「.......ほっ!」
凄腕の兵士が綺麗に的確に投げるグレネードのように、放ったボールがネットにすっぽりと通る。
通って派手に鳴り響く効果音。
そう、初デートで俺たちはスポーツセンターに来ている。
いろいろ運動できるここならノアの運動苦手も良くなるんじゃないかと考えて。
まあデート取り付け理由が苦手だから治したいみたいな感じだったし。
ノアには悪いけど、溢してくれたコユキに感謝だな。
.......終わったら、いろいろ言わなきゃな。
手頃なやつからやろうとバスケのシュートゲームから始めた。
ゲーセンとかに置いてあるやつのスゲェ版。
俺が知ってるやつ.......というか「やったことあるやつ」よりスゲェ。
ホログラムが実態持ってるし、柵とかネットもちゃんと弾かれるようになってるし。
ここの技術やっぱスゲェわ。
「よし、まずは一球。」
「お見事。」
「コツは.......投げるんじゃなくて飛ばす感じ。」
「投げるではなく飛ばす.......」
転がってくる焦茶色のボールを拾って前に出るノア。
見様見真似の動きで同じように綺麗に______
「えい。」
ガコン、とネットからあまりならないような音が飛んできた。
ネットに弾かれたボールは放物線を、それも鋭くカーブを曲がるような勢いで。
「いたっ。」
.......ノアの頭に直撃した。
当たったところを押さえて何が起こったのかを確認してるらしい。
「大丈夫か、ノア?」
「これぐらいではなんとも.......見様見真似でしてみたのですが。」
「記憶力すごいノアが俺を真似してそれで.......も、もう一回やってみてくれないか。まだ出来るし。」
「もちろんです。」
羽織っていたコートを脱いで軽装になった。
..............なんか
気のせいだろうけど背中にメラメラと渦巻く炎のようなやる気がみなぎっている。
あと二、三回は投げれるし流石に入るだろうと自信満々に俺とノア。
が、それは甘かった。
台風来たから学校休めると思ったらコース外れて休みなしになるのが当たり前のように。
「このっ。」
「(外れた。)」
「やぁっ。」
「(今度はおでこに当たった。)」
「たぁっ!」
「ホログラムに当たった!?」
______こ、これは.......
コユキが口止めされてるのも納得の.......
いや、普段のノア.......苦手なことがなさそうなノアが実は運動苦手ってギャップを間近で見て俺はテンションあがっている。
なんか言葉遣いが変だが、ノアが俺に弱いところを見せてくれているっていうのが。
ギャップ萌え、というのだろうか。
「頭ではわかっていても、難しいですね.......」
「ある意味すごいな.......」
「戦うことなら普通にできるのに.......ままならないですね。」
2人で白い手を顎に当てて考え込む。
確かにノアは戦闘の際、普通に走り回って隠れて銃を撃つことができるのに。
運動.......というよりスポーツ苦手。
「まあ、ゆっくり苦手を治していけば良いか。」
「はい。レイジくんも付き合ってくれますよね?」
「もちろん。」
当たり前のように手を繋ぐ。
次は何をしようかと話しながら日が落ちるまでスポーツランドを楽しんだのだった。
..............ちょくちょく怪しい黒服スーツがあることを除いたら。
・・・・
お兄ちゃんが幸せそう。
それだけで私は幸せ、なのに。
そう思っているのに。
やっぱり良いなと、ズルいと思ってしまう。
元から応援すると決めていたのに。
2人が、お兄ちゃんとノア先輩がいちゃいちゃして甘酸っぱくして笑い合っているのが。
本当は、私がそこにいたいのに。
それを必死に抑え込んで私は小さく呟く。
「楽しそうで幸せそうだなぁ.......」
ありったけの祝福とほんのちょっぴりの羨ましさを込めて。
・・・・
帰りの電車。
行きと同じように揺られながらの帰り道。
窓から見えるオレンジ色の太陽に照らされながら他愛無い話に花を咲かせていた。
毎日のこと、セミナーの仕事のこと.......お互いのことも。
「レイジくん、今日はありがとうございました。」
「いや、こちらこそ。」
「また、どこかに行きましょう。次はどこに行きたいですか?」
「そうだな.......」
「.......やっと取れましたね。いえ、バスケットボールの時からでしたが。」
「ん?」
「敬語。」
「あ。」
心掛けていた敬語がいつの間にか。
.......好きな人の前だからこそ敬語使ってたのに。
てかノアがそれ言うのかよ。
俺の脳内24Gメモリの中にそんなのないけど。
「これからは敬語なしでお願いしますね?」
「ええ.......」
「ええ、じゃないです。」
「それ言うんだったらノアだってやめてくれよ。」
「それは無理です。ずっとこの喋り方ですから。」
「ズルいなぁ.......」
「人は生まれ持ってるものを変えることはそうそうできない.......と言いますし。」
「誰が言ったんだよそれ。」
「睡眠中のあなたです。」
「..............マジ?」
「冗談です。」
「だよな.......いくら寝言でもそんなの言わないぞ俺。」
「1ヶ月前の25日、12時25分9秒に昼ごはん食べ終わってからの5分後に
「ノアにやってほしいツインテール」.......」
「くっ!」
「でも記憶していてよかったです。レイジくんに可愛いと、似合っていると言われるのが確実でしたから。」
.....................俺は、ノアに勝てないのか。
今日ずっとノアに先手打たれてるような。
ノアが言うことなすこと全部に顔が赤くなる要素たっぷりで。
多分きっと、ノアは余裕そうな______
「.....................」
____________相打ちだわ、これ。
・・・・
帰宅後。
「にいに、どうでした?ノア先輩とのデート。」
「..............まあ、いろいろ言いたいことはあるけど。楽しかったな。」
「そうでしょうそうでしょう。」
「コユキのおかげだな、ありがとう。」
「..............」
「なんだよ鳩が鉄砲喰らったみたいな顔して。」
「にーちゃんが素直にお礼を.......私って今寝てるのかな?」
「デコピンしてやろうかこんにゃろ。」
「まあまあ.......」
「お前が言えるセリフじゃねぇだろそれ!?」
「ね、お兄ちゃん。」
「なんだ?」
「明日、お出かけ行きたいです。」
「.......そんな連続で許可降りるか?」
「ユウカ先輩からもうもらってます。」
「マジか。」
「ダメ?」
「行くに決まってるだろ。」
「.......うん。ありがとうございます。」
「よっし、んじゃあ寝るか。」
「隣で寝ても良い?」
「当たり前だ。ほら。」
「.......ん。にへへ。」
「前から思ってたけど、お前コアラみたいに腕くっつくな。」
「それノア先輩と添い寝する時言ったら絶対にダメですからね。言ったら私が怒ります。」
「なんでさ。」
続く。
多分ミレニアムならホログラムが実態持ってもおかしく無いと思ったから書きましたがハッキリどこまでミレニアムの技術レベルがあるのかわかんない。
実はレイジ、「__________________」から来た人間。
キヴォトスに来た際にハイローは出てきた。