【呪術廻戦】血と笑みと瞬間移動   作:祈月4777

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一方その頃part3

翌日,朝8時前。

 

真人は、紬と最初に出会った路地裏の近くで、じっと通行人を眺めていた。

目を凝らして探していたのは、見慣れた制服——緑チェックのプリーツスカートに、同色のリボン。

そして、その制服を身に着けた女子高生の姿をついに見つける。

 

真人「……いた」

 

少女の顔を確認するまでもない。

真人はその女子高生のあとを、ふらふらと尾行し始める。

 

もちろん、自分が“見えない存在”であることは、

よく理解している。

尾行がバレるリスクなど、まったくない。

 

そうしてたどり着いたのは——紬が”おとといまで”通っていた高校だった。

 

真人「ここだな。間違いない」

 

目的の場所を特定した真人は、そのまま校舎の中へと侵入する。

紬の学年もクラスも知らないが、構わない。

紬がいる建物が分かれば、呪力探知で探し出すのは簡単なはずだった。

 

真人「……さて、と。紬は……っと」

 

指先を鳴らし、呪力探知に集中する。

 

……が。

 

真人「……あれ? 紬の反応、なくない?」

 

何度やっても、紬の呪力はどこからも拾えない。

 

真人「んー……家? 体調崩したとか?」

 

一瞬そう考えるも、真人はすぐに顔をしかめた。

 

真人「いや、でもさ……ここまで探しに来て、“待つだけ”って、おもしろくないよな」

 

納得いかない。

自分の時間を潰してまで探しているのに、会えない。

文句のひとつやふたつ、本人にぶつけなければ気が済まなかった。

 

だが——肝心の紬の家を、真人は知らない。

 

真人「…………」

 

しばし考え込み——ふと思い出す。

 

真人「あ。映画でさ、小学校の先生が名簿の住所見て家庭訪問してたな。

……ってことは、生徒の住所一覧って、学校にあるってこと?」

 

ぐるりと目を巡らせる。

 

真人「……じゃあ、職員室、だよねぇ〜?」

 

思考がまとまった瞬間、真人はそのまま職員室へと向かった。

 

教員たちが普段使っているその空間に、ぬるりと侵入し——

手当たり次第、机の中を漁り始める。

 

ガタン、バサッ、ドサッ——

音を立て、書類が宙を舞い、引き出しが開け放たれる。

教師たちの目には“勝手に動き出す机と資料”が映るが、もちろん犯人は見えない。

 

真人「……あった」

 

一時間以上かけた格闘の末、ようやく見つけ出したのは——

 

《桐生 紬》の個人調査票。

 

住所欄には、学校から家までの簡易な地図も添えられていた。

 

真人「ふふーん♪ やればできるじゃん、俺」

 

その紙を掴み,真人はその足で紬の家へと向かう。

 

◼︎

 

着いた家は、普通の住宅街の一角にあった。

表札に《桐生》の文字。間違いない。

 

インターホンもノックもせず、真人はそのまま、するりと中へ入る。

 

——だが。

 

中に、紬の姿はなかった。

 

リビングには、母親がうつむいて座っていた。

髪は乱れ、目元は腫れ、何度も泣き崩れた痕跡が残っている。

父親は新聞を持っているが、目はどこにも焦点が合っていない。

口を開くことも、体を動かすこともせず、まるで抜け殻のようだった。

 

真人は、その様子をしばし見つめていた。

 

学校にもいない。家にもいない。

両親は——まるで“死者を出した家族”のように崩れている。

 

真人「……もしかして」

 

ぽつりと声が漏れる。

 

真人「……紬、死んだ?」

 

その言葉を口にした瞬間。

真人の心に、不思議な感覚が芽生えた。

 

「死んだのか」——その考えは、なぜか妙に腑に落ちた。

だからこそ、誰から説明されるまでもなく、真人は“納得”していた。

 

……ああ。もう、いないのか。

 

そう思った瞬間。

 

胸の奥に、ずんと重たい何かが沈んだ。

理由も、正体もわからない。けれど、確かに“喪失”という言葉が脳裏をよぎった。

 

真人「…………つまんないな」

 

呟きは、いつもの調子だった。

 

けれどそこには、かすかな空虚さが滲んでいた。

 

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