【呪術廻戦】血と笑みと瞬間移動   作:祈月4777

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運命の大一番

———月曜日、1時間目。

8時40分。

 

ついに運命の時がやってきた。

 

「テスト、始め!」

 

チャイムと同時に、日本史のテストが配られる。

 

60点未満は放課後補修。

真人との時間の確保、そして父親の説教回避を賭けた,

運命の,日本史のテスト。

 

(よし…落ち着け。いける……いけるって信じるしかない!!)

 

精神を統一し,紬は問題に臨む。

 

(土佐日記は紀貫之,初代の征夷大将軍は坂上田村麻呂!!

……あれ??平安京つくった…"かんむ"天皇って漢字どう書くんだっけ!?……平安京の前の都!?なんだっけ???)

 

(…あ,でも次の問題は分かる!!平清盛vs源義朝が始まったのは保元の乱,決着ついたのは平治の乱!!)

 

そして,テストは終了し。

 

(……手応えあった,たぶん大丈夫!!7割くらいはできた気がする!60点は超えただろ!!補修は回避したはず!!)

 

2時間目。紬は,緊張の糸が完全に切れたことで,

昨夜の猛勉強の反動と,朝の瞬間移動の倦怠感とで爆睡。

 

3時間目も眠気が抜け切らず,寝て起きてを繰り返し。

 

4時間目は,眠気こそ落ち着いてきたものの,

昨夜のコーヒー2本,エナドリ2本のオーバードーズの反動で頭がぼーっとし。

 

昼休みは完全に上の空。

 

5時間目,6時間目はだんだん回復してきたものの,教師の話は左耳から右耳にほとんど流れ。

 

結局,紬が,まともな思考ができるまでに戻ったのは,7時間目であった。

 

だが,紬はそれでよかった。

 

(なんとか放課後までに体調戻せた…これで今日も真人と会える!!)

 

下校チャイムが鳴り終わると、紬はすぐさま校内の女子トイレへ。

乱れた髪をほどき、水で軽く整えてから、改めてポニーテールに結い直す。

 

(うう,やっぱ寝癖は水だけじゃ直せない…けど,こればかりは仕方ないか…)

 

カバンを肩にかけ、真人の実験場へと向かう道を歩き出す。

 

だが——

 

校門を出て、まだ数歩進んだところで。

背後から、落ち着いた,しかしどこか軽薄さを孕んだ声がかけられた。

 

??「やぁ、君。……ちょっといいかな」

 

紬が振り返ると、そこに立っていたのは、

白髪に黒い目隠しを巻いた長身の男。

 

風になびくような佇まい。けれど、ただの通行人ではないと、紬の本能が警鐘を鳴らす。

 

??「君、今朝、“瞬間移動”使ったんだってね? 駅にいた術師が教えてくれたんだけどさ」

 

———その言葉で、すべてが繋がった。

 

(今朝……! あのとき感じた呪力…!!やっぱり、視られてたんだ……!)

 

動悸が高鳴る。

しかも、目の前の男からは、ただならぬ“呪力”の気配。

 

(この人……呪術師、それも……相当な……)

 

そう、気づいた瞬間。

 

(.....まさか、真人の実験場とか,昨日の現場.....バレた?)

 

紬は、内心パニックに陥った。

どうしよう,と身体が強張り、言葉が出てこない。

 

だが五条は、そんな紬にお構いなく、ひょうひょうとした調子で続けた。

 

「僕、五条悟。呪術高専って学校で教師やってる。君、すごく有用な術式持ってるよね? もし興味あるなら、うちに来ない?」

 

(……呪術高専!?……真人の敵,だよね!?断らないと)

 

そう思い、紬が言葉を返そうと口を開きかけた,

その瞬間。

 

「——って、言いたいところなんだけど」

 

五条の声が、急に低く落ちる。

軽薄さを脱ぎ捨てた,空気を凍らせるような冷たい声。

 

「君、呪霊の“残穢”、纏ってるね?」

 

「……っっ!!!(バレた!?!?)」

 

やばい。これはまずい。紬の中で危険信号がともる。

咄嗟に呪力を練り上げる。

狙うは、長距離ワープ。

 

——最大飛距離、1.4km。

 

(行き先はどこでもいい,とにかくこの男から逃げないと——)

 

瞬間移動で飛ぼうとした、

 

その刹那。

 

「はい、それは駄目」

 

その言葉が耳に届いたときには、

すでに五条は、紬の目の前にいた。

 

———瞬きよりも速く。

 

次の瞬間。

 

トン。

 

軽く、けれど的確に、

五条の手刀が紬の首筋を叩く。

 

瞬間,視界がぐらりと揺れ。

何か声を発する間も,思考する間もなく。

紬の身体は,その場に音もなく昏倒した。

 

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