二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

121 / 177
 またもや大遅刻してしまいました……


121話 死闘、ゾフィーvsゼフィルス!

「ぐっ……!」

 

 襲撃者と交差した瞬間、慎吾は膝をついて床に転がる。そこに更に襲撃者からのBTライフルの一撃が迫るがそれはどうにか地面を蹴って飛び退く事で回避した

 

「(い、今のは一体……!?)」

 

 決して動揺を悟られないよう構え直しながら慎吾は困惑する頭で先程の事を思い返す

 

 BTライフルが火を吹いた瞬間、ゾフィーに出せる最高速度を出し一気に詰め寄りながらライフルでの攻撃は全て回避した。そして自身の射程距離に入った瞬間、襲撃者、サイレント・ゼフィルス目掛けて渾身の蹴りを放ち

 

 その瞬間、攻撃が『何か』に塞がれ、それに僅かに驚愕した隙を付かれてゼフィルスのライフル先端に取り付けられた銃剣でゾフィーの脇腹辺りの装甲凪ぎ払われるように斬られてバランスを崩した

 

「(少なくとも私はあんな防御装備は見たことが……いや、あえて例えるならば蹴りの時に味わったあの感触はラウラの……)」

 

「慎吾さん!」

 

「そこ……退いてっ!!」

 

 と、慎吾がゼフィルスの次の行動を警戒しながら思い返していたその時、セシリアと鈴の声が同時に響き、それを聞いた慎吾は攻撃の妨げにならないよく咄嗟に勢い良くサイドステップでその場から飛び退く。

 

 その瞬間、つい先程まで慎吾がいた場所を空気を唸らせ、セシリアのビーム射撃と鈴の衝撃砲の連射が一直線にゼフィルスに迫り

 

「んなっ……!?」

 

「くっ……やはりシールビットを……」

 

 自身に迫る複数の弾を前にしても余裕の現れなのか笑みを浮かべたまま微動だしなかったゼフィルスの装甲が二人の射撃によって撃ち抜かれるかと思われた次の瞬間、突如、ビーム状の傘が空中で開き、それによって二人の射撃は難なく無効化され、慎吾は目の前で見せられた自身の初撃を防いだものの正体に思わず驚愕の声を漏らした

 

「鈴さん! 慎吾さん! 三人で多角攻撃! 行きますわよ!!」

 

「お、おいセシリア……!?」

 

 一方でセシリアはゼフィルスの装備の正体を理解していたようではあったが、当のセシリアには全くと言って良いほど余裕が見えず。寧ろ二人からの応答も録に聞かず、真っ直ぐにゼフィルスに向かっていくその姿に慎吾はセシリアの焦りを感じていた

 

『鈴、何かセシリアの様子が妙だ。無論私も出来うる限り注意を払うが……出来れば君も攻撃しつつセシリアの事を注意して見ていて欲しい』

 

 よもやセシリア一人でゼフィルスの相手をさせる訳にも行かず、後に続いて慎吾もまたゼフィルスに向かって飛び出して行きながらもそれと同時に鈴にプライベート・チャネルを用いて慎吾はメッセージを送る

 

『了解……っと、確かに何でかは知らないけど、何か妙に焦ってるわよね……』

 

 セシリアに聞こえぬよう送られた慎吾の言葉に鈴は並んで飛びながら軽く頷きながらそう了承の返事を返した

 

『ありがとう。助かる……!!』

 

 その言葉を聞くと慎吾は会話をそこで止めて攻撃に集中すると、ゼフィルスに向かって牽制とばかりにゾフィーの右腕からスラッシュ光線を放ちつつ、更に距離を積めて単発で二回、ゼフィルスに向かって素早く蹴りを放つ

 

「…………」

 

 だが、ゼフィルスは先程と同じくそれに全く動じる様子は無く、スラッシュ光線はシールドビットに塞がれ、蹴りも容易く銃剣で軌道を反らされゼフィルスにはまるで掠めもしない

 

「ふっ……はぁっ! たああっ!!」

 

