ホビアニ風百合異世界に転生して魔法少女もどきしながらTCGやってます(仮題) 作:朝陽祭
色々あった撮影会も終わり、私の家に戻ってきた後。
ゴールデンウィークなのもあって、榛名ちゃんと天導さんはそのまま私の家に泊まることになった。
「お風呂もそうだけど……るきるきの部屋、一人部屋にしては広いね?それに和室だし」
「ペンデやドランが実体化できるようになってから、同じ部屋で過ごしてるので広い部屋に移ってる感じですね……寝る時も川の字になってますし」
「へぇ、うちはよっぽどのことがないとドゥア以外は実体化しないけど、辰星の所はそうなのね」
「今日は2人が泊まるので、気を遣ってくれてますね」
「そうなんだ〜」
そんな感じで寝る前に色々とお話をしながら、私達は楽しい時間を過ごしつつ、3人で一緒に就寝するのでした。
あと、お風呂が大きい理由はママ達が時間ある時は一緒に入るからなんですけど、さすがにそこは濁しましたね、えぇ。
さすがに親のチョメチョメを話す訳にもいかないので。
☆★☆★☆★☆★FOCUS:??????☆★☆★☆★☆★
無限に続く、一面見渡す限りの
『ワタシ』は、その世界の中央で、静かに佇んでいた。
「……ん?あれ、私は寝ていたはずじゃ?」
ただ、何も考えず佇んでいた『ワタシ』の前に、
――さすがに、驚いたわね。夢という形で、こうしてここに辿り着くなんて?
「あ、夢なんですねこれ。明晰夢って奴で……いや、誰ですかあなたっ!?というか、大事な所が光で見えないようになってるとはいえなんで私裸なんですか!?」
……少し待ちなさい、今『
「なるほど!!これなら……って、なんで全身タイツみたいなスーツ……?」
「アンタがイメージしたんだから知らないわよムッツリスケベ」
「誰がムッツリスケベですか!?……って、2Pカラーで逆バニー風の私!?」
「やかましいわね、アンタの前世にあったソシャゲとかでもこのくらいの露出度あったでしょうが」
「だいぶギリギリセウトなタイプのソシャゲですよそれ!?……で、誰なんですあなた?」
着替えた流輝にそう尋ねられ、『ワタシ』はどう応えようか考える。ただ答えるだけでもいいけど、そうね……少しイタズラもしようかしら?
「ここは、こういうべきかしらね――『もう1人のワタシ』?」
「AIBO!?え、私がそっち側!?」
「異世界転生してるアンタの方がピッタリでしょむしろ……まぁ、アンタが恐れていた『本来の辰星流輝』ではないわよ」
『ワタシ』のその言葉に、流輝はビクッと肩を震わせて顔を青ざめさせる……フフ、見てて面白いわね?
「そもそも、
「……じゃあ、あなたは誰なんですか。私が『転霊化』できる以上、精霊としての『ゼノバースペリオル』は、私と一体化してるはずです」
「はんぶんせいか〜いっ♡」
「っ!?」
『ワタシ』はこの空間を操って作った白いベッドに流輝を押し倒すとそのまま馬乗りになって顔を近づける。
「伏線なんてものはないから、答えだけ教えてあげるわ。『ゼノバースペリオル』は、アンタの魂と一体化するべき精霊の半分でしかないの。『ワタシ』は、そのもう半分。さっき『ワタシ』のこと2Pカラー呼ばわりしたけれど、あながち間違ってないのよね。『
「……それで、私をどうするつもりですか?」
「いや別に?そもそもなんか知らんけどアンタが『ワタシ』の領域に入り込んできたからダルくてさっさと帰らないかな〜って嫌がらせしてるだけですけど」
「はぃ?」
「それとも、ムッツリスケベの夢を叶えてあげるために
「ななななななななな!?!?!?!?だから、私ムッツリスケベじゃないですが!?」
ハンッ
「鼻で笑った!?鼻で笑いましたよね今っ!?」
「うっさいわね……『ワタシ』に関する
「今不穏なこと言いませんでした!?ラスボスって何の!?いつ!?」
「鏑木道流が高校3年の時のクリスマスだけど?」
「あの時確かに記憶が朧げなタイミングあったけどあなたの仕業ですかっ!?」
「不可抗力よ不可抗力。それまでにもちょいちょい鏑木道流にちょっかいかけてたから、その総決算をしたってだけよ。まぁ、どうでもいいから今度はいい夢見なさいな」
「えっ」
そうして『ワタシ』は流輝から離れると、ベッドと入れ替えるように深い穴を空間に作り出す。当然、流輝は穴の中へと落ちていく。
「それじゃあ、今後はなるべく来ないでね〜?次来たら真面目に夢魔《サキュバス》っぽく振る舞って襲うから〜あと、起きてる時に守護霊召喚みたいなノリで呼ばないでね〜?」
「だ、誰が来るもんですかぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!?!?!?」
穴に落っこちながら叫ぶ流輝を眺めつつ、『ワタシ』は満足感を覚える。
そっちはそっちで頑張んなさいな。『ワタシ』の出番なんてもうないだろうし、このまま精神世界でニート生活させてもらうわ。
☆★☆★☆★☆★FOCUS:RUKI TATSUBOSHI☆★☆★☆★☆★
「――ってことがあったんですよ」
「……とうとう、流輝ちゃんもあの子に会ったのね」
「店長も、あの精霊のこと知ってるんですか?」
「えぇ、あの子の言うクリスマスのバトルは、道流ちゃんと咲夜ちゃん、私でバトルロイヤル形式の、実質3VS1で戦ったもの。未知のカードを使っていたとはいえ、かなり強かったわよ?」
『アンバースペリオル』を名乗る精霊と夢で邂逅した翌日。お泊り会が終わって榛名ちゃんと天導さんが帰宅した後、カードショップ『BLUE PLANE』を訪れた私は、雑談がてら店長に夢で見たことの話をしていた。
元公式プロと当時の高校生世代で最強格だった2人を相手にしてそれとは、恐ろしいですね……
『さぁ、本戦準備の為一旦小休止となりますが、ここで中継をご覧になっているアドラ・ステラプレイヤーにはお待ちかねの、新情報がございます!!』
ふと、そんな音声が聞こえてきたので店内にあるモニターを眺めると、実況席で開発チームとしてよく見かける方が、VTRへの前フリを行っている場面が見えた。
「そういえば、今日って春のグランプリでしたっけ?」
「そうよ。道流ちゃん達も会場のアナウンスやリポーターとして関わってるし、常連も結構参加してるから、応援の意味も込めてお店で公式チャンネルの中継流してるの……最初の新情報は、フェイタルアルトアートみたいね」
店長の言う通り、VTRにはかっこいいロゴとなった、『FATAL-ALT-ART』の文字が現れていた。
……ん?
