大変お待たせしました。
次回作ももしかしたら義妹ものかも知れません。
それか.......レイジのキャラ設定か。
とにかく最終話、どうぞ。
最後に誰かからメッセージあるそうですよ?
......走り去ったコユキを追いかけて見失ってしまった。
曲がり角を右に行ってから一瞬。
こんな時にバニーの時並みの速さ出さなくても.......
いや出したくなる理由はなんとなくわかる。
ノアと同じぐらい好き。
その言葉だけでわかる。
いくら鈍感な俺でもわかる。
俺にノアの苦手なところを教えた時。
デートを尾行してた時。
俺とノアが夫婦みたいだと、コユキを含めて家族と言った時。
「.......不器用だな、コユキも俺も。」
コユキがいる場所の心当たりはなし。
手当たり次第に物陰とか探しまくるしか方法がない。
どれだけ時間が掛かろうが日が掛かろうが絶対に見つける。
「コユキ.......ん?」
コートのポケットから着信音。
誰だと思いつつ画面を見たら.......ユウカ?
片手間でしか喋れないがとりあえず。
「もしもし、ユウカ!今取り込み中なんだ」
「コユキのこと、探してるんでしょ?」
「なんで!?」
「今コユキの横にいるからよ。」
「!?」
「今から座標送るから来てあげて。いろいろ言いたいことあるだろうから、お互い。」
「.......恩に切る!」
「ええ。しっかり、話し合いなさい。それと。」
「なんだ!?」
「.......ノアのこと、幸せにしてあげなさい。コユキのこと受け止めてあげて。それがノアとコユキの友達である私のお願いよ。」
「.......ああ!!」
通知に送られてくる座標と添付写真。
見覚えしかない。
今いるところからちょっとで着く。
.......走る間に纏めとかないとな。
俺がコユキに伝えたいことを。
まっすぐ歪まないように伝えるために。
・・・・・
送られた座標についた。
小さい頃、ここに来た時はコユキを探すことに精一杯だったから覚えてなかったけどここは古い公園らしい。
砂と泥まみれになった埋め込められてるタイヤ。
塗装が剥げた階段から滑り落ちる滑り台。
鎖が錆びて風で揺れるたびにギイギイとなるブランコ。
そして。
.......もし子供と遊びに来たのならのびのびと時間が許す限り遊べるだろう。
俺の予想が正しかったら、きっと。
手入れがされてない雑草の中を踏み進めて見当が着く場所。
元々赤色だったのが剥げて途切れ途切れになった穴だらけのドーム。
中に何人も入れそうな空洞がある。
そこを覗いたら、いた。
「.......」
「お兄ちゃん.......」
「..............」
三角座りで俯いたコユキが。
声をかけずに前にしゃがみ込んだ。
あの日のように。
なんて声かけようかと考えていたらコユキが先に話し始めた。
「とりあえず、何も言わずに聞いてくれますか?」
「.......おう。」
「私はお兄ちゃんが好きです。ずっと、ずっと、ずっと前から。お兄ちゃんとノア先輩が出会う前からずっと。」
「.......」
「ほんとは、お兄ちゃんと恋人になりたい。でもなってはダメ。簡単なことしかできなくて、普通の人と考え方が終わってて.......お兄ちゃんと出会ってたから多少マシになりましたけど。」
「(.......マシ?)」
「人としてダメ私なんかよりも、ノア先輩の方がお似合いって思って。
きっと、私と付き合ってもお兄ちゃんが不幸になるだけ。ノア先輩だったら幸せになってくれる、幸せにしてくれる。お互い、イチャイチャしてますから。これ以上、お兄ちゃんが不幸に、辛い目に遭ってほしくないから。そう思って.......隠してました。
でも、お兄ちゃんが近々告白するって言って.......つい、溢れて。」
「ごめんなさい、お兄ちゃんを好きになってしまって。」
好きになってしまってごめんなさい。
言わせてはいけないセリフを言わせてしまった。
全ては、俺が、悪い。
.......それを受け止めて、俺は言わなければいけない。
コユキの恋を終わらせてしまう言葉を。
「ごめん、気づいてやれなくて。」
「..............」
「俺は不器用だ。だから.......こうやってハッキリいうことしかできない。」
「うん、知ってる。」
「.......俺は、コユキの恋人にはなれない。俺はノアが好きだから。」
「.....................そうですよね..............」
「.......」
「でも、よかったです。」
「なにが?」
「これで「コユキの恋人になる」とか言ってたらフルボッコにしてました。」
