あれから数日が経った。
砦の中では個人個人のプライベートスペースが作られ、厨房や会議室などもつくられた。
ヴァリアスによると、この戦争に勝ったらこの砦は再利用するらしい。
どう再利用するかは知らないがSDGsってことだ。
それよりも、この数日間襲撃も何もなかった。
いや、ないことは別にいいことなのだがやはりないと拍子抜けしてしまうな。
俺はいまフィレロムと一緒に敵が攻めてきたときにどのような迎撃姿勢をとるかで会議している。
「やはり、メッセリアさんとアミナさんを守る形で陣形をくんだほうが良いと思うのですが。」
いくら前世でゲーマーだった俺でも、戦争系のゲームは苦手だった。
戦術とかを考えるのにも頭を使うし、前世の俺はそんなに頭が良いほうではなかったからな。
しかし、苦手といってもできないわけではない。
どのような陣形がどのような陣形に強いのか、はたまた弱いのか、そのくらいは理解しているはずだ。
「おそらくあの二人を守るのは俺とカリオンだけで十分だと思う。」
「なぜですか?」
「ヴァリアスさんの話では敵は大人数だが個々の戦闘力は低いらしい。
おそらくC級以下の冒険者が多数だろうと言っていた。」
「なるほど。つまり遠くの敵はまとめてメッセリアさんが始末して、僕とライゼルさんが別働体で敵を始末すると。」
「あぁそういうことだ。理解が早くて助かるぜ。」
「ちなみになぜ守る要因にカリオンさんを選んだのですか?
魔術師の護衛なら周りをよく見渡せるライゼルさんでよいと思うのですが。」
「ん~まぁ遠くの敵はメッセリアがやってくれるから俺らは近くを見てるだけでいいと思ったんだ。」
「なるほど。わかりました。ではそれでいきましょう。」
「陣形はここまでにして次は覚悟の話だ。」
「え?」
「お前は人を殺せるかっていう話だ。」
人を...殺す。
想像してもいなかった。
これは、戦争だ。
VRのゲームの世界ではないのだ。
俺が殺す人の中には家族を持つ人も多いかもしれない。
つまりそれは家庭を壊すことにつながる。
「お前はまだ子供だ。ラグナードやウリエルにも同じことがいえるが、まだ子供のやつが到底人を殺せるとはおもえねぇ。
人間はそこら辺の魔物とはちがって、思考を持っているんだ。
おれは100年くらい前に人を殺して以来、人を殺すことに抵抗はなくなったが、最初に殺したときは手が震えた記憶がある。
もう一度聞こう。お前は人を殺せるか?」
「僕は...人を..ころ」
「敵襲です!」
おれがそう言いかけたとき上からの声に遮られた。
ライゼルだ。
「南の方向から100人超の大勢がきております!
みた感じ魔術師はいないようなので、レジストの心配はないです。」
「エドルート!いくぞ!」
「はい!」
俺たちは急いで上に上がる。
そこにはもうすでにここにいる全員が集結していた。
「では、魔術を放ちます!」
メッセリアがそういう。
「僕も中級なら放てるので放たせてもらいます!」
俺も咄嗟にそういう。
人を...殺す。
確かに前世では人を殺してはいけなかった。
俺はそれにのっとって人を全く殺さなかったし。
周りもそれに従っていた。
しかしここは異世界だ。
環境が変われば価値観も変えなければならない。
俺がそう悩んでいると横からフィレロムが話しかけてきた。
「覚悟なんて必要ねぇよ。必要なのは度胸だ。
流れでもなんでも度胸さえすわっていればおのずと慣れてくる。
お前にはそれがあるだろ?エドルートさんよ。」
そうだ。俺には度胸が必要なのだ。
隣ではメッセリアが詠唱を唱えている。
「では、いきます!」
俺はそう言い、詠唱を唱え始める。
使う魔術は火系統の中級魔術。
いろんなアニメやゲームで多用されている技の一つだ。
となりでフィレロムが詠唱を終えた。
俺と発動タイミングを合わせるつもりだ。
俺も急いで詠唱を終わらせる。
「では、いきます!」
「
敵がいた場所に巨大な爆発と暴風が襲い掛かる。
手に人を殺したじめっという感覚が残る。
「エドルート!別働体の準備を!」
「はい!」
間髪入れずに次の仕事がやってくる。
「ライゼルさん!いきますよ!」
「わかりました。」
俺たちは下からこっそりと敵兵に近づく。
「では、いきますよ!」
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数時間後、俺たちは砦の中にいた。
結論から言おう。迎撃は成功した。
あの後俺たち二人で敵兵10体ほどを殺害。
残った兵はメッセリアが始末してくれた。
そう、俺は人を殺害したのだ。
今でも手が震えている気がする。
しかし、将来のことを考えるとこれにも慣れないといけないとも感じる。
「あぁ、そうだ。ちょうどキリもいいしみんなに報告することがあるんだ。」
急にフィレロムがそう切り出してきた。
「俺、この戦争が終わったら結婚するんだ♪」
ちょっと待って。すごく嫌な予感がする。
次回「フィレロム死す」デュエルスタンバイ!