そんな台詞が流れていったかと思えば、『アンバースペリオル』を名乗る精霊によく似て挑発的な表情を浮かべたイラストが、大々的にどどーんと映し出される。
その後にも、『フェネクス』モンスター達を悪の女幹部風に擬人化したイラストが複数枚出てくるが、私と店長は、思わず顔を見合わせていた。
「……噂をすれば影という訳じゃないけれど、なんだかタイムリーだったわね流輝ちゃん」
「そ、そうですね」
とりあえず、家に帰ったらママ達にお願いして予約させてもらお……
「とーちゃーん、早く早くー!!」
「和哉、お母さん達が置いてけぼりだろ?あ、どーも畑山さん*1……お、なんだ?辰星も居るのか」
「あ、築地先生」
「とーちゃん、このお姉ちゃん、とーちゃんの学校の?こんにちは!!
「こんにちは、辰星流輝です。お父さんには、私がお世話になっているんですよ?」
「そうなんだー」
そんなことを考えているとお店のドアに付けられたベルが鳴り、子供と一緒に築地先生が入ってきた。
挨拶してくれたので、しゃがんで目線を合わせながら私も挨拶を返すことにする。なんか微笑ましいですね。
「あら、築地君いらっしゃい。ゴールデンウィークだから家族サービス中?」
「はい、それで家族で出かけてたんですがアドラ・ステラのカードを見たいと言い出しまして……」
「だって、俺の『ドラグーン』デッキもっと強くしたいもん!!もっとこう、かーちゃんに負けないくらい強そうな奴!!」
「いやお前それは無理だって……」
お、『ドラグーン』デッキの使い手ですか。やっぱり、かっこいいドラゴン系ってどの
でも、『かーちゃんに負けないくらい』とはいったい……
「こんにちはー」
疑問に思っていたことは、直後に店内へと入ってきた、幼い女の子を連れた女性を見たらすぐにわかった。
一見、普通の女性に見えるが……間違いない、この人精霊だっ!?
「あ、かーちゃん」
「かーちゃん……って、築地先生の奥さんって、ですかっ!?」
「あら、流楓高校の生徒さん?どーも、達弥の妻です」
「ブレイア、この子は『精霊憑き』だし『転霊化』もできるからそっち側の説明もしていいぞ」
「あらそう?じゃあ、改めて。あなた達風に言うなら、『龍覇戦姫ブレイアメイジング』の精霊といえばいいのかしらね?」
――『龍覇戦姫ブレイアメイジング』。
アドラ・ステラ黎明期に登場して、出ただけでエクストラタイム*2を獲得できるうえに相手の場に居るモンスターを全破壊する、赤の『ドラグネス』モンスターだ。
環境の変遷に伴って凶悪さが増していった*3為、オーバーリミテッドの制定と共に堂々たるオーバーリミテッド1号となった、ある意味アドラ・ステラを代表するカード。
そんなカードの精霊なんて、築地先生にはどんなドラマが……?
「いや、期待してるとこ悪いが学生時代にカードの整理してたら昔使ってたカードにブレイアが宿っただけだから、ドラマも何もないぞ。むしろオーバーリミテッドに叩き込まれた後の話だからブレイアがポンコツ晒し……「おほほほほほ、妻の恥部をネタにする悪い旦那様はこちらかしらぁ?」……いひゃいいひゃいいひゃい」
……あっはい、日常ラブコメみたいなことはたくさんありそうですね。
「おねーちゃん、ひまりと遊んで。ひまり、アドラ・ステラのデッキ持ってる」
そういう風に気を取られていると、服の端を引っ張られながら声をかけられたのでそちらへと視線を向ける。そこには、ブレイアさんと共に居た女の子が、いつの間にか私に近寄っていた。あら可愛い。
「あー、済まない辰星。和哉とカードを見ている間、ひまりと遊んでやってくれるか?」
「はい、大丈夫ですよ?それじゃあひまりちゃん、あっちでバトルしましょうか」
「わーい」
こうして、私はブライアさんが見守る中、ひまりちゃんとアドラ・ステラで遊ぶことになったのでした。
なお、結果は連敗でした……なん、だと?