ホビアニ風百合異世界に転生して魔法少女もどきしながらTCGやってます(仮題) 作:朝陽祭
「うーん、ついに『流氷騎士アヴァランチワイバーン』がオーバーリミテッドになったかぁ……南無南無」
「あ、ついになったんですね……出た当初はロマン砲だったんですけどねぇ」
「ロマン砲が宇宙戦艦に搭載されて連射されるならただの蹂躙なのよそれは」
とある日の昼休み。アドラ・ステラ委員会1年女子トリオで集まるのがすっかり習慣になってしまったボク達は、5月に更新されるリミテッドレギュレーション*1の公式発表をスマホで眺めつつランチタイムと洒落込んでいた。
『流氷騎士アヴァランチワイバーン』――自分以外の『流氷騎士』モンスターを5体破壊することで追加ターンを獲得するっていう特殊能力を持つモンスター。このカードが出た当時の『流氷騎士』はそこまでモンスターを展開出来るコンセプトじゃなかったからロマンカード扱いだったんだけれど、昨年の1月に出たパックで『流氷騎士』自体が恐ろしく強化された上に再録もされたことで、一躍脚光を浴びたカードだ。
いやー、『
まぁ昨年9月にセミリミテッドをすっ飛ばしてリミテッド行きになってもなお暴れたのに『流氷騎士ウェイブストレイザー』が出てきちゃったらね、もう使い手としては諦めてたよね。
「とはいえ、被害は最小限だからアドラ・ステラ甲子園への影響はないし、テスト勉強と平行して新デッキ考えなくてよくなったのは助かるかなぁ……高校入学して初めての中間試験だから、気合い入れたかったし」
そう、5月改訂が告知されるということはゴールデンウィークが近いということ。つまり、学生に取って最初の難関である中間試験も迫っているのである!!
いやぁ、テスト乗り切ってからゴールデンウィークに全力出せるスケジュールってありがたいね!!ボクの中学はゴールデンウィーク明けだったから遊びにくかったし!!
「そういう訳で、2人はゴールデンウィークの予定どんな感じ?空いてる日が重なるなら一緒に遊びたいんだけど」
「テストは突破できる想定なのね。私は特に予定はないけど」
「私は……3日に親と出かける予定があるんですけど……もし、お二人が問題ないなら、一緒に来てくれないですか?」
家族でのお出かけに、友達連れてくってどうしたのるきるき?なんかあった?
「実は――」
☆★☆★☆★☆★FOCUS:MIKA TENDO☆★☆★☆★☆★
中間試験を乗り切った、ゴールデンウィークの最中。
以前の約束を果たすべく、私と住良木は辰星の家へ赴くことになった。
「今日は、よろしくお願いしまーすっ!!」
「すみません、家族団欒にお邪魔することになってしまって」
「いーよいーよ、流輝ちゃんがワガママ言うなんて珍しいし、こうしてお土産も頂いちゃってる訳だしね。まだ準備中だから、一旦あがってお茶でもどうぞ」
まず出迎えてくれたのは、辰星曰く
「那奈ちゃーん、流輝ちゃんのお友達来たよ!!」
「いらっしゃい、流輝の親の那奈です」
「「よろしくお願いします」」
案内されたリビングでは、
……しっかし、辰星本人も事前に『自分の親は同性婚で血の繋がりがない』と話していたけど実際に見るとやっぱり驚くわね。
「あー、やっぱ流輝ちゃんから事前に聞かされてるよね?」
「くっ、初見の人に対する鉄板ネタの『実は、私達血の繋がった親子じゃないんです』が使えないなんてね……」
「いやまぁ確かに事前に聞かされてましたけど、それは見ればわかりますって」
……なかなか愉快な親御さんのようね、うん。
「ママァ?そのブラックジョーク止めてっていつも言ってるよねぇ?あ、2人とも今日はすいませんほんと……」
「おや流輝、準備終わったみたいだね」
すると、『シグナルデヴァイサー』をデッキケース代わりにした辰星が、もう1体の精霊であるドランと共にリビングへ入ってくる。ちょうど、ペンデが行っていた弁当の準備も終わったようだ。
「いやいやるきるき、むしろ誘ってくれて嬉しいよ!!」
「そうね……
「ふっふっふっ、流輝ちゃん貯金の使い所とはこういう時なのだ!!」
そう。今回私達が向かうのは、優花里さんの職場である、企業プロ達が使うこともある写真スタジオ。
……七五三の豪華版みたいなものとはいえ、苦労するわね、辰星?
