【呪術廻戦】血と笑みと瞬間移動   作:祈月4777

16 / 51
作戦会議とファミレスの炎

 

紬と真人がゴゴスの自動ドアをくぐると、

冷房のひんやりした空気と、軽やかなBGMが迎えてくれる。

土曜日とはいえ、まだ昼前。

客の入りはまばらで、家族連れや学生が数組、談笑しながら食事を楽しんでいた。

 

店員「一名様ですか?」

紬「はい、“ひとり”です」

店員「ご自由なお席にどうぞ〜」

 

紬が選んだのは,壁際の隅の対面席。

紬(ここなら見えにくいし…真人と喋ってても怪しまれなくいはず)

真人が他人から見えない以上、人前で迂闊に真人と喋ると、ひとりでブツブツ喋る変な女になってしまう。それは避けなければ。

 

席に着くなり、紬は真人にメニューを手渡した。

紬「はい、これメニュー。なに食べたいの?」

真人「ん〜、肉とか?てか、ファミレスっていろいろ売ってるんだね〜」

 

真人の言葉に、紬は引っ掛かりを覚える。

そもそもここに来たのは,真人が,仲間が行ってたファミレスに自分も行きたいと言ったからで——

 

紬「……仲間から聞いてないの?どれが美味しかった〜とか」

真人「あー、夏油たちね、作戦会議始めてすぐ燃やしちゃったらしいんだよ。漏瑚が興奮しちゃったんだって」

紬「……は?」

真人「だから水しか飲まなかったってさ」

 

紬「えええぇぇ!?」

 

思わず大きな声をあげてしまい、店員が飛んでくる。

 

店員「どうしましたか、お客様?」

紬「あっ、いやっ!!すみません、なんでもないです!」

 

慌てて手を振り、店員を追い返す紬。

その対面で、真人は腹を抱えて笑っていた。

 

真人「いや、焦りすぎでしょ、紬ww」

紬「誰のせいだよぉ!!……てか、それ本当に作戦会議だったの?ファミレス燃やすためだけに行ったんじゃないの!?」

真人「さぁ〜、どうなんだろうね?でも漏瑚は帰ってきてからすごく機嫌良かったよ」

紬「知らないよ!!」

 

そこでようやく、店員がまだこちらを見ていることに気づき、紬は小声に切り替える。

 

紬「てか、そろそろ注文決めよ……結局どうするの?」

真人「ん〜、じゃあこの鉄板に乗ってるやつと……あとコレにしようかな。映画によく出てくるし」

紬「OK、ハンバーグステーキとピザね。じゃあピザ2枚頼んでシェアしよっか。私はチキンステーキで」

真人「あとさ、あれなに?」

 

真人が背後を指差す。

 

紬「あー、ドリンクバーね。じゃあそれも追加で」

 

注文内容が決まり、紬は席の呼び出しボタンを押す。

小さな電子音が、静かな店内にピンと響いた。

 

数秒後、

店員が紬の席にやってくる。

 

店員「ご注文お伺いします」

紬「えっと……ハンバーグステーキとチキンステーキ、マルゲリータとジェノベーゼ。あと、ドリンクバーふたつで」

店員「……えと……"ふたつ"?」

紬「あっ、いえ!ひとつで!!」

店員「……畏まりました。少々お待ちくださいませ」

 

店員が軽く会釈して奥へ消えていくと、

対面で真人がニヤリと口角を上げる。

 

真人「“ふたつ”は怪しすぎるでしょ、紬〜」

紬「それを言うなら、注文量の時点で既に怪しいからね? 大食いキャラじゃないんだよ、私」

 

口では軽口を返しながら、ふと紬は思い出す。

 

紬「……てか真人、君がドリンクバー使ったら、コップだけ浮いてる怪奇現象にならない??」

真人「あー、それなら平気。呪霊は身体だけじゃなくて、持ってるものまである程度、一般人からは不可視になるんだよ。現に今の俺、服だけ浮いてる透明人間!なんて騒がれてないでしょ?」

紬「ああ……言われてみれば確かに。じゃあ大丈夫か」

 

やがて、香ばしい匂いをまとった料理が運ばれてきた。

鉄板から立ち上る湯気、パチパチと弾ける音が空腹を刺激する。

 

真人は待ちきれない様子で、ハンバーグステーキにナイフを入れた。

紬「真人、ナイフとフォーク使うの上手いね……意外」

自分もチキンステーキを切り分けながら、素直な感想を口にする。

 

真人「あぁ、映画でよく出てくるからさー。こうやって食べるシーン」

紬「真人の飲食知識、ほぼ映画じゃん……」

 

ふと、紬の目が鉄板の上に釘付けになる。

 

紬「ちょっと待って!ペレット使ってなくない!? 中ナマだよ、それ!?」

真人「え? ナマだと何かまずいの?」

紬「いや……人間だとお腹壊すから……」

真人「じゃあ大丈夫じゃん、俺呪霊だし」

紬「そっか……確かに。そうなるか」

 

続いて運ばれたピザを、

真人は器用にピザカッターで切り分ける。

 

真人「ん〜……これ、美味しいね〜」

 

豪快にかぶりつきながら,

子供のように素直な感想を漏らす真人。

紬はその様子を見つめながら、ふと心の中でつぶやく。

 

(映画でピザをシェアして食べるシーンって、まあまああるもんな……)

(最初はどうなることかと思ったけど……真人って結構、テーブルマナーちゃんとしてるんだ)

 

そんな紬の視線に気づいたのか,真人が首を傾げる。

 

真人「ん? どうかした?」

紬「……なんでもない」

 

紬は慌ててジェノベーゼピザを食べながら,

小さく誤魔化した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。