学生転生〜兄と一緒に本気出す〜   作:腐ってもタイ

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第二十七話 ターニングポイント・2

別れっていうのは突然である。

いくら約束したって理不尽なことには勝てやしない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺は三年以上過ごしたオルマールの町(第二の故郷)を後にした。

ヴァリアスに謝りたい。

そう思っている自分がいる。

彼の泣いている姿を見ていたら自然とそう思っていた。

彼には悪いことをしたと思う。

アイツがああ言ってきても、俺は残るべきだったのかもしれない。

けど、俺には家族がいる。

ブエナ村(故郷)の家族たちがいたのだ。

別れはあんなふうになってしまったから、もう一度会って、もっと話したい。

パウロやシャンドルとは剣の話をしたい。

ゼニスやリーリャとは家事の話をしたい。

ルーデウスやシルフィ、ロキシーとは魔術についての話をしたい。

妹たちをもっと近くで見てやりたい。

そんな風にも思っている自分もいる。

だから、帰らなければならない。

 

さて、ここからどのように帰るのかを確認していこう。

まずはここから西に進み、天大陸の端に行く。

もともとの予定としては近くの町で依頼を出して下におろしてもらう予定だったが、今回はこの二人がいる。さすがに二人懸かりでなら下におろせるだろう。

そして、そこからは魔大陸だ。

魔大陸は危険な土地だと聞く。

ロキシー曰く、中央大陸とは比にならないレベルの魔物がわんさかいるらしい。

これに関しては俺らならば行けると踏んだ。

今最も重要視しないといけないのは言語の壁だ。

兄であるルーデウスはロアの町にいるときにロキシーに教わったらしいが...。

俺はそんなことをしていないので理解できるはずもなく。

なので、ヴァリアスから言語学習に優れている「ヴォックスマインド」を借りてきた。

だからと言って、聞いたことすらない言語を天大陸で学べるわけがない。

だからこれは現地に行ったとき用。

ついでにウリエの人間語学習も並行してやっていく。

 

そして、魔大陸からミリス大陸へと向かう。

そこからしばらく進むと、獣族たちの住む大森林というものがある。

そこには雨季があってもしかしたら足止めを食らってしまうかもしれない。

その時は誰かに泊めさせてもらおう。

あぁ、そういえばロアの町にいた剣王も獣族だったな。

もしかしたら彼女もそこにいるかもしれない。

 

そして、大森林を抜けるとミリス教の本拠地、ミリス神聖国がある。

そこには確かゼニスの実家があったから、知り合いが誰かしらいるかもしれない。

パウロあたりがいてもおかしくないと思う。

パウロはパウロ側の実家とうまくいってないらしいからミリス神聖国にいる可能性が十分に高い。

 

もしそこに誰もいなかった場合、そのまま中央大陸に渡り、アスラ王国フィットア領へとそのまま帰還する。

 

二人には大きな負担をかけるが、彼らはそれに了承してくれた。

 

もしや俺以外合流していて、残るは俺のみみたいな感じじゃないだろうな...。

そしたらいち早く天大陸から降りた方がいいな。

ここはおそらくシャンドルでも来れるか怪しいと思うし。

 

そうこう考えていると、ラグナが顔を覗き込んできた。

 

「そんな考え事してどうしたんだ?」

 

「あぁ、いやこれからのことを考えていただけだよ。」

 

「ならいいんだけどさ。僕たちがついてきたこととかに責任感じないでよ~。

 僕らは僕らの意思で来たんだから。」

「お兄ちゃんと前々から考えてたんだよね。エドが帰るって言ったらついてこうって。」

「僕ら戦争のときとか、普段でもエドにお世話になってるから、ちょっと長いくらいの旅くらいついていこうって話してたんだよね。」

 

確かに天族の寿命は人族と比べて圧倒的に長い。

そう考えると結構ありなのかもしれない。

 

「あぁ、魔物だね。」

 

ラグナがそういったので前を見る。すると前に大きなカラスのような魔物が現れた。

Aランクの魔物「ミリオンクロウネス」その体は日本とは大きく異なり、コストコに売ってある大きなぬいぐるみくらい大きい。おもな攻撃手段はその大きな爪でのひっかき。さすがにAランクもあるので並み半端な冒険者ではすぐに殺されてしまうが....