☆★☆★☆★☆★FOCUS:RUKI TATSUBOSHI☆★☆★☆★☆★
バトルフィールドに使われている技術の中でも一番のオーバーテクノロジーで理解のし難い技術、それが
単にモンスターが実体化するだけでなく、事実上『転霊化』した人間や精霊の意識がNA◯UTOの影分身みたいな状態だったり、バトルフィールドを使ってるプレイヤー達はVR空間に入り込んでるような感覚なのにカードの操作は違和感なくできてたりと、なんかこうとにかくすごいあれで、それでいて安全性はしっかり確保されてるとにかく訳のわからない代物だったりする。
こういうのをよく調べてるドラン曰く「テクノロジーに強いタイプの精霊が関わっている」らしいのだけれど、まぁそれはおいといて。
なんでこんなものが写真スタジオにあるかと言うとすごく単純な話で、
とはいえそれなりにお金もかかるので、もっぱら公式プロや企業プロ向けのサービスなのである……私が『転霊化』できるようになった日に備えて別口で貯金してた優花里ママには、びっくりするけれど。
そして、つまり、その……あれです。
「いいよいいよー!!すっごくいい表情とポーズだよ流輝ちゃん♪」
私は今、『転霊化』した姿でモデルまがいのことをしている訳なんです、えぇ。
今回ばかりはペンデやドランも両親側なので、心の支えとして榛名ちゃんや美歌さんに来てもらったのです。
ゼノバースペリオルの衣装は露出度がそこそこ高い改造巫女服なので平常時のテンションだと着るのに勇気が要るんだけれど、コスプレイヤーの人達ってすごいですねほんと。
ちなみに今は戦闘モードのペンデとドランを侍らせて豪華な椅子に腰掛ける感じの、なんか「王」って感じで写真撮ってます。
「それじゃあアクターのみんなお願いね♪」
「「「「はーい、優花里さん!!」」」」
そして優花里ママが号令をかけると、ASVで私のデッキに入っているドラグネス達に成り切ったモデルさん達が、ペンデ達と入れ代わるように椅子の傍に座ったり、足に絡みついたり、抱きついて来たりする。プロってすごいなぁ(こなみかん)。
まぁ、ママ達が楽しんでくれてこれを思い出として残してくれるのは、私も嬉しいのだけれど……少しばかり、気恥ずかしかったりする。
「お〜、なんか新鮮な感じだね」
「こういう感じなのね、勉強になるわ」
すると、黒いハイレグビキニの上からローライズのスパッツとシースルー素材のパーカーを纏ったドラグネス『海浪竜グラレシア』の格好をした榛名ちゃんと、身体のラインが出たり肌が見えたりするパイロットスーツと近未来風の軽装を纏ったドラグネス『守護騎竜ロード・ブリガデス』の格好をした天導さんが、撮影スペースに入ってきた。
――??????????え、2人ともなんで????????
「いや、ドゥアが今回の撮影プランに、コスプレのオプションも入ってるって言い出してね?」
「那奈さんに聞いたら、モデルさんを雇うオプションの中に含まれている奴だからせっかくならやってもいいよって!!」
何をやってるんですか那奈ママは。
あとこの世界の人達、アドラ・ステラが流行ってたり精霊達が日常的に居るせいかこういう露出が高い服装を着るのに抵抗ないんだった!!
あ、ドゥアさんもなんか撮影用のドローンとかそんなの展開してる。それアリ!?ペンデとドランもなんか腕組んで見守ってるし!?
「ほらほら、るきるき♪せっかく出し楽しもうよ!!」
「そうね、滅多にない機会だもの」
えぇい、もうヤケクソだぁ!!
こうして、私達は撮影会を全力でやるのだった。