学生転生〜兄と一緒に本気出す〜   作:腐ってもタイ

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第二十六話 門出

目が覚めた。

 

体を見るとしっかりエドルート(じぶん)の体へと戻っていた。

しっかしあの空間はどうなっているのだろうか。

まぁいい。

とりあえず、ヴァリアスにこのことを報告しないといけないな。

町の人にも報告しないといけないっぽいし。

アイツ(ヒトガミ)が言っていた金属の鞭とは何なのだろうか。

そんなものこの世界の技術ではそう簡単に作れるわけないだろうに...。

いや、こんな話を聞いたことがある。

これは前世の話なんだが、室町時代に警官みたいなのが装備していたとか。

しかし、そんなものを装備したといっても俺が強化されるわけないと思うのだが。

もしかして蛇腹剣のようなものなのだろうか。

もしあれだったら俺はものすごくワクワクする。

いや、あれって、何かの理由で実現不可能って話じゃなかったけ。

重さとかだったっけな。

あまり詳しく覚えていない。

いや、剣と鞭を行き来させることができないとかだったっけな。

剣なんて持ち替えればいいのに。

 

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~ヴァリアス視点~

 

私は今日の仕事が終わり家に帰ってきた。

最近の仕事は比較的楽だ。

一年前くらいまでは戦争の後片づけのおかげですごい忙しかった。

帰れない日のほうが多かったくらいだ。

最近はその後片付けも終わり、ラグナにも手伝ってもらっているから、あまり働かずに済んでいる。別に仕事がしたくないっていうわけではない。実際、この仕事は楽しいからね。

けど、早く子供たちの顔を見たいからね。最近では、エド君がまるで我が息子のように感じてくる。翼こそ生えていないが、彼は立派な家族だ。最近はウリエとも仲良くやっているみたいでよかった。しかし、彼はいつか帰ってしまう。彼には故郷があるのだ。私としては帰らないでほしいと思っている。けど私がラグナとウリエの父親であるように、彼には両親がいる。

聞いた話だと、双子の兄弟と、妹が2人いるらしい。そんな彼を帰さないわけがない。

 

私はそう考えながら我が家の戸を開けた。

ラグナは今日は早めに帰らせたからこの家にいるはずだ。

 

「ただいま~」

 

「あ、おかえりお父さん。」

 

私が帰還の挨拶をすると最初に返事をしたのは我が息子、ラグナードだ。

 

「おかえりなさーい。」

 

遠くから聞こえてくるのはおそらく今料理をしているであろう我が娘、ウリエルだ。

 

しかし、もう一つの声が聞こえてこない。

いつもならば、ラグナと一緒に返事をしてくれる声がない。

 

「ラグナ、エド君は?」

 

「エドなら自分の部屋にいるよ。」

 

「そうか。」

 

珍しい。彼のことだから外で訓練でもしているのではないかとおもったのだがね。

 

「ご飯できたよ~。」

 

ウリエがそういい、ご飯を持ってきた。

すると、その声を聴いたエド君が中へと入ってくる。

 

「おかえりなさい。ヴァリアスさん。」

 

「あぁ。ただいま。」

 

そして全員が席に着き、食事を始める。

しかし、そんな中、一人だけ食事に手を付けていない人がいた。

エドだ。

 

「みなさん。少しご報告があります。」

 

彼は彼らしからぬ堅苦しい顔で言葉を発した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私は、迷っている。

彼を故郷に帰らせるか否か。

いや、私が迷っていることはそんなことではない。

ラグナードがついていきたいといったのだ。

それに付属して、ウリエルも....。

エドルートはそれでもいいといっていたが、

私は二人の親として止めるべきではないのだろうか。

個人的にも、寂しくなるから出ていかないでほしいと思っている。

今は、そんなことはどうでもいい。

彼らにとって、天大陸以外は安全といえるのだろうか。

特に、ここから最も近い大陸は魔大陸。

危険といわれている場所だ。

さらに、以前エド君に聞いた話だと、昔槍を持って暴れた魔族がいたという話ではないか。

もしかしたら差別される可能性がある。

しかし、そのような経験も彼らの成長につながる。

私だって経験を積んでないというわけではない。

過去も思考も出会いも別れも些細なことでさえも、それはそれからの人生に多いな力を与える。

彼らにもそういった経験が必要だ。

私が出した答えは..........

