二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 何とか更新できました。少しは調子を取り戻せているような気がしますので、これからも頑張って更新を続けて行きたいと思います


142話 二つの闘争

「うっ……ぐわぁ……っ!!」

 

「慎吾さんっ!!」

 

 突如現れ、襲撃を仕掛けてきた黒い無人機、『ゴーレムⅢ』の巨大な左腕に一瞬の隙を付かれた慎吾は首を捕まれ、捕まれた瞬間、凄まじい力で締め上げられているのかゾフィーの銀色の装甲からは火花が上がり、共に戦っていた一夏は吹き飛ばされた状態から慌てて起き上がり、苦し気にもがく慎吾の元へと駆け寄った

 

「い、いや……一夏、助けはいらない……こいつは私が引き受ける!」

 

 しかし、慎吾はその助けを手を降る事で制止すると、ゴーレムⅢの左腕を両腕で掴むのと同時に何処か女性的なシルエットを持つゴーレムⅢの腹部に膝蹴りを放ち、怯ませる事でゾフィーの首からどうにか腕を引き剥がした

 

「でも……っ」

 

「学園を襲撃したIS君はこの一機だけでは無い! 君は簪の元へと行ってやってくれ! 彼女には君が必要なんだ!」

 

 慎吾の身を案じて渋る一夏に、慎吾はそれだけを告げると返事を待たぬままゴーレムⅢの腕を離さぬよう両腕で拘束したまま空へと飛び立つ

 

「(このまま狭い通路で戦闘を続けていてはM87もZ光線も使用する訳には行かない……この近くのアリーナにまで運んでそこで戦闘を行う……! とっ……!!)」

 

 ゾフィーの持つ最高速で運搬される間ももがき、空いた右腕の肘から先に形成されている右腕の巨大ブレードでゾフィーに斬りかかってきたが、慎吾はすんでの所で刃の刀身部分をゾフィーの左足で放った回し蹴りで弾き飛ばす事でどうにか防いだ

 

「ハアァッ……!!」

 

 更にそれだけでは慎吾の攻撃は終わらない、アリーナのシールドが急激に近づき、センサーでシールドの巻き込まれるような距離に人がいない事を確認すると、慎吾は空中で捉えたままの左腕を利用し、ゴーレムⅢを背中で背負い、そのまま加速の勢いとゾフィーの重量を利用して、シールドに向かって柔道における一本背負いの形でゴーレムⅢを投げつける

 

「M87……ッ!!」

 

 シールドにゴーレムⅢが激突した瞬間、慎吾はゾフィーの右腕を左腕の肘下に添え、胸の前で大きなL字を作ると本来より破壊力は劣るぶん少ないチャージで放つ事が可能なBタイプと仮称されている変則型のM87光線を発射した

 

「------」

 

 背負い投げからの息も付かせぬ連続攻撃に、ゴーレムⅢは僅かに体格を動かして反応するだけで回避も防御も間に合わず、自身の頭部であるバイザー型のライン・アイにM87の直撃を受けつつアリーナのシールドを砕きながら、音を立ててその内部に叩きこまれた

 

「ハアッ……!」

 

 それを見た瞬間、すかさず慎吾も自身が空けたシールドの穴からゴーレムⅢを追う形で素早くアリーナ内に突入していった

 

 

「今だっ!!」

 

 光の合図の元に、散開した複数人がかりの実弾とビームが入り混じった射撃が一斉にゴーレムⅢに襲いかかる

 

「ーーーーー」

 

 が、ゴーレムⅢはそれをライン・アイで僅かに一瞥しただけで、機体の周りに浮遊する球場の物体が円状に展開してシールドを発生させる事で射撃のほぼ全てを容易く防ぐと、無造作に左腕を向ける。と、瞬間、一番年上と言うことで指揮を取っていた光に向かって熱線が放たれた

 

「くっ……手強いっ……!」

 

 光はそれを見た瞬間、攻撃を中断しヒカリを瞬時加速する事ですんでの所で回避し、事なきを得た。が、決して安堵などする事は出来ず、光は仮面の下で次第に焦りの表情を見せ始めていた

 

 数分前から突如侵入してきたゴーレムⅢ相手にピット内でISを展開させた状態で待機中だった光は同じくISを展開させていた専用機持ちの生徒と協力して現在進行形で戦闘を続けていたのだが、ゴーレムⅢの秘めていた光の予想を遥かに超えた装甲、機動力に翻弄されて徐々に押しきられていたのだ

 

「きゃあっ……!! あっ……」

 

