二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない) 作:塩ようかん
誰もが予想だにしていなかったキング老士の登場などの事態はあったものの、五反田食堂の一件も無事、穏便な形で終わり再び慎吾達の学園生活は始まった。のだが
「なぁ……頼むから俺と組んでくれって」
「だから絶対イヤ……って言ってるでしょ。 慎吾さん、光さん、行きましょう」
「おいおい、簪……」
「どうしたものか…………」
既に一夏が簪と出会い、タッグの話を持ち掛けてから一週間近い日が経過しているものの現状はまるで進展は見せておらず、必死に頼みかける一夏をにべもなく突っぱねる簪を見て、慎吾と光は共に顔を見合わせて困り果てていた
一夏がこんな調子で簪に構いきっりな為に、最近はセシリアや鈴達の機嫌はすこぶる悪く、と言うか下手をすれば軽くではあるが殺気すら似た気を放っており、慎吾の懸命の説得にすら
『……その……お兄ちゃんには、関係ないもん……』
と、自他共に認める兄想いのシャルロットが迷った末に拗ねた様子で慎吾に答えるたのを筆頭にラウラやセシリアも慎吾への態度はさほど変わらず、まともな話し合いが成立する事は無かった
無論、鈴達を説得する最中にも慎吾は光と協力して簪を説得する事も怠ってはいない。の、ではあるが、影響されるように、どうにも此方の方も上手くいかず。結果的に慎吾は丸5日近く二つの問題を手にあまし、悩まされる日々を過ごす事を強いられていた
「(ここは気分転換も兼ねて今日ばかりは、ほんの一旦、開発に意識を集中させるのも必要なのかもしれないな……)」
そう想いながら体中にたまった息を全て出すかのような深く、長いため息を付きながら慎吾は最早、馴染みとなった整備室へと足を運ぶのであった
◇
「……と、以上がナイトブレスやキングブレスレットから発想を得た、私の提案する新装備、仮称『ウルトラブレスレット』な訳だが……どうだろうか? 二人からの率直な意見を貰いたい」
先日、M-78社で思い付いたアイディアを形にした新武装、ウルトラブレスレットの説明を終えた慎吾は少々、疲労したかのように一息付くとそう光と簪の二人に問い掛けた
「「………………」」
が、その問いに返事が返ってくる事は無い
何故ならば、光は慎吾の説明が終わるなり食い入るように慎吾から渡されたウルトラブレスレットの資料を幾度も見直しており、簪は慎吾が話のの途中から呆気に取られた様子で動けなかったからだ
「……光? 簪? ……まさかウルトラブレスレットに致命的な欠陥でもあったか?」
自身が問い掛けてから、たっぷり十秒が経過しても何も言って来ない二人に慎吾は疑問を感じ、思わず更にそう問いかけながら、咄嗟に自身が前日のうちに隅々までチェックしておいた資料に不備が無いかを確かめ始めた
「いや、違うんだ慎吾。ただ……はっきり言えば既存の常識を覆す……いや、これは間違いなく歴史に残せる程の大発明なんだ……! ……っと、すまない。だから、先程まで驚愕のあまり何も言えなかった」
「基本性能だけども十二分過ぎるのに、加えてこの冗談とした思えないような拡張性……でも、確かに実現可能……凄い……です。本当に」
光、簪の二人は口を開くなり興奮した様子で次々にそう言い、共にブレスレットの案を出した慎吾を褒め称えた
「そ、そうか……うん、ありがとう。私も努力したかいがあったな」
研究者特有の物なのかいつになく熱気が込められた二人の言葉に慎吾は若干圧されたものの、その言葉を素直に受け取り礼を言った
「では、ゾフィーの新武装は慎吾の意見である、このウルトラブレスレットで決まりで構わないな? よし。……実はと言うと、俺も是非、完成する所を見てみたくて堪らないんだ」
そこで光が場を纏めるかのようにそう言い、それに二人が同意を示して頷いたのを見ると最後に少し恥ずかしそうにそう呟いた
「恥じることは何もないさ光、その気持ちなら、私も決して負けないくらいあるだろうしな……。君はどうだ簪?」
慎吾はそんな光の態度を見ても少しも茶化すような真似はせずその言葉を受け入れて微笑みながら簪に尋ね、その問いに簪は賛同するように無言で首をコクリと縦に振ることで答えた
「(これで一先ずは、だがゾフィーの新武装に関する件については解決した。と、なると次に差し迫ってる問題は……)」
と、そこまで考えると慎吾はちらりと視線を簪へと向ける。
簪はそんな慎吾の視線に特に気付いたような様子は見せず既に光と共にウルトラブレスレットの基礎プログラム製作を初めており、幾度と無く同じ時間を過ごすことでより理解する事が出来た簪の表情表情は口に出さずとも『楽しい』と言っていた
「(決して放って置くわけには行かないな……だが、しかし……どうにか解決の糸口は見つからないものか……)」
と、慎吾は目を瞑り思いを馳せながら自分以外の誰にも聞こえないようは小さなため息をついた。
そんな慎吾の声が果たして天に届いたのか、はたまた単なる偶然なのかそれから暫くして事態は慎吾の予想の斜め上を行く形で解決する事になる
◇
「は…………?」
翌日の放課後、いつものように光と連れだって簪の元へと向かった慎吾は思わず呆けたような声をあげてしまった
「慎吾さん、俺、やれましたよ! 俺だけで出来ましたよ!」
あまりにも唐突に予想外の事が起こったせいで、未だに頭での理解が追い付いていない慎吾の様子に一夏は特に気付いた様子も無く、どんなもんだと言いたいばかり心底嬉しそうな表情で慎吾にそう報告してきた
「……一夏、勿論君を疑っている訳では無いのだが……」
笑顔を向け続ける一夏に若干、押され気味になりながらも沈黙を続けるの申し訳ないと感じた慎吾は重い口を開くと確認するように慎重に簪へと語りかけ始めた
「本当か? 本当にそうなのか簪? 『一夏とタッグを組む』事を了承したのか?」
そう、放課後、昼食を兼ねた光とのタッグマッチについての戦略の合わせが当初に予想していたより白熱した結果、いつもより簪の元へと来るのが遅れてしまった慎吾と光に先に訪れていた一夏自身の口から伝えられたのだった
「は、はい……その……本当です……」
そんな慎吾の問い掛けに簪は何故か多少、戸惑った様子ながらもそれを否定する事なく頷きながらそう答えた。そう、何故かその頬を恥ずかし気にうっすらと赤く染めて
「……一夏、かさねがさねで本当に悪いとは思うが……どうやったら簪がタッグを組むことを承知してくれたかを、もう一度、最初から最後まできっちりと教えてはくれないか?」
学校に入学して以来、どういう訳だか恒例となってしまっているような気がしながらも慎吾は一旦、深呼吸させて精神を十分に落ち着かせると、そう再び一夏に向かって尋ねるのであった
はい、今回の話で新武装として、帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックが使いこなす万能武器。ウルトラブレスレットを採用していただきました。
理由としましては、ウルトラブレスレットはゾフィーが作成したと言う資料が存在したらしく、これを採用させて貰った形となります。