 

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~エドルート視点~

 

翌日。

俺は荷物をまとめ、町の人たちに別れの挨拶をしに行った。

もちろん、ラグナとウリエを連れて。

さて、彼らはどうして俺についていきたいといったのだろうか。

ウリエの方はラグナについていこうとしたということは分かるのだが...。

ラグナ曰く、天大陸から降りるには羽をもった天族が必要だからと述べていた。

そんなもん、近くの町に依頼を出せば降ろしてくれると思うのだが。

いや、俺は人族だ。

もしかしたら差別を食らう可能性がある。

もしかしたらそれから守ろうとしてくれてるのか...?

うーむ。わからん。いや、人の感情が簡単にわかる方が怖いのだが。

まぁ、いい。そういうことだと思っておこう。

考えているだけ無駄だ。

 

俺はヒトガミ(アイツ)の助言を思い出す。

 

『エドルートよ。天大陸から降りなさい。もし、ラグナ達に連れて行ってといわれたら連れて行きなさいそしてそのことを町の人々に報告しなさい。さすれば君はさらに強くなり、家族とも会えるでしょう。』

 

実際、ラグナ達には連れて行ってと言われた。

だから俺は拒否しなかった。

全部が全部アイツの予想通りになっているが...俺はあいつと仲良くやってるし、そんなことは別にいいだろう。

 

そしてこの助言の後半。

町の人々に報告しなさいと言っていた。

町の人々といっても親しい人だけだと思うが。

 

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小一時間後。

俺は親しかったほとんどの人にあいさつすることができた。

 

砦のメンバー。

冒険者ギルドで仲良くなった冒険者。

いつの日や依頼で助けた子供。

サーカス団にも行ったが、今度また来た時に特大な演出を用意してあげるといっていた。

これはいつか帰ってこなければいけないな。

 

そして次が最後の場所。

俺が最初に依頼としていった鍛冶屋。

もともとは戦争のために施設を大きくしたらしいが、今では以前よりもたくさんの武器を置けて、商売繁盛しているらしい。最近では、その師匠とやらに並べるように日々精進しているだとか。

 

ラグナとウリエは、今は別行動をしている。

あっちもあっちであいさつするところがあるんだってよ。

 

俺はそんなことを思いながら入店(?)した。

 

「お邪魔しまーす」

 

「よう!エド坊。今日は何しに来たんだ?」

 

ここ数年でカエルスとも相当仲良くなった。

あまり商品自体は買わないのだが、ものを運んだりとかをよくしている。

 

「いえ、今日は故郷に帰るのでお別れの挨拶をしに。」

 

カエルスは驚いた顔をしていた。

 

「そうか、お前、帰るのか....。」

そして悔しそうな顔をしていった。

「お前専用の武器を作ってやりたかったのに...」

 

俺は申し訳ない気分になった。

 

「そ、それなら」

「いや、いいんだ。お前にはいろんなことをやってもらったんだ。お返しくらいしないとな。」

 

何か微妙に話がかみ合っていない気がする。

今更NPCとかいうなよ。

 

カエルスは奥の方にある大きめの箱を開けた。

そして、それを俺に投げてきた。

 

剣だ。

鋭い鉄製の剣。

しかし、それは俺が触れた瞬間、しなっとした。

 

「ひっ」

 

俺は情けない声をだしてそれを落としてしまった。

カエルスはそんな俺を見て笑っている。

いや、どっちかっていうと驚いているような...。

 

「その剣は才能があるものが持つと槍になったはずなんだが...まぁ、師匠のことだからわかんねぇか。」

 

ってこれってまさか

 

「その剣は万能剣アークモーク。数年前の戦争でラグナが使っていたものと同じやつだな。」

 

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3日後、俺たち三人は町を出た。

大勢の人に見送られながら。

あるものは泣き、あるものは驚嘆し、あるものは笑って見送ってくれた。

ヴァリアスは泣いていた。

いつも涙をみせなかったヴァリアスが泣いていた。

絶対にいつか戻ってこよう。

俺はそう心に決めて旅立った。

 

腰に、布製の鞭と剣、そして鉄製の鞭をぶら下げて。

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