二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 皆様、一ヶ月も更新出来ず大変申し訳ありません。塩ようかんです。
 と言うのもここ最近、プライベートな事情で大幅に執筆意欲を消失してしまい、この一話を書くのにも大変難儀してしまいました。
 未だにプライベートの方での問題は完全に解決はしていませんが決して未完では終わらせるつもりはありません。昔のような調子を取り戻せるかは私自身にも不明ですが背一杯の努力はしますので、どうかこれからも本作をよろしくお願いいたします


123話 共闘、そして動く戦場

「来たか……」

 

 二機のIS、甲龍とゾフィーが近付いてくるのを見るとゼフィルスに搭乗しているエムは斬りかかってくる箒の斬激をかわすとそのままうっとおしそうに一夏に向かって突飛ばし、二人に視線を向けた

 

 先程、ガードの隙間を攻撃を直撃させのも関わらず慎吾はまるで臆した様子は無い。いやそれどころか甲龍に負けじとばかりに加速し続けるその姿には溢れんばかりの闘志さえ感じる事ができ

 

 だからこそエムは潰しがいがあるとゾフィーに視線を向けながらエムは口を歪めると凶悪な笑みを浮かべた

 

 元からエムにとってはこの任務は私怨が多少あるものの、全く問題なく冷静にこなせる筈の他愛ない任務に過ぎなかった。だがしかし、今はこうしてエムは当初の予定以上にレースに参加していた専用機持ち達を

、特に慎吾を狙って激しく攻撃していた

 

 その理由はと言えば、まず一つに慎吾の一撃をきっかけに思わぬダメージを喰らわされた事。そして何よりエムの中で大きいのが

 

 

 慎吾の繰り出す格闘技。そのある一部が、自身を余裕綽々と叩き潰した相手。『協力者』に酷似していたのだ

 

「ふっ……」

 

 エムは迫るゾフィーと、そのついでに甲龍に狙いを付けると、これが第2ラウンド開幕だと言わんばかりにライフルの弾雨を浴びさせた

 

「シュッ……!」

 

「はぁぁっ!!」

 

 精確に機体の損傷部を狙って迫る複数の弾雨の前にしながら慎吾も鈴も全く怯むことは無く、気合いの声と共に軽やかな動きで弾を回避しながら確実にゼフィルスへと距離を詰めてゆく

 

「行くぞっ……!」

 

 と、そこで慎吾は掛け声と共に更に加速し、両手を胸の前で水平に添えながらゼフィルスの前に立ち、次の瞬間、ゼフィルスに向かって回転式ノコギリの刃にも似た光輝く光輪。ウルトラスラッシュをゾフィーの腕の中で瞬時に形成し、それをゼフィルスに向かって力を込めて勢いよく投擲した。

 

 放たれたウルトラスラッシュはゾフィーの加速の勢いを助走とし、通常の試合で見せるより遥かに早く鋭い速度で輝きながら空気を切り裂きゼフィルスに迫り

 

「下らん」

 

 次の瞬間、あっさりとその軌道はエムに見切られ、ゼフィルスの機体の軸を少々ずらす事でウルトラスラッシュは狙いを外し、何も切り裂く事も無くエムの背後へと飛んで行き

 

「まだまだぁ! 終わってないわよっ!!」

 

 その瞬間、ゾフィーが正面からエムと対峙している間にその背後へと回っていた鈴が手にした双天月牙を両手で持ち、腋を引き締めながら構えると、あろうことかまるでピッチャーの投げたボールを打つバッターの如く、バットのように振りかざした月牙の刃をウルトラスラッシュに叩き付ける

 

 

 その瞬間、刃はマジックの如く元の半分ほどの大きさに変形すると二つに増え、そのまま鈴が刃を叩き付けた勢いのままエムに向かって飛んで行き更に鈴が駄目押しとばかりに衝撃砲を嵐の如く連射する

 

「はぁぁ……!」

 

 そして、その瞬間には慎吾は既に第二撃を放つためのエネルギー。それをゾフィーの腕に充填する事を終えていた

 

「この二重攻撃……避けれるものならば避けてみろ!」

 

 瞬間、今度はゾフィーの両腕からZ光線が発射され一直線にエムに向かって飛んで行き、見るまぬうちにエムは二枚のウルトラスラッシュの刃、多量の衝撃砲、そしてZ光線で挟み撃ちされる形となった

 

「この程度の攻撃を……対処出来ないとでも?」

 

 だがしかし、それでもエムは動じない。迫る大量の衝撃砲をまるで最初から何処に向かって放たれるのかが分かっているような動きで回避し、ウルトラスラッシュ二つの刃をライフルとナイフで叩き落とし、最後のZ光線をもビットの防御で塞がれ、鈴と慎吾の攻撃は衝撃により発生した爆煙を残して完全に無効果された

 

「あぁ、お前ならば防ぐと思っていたよ……!」

 

