何番煎じですが、呼んでいただけると嬉しいです。
できれば評価と感想も。
更新は遅いですが、よろしくお願いします。
はっきり言おう。
唐突に言おう。
俺は同じセミナーの生塩ノアが好きだ。
一目惚れだ、恋に落ちた、心を奪われた。
誰にでもやわらかい言葉遣い、俺たちが好きなことやものを逐一全部覚えていてくれているノアが好きだ。
でもそれはきっとノアにとっては当たり前のことなのだろう社交辞令なのだろう。
それでもノアが好きだ。
告白できなくても______
「何言ってるんですか。」
「.......」
後ろからジト目と呆れ混じりの声が聞こえてくる。
聞こえるはずのない「妹」の声が。
今監禁されているはずのやつの声が.......
ゆっくりとゆーっくりと振り向いて見れば。
「さっさと告白すればいいじゃないですか。そんな壁に向かって練習しなくたっても.......」
「うるせうるせ。てかコユキお前なんで俺の部屋いんだよ。」
「そんなの抜け出してきたに決まってますよ。あポテチいただきます。」
「俺の夜食だぞ!?」
「おふぃにぃふぁんだぁけずふぁいんー。」
とっておいていたポテチを遠慮なくむっしゃむっしゃと口に放り込むこいつは黒崎コユキ。
俺の義理の妹であり.......
俺を救ってくれた人の一人でもあって.......
ミレニアムに指名手配されている奴でもある。
なぜそうなっているのかは説明すると長くなるので割愛するが端的に言えば.......
ミレニアムの金を丸ごと使ってギャンブルに突き込んだ大馬鹿だ。
そして俺のポテチを食べた大罪人である。
ささやかな罰としてポテチで膨れて満足しているコユキのデコを______
「いてっ!?」
「食いもんの恨みは恐ろしいんだぞ。覚えとけ。」
「私の分買ってればよかったのに.......」
「あのな、俺違うとこ住んでんの。ミレニアム寮入れないから。アパート住んでんの。なのになんで来るんだよ。帰れよ。」
「嫌です。」
「なんでさ。」
「帰ったら絶対バレるじゃないですかー!もう入りたくないんです!!」
「ツケを払う時が来たんだ。しっかり払ってこい。」
「せめてお兄も一緒に入ってください!!」
「何がせめてだよふざけんな!俺何にも悪いことしてないのに!」
「.......ノア先輩ににたA______」
「バカバカバカバカ!!!」
Aから始まるものを言わせないために口を塞ぐ。
くそっ、しっかりパソコンやらスマホやらにロックかけていたのに!
この憎たらしい大切な義妹には歯が立たないというのか!?
「これ言われたくなかったらわかりますよね!?」
「わかってたまるかよ!お前サイテーだな!!人のフォルダやらなんやら漁りやがって!」
「次からはちゃーんと物理的ロックかけておくんですね!」
「はっ倒すぞこの______」
続きが出てこようとした時だった。
玄関からインターホンが鳴ったのは。
夜だというのに珍しい。
もしかして最近頼んだアレが届いたのか。
「コユキ.......少し離れる。」
「へ、なんでです?」
「男のロマンが.......届いた。」
「はい?」
まるで悪役のようなフフフフ.......を呟きながら玄関に向かう。
うっきうっきで歩いて2秒。
覗き窓から覗くこともせずドアを開けた。
そこには______
「こんばんは、レイジ君。」
「..............!?..............!!!!??!!??」
玄関を開けた先にいたのはやわらかい言葉と女神のような微笑み、そして
雲がない夜空にいる月明かりに照らされてそこにいた。
騒ぎまくる俺の心を強制的に落ち着かせていつも通りの言葉を捻り出した。
「.......生塩、さん?」
「ノアです。」
「え?」
「私の名前はノアです。今日10時間前24分ぐらいに言いましたよね、そろそろ名前で呼んでほしいって。」
「あー、えーと.....ノア、さん。」
「.......まあいいでしょう。○月☆日21時36分12秒.......」
「か、勘弁してほしい.......」
「ふふ.......」
慈愛に満ち溢れた笑みが眩しくて、からかいに引っかかったのが恥ずかしくて。
頬をぽりぼりと軽く掻いた。
ノア的にはただ用事があってそのついでにしたんだろうけど。
それだけでも俺は嬉しい。
「えと、ノアさんはこんな時間に一体.......」
「私、今コユキちゃんを探しているんですけど.......心当たりありませんか?」