 そうしている間にも、一人の生徒が隙を付かれてゴーレムⅢの巨大ブレードに斬りかかれシールドエネルギーが尽きて崩れ落ちるように倒れてしまった

 

「ーーーー」

 

 と、その瞬間、それに追い討ちをかけようとするようにゴーレムⅢがブレードを振り頭上へと振り上げて構えた

 

「させるか……!」

 

 その瞬間、すかさず光はナイトブレスからナイトビームブレードを形成しながら飛び出すとゴーレムⅢが振り下ろすブレードと生徒の間に割り込み、ナイトビームブレードで巨大な刃を受け止め、つばぜり合いの形になる事で倒れて無防備になってしまった生徒を庇った

 

「ぐっ……うっ……! 今のうちに、早くその子を避難させてくれ!」

 

 ゴーレムⅢのパワーに真っ向からぶつかり、その強力なパワーに苦悶の声をあげながらも光は視線をゴーレムⅢに向けたまま背後に向かって叫ぶ

 

「わ、分かった! 僕達に任せて!」

 

「おいっ! 自分大丈夫か!?」

 

 その瞬間、光の言葉に直ぐ様応じ、今まで安全の為にゴーレムⅢやヒカリから出来るだけ離れた整備道具を集めて作った簡易的なバリケード。その陰に隠れていた何人かの生徒のうち、井出と堀井の二人が素早く倒れた専用機持ちの生徒の元に駆け寄り、素早く気を失った生徒を二人がかりで抱き抱えると、一目散に再びバリケードの影に飛び込んだ

 

「よしっ……! セヤァッッ!!」

 

 倒れた生徒の避難が完了したのを見ると、光はゴーレムⅢに前蹴りを入れ怯ませると再びブレードを構えてゴーレムⅢと正面から対峙した

 

「ま、不味いよ……もう戦えるのは、光ちゃんだけしかしないないじゃあないか……」

 

 バリケードの影から教師陣への連絡を試みつつ、隠れて、その様子を見ていた井出は顔を青ざめさせてそう呟いた

 

「くっそ……ショーンまだかぁ!? このまま、こんな狭いところでアイツとドンパチしてたら光も本気出せんし……何よりアイツの攻撃を食らった瞬間にここにいる皆、全滅やで!!」

 

 その近くではゴーレムⅢとの闘いやその攻撃により負傷した生徒を、何とか出来る範囲で堀井が応急手当を施していたのだが、刻々と悪化していく状況に堪えきれなくなったのか額に汗を滲ませながらバリケードの奥に向かって叫ぶ

 

「Sorry! あと少シだけ待っテ! 今、最後のshieldの解除に取りかかッテいるンだ!」

 

 堀井の声にショーンはいつも持ち歩いている自身の端末を指が残像を残し始める程に素早い動きで操作しながら、額に汗を滲ませ、短く切り揃えた髪を揺らしながら必死の形相でピット・ゲートのシステムクラックを試みていた

 

 一瞬の油断や大怪我、悪ければ死に繋がりかねない危険地帯であるこの場に集まっている井出、堀井、ショーンの三人。だが実の所、彼女達は実の所、整備科の中でも特に優れた能力を持った生徒とは周囲には称させるが、専用機持ちでは無い。友人である光の試合前に激を飛ばすべく駆け付けた。所詮、一般の生徒でしか無いのだ。だが、それでも三人の誰もが自身が置かれた状況に不満を言うことも無く懸命に自分達がそれぞれ出来ることを行っていたのだった

 

「で、出来タ! 今ダ! サムライガール!! GATE へ急ゲ!」

 

 と、その瞬間、ショーンがついにゲートのシステムクラックに成功したのかピット・ゲートがゆっくりと音を立てて開き、ショーンがバリケードから顔を出して光に向かって叫んだ

 

「ぐっ……おいおい、ショーン、その呼び方は……」

 

 ショーンの声を聞いた光はどこか苦笑したような口調てま自身に向かって放たれた熱戦を装甲を掠めながらも直撃を避け、そのまま被弾を覚悟でナイトビームブレードを一時的にナイトブレスへと収めると、一気に距離を詰めてゴーレムⅢの腰部分を両腕でがっしりと組み付いて拘束した

 

「止めてくれと言っているだろう!!」

 

 そう叫ぶと光はゴーレムⅢを抱えたまま、勢いよく開いたゲートから飛び出していった。そして

 

 

 

「光……!?」

 

「慎吾……!?」

 

 そこでアリーナ内で『もう一体の』ゴーレムⅢと激闘を繰り広げているゾフィーを見た瞬間、二人の声が交差した


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