「コユキ」
「こんなことで手のひら返すノア先輩への想いはおかしいって。こんなお兄ちゃんはダメ、と。」
「.......」
「安心しました。」
「お前.......」
「これで私の恋は終わりです。綺麗さっぱり。」
「..............ああ、そう、だな。」
俺はただうわことのように返事を返す方しかできなかった。
.......どう言えばいいのか、どう言葉を返せばいいのかわからなくて。
コユキのらしくない無理した顔を眺めてばかり。
泣きそうな目を見せないために目を閉じてニパッと悲しそうにしてる顔。
..............自分が傷つくことも厭わずにコユキは想いを言ってくれた。
兄の俺が想いを言わずしてどうする。
誰かに身勝手と言われても自己中だとしても。
「さ、帰りましょう、お兄ちゃん。」
「.......コユキ、いいか?」
「?」
「.......俺は.......恋人にはなれないけど、コユキの兄でいたい。」
「!」
「初めて居場所を、いてもいいって思えた場所をくれたのがコユキ、お前だ。コユキの望む関係になれなくても俺は.......コユキの兄、黒崎レイジとしていたい。」
「.......お兄ちゃん。」
「許さなくてもいい。前と同じに戻らなくてもいい。頼む。」
・・・・・
とても濃くて長くて切なくて。
何回も何度も絶対良いなと思う。
私がノア先輩の代わりになりたいって考える。
「初恋は甘酸っぱい」と、よく言ったものです。
本当にそうとは思わなかったな。
「言質、取りましたからね。」
「言質?」
「ずっと、私のお兄ちゃんでいてくれるんですよね?」
「ああ。」
「私が悪いことしたら庇ってくれるんですよね?」
「.......内容によるけど。」
「じ、じゃあ.......私が勝手におやつ食べても許してくれますか?」
「許さない。」
「..........私のことをずっと、見守ってくれますか?」
「もちろんだ.......約束、いや、誓いだ。ずっとコユキを見守る。俺が死ぬまでずっと。」
お兄ちゃんが、私の目の前に来て、しゃがみ込む。
小指を合わせて絡めて。
私はずっとお兄ちゃんの居場所。
お兄ちゃんはずっとお兄ちゃん。
改めてふたりで誓った。
ああ、本当に。
本当になんて、幸せな恋だった。
____________甘酸っぱかったけど、苦しかったけど、それ以上に、幸せだった。
・・・・・
数ヶ月後。
「おーにいー!」
「ぐへっ!?」
「どーなんですかぁ、ノア先輩と。」
「.......順調、って言えばいいのか.......ってなんでお前俺の家にいんだよ。俺は.......いろいろ?あるからこっち戻ってるけどさぁ。コユキはまだあの中にいないと.......
「そうですかそうですか.......」
「無視かよ.......」
「いやぁ、最近のにぃのa.......アイタァ!?」
「お前また見やがったな!?ちゃんと二重箱にしてたのに.......の前になんで存在知ってんだ!?」
「ふっふっふっ、何年にーのこと見てると思ってるんですか.......脱獄する方法も隠し方もたくさんわかるんですよぉ.......でも傷がつくまで流してるのは.......」
「それ以上言うんじゃねぇ!いろいろ我慢してんだよこっちはよぉ!」
「.......苦労してるんですねぇ.......」
「こんちくしょう!!もうお婿に行けない!」
「いやまだ行けないじゃないですか。」
「そうじゃない!ちくしょー!!」
「まあまあ.......気を取り直してください.......」
「コユキのせいだろうが!!」
「.......なあ、コユキ。」
「はい?」
「..............うん、コユキはそうやって笑ってくれてる方がいい。」
「..............」
「さ、今日はどっか食べに行くか。俺の奢りだ。」
「本当ですか!?じゃあじゃあ.......」
叶うなら、こんな日常がずっと、ずーっと続きますように。
そして、お兄ちゃんがずっと幸せでいられますように。
おしまい。
ここまで読んでくれてありがとうな。
..........コユキはいい子だ。
きっとこれからいろいろ悩むと思う。
みんな、コユキのことを見守ってくれな。
悪いことするかも知れないけど.......そんな時はちゃんと怒ってやってくれ。
あ、そうだ。
俺が好きな言葉をみんなに贈るぜ。
.......「思ってることは言わないと伝わらない」。
ま、それがなかなかできないのが俺たち人間だけどな。
それじゃあな、またどこかで会おう。