 その瞬間、瞬時加速によって爆煙を文字通り突き破って飛び出した慎吾が体当たりをしながらエムに組み付き、ゾフィーの右腕で堅くゼフィルスを拘束する

と、伸ばした左手をそっとゼフィルスの装甲に押し付ける。と、その瞬間、ゾフィーの左腕がまばゆく輝き始めた

 

「貴様……!」

 

 まさに眼前で青白く光る左腕を見て、慎吾が何をしようとしているのか悟ったエムは舌打ちと共にゾフィーを引き剥がそうともがき、鋭くナイフをゾフィーの腕に向かって降り下ろす

 

「M……87光線!!」

 

 しかし、ナイフの刃がゾフィーの腕部装甲に刺さるより一瞬早く慎吾は、気合いの叫びと共にM87光線をほぼ零距離で発射した

 

「ぐっ……!」

 

 Z光線を放った直後の為エネルギーが足りておらず、本来より幾段か威力が落ちている状態で発射されたM87光線ではあったが、それでもエムを衝撃で小さく悶絶させると勢いよく後方へと吹き飛ばし、そのままエムはM87に押されながらアリーナのシールドバリアに向かって飛んで行くと、直後バリアはひび割れ、粉々に砕け散った

 

「はぁ……はぁ……うっ……!」

 

 一方でゾフィー最大の攻撃手段であるM87光線を超近距離で放った事による反動のダメージでゾフィーの装甲にも余波によるダメージが刻まれ、激しい衝撃で慎吾の体も傷付いていた

 

「慎吾さん!」

 

 しかし、それでもM87を命中させた事でシールドを突き破る程の大ダメージ、いやあわよくばシールドエネルギーを一気に減らして撃退したかもしれない。そう判断して慎吾と鈴が戦っている間に体制を立て直した一夏は慎吾の元に近付こうとし

 

「まだだ一夏! まだ奴は終わってない!」

 

「えっ……うわっっ!?」

 

 直後、慎吾の警告の声が響き渡り、それと同時に一夏の進路方向に割れたバリアの穴を通って二発のBTライフルの一撃が襲いかかり、慎吾の忠告で若干スピードが緩んでいた一夏は本来なら直撃していただろうそれを、危うい所で回避し、機体を軽く霞めるだけで済ませた

 

「何て奴だ……背後に全力で飛び退きつつ射撃でM87を弱体化させるとは……と、なると激突してバリアが割れたように見えたのも奴の偽装と言うことになるな……」

 

 自身で見ても0.1秒すら隙を与えず、決定的一撃となる筈だった一撃をいかにして防いで見せたのかを理解した慎吾は相手の技量に思わず息を飲まされた。しかも、被害はそれだけでは収まらない

 

「くうっ……! ちっ、これは……ちょっとキツ……!」

 

 先程、エムが放った二発のうちのもう一発は鈴の甲龍に直撃したらしく一夏の無事を安堵する間も無く、甲龍はスラスター部から白煙をあげるとフラフラと風に揺られる木の葉のように下降していくと、砂煙と地響きを立ててどうにかと言った形で荒く着地するとそのまま大地に倒れた

 

「鈴!!」

 

 それを見た咄嗟に一夏はつい先程まで自分が狙われていたのも忘れたかのような勢いで鈴に向かって飛び出して行き側に駆け寄って行く

 

「……っ!……奴が!!」

 

 と、そこで警戒の為に視線を向けた瞬間、M87で破壊されたバリアの穴から外に出ていたエムが再びBTライフルを構え最大出力までチャージしながら一夏に狙いをつけていた事に気が付いた慎吾は直ぐ様迎撃に動こうとし

 

「やらせませんわ!」

 

 それより早く、セシリアがスラスターをふかしながら勢いよく飛翔し勢いよくゼフィルスにタックルを仕掛けた

 

「セシリア……。よし、私も行くぞ! ハアアアッッ!!」

 

 自身の機体の高速パッケージを生かし、ゼフィルスを押していくセシリア。それを確認すると駄目押しをするかのように慎吾もまた一気に加速すると、勢いを利用し、ゼフィルスの左肩部をゾフィーの左腕で拘束して右ストレートを放ち、セシリアと共に二機の力で一気にゼフィルスを押し、アリーナから市街地へと放れて行く

 

「セシリア! 慎吾さん! 今、俺も……!」

 

「いや、駄目だ。一夏、お前に残されたエネルギーは残り少なく、決して多くはないだろう。一夏、今はお前は自分のエネルギー補給に集中するんだ」

 

 鈴の一先ずの無事を確認した一夏が慌ててその二人の後を追おうとしたが、それを慎吾が止める

 

「この場は私達にお任せ下さい!」

 

 それにつき足すようにセシリアが最後にそう言うと、ティアーズとゾフィー、二機のISはゼフィルスを拘束したまま大きくアリーナから放れていった


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