義兄の恋をコユキは応援する   作:ァマノ

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繰り返し似たような文が多いですが、コユキにとってお兄ちゃんという存在が大きすぎると思ってください。
そしてあと2話で完結と言ったな、アレは嘘.......かも。


第5話 脱兎の如く

ミレニアム、公園。

ほぼ近未来な街並みから外れて少しのところにある小さな公園。

多くの人々が行き交う歩道から人気が少ない静かな石道。

のんびりゆっくりと歩く。

横にはコユキがちょこちょことひよこのように動き回ってついてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、いつぶりですかねぇ。こうやったにいーにと歩くの。」

 

 

「もう1ヶ月は経ってるだろうな。最近は忙しかったり、どこぞのウサギが借金騒動起こしたりしてたもんな。」

 

 

「ひどいやつもいるもんです。」

 

 

「オメーだよこの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の目の前に現れた一瞬、それをついてデコピンをお見舞______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほ、っと!」

 

 

「俺のデコピンが避けられた!?」

 

 

「何回も同じデコピンは貰いませんよ!」

 

 

「学習しやがって.......!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.......代わりのなんか考えとかないとな。

ノアみたいな言葉責めをできないことはないけどやりたくないし。

何が良いのかと考えてる間に着いたらしい。

コユキが行きたいと言っていた公園。

着いた途端にコユキが脱兎の如く走って行って追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「急に走るなって。」

 

 

「にへ、ごめんなさい。さあ、一緒に探しますよー!」

 

 

「何を?」

 

 

「四葉のクローバーに決まってるじゃないですか!」

 

 

「..............ヨツバ?」

 

 

「はい!」

 

 

「なんでまた?」

 

 

「.......秘密です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.......めずらしい。

コユキが秘密、なんて言葉を使うなんて。

いつもなら口が滑ったりとかで真っ直ぐ正直に言うのに。

今は滑ったりすることもない真面目な表情。

それ以上の追求はしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかった、見つけたら教えてくれるか?」

 

 

「.....................はい。」

 

 

「んじゃ、探しますか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しゃがみ込んで緑と睨めっこ。

ある程度見込みを決めて重点的に漁る。

ひたすらひたすら掻き分けて。

見つけたと思ったら三つ葉が切れてるだけだったりもするし。

四つ葉だ、と思ったら五つ葉.......ってこっちのがレアじゃないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「五つ葉か.......俺たちが探してるの四つ葉なんだがなぁ.......」

 

 

「五つ葉って金運アップとかって言われてるらしいですよ。」

 

 

「なら持って変えるかな、せっかくだし。」

 

 

「まあ万年へろろ?グッズ集めてるお兄は金欠から逃れ.......」

 

 

「ペロロ様だ間違えるな。」

 

 

「ええ.......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとなくの一瞬、コユキの方を見た。

必死に、俺が知ってる限りで指で数えるくらいの真剣な顔。

集中して四つ葉を探すだけのマシーンかのような気迫を感じる。

何がコユキをこうしてるのかと気になっていたら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん。」

 

 

「ん?」

 

 

「ノア先輩にいつ告白するんですか?」

 

 

「ぶはぁっ!?」

 

 

「ノア先輩待ってますよ。」

 

 

「.......次の休み、デート時にしようって決めてる。」

 

 

「そうですか。」

 

 

「.......成功すると思うか?」

 

 

「..............成功しないわけないじゃないですか。あんなに惚れてるのに。」

 

 

「いやでもなんか不安でさ。」

 

 

「お兄ちゃん.......」

 

 

「でもまあ、コユキがそう言ってくれるなら安心だ。」

 

 

「なんとなくわかりますし。同じ人好きになってるわけですから。」

 

 

「そうか。だったら気持ちはわかり..............」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______今、なんて言った?

同じ人を好きになっている。

それを聞いて一つずつ調べる。

同じ人を、多分俺。

好き、おそらく俺。

なっている、絶対俺。

それを足して引いて割って掛けて.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コユキ______っていねぇ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞き直そうとした時には、もういなかった。

地面から砂煙が立ち上がるぐらいのスピードと足回りで来た道を走ってた。

見逃さないはずの顔さえ見えなかった。

心なしか足が渦巻きになってるような______ってそんなこと言ってる場合じゃない!

なんかヤバい気がする!

選択肢とか間違えたらバッドエンドに行きそうなそんな予感!

何言ってるかわからんがとにかくヤバい!

土がついたまま、俺はコユキを追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言っちゃった、行っちゃった。

ずっと隠すつもりだったのに、ずっと奥に入れておくはずだったのに。

溢れてしまった。

お兄ちゃんのことが好きだって。

お墓まで持って行く決意をしていたのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走りながら私は何度も何度も後悔する。

もしこれで、お兄ちゃんが私を選んだらどうしよう。

ノア先輩が悲しい思いする。

ほぼ付き合う一歩手前だったのに私みたいな泥棒兎に掻っ攫われるなんて。

それだけは、それだけはダメ。

私なんかよりもノア先輩がお似合い。

 

 

 

 

 

 

 

 

一度、お兄ちゃんが聞かせてくれたことがあった。

お兄ちゃんがお兄ちゃんになる前の話。

それを聞いて私は決めた。

恋人になれなくても妹としてお兄ちゃんと一緒にいるって。

ずっと支えてたいって。

.......もしかしたら、恋人になれるかもって思ってた。

でもそんなことはなかってお兄ちゃんがノア先輩を好きになったって聞いた時、私の恋は終わった。

だから応援しようと本当の気持ちを押し殺してお兄ちゃんが幸せになれるように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのに。

言っちゃった。

お兄ちゃんが、好きって、こと。

これでお兄ちゃんがいなくなっても、私は受け入れてしまうのだろう。

それが当たり前の結果って、自業自得って。

最後まで隠せなかった私の罪と罰なんだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ.......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度走って息が続かなくなって立ち止まる。

少しだけ戻ったら物陰に隠れて三角座り。

腕に顔を乗せた時にはもう、目が雨で溢れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、好き.......好き、好きです..............」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

溢れてしまったのならどんどん溢れていって。

心の中でしか呟かなかった言葉が激しい滝のように流れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く。




レイジはよくコユキへの制裁としてデコピンをする。
その速度は仮に空崎ヒナに放った場合一回は直撃するほど。
なぜデコピンなのかはレイジがここに来る前の出来事に由来する。
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