【呪術廻戦】血と笑みと瞬間移動   作:祈月4777

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飛距離よりも"誰と"

ソファから立ち上がった瞬間、紬の全身を襲ったのは——

瞬間移動後、もはや恒例の、術式使用による倦怠感だった。

 

紬「……はあっ……」

 

短く息を吐き、一瞬ふらつく。

しかし、足元を踏みしめて持ちこたえる。歩く程度なら問題なさそうだ。

 

真人「へぇ……呪力の消費、だいぶマシになってきたじゃん」

 

喜びを隠さぬ声で、しかし冷静に分析を続ける。

 

真人「最初の君なら、二人で飛んだ時点でもう限界って感じで座り込んでたよね」

 

紬は苦笑を浮かべたが、真人の言葉はまだ続く。

 

真人「とはいえ、もう一回二人で飛ぶのは流石に無理そうかな。万全の状態から,俺と君で一回。君一人で一回飛ぶ。これでギリ持つか,ってとこだろうね。」

 

ここで真人,口に手を当て,少し意地悪な口調ながらも

真面目なトーンに。

 

真人「.....でも,今の君の状態で飛んだら,行った先でぶっ倒れるかも。

"俺と君とで一回"か,"君ひとりで二回"。

これが今の君の現実的な可能ラインかな」

 

紬ひとりなら二回飛べるのは、

一昨日やったから確定している。

真人の分析は理にかなっていた。

 

紬「……つまり私の瞬間移動って、飛距離じゃなくて“対象の人数”で呪力消費が変わるってこと?」

真人「おそらくね。……まあ、その辺は細かい検証しないと断言できないけど、その線はかなり濃いと思う」

 

紬「なるほど……って、あ!」

 

何かを思い出したように、鞄からスマホを取り出す。

 

紬「飛距離、確認しなきゃ。GPS!」

 

現在地と、さっきいたゴゴスの位置を入力。

画面に表示された数字を見て、紬の目が見開かれる。

 

紬「……1411メートル。約1.4kmだ」

真人「へぇ、一昨日は約1キロだったよね。……術式トリガー拡張、成功だ」

 

真人の声に、紬も満足げに頷く。

 

紬「思ったより伸びたんだね」

真人「うん。ちなみに今ので五回目の瞬間移動だから、トリガーまた開いてきてるよ。……次、拡張できそうになったらまたやるね」

 

紬は小さく笑みを浮かべる。

 

紬「ふふ……この調子なら、そのうち10キロワープとかできるようになるかな?」

真人「どうだろうね。そればかりは君の成長限界次第——術式と要相談、ってとこかな」

 

そして,真人はふと切り出した。

 

真人「さて……ここからどうしようか?ファミレスに付き合ってもらったし、紬がしたいことがあったら、付き合うけど?」

 

紬「あっ……えっと、ね……」

 

問いかけられた紬は、すぐには答えられなかった。

——「じゃあ解散ね」とあっさり帰るのは嫌だ。

まだ真人と一緒にいたい。

 

けれど、友達と遊んだ経験がほとんどない紬には、

こんな時に出せる“気の利いた提案”なんて引き出しがない。

視線を泳がせ、周囲を見回す。

 

その時、目に飛び込んできたのは——

“Cinema” の大きな看板。

 

紬「……!!!」

まるで天啓のように、言葉が口をついて出た。

 

紬「真人、映画好きって言ってたよね?ちょうど映画館あるし、一緒に見に行こうよ!」

 

真人は少し目を細め、からかうように答える。

 

真人「ん?そうなの?別に、紬がしたいことでもいいけど?」

 

思いつきで言ったのを見透かされたようで、紬の心臓が跳ねる。

 

紬「いや、私も映画好きだし!……それに、えっと……」

真人「ん?……それに、何?」

 

真人がにやにやと笑みを浮かべ、身を乗り出して覗き込む。

 

紬(やば……これ、もう隠しても仕方ないかも……)

「………私は、真人といられれば……割と、何でも……」

 

一瞬の沈黙のあと、真人は小さく笑った。

真人「ははっ、可愛いじゃん」

 

からかうように右腕で紬の肩を引き寄せる。

その瞬間、紬の鼓動は一気に加速した。

 

——そして、二人は映画館へ向かう。

 

チケット売り場の前、並んだ上映作品のポスターを眺めながら、紬は尋ねた。

 

紬「真人って、普段どういうの見るの?」

真人「洋画とかロマンスとか、ホラーとか色々?ノリで決める感じかな」

紬「ホラーって……真人は存在自体がホラーじゃん」

真人「だからこそだよ。人間が虚構で作った“恐怖”なんて、俺から見たら滑稽で笑えるだけ」

 

真人はさらりと言ってから、にやりと紬を見る。

 

真人「てか紬はさ、改造人間にもう慣れてる時点で、ホラー見ても全然怖がらないタイプでしょ?」

紬「……バレた?」

 

やり取りの中、紬の視線が一枚のポスターに止まった。

紬「あ!“絶海の羅針盤”……これ面白そうじゃない?」

真人「アドベンチャー系かな?OK、それにしよっか」

 

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