「..............」
まあ、そりゃそうだよな。
脱走したら追いかけてくるが当たり前。
後ろから自室の方から「言わないでください」ってプレッシャーが飛んで来る。
消音にして懐に入れているスマホからもバイブ音が鳴り止まない。
きっと今頃ガタガタガタと震えながらスマホを触っているんだろう。
..............。
「.......今、俺の部屋にいます。」
「!!!」
「そうですか.......」
「連れて行くんならいいんですけど.......一ついいですか?」
「はい?」
「俺も.......コユキと一緒に入れてくれませんか、あそこ。」
「何か悪いことでもしたんですか?」
「..............」
まあ、はい。
悪いことはしてましたとも。
それ以上言えばオワリなので言わないが。
「.......暗い場所でひとりぼっちは、辛いですから。せめてふたりぼっちなら幾らかはマシですから。」
「.......」
「ダメならダメでいいんですけど.......」
「少し、失礼してもいいですか?」
「あ、はい。」
玄関から離れて誰かに連絡を取るノア。
振り向けば布団をずきんのように被りながらチラチラと見ているコユキ。
その目はなんで、と聞いてきているかのようで。
モモトークで答えを送った。
「ひとりぼっちの辛さは知ってるから」
「お待たせしました.......本当にいいんですか?」
「はい。」
「では、明日また迎えに来ます。それまでに荷物をまとめておいてください。」
「わかった。」
「.......あなたがいてくれるなら、コユキちゃんも少しは安心できますね。」
「どうだろう。」
「ちゃんと安心できますよ。なんといっても、頼りになるお義兄さんですからね。」
「た、頼りって.......別に俺は.......」
「私も頼りにしてますよ。」
「____________」
その一言だけで、俺の心はマックスハイテンション。
が、それを出して仕舞えばは引かれるので抑えた。
「では、また。お時間いただいてすみません。」
「いえ、大丈夫です。」
「お詫びと言ってなんですが.......今日、一緒に寝ますか?」
「ぶはっ!?ノアさん、流石にそれは.......!?」
「冗談ですよ、ええ。」
「(俺のメンタルが持たない.......!!)」
「おやすみなさい、レイジ君。」
「お、おやすみなさい。」
にこやかに笑ったまま去って行くノア。
後ろ姿を少しだけ眺めて自室に戻った。
安心していつもの調子に戻ったコユキは。
.......二袋目のポテチを食べていたコユキをこづいてから寝た。
..............明日からどうなるのかと少しの不安を感じながら。
・・・・
お兄ちゃんはすごい人だ。
私よりもすごい人。
優しくて一緒にいて退屈しなくて。
たまに怖い時はあるけれど。
それ以外は私を助けてくれる。
余程ダメなことしなかったら、だけど。
今でも覚えている。
小さな頃お兄ちゃんが家族になって一年くらい後。
お兄ちゃんにうんと怒られたことがあってミニ家出して。
私の力も使って3日、逃げてた。
でも寂しくて、お兄ちゃんや家族がいないことに耐えられなくて。
根を上げて迎えに来てもらった。
お母さんかお父さんが来るかと思ったらお兄ちゃんで。
夕暮れの下、背中におぶられながら家に帰って行った時に言われた。
「なんで?」
「え?」
「なんで、怒ってくれたりするんですか?優しくしてくれるんですか?迎えに来てくれるんですか?
「..............だから。」
「だから?」
「もう、一人もいなくなってほしくないから。家族が、大切な人がいなくなるのはもう嫌なんだよ。」
「.......」
「ひとりぼっちだったのをコユキとコユキの家族が救ってくれた。だから.......」
「.......レイジさん。」
「俺もあの時、言いすぎた。ごめん。」
「私も、ごめんなさい.......お兄ちゃん。」
「お、お兄ちゃん.......!?」
それから私はお兄ちゃんと呼ぶようになった。
能力とか関係なしに私を見てくれるから。
血が繋がってなくても、私のたった一人のお兄ちゃん。
____________私はそんなお兄ちゃんが大好きだ。
この世界の誰よりもずっと。
だから、精一杯応援する。
お兄ちゃんの恋が叶うように。
例えそれが私の「 」を犠牲にしても____________
続く。
大体4〜6話完結予定