのキャラのようなナニカと、凄まじい速さで流れる文字の群れに、私の意識は混乱の海に沈んだ。

 

「なにが、なんやら」

 

【リュークとの関係は?やっぱ彼女さん?】

【訳分からなすぎて固まってるw】

【ペロッ…これはっ!ガチの初見!】

【お、そうじゃん!こんな可愛いボイスの彼女さんとかワクテカが止まりませんなぁ!】

【勇者パーティーも皆必見!】

 

「本当になにこれ……」

 

ダメだ、情報が完結しない……流れる文章どれもこれも理解出来なさすぎてパンクしそうなんだけど。

 

ん?あれ、ていうかこのキャラ……

 

「なんか、動いてる?」

 

しかもこれ、私の動きに、合わせて…?

 

【お、彼女さん気づいた感じ?】

【そうそう、キャプだよキャプ】

【モーションキャプチャーな】

【モーションキャプチャーだよー】

 

文字の空気感もなんか変わった?

しかもモーションキャプチャーって……もしかして、あのモーションキャプチャー?

 

「ほえー」

 

【かわいい】

【かわいい】

【かわいい】

【声だけでわかるわ、絶対美少女】

【配信してくれ〜】

 

「配信?」

 

配信って、あの配信だよね。

なんで急に配信がどうとか言い出したんだろ――いや待って?まさか、まさかだけど……

 

「今のが配信されてたりって……!」

 

流石に違うと言って欲しかった。

……しかし、現実は非常だった。

 

【されてるよ】

【されてる】

【絶賛ライブ中】

 

「あ、あぁ……」

 

この短時間に晒した醜態を思い出し、崩れ落ちそうになる。しかし、ガックリ行くにしてもやることはやって、確認すべきことは確認しておかないと行けない。

 

「と、とりあえず!起こし……は起きないからやっぱ無理として、この配信の対象は、なんでしょうか?なんらかのグループ内のみですか?それとも社内全てを対象にしていますか?」

 

仮にも仕事の配信。その上本人が寝落ちしてしまい、あまつさえど素人の一般人が入り込んでしまったのだ。

 

コメントや一言評価などを表示するのであろうところに出た文を見る限りでは、恐らくは好意的に見て頂けているのだろうが……お相手方の反応は如何程……?

 

真面目そうなコメントはあまり多くな――ゲフンゲフン。厳しい意見とかはあんまり目に入らないし、大目に見てもらえたりすると嬉しいんだけど。

 

【お?全世界ゾ?】

【広大なネットの海ー】

【チャンネル登録者ももうちょいで15万】

【↑支えし我ら勇者パーティー!】

 

「ふぁ!?」

 

なんか恐ろしい事書かれてんですけど!?

 

【この彼女かわいいぞ!】

【勇者の彼女=王国のお姫様→聖女 QED証明完了】

【草】

【天才か】

【天才か】

【草】

【天才】

 

「いやいや、勇者とか聖女とか分かりませんけど、まず彼女じゃないですからね???」

 

【えー】

【うそだー】

【嘘乙】

【嘘松】

 

「……なんか分かりませんけど、とりあえずこれどうやったら終われるんですか?流石にこれはまずいでしょ…企業的に」

 

【それはそう】

【もっと聖女ちゃんとお話したい】

【たすかに】

【じゃあ教えるからそれで】

【鬼電とか来てるだろうしね】

 

「ありがとうございます。それじゃあ――」

 

――という訳で、コメントの人達から色々教わりながら、なんとか配信を切った私。

 

「……VTuberって、何なの?」

 

流れの中で、コメントの人達から教わったVTuberなる存在。状況的に今も尚眠っている兄がそうなのだろうけど……それはそれとして。

 

「寝落ちはダメでしょ」

 

常識的に考えて。

 

「兄さん、起きて。……起きないと隠してるエロ本朗読するよ」

 

……起きない。今度お父さんお母さんの前で公開処刑確定っと。

 

「私の体格じゃベッドまで運べないし。ケットだけ掛けとこ」

 

これでも風邪を引くリスクはあるし、本音を言うならベッドで寝てもらいたいんだけど……無理して怪我しちゃ世話ないからと妥協した。

 

「起きたらちゃんとベッドで寝てよね。じゃ、おやすみ」

 

ふぁ〜、ちょっと疲れた。私もはよ部屋戻って寝よ。

 

ち○かわの夢を見た。

 

「ん、んんんぅ…」

 

固まった体をググッと伸ばした。ふと見えた窓の外は明るい。

わァ…………ぁ………しているち○かわに、ハ○ワレになった私が泣いちゃった!する夢という、なんとも言えない内容のそれに、これまたなんとも言えない複雑な心境極まれり。

 

「……」

 

まだ寝ぼけてるのかな。顔洗お。

 

