【呪術廻戦】血と笑みと瞬間移動   作:祈月4777

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俺と君の"連携"

真人が紬を連れてきたのは、

地下通路から少し離れた廃ビルの近く。

ガードレールの隙間から、ふたりはひょこっと顔を出し、覗き見る。

 

そこでは、黒ずくめの服を着た二人の人間が、

周囲を警戒するように歩き回っている。

 

真人「ほら、あれ」

紬「……あ」

 

目を凝らした紬は、わずかに——

ふたりから放たれる呪力を感じ取った。

紬の感知能力はまだまだ未熟だが、

明らかに一般人とは異なるそれ。

 

つまり、彼らは。

 

紬「——呪術師」

真人「正解♪」

 

真人が小さく笑う。

 

真人「たぶん,呪霊調査か何かの最中ってとこだろうね。俺らとは別件ぽいけど」

 

いつも通りの軽薄な口調で,小声で語りかける真人。

対する紬の心には、緊張が一気に張り詰める。

——彼らが呪術師ということは,真人の明確な"敵"だ。

 

ふたりは素早く屈み,堤防の影に身を隠す。

真人は声を潜め、紬に耳打ちする。

 

真人「連携で仕留めてみようよ。君が俺ごと背後に瞬間移動して、俺が仕留める。奇襲作戦さ」

 

指に挟んだ“ストック”を、無造作に振りながら付け足す。

 

真人「ちょうどこれ、飛び道具として試してみたいし」

 

紬「———っっ」

 

紬は,真人の言葉に息が詰まる。

真人の言う“連携”は,つまり,

———真人の殺人に明確に加担することだ。

 

だが——

 

紬(……今さら、か)

 

三日前——木曜日、すでに紬は罪もない人間を背後から金槌で殴って昏倒させている。

トドメこそ刺せなかったが、直後に真人がその人を“ストック”に変えたのも見ていた。

 

真人の人間改造も、一度だって止めてない。

 

真人の隣だけが、今の紬の居場所だ。

正義ぶったところで、得るものなど何もない。

 

紬「……わかった。やってみる」

 

数秒の葛藤の末、そう答えると、真人の口角がゆるく上がった。

 

だが。

紬の頭に浮かんだ,

この作戦における,戦術上の疑問点。

 

紬「でも……一緒に飛ぶには、手を繋がないとだよね?それだと体勢的に奇襲には不向きなんじゃ——」

真人「ああ、それなら問題ないよ」

 

真人はそう言い、屈んだまま背中を差し出す。

両手を後ろへ回し、短く促す。

 

真人「ほら、乗って」

紬「え、こう……?」

 

言われるまま、紬は真人におんぶされるような形で,その背にしがみつく。

次の瞬間、真人の手が、紬の手を包み込んだ。

 

紬「あっ——」

 

その瞬間、紬は真人の狙いを理解する。

真人は振り返らず、背中越しに告げる。

 

真人「俺からは支えないから、ちゃんとしがみついててね、紬」

「——じゃ、飛んで」

 

真人はわずかに上体を起こし、紬の目線がガードレールの隙間に重なるように調整する。

 

紬は息を整え、呪力を練りながら、眼前の光景に集中した。

 

それぞれ警戒しながら別方向を巡回していたふたりの呪術師が、

足早に中央へ戻り、一時的に合流する。

互いに顔を寄せ、何か情報を交わした——その刹那。

 

バシュッッ!!

 

視界が反転。

 

一瞬の浮遊感のあと、紬と真人の姿は——

ふたりの呪術師の背後、地上1メートルの空間に突如出現。

 

「なっ——!」

 

反応する暇すら与えない。

 

真人「ははっ!!」

 

真人が左右の手に握っていた“ストック”——

指ほどのサイズだった改造人間が、瞬時に槍状へと変形。

 

極太の杭のような飛び道具が、

次の瞬間には——

 

ビシュンッッッッッ!

 

凄まじい勢いで、両手から同時に発射。

 

ドスッ!! ズシャァァァァ!!!

 

片方は呪術師の腹部を真正面から貫通。

大量の肉片を巻き込みながら、そのまま背後の壁に磔にする。

 

グラ……ズルリ……

 

力を失ったその身体は、壁を滑り落ち、血のしぶきを散らしながら地面に崩れた。

一声も上げることなく、絶命。

 

だが、もう一方は——

 

もうひとりの呪術師の脇腹をかすめただけに終わった。

 

ブシャッ!!

鮮血が噴き出す。

 

真人「ありゃ、片方外しちゃったか」

 

軽く着地しながら、まるでゲームのミスでもしたかのような口ぶり。

 

一方の紬は。

 

紬「わあぁぁっ!!」

 

瞬間移動による視界反転のショックに翻弄されながら,

必死に真人の背にしがみついていた。

真人の手は、改造人間を射出した瞬間にはすでに紬からは離され。

振り落とされかけた紬は、手脚を真人の身体に全力で密着させ,どうにか耐えていた。

 

「くっ……そ!! 呪霊め!!」

 

残された呪術師が、脇腹を押さえつつも呪具の剣を抜き、怒声と共に真人へ突進。

 

だが——

 

ギィイイイイン!! ズバァァァァッ!!!

 

呪術師が踏み込んだその瞬間。

真人の右腕が、一瞬で鋭利な長刃へと変形し、一直線に振り抜かれ。

 

次の瞬間、呪術師の身体は——

 

剣ごと、斜めに真っ二つ。

 

ドシャッ……と、濁った音を立てて、血の海の中へ崩れ落ちた。

 

———わずか,10秒足らずの決着だった。

 

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