何か....違和感がある。

こっちの方向に現れただろうか。

ミリオンクロウネスは主に三大迷宮の一つである地獄に生息しているが、こちらの方向に地獄はないはずなのだが...たまに出てきているのは確認されるが、それにしても.......。

 

「エド!!」

 

ラグナの叫び声ではっと意識を戻した。

大きな爪が俺に襲い掛かってきていた。

ウリエが詠唱しているのが聞こえるがもう間に合わない。

 

俺はファイアボールを出し、カラスに当てようとする。

しかしカラスは羽を動かし、その火をかき消した。

 

無詠唱魔術のいいところは()()()()()()()()()()()()使えるところだ。

俺は腰から万能剣を取り空高くに飛び上がった。

そして空中でもう片方のシャンドルにもらった鞭を取り出す。

鞭括。

それを布の方で使い、敵の首元を締める。

 

もしも、この鞭括をもっと攻撃技にできたらどうだろうか。

そんな風に考えてできたのがこの新技だ。

もともとは布製のもので考えていたからサイコパスみたいな技だなというのは考えていた。

しかし、今、切れ味の良い金属の鞭を手に入れたことでより敵を瞬間的に殺すことができる。

ヒトガミが言っていたことは正しかった。

この技を使うには反動が大きすぎる。

だから、先に鞭括を使う。

これによって反撃の抑制だけではなく対象物の固定もできるようになった。

 

俺は空中で一回転して、遠心力を利用して敵の首元を切った。

同時に、ウリエによる岩砲弾が飛んできた。

敵の体は崩れ、その爪をも砕き切った。

 

俺のこの新技。

遠心力を使って、敵を切りきる技。

すこしかっこつけて「逆月(さかづき)」と名付けた。

あ、逆月の由来はない。

本当にかっこつけただけだ。

その描いた弧がまるで三日月のようだったので、そこからかっこつけて逆月と名付けただけだ。

 

...決してモチーフがあるわけではない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

一週間後。

俺はルートの一つのセレスターナの町に着いた。

戦争のこともあり、町の人々は歓迎してくれた。

和平という名で落ち着きはしたが、本質的にはセレスターナの町の敗北だ。

だから歓迎してくれるのだろう。

 

少なくとも俺からは恨みはない。

何人か町民は死んだが、それは仕方のないことだ。

もし、その人たちが俺の身内だったら恨んでたのかもしれないが、実際そうではなかった。

しかし、あちら側はそうではない。

セレスターナの町はあの戦争で大きな犠牲があった。

俺も殺害したうちの一人だしな。

もしかしたら恨まれているのかもしれない。

それでも町の人たちは歓迎してくれている。

なぜかを知りたいが、それを知ったところでどうにもならないからどうにもしない。

俺たちはそういう方針で固まった。

 

ちなみに、ここからしばらく町がないのでここで食料を買いだめしていく。

金はすべてウリエに管理してもらっている。

魔術師だからあまり前に出る必要はないからな。

 

今日の寝床はタンジーの屋敷である。

サイズ感はヴァリアスの家とそう変わらず、ここら一帯では豪邸って感じだ。

 

ーーーーーーーーーー

 

翌日。

俺たちはタンジーの家を出発した。

いい対応をしてもらったよ。

おいしいご飯をたべさせてもらい、いい寝床で寝させてもらった。

出るときはお守りと言って石製の人形をもらった。

羽をモチーフにした人形だ。

中央大陸で売ればそこそこの値段が出そうな一品だ。

ルーデウスあたりが見たら褒めそうだな。

アイツの趣味も人形作りだったはずだし。

俺も真似してやろうとしてもむりだったんだよなぁ。

やっぱり土魔術の無詠唱が使えないから、その方法での作り方ができない。

自分の才能を卑下するつもりはないけど、魔術の才能があるやつってうらやましいよなぁ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして、一週間後。

あと半年で天大陸から降りれるというくらいの時に、それは起こった。

 

突然、空気が変わった。

天大陸の草原の独特ののどかな雰囲気が、変わった。

近くで飛んでいた魔物はどこかに飛んでいき、

植物でさえも小さくなり、

さらには飛んでいる途中で落下して死に至ったものもいた。

ラグナとウリエは横で足を震わせ、警戒の意思をあらわにしている。

俺は何かと思って前方を見た。

大体100m先に人影が見える。

身長は高く、髪の色は銀色で、いかにも強者というのが分かる風貌。

そんな男が一人で歩いてきている。

ラグナとウリエは早く行かんと歩くスピードを速くしてっている。

 

そして大体10mに近づいたその時

 

「ルーデウス・グレイラット、なぜここにいる。」

 

そんな言葉が男から出てきた。

 

「いや...少し違うな....。貴様、ルーデウス・グレイラットではないな。名を名乗れ。」

 

横にいる二人が驚いた顔でこちらを見ている。

 

「エ、エドルート・グレイラットです。ル、ルーデウスは僕の双子の兄です。」

 

声が震える。

二人のように、警戒心は出ないが、緊張と似たようなものを感じる。

 

「そうか、ルーデウスが言っていた弟の方か...。隣にいるのはラグナード・アエリオンとウリエル・アエリオンか...。そうか。すでに戦争は終わったのだな...。」

 

なんでこいつは俺の名前を知らないのに二人の名前をしっているんだ?