 無論、慎吾もそんなに都合よくゼフィルスが自身の攻撃を食らってくれる等とは端から思っていない。

 無駄撃ちに終わった慎吾の攻撃のタイムラグを狙いうちにする形で攻撃を仕掛けてきたゼフィルスに向かってリスクを承知で更に前進し、空中反転でゼフィルスの攻撃を避けながらその勢いで回転を付けると右足で回し蹴りを叩き込み、それもがガードされた事を脚の感触で判断すると脳天を目掛けて手刀を放つ

 

「ふん……」

 

「うっ……」

 

 しかし、そんな都合よく慎吾の連続攻撃を許すほどゼフィルスは甘い相手では無い。殆どノーモーションで回し蹴りから放った手刀を蝶の如く軽やかな動きで容易く回避すると、手刀を放つために伸ばしたゾフィーの腕と交差するような動きでナイフを呼び出し無防備になったゾフィーの首もとを狙って鋭く刃先を突きだした

 

「……おおぉっ!!」

 

 しかし、それでも慎吾は後退する事もガードする事も選ばず、ナイフがゾフィーの首の装甲を薄く掠めて火花を散らさせながらも、攻撃のタイミングに合わせて首を動かすと言う最低限の回避のみで対処させながら更に接近し、腹部目掛けて膝蹴りを放つ

 

「うっとおしい……」

 

「うぐっ……!」

 

 そうやって、いくら攻撃に合わせてカウンターとなる一撃を浴びせようが、それを紙一枚の危ういバランスではあるがギリギリの所で回避し続け、常にぴったりと肉薄した距離を保ちながら休むこと無く攻撃を続ける新語に流石のゼフィルスも苛立ち始めたのか、口を忌々しげに歪めると慎吾の膝蹴りを受け流すとそのまま乱暴に攻撃によりガードが空いてしまったゾフィーの脇腹部分に回し蹴りを打ち込み、まともにそれを受けてしまった慎吾は苦悶の声をあげながらゼフィルスから吹き飛ばされた

 

「だぁっ……!!」

 

「…………!」

 

 が、しかし吹き飛ばされる直前、最後の抵抗とばかりに慎吾はサーカス団員を思わせるようなアクロバティックな動きでゼフィルスの足先目掛けて威力を度外視し、とにかく速さのみに全てを回したローキックを放ち、コンマ一秒反応が遅れたゼフィルスにそれを命中させ機体を揺らす。その瞬間

 

「皆、今だ!!」

 

 一夏の合図の声を元に先程から慎吾と共に攻撃を行っていたセシリアと鈴、そしてたった今駆け付けた一夏と箒、更にゼフィルスの攻撃を受けてフィールドで倒れていた筈のシャルロットとラウラまでもが翔べはしないものの攻撃に加わり、計六機の集中砲火が一斉にバランスを崩したゼフィルスに襲いかかり、ゼフィルスは爆炎に包まれる

 

「(よし! とりあえずは命中させたがこれでどうなるか……)」

 

 しかし、当然と言うべきか慎吾を含め誰もがゼフィルスがそれで終わるはずも無いとは察しており、次の瞬間には予想の通り爆炎を薙ぎ払い殆ど損害の受けていないゼフィルスが姿を表す

 

「…………」

 

 爆炎から出てきたゼフィルスは何も語らない。しかし、ただでさえナイフのようだった鋭い殺気が更に増し背筋を刃でなぞられているような凄まじい圧をかけている事からゼフィルスが先程の一撃を受けた事で激昂しているのが見てとれた

 

「まだまだ……皆、もう一度仕掛けるぞ!!」

 

 そんなゼフィルスが放つ冷たく圧倒的なプレッシャーをまるで振り払らおうとせんとばかりに慎吾は後に続けとばかりに先陣を切るとゼフィルスに向かって飛び出してゆく

 

「……良いだろう。少し、本気を見せてやる」

 

 そんな慎吾を見ながらゼフィルスは周囲の空気が凍りかねないほど冷ややかにそう告げると再びライフルを向けた


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。