【呪術廻戦】血と笑みと瞬間移動   作:祈月4777

14 / 51
60点は死活問題

 

次の日——金曜日。真人とは会えない日。

 

この日も,"やること"は同じ。

学校には行くだけ行って、

授業中はひたすら呪力操作の特訓。

1時間目、2時間目は予定通り。

 

右腕、左腕、右脚、腹、指先、首、背中へと順番に呪力を流し、自分の中で循環させていく。

最初は一周3分かかっていたタイムも、

今日は2分35秒まで縮まった。

 

(……よし、いい感じ)

 

しかし——3時間目、日本史の時間。

教師が黒板にチョークを走らせながら、

クラス全員へ告げた。

 

「今日の授業で平安時代は終わりだ。

というわけで、桓武天皇による平安京遷都から鎌倉幕府設立まで、まとめテストをやるぞ。テストは来週の月曜日、1時間目だな。週末によく復習しておくように」

 

「……えっ」

紬は、思わず顔をあげた。

 

(やっば……このテスト、60点いかないと放課後補修なんだよな……)

 

日本史は、紬にとって苦手科目だ。

飛鳥時代のまとめテストでは45点を取って放課後補修に呼び出され、奈良時代では62点——ギリギリの回避。

 

(補修なんてなったら、放課後潰れて真人に会えなくなる……それだけは……!)

 

呪力操作の特訓は、泣く泣く中断。

紬は急遽、日本史の授業に全集中。

 

4時間目以降も、表面上は授業を受けているふりをしながら、日本史の内職を続けた。

 

(うう……最澄が天台宗で……いや、天台宗って空海!?どっちだっけ……?)

(それに、平将門の乱と前九年の乱……いや、“前九年の役”??どっちが先だっけ……)

 

これはまずい。

でも——明日は約束通り真人と会いたい。できれば明後日も。

 

今の紬の生活で、唯一色を帯びて見える時間だから。

 

ならば——

今日のうちに、日本史は詰め込めるだけ詰め込むしかない。

 

放課後。

まっすぐ帰宅し、時計は17時半。家の前に到着。

 

紬の母「おかえり紬!今日は早かったわね!“まおくん”とは遊ばなかったの?」

 

玄関先で母親がにこやかに迎える。

 

紬「うん。今日はまおくん予定あるって言ってたから。

そのかわり、明日遊ぶことになったんだ。朝10時から」

 

その言葉に、母親の顔がぱっと明るくなる。

 

紬の母「まあ、そうなの!楽しみね!」

 

そして——

紬の母「ねぇ、今日の金曜ロードショー、ジ◯リの崖の上のポニョやるんだけど……お父さん、早めに帰ってくるみたいだし、みんなで見ない?」

 

紬「ごめん。月曜に日本史のテストあって。そっちやんないとやばいから、無理」

 

紬の母「あらそう。それなら,確かに勉強優先ね。頑張ってね」

 

紬「うん,ありがとう」

 

そう告げて、紬は教科書片手に自室へと引っ込んだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。