なぜあの戦争のことをしっているんだ?

そもそもこいつは...?

 

「アイツが関与したのか、それとも今回で何かゆがみが生じたのか...。

 しかし、戦争が始まるのはこのあたりのはずだが...。」

 

先ほどから独り言をブツブツと言っている。

 

一つ質問をしてみよう。

 

「兄とはどのような関係なのですか?」

 

男は驚いた顔をしていた。

 

「ルーデウスは俺が殺し」

おらあああぁぁぁぁ

 

俺は殺すという単語が聞こえた瞬間、両手に鞭を持ち襲い掛かった。

もし、本当にこいつがルーデウスを殺したのであれば俺は仇を取らなければならない。

弟として、家族として。

 

「ふむ。鞭術士か。となるとシャンドル・フォン・グランドールの弟子といったところか...。」

 

男はそういうと俺の鞭括を右腕で受けとめ、俺が回って切ろうとした斬撃、逆月を左手で受け止めた。

 

次の瞬間俺は床に伏せられていた。

しかし、ここにいるのは俺だけじゃない。

そう思い、俺は二人の方を見た。

しかし、その時にはその二人もすでに伏せられていた。

 

「まだ最後まで言ってないだろう。

 ルーデウスは一度殺したが、蘇生した。」

 

そうか。俺は無駄なことをしたのだな。

そう思うと、俺は鞭を手放した。

 

「ならば、こちらからも一つ質問をさせてもらおう。

 ヒトガミという名に心当たりはあるか。」

 

ヒトガミ、そんな単語が聞こえてきた。

あいつと関係があるのか...

 

「もう一度問おう。エドルート・グレイラット。ヒトガミという名に心当たりはあるか。」

 

「あ、ある...」

 

俺は地面に伏した状態でできる限りの声を出した。

おもったよりも声が出なかった。

 

「それは...どこでだ。」

 

「夢の中で...出てくるんですよ。」

 

瞬間、男から大量の殺気があふれ出てくるのを感じた。

俺は死んだと確信した。

多分、もう助からない。

おそらくヒトガミとこいつは敵対関係にあるんだと俺は察した。

 

しかし、そんな俺とは裏腹に男が襲ってくることはなかった。

 

「もう一つ質問をしよう。

 ナナホシシズカという名に心当たりはあるか。」

 

ナナホシシズカ。どこかで聞いたことがある言葉。

この世界ではない。名前的に日本人だ。

しかも、死ぬ直近の...

あ。

秋人と一緒にいた女子だ。

 

「あります...」

 

俺は咄嗟に答えた。

おそらくこれはNOといった瞬間死ぬ気がする。

 

「そうか...それはどこで聞いた。正直に答えろ。」

 

俺は戸惑った

前世とかいう単語を出していいのだろうか

いや、いうしかない。

 

「前世です...。」

 

「そうか。」

 

男はその後少し考えた後いった。

 

「ならば中央大陸北部にあるラノア魔法大学に行くとよい。

 そこにお前を必要としている者がいる。

 そうだな...。その時は『龍神オルステッドに言われて来た』とでもいえばよい。」

 

ラノア魔法大学。ロキシーの母校。

ルーデウスとシルフィが行こうとしていたところ。

 

「そして、ヒトガミとは縁を切れ。さもないと、お前も兄のように殺す羽目になる。」

 

そう聞こえた瞬間男は俺に何かをした。

眠くなってきている。

俺は、眠りについた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

その後、その場には三名が残った。

 

龍神オルステッド、そして天族の少年少女。

 

「ラグナード・アエリオン、ウリエル・アエリオン、お前たちは自分たちの町へと戻れ。

 魔大陸に行ってもろくなことがないぞ。ヴァリアス・アエリオンには俺から文を書いておこう。エドルート・グレイラットは俺が責任をもって天大陸から降ろそう。」

 

そして、その二名はかえって行った。

龍神からの手紙を添えて。

その二人はエドルートの行方を知らない。

 

 

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