二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 どうも、私、塩ようかんと申します。指摘などがありましたら是非よろしくお願いいたします。


 1話 その名はゾフィー

 

 その日、藍越学園から下校途中だった大谷 慎吾(おおたに しんご)は事故に遭遇した。

 

 慎吾が帰り道にしている陸橋の丁度中心あたりでフロントガラスがひび割れたトラックが煙を吹き上げながら横たわり、トラックの荷台は事故の影響かいびつに歪んで半ば程開いている。幸いか否かまだ帰宅ラッシュの時間では無かった為に人通りは少なく横転しているトラックに気が付いた数台の車は余裕を持って止まり、所謂、玉突き事故は起きていないようだ。

 

 慎吾は誰かが既にしているかも知れないが、とは思いながらも何もせずに傍観する事が出来ずに携帯電話で119を押す。

 相手が出た瞬間に簡潔に事故だと言う事とこの場の住所を相手に伝えて電話を切った慎吾は、ふと視線をトラックの前方に向けた瞬間にあるものが目に入り、それが何か気付いた時には思わず走り出していた。

 

 トラックの丁度、対面側の橋のガードレールに激突し半分以上車体を橋の外へと出してしまっている一台の車、そして窓から身を乗り出して必死に助けを求める少女と少女の母親らしき女性、集まった何人かの人々も二人を助けようとしているが車はほんの少し触れただけで大きく揺れ、今にも橋の下の線路に落下してしまいそうになり、手をこまねいているようだ。

 

「何て事だっ……!!このままじゃあ……」

 

 慎吾はたまらず声に出して叫ぶ。あの二人はは一刻も早く助けなくてはならない。救助は自分も呼んだし、他の誰かが既に自分より先に通報してくれたのかもしれない。が、いずれにせよいつ緊急隊員が来るかはハッキリ分からない。それまでに何か手は……。そう考えると慎吾は役に立つものを探すべく目と足で周囲を散策しだした。

 

「ん?あれは…………」

 

 と、慎吾は横転したトラック、その中途半端に開いた扉の中のシートが掛けられ不格好に崩れ落ちてる奇妙な膨らみの荷物のさらに奥、運転席側の荷台の壁にに梱包用なのか真新しいロープがかけられている事に気がつく。

 

「あれを使えば……っ!」

 

 気付くや否や慎吾は素早く扉を開き、走りながら荷台の中で倒れている邪魔な荷物をよじ登ろうと荷物に触れた瞬間、慎吾の中で凄まじい数の情報が広がった。

 

「んなっ!?」

 

 訳もわからず、声を上げて驚く慎吾。と、その時シートが掛けられた荷物がゆっくりと動きだし、シートが床にずり落ちる。そして、意識に流れ込む情報と自身の目その物で慎吾はそれが何か理解する。

 

「なっ……ISだと!?まさか…私がこれをっ……!」

 

 慎吾が記憶しているのは、通称『IS』インフィニット・ストラトスは宇宙進出の為に作られた飛行パワードスーツだったものだが、慎吾が密かに楽しみにしていた宇宙開発は残念な事に進まず、気付けば『兵器』に、そして今はスポーツとして使われている。そして、ISの特徴は女性にしか扱えない……。いや、最近になって初の男性操縦者が発見されたとニュースで放送されていた。そして、自分がこれを動かせると言うことはそれ即ち

 

「私が………二人目……」

 

 そう気付いた瞬間、慎吾の頭の中に不安や迷い、そして僅かな怯えが浮かぶ。と、その時、荷台の外から悲鳴と何かが陸橋から落ちる音が聞こえ、慎吾が僅かに視線を後ろに向けた瞬間、危うい所で踏ん張っていた落下して車が姿を消した。

 

 それを見た瞬間、慎吾の脳内の葛藤は嘘のように全消し飛び、体は自然に動いていた。

 

 そして

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁっ……!」

 

 気付いた時には慎吾は展開したISを纏って空を飛び、今にも地面に激突しそうだった車をしっかりと両手で受け止め車内の二人を助けていた。

 

「おい、あれってISじゃないか!?」

 

「しかも……あれって…男!?」

 

「二人目の男性操縦者が、人を救ったんだ!」

 

 事故現場にいた人々の注目が集まるなか、慎重に車を地面に下ろした慎吾は緊張による額の汗を拭いながら、ぼそりと呟く

 

「当然だが予想以上に注目を集めてしまったな……この先は苦労しそうだ……」

 

 

 

 その慎吾の呟きは当たり、まず『二人目の男性IS操縦者が発見されしかもISを動かして人命救助した』事が瞬く間にニュースになり慎吾はマスコミや政府の注目のの的になり、さらに貢献を認められた慎吾は感謝状と勲章を授与され、おまけに慎吾が助けた二人の親子がIS企業経営者の妻と娘だったらしく、家族を救った慎吾に感動した企業経営者が

 

「君には感謝しても感謝しきれない!だから、せめて私は君に、君だけの最高のISをプレゼントしよう!」

 

 自身の資産を資金としてフルに使い、懲りに凝った専用ISを渡すと約束し、そして………

 

 

 

 

「紹介しよう、慎吾君!我が社の持てるだけの技術を詰め込んだ我が社No.1のIS、そう君のISだ!」

 

 事件から、結構な時間が過ぎた日に慎吾のISは完成し、完成したばかりのISはさっそく慎吾に御披露目された。

 

「名前は『ZOFFY』!『ゾフィー』と読んでくれたまえ!」

 

「ゾフィー……これが私の専用機……」

 

 赤と銀のボディー、そして胸には慎吾の受け取った勲章をモチーフとした装飾品が付けられた。スマートな外観のISを見て慎吾は呟く。

 

 

 こうして慎吾とNo.1のIS 『ゾフィー』のIS学園での物語は始めるのであった




 駆け足感が抜けない……

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