洗面所でバシャバシャと顔を洗い、リビングに入ると、なんでかお母さんしかいなかった。

 

「?、兄さんは?」

 

父さんはともかく、この時間なら兄さん居るはずなんだけどな。

ゆっくりコーヒーを飲む兄が、カタカタとパソコン弄る見慣れた光景が広がっていないことに疑問を抱いた。

 

「拓斗なら大慌てで出社して行ったわよ?なんか仕事に不備があったみたいなんだけど……えっと、うん。そうね」

 

「ふーん?」

 

煮え切らない態度のお母さんに首を傾げつつも、朝食として出されたトーストを齧る。

うん、サクサクでバターもきいてて美味しい。

 

「ふぁーひひふぁんふぁぁふふぁいふぇふぉ(まぁー兄さんなら大丈夫でしょ)」

 

「咲希、せめて口の中の物飲み込んでからにしなさい」

 

「ゴクリ…ごめんなさい」

 

「お行儀の悪いことはやめなさないね」

 

「今度から気をつけるよ」

 

「ならいいけど」

 

ああそうそう。お母さんこれから出ていくから用事があるなら戸締りお願いね。

すっと立ち上がり、そう口にしながら玄関へと向かっていくお母さんに、トーストを咥えながら頷く。

 

「行ってらっしゃーい」

 

「行ってきます」

 

ガチャン。ドアの閉まる音をしっかりと聞き届け、ポケットからスマホを取り出し、Y○uTubeを開いた。

 

「VTuber…っと」

 

検索をかけてみると……うひゃー、こりゃ多い。

ってか再生数数百万の動画結構あるし。やっば。

 

「結構人気なんだなぁ」

 

適当にサムネを流し見て行き、気に入った動画を開いた。

 

次々と表示されるVTuber達の動画は、それはもう面白かった。

動画の各所に用意された笑える瞬間。それを台本ありきの動画じゃなくて、配信で実際にやってたっていうのがもう凄かったしね。

 

あと、一口にVTuberといっても、色々なジャンルがあるみたい。こういうのも無いかなと調べてみれば、基本何かしらが絶対にヒットしてきたのも素直に驚かされたし。

 

「えっもうこんな時間!?」

 

気付けば時刻は午後16時。率直に言おう、見過ぎた。

 

「と、とりあえず洗濯物!」

 

バタッとノーパソを閉じて、ベランダへGO!そんでもってバタバタっと洗濯物全部カゴに突っ込んでリビングにとんぼ返り!

 

もっかいノーパソ開いて、アーカイブを見ながら洗濯物を畳んで行く。

部屋順に並べて……一回止めてから各部屋の収納に突っ込んだ。

 

「晩御飯はまだ早いし、もうちょっと見ても……いいよね?」

 

クリックして再生開始、さっきの続きを見る。

今見てるのは宇宙人狼で有名なAm○ng Usの動画で、同じ事務所の人達で部屋を作って遊んでるみたい。

 

まぁー、私この人の動画しか見てないから他の人はぶっちゃけ知らんのだけど。箱推しとかいう文化?もあるみたいだし、後で見てみようかな。

 

「けど、時々聞こえてくるこの汚い高音がまた面白いんだよねぇー」

 

他の人達からリュークって呼ばれてるこの金髪の配信者なんだけど、そもそものリアクションが面白い上に、あと使ってるキャラが遠目からでも光ってるように見えるレインボーということもあって、結構カモられてるみたい。

しょっちゅう追っかけられては、汚い高音で喚いて死んでるのが見て取れる。

 

今見てるこのVTuberの人もそれ見てめっちゃ笑ってるし、コメント欄も大草原。やっぱおもろいよね、汚い高音。

 

「あははは!っと、そろそろご飯作らなきゃ」

 

今日の献立は完熟寄りのオムライスです。トロトロは美味しいんだけどちょっと苦手。

 

「ただいまぁ〜」

 

「あ、お帰りー」

 

家族四人分のオムライスも作り終え、ソファーに腰掛けまた宇宙人狼の続きを見ていたら、玄関の方からガチャっという音が聞こえてきて、続けて兄さんのただいまも聞こえてきた。

 

「ご飯置いてあるから」

 

「あぁ、ありがとう。……」

 

「?、どしたの?」

 

なんか言いづらそうにしてる?兄さんがそんな顔するなんて珍しい。割とスパスパ物言うタイプなんだけど。

首をかしげながら義兄の顔を見つめていると、意を決したといった表情の義兄が口を開いた。

 

「咲希、話があるんだ」

 

「話?なんの…?」

 

……なーんか嫌な予感。

こういうの前世でもあったんだよね。例えるなら、例の阿呆がミスして仕事が増えた時とかそういう……

 

「VTuberに、関して」




みんなももっとVTuber系の話書いてください!読みたいです!

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