二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 豪雪による雪降ろしによる疲労が蓄積し若干、更新が遅れてしまいました。申し訳ありません。
 何とか一週間更新に戻せるよう努力していますが中々、一度失った調子を取り戻すのは難しいものですね……


128話 新武装検討中

「……なるほど、つまりは新武装。それも中近接戦闘用の武装が欲しい……と、いう事だな慎吾?」

 

 自身のベッドに腰掛け、シャワーから上がったばかりで、まだ幾分か水気が残る青い髪をバスタオルで拭き取りながら話を聞いていた光はそこで髪をふく手を止めた

 

 夕食後、二時間ほど一夏の部屋でコミュニケーション会(を、兼ねた姉妹議論の決着)を終えてから自室に帰宅した慎吾は一つの相談を湯上がりの光に相談していた

 

「あぁ、元はと言えばタイラントと戦った頃から感じていた事だが……今回のゼフィルスとの戦いでより強く感じたんだ。M87を撃つには近すぎて、ゾフィーの拳や蹴りが届かない距離にいる相手への攻撃と対抗手段をな……」

 

 今この場にいる相手が自分の他には親友である光だけと言う状況故に、珍しく慎吾は弱音を吐くような口調でそう、光に伝えた

 

 その脳裏によぎるのはタイラントの戦いで散々に手を焼かされた中距離で迫るワイヤーの一撃。そして射撃、格闘戦共に自身を圧倒して見せたゼフィルス、その襲撃者

 

「勿論、私の格闘技や射撃を疎かにするつもりはない。しかし、やはり想定を越えるような相手と戦闘になった際の緊急手段的措置として今の私には武器が必要だと感じるんだ……」

 

「なるほどな……事情は理解した」

 

 慎吾の話を全て聞き終えると、光はバスタオルを素早く動かし、大胆に髪に残された水分を拭き取るとじ、腕をくんで目を瞑り改めてじっくりと思考を練り始めた

 

「……お前の言っている事には俺も賛成する。是非、その期待に答えて武装を渡したい所だが……生憎Uシリーズそのものが中近接攻撃用の武装の開発が進んでいなくてな。今、使用可能なのは実質、以前のテストで使用したゾフィーとは機体そのものレベルで相性が悪い『アイ・スラッガー』のみ。これではとても実戦には使えないだろう? ……うぅむ……」

 

 そう言うと、光は額に手を添えてますます考え込み、余程悩んでいるのか口からは小さなうなり声すら聞こえていた

 

「……分かった。ならば光、これは元から私が言い出した事、私自身も新武装開発に加わろう」

 

「慎吾……?」

 

 そんな光の様子を暫し見ていた慎吾は、突如何かを決意したような表情でそう言い、光は慎吾から出された想定外の提案に思わず思考の手を止めると慎吾を見つめ返した

 

「いくら君の頭脳が優れているとは言え一から十まで全て決めるのは大変だろう? 参考になるかは分からないが、丁度、試しておきたいアイディアが私にもいくつかあるんだ。……無論、全ては君が引き受けてくれたなら。だが」

 

 最後にそう言うと慎吾は光からの返事を待つように言葉を止め、黙って光に視線を送った

 

「ふっ……技術知識面でのお前の実力を知ってる俺が断る理由もない。是非、手伝って貰おうじゃないか。これは……思ったより早い完成となりそうだな。中近距離用の新武装は」

 

 その視線を受けると、光はどこか満足そうに微笑み、慎吾にそう言うと早くも脳裏には完成の不が浮かんでいるのか、光は空を見上げながら口角をつり上げさせた

 

「しかし、そうなると更に、もう一歩手を……そうだ、許可を貰えたのならば彼女にも視てもらうとしよう」

 

「彼女? 誰か、今回の件で頼りになってくれそうな人物に心当たりがあるのか?」

 

 何かを思案するように呟いた光の言葉に反応して慎吾が尋ねると、光は静かに頷いて肯定し言葉を続ける

 

「あぁ……彼女、(かんざし)とは整備科で出会ってな、何回かISに関して話したり意見を貰った事があるんだ。本人は決してそうとは思っては無いらしいが……俺の目から見れば、実に優れた才能を持っている。知識、実力その両方がな」

 

「なるほど……それは新武装開発に協力を貰えたら大きな力になってくれそうだな。と、なると彼女の都合や用事も考えた上で協力してくれるか否かを迅速に話をつけた方がいいな……今からでも、その彼女と連絡出来るか?」

 

 光の話を聞くと、慎吾は納得したように大きく頷いてそれを肯定し、同時に光にそう問いかけた

 

「あぁ勿論。今の時間ならば彼女に連絡可能な事も把握している。早速、彼女に今回の事を伝えてみよう」

 

「では、早速頼む……と、言いたい所だが、少し待て光」

 

 と、そこで早速とばかりに腰かけていたベッドから自身の机に置いてあった携帯端末を手に取って通信を開始しようとしていた光を慎吾が若干、呆れたように制止する

 

「シャワーあがり直後に話しかけた私も悪かったとは思うが……連絡を取る前に、一旦落ち着いてせめて下着くらいは身に付けたらどうだ?」

 

 そう、シャワールームから出てきた直後から慎吾の話に付き合っていた光の姿は、裸の上から申し訳程度にバスタオルで胸元と股間を隠しただけの肢体があらわになる姿であり、それは例え二万二千歩譲ってもこれから相手に真面目な話を語らんとする姿では無かった

 

「……それも、そうか」

 

 慎吾の指摘を受けると光は改めて自身の体を見ると納得して小さく呟き、手にした携帯端末を再び机に置くと、こそこそと着替え始めるのであった

 

 

「通話……? いいところなのに……」

 

 同室のルームメイトの迷惑にならないよう布団に頭までくるまり、携帯端末で自身の好きなヒーローもののアニメを楽しんでいた簪は突如携帯に入ってきた一件の通話通知によりアニメの視聴を中断された事により、不快そうにそう呟いた

 

 アニメの中の話は強大な敵の攻撃に一度は逃げてしまい大きな犠牲を生んでしまった主人公が恐怖を振り払い、覚悟を決めて今まさに再び強敵に立ち向かうという最高潮の盛り上がりを見せており、それを邪魔された簪は表情こそ変えないもののかなりの苛立ちを見せていた。が

 

『夜分遅くに悪い簪、少し話したい事があるんだが良いか?』

 

「えっ……あっ……光さん……!?」

 

 その通話の相手、決して数は多くない自信が気がね無く会話できる光の声に恥ずかしさと嬉しさで大きく動揺とするのと同時に、簪の怒りは風船が割れるように弾けてしまうのであった


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