二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 どうにか書きました……今回は戦闘描写は次回に持ち越しです。今回の話の中でこれから先の展開についてヒントを出しています。


154話 宣告

「間に合ってくれたか……。ありがとう光、箒」

 

 暫しの時間を経て、どうにか戦闘再開が可能な状態にまで体力を回復させた慎吾はまさに絶好のタイミングで救援に駆け付けてくれた二人にそう礼を言った

 

 何故、光と箒がこの場所へ駆け付ける事が出来たのか。その種を明かせば非常に単純であり、ベリアルの元へと向かう以前、中々連絡の取れぬ鈴やセシリアの身を案じた慎吾が光、そして箒に自らの現在地を伝えつつ通信を繋いでいたのだ。その連絡が慎吾達がベリアルとの戦闘を始めた事により不自然に途絶えた故、光と箒が最後に伝えた現在地を頼りに駆け付け、どうにか紙一重の所で三人を守る事に成功したのだ

 

「………………」

 

 そんな最中、ベリアルは衝撃で仰け反り、首を俯かせた体勢のまま一言も発せずピクリとも動こうともしなかった

 

 先程の攻撃の猛ラッシュとベリアルの蹴りでゾフィーのシールドエネルギーも半分程にまで減ってはいたがまだ戦う余裕は十分に残されている。ラウラとシャルロットもそれぞれ強烈な一撃を受けてはいたが、それぞれの方法でダメージを軽減させる事に成功しており、致命打は受けておらず戦闘に支障は無い。更にそれに加えて新たに加わった光と箒はエネルギーはほぼ満タン。この状況で5VS1のこの状況は通常の相手ならば誰もが勝利を確信しているだろう

 

『………………』

 

 だがしかし、この場に揃った五人は誰一人として気が緩みなどしていない、寧ろ五人ともに張り詰めた緊張の糸が今にも音を立てて切れてしまいそうな程に警戒し、慎吾の言葉以来、誰も言葉を発せずベリアルを睨み付けていた

 

「クッ……ククッ……そういう事かよ」

 

 と、その時だった。今さっきまで沈黙を続けていたベリアルが俯いていた首を持ち上げると、咄嗟に警戒する五人の存在を無視しているかのように、仮面越しに口元を抑えて含み笑いをしながらそう言った

 

「さっきの言葉……訂正してやろう。俺様相手に一瞬だけでも驚かせるとは……純粋な技量や策、加えて覚悟も昔より遥かに成長してるな慎吾。今のお前ならばケンもさぞ誇りに思うだろうなぁ?」

 

「…………っ!!」

 

 それは薄ら笑いするかのような口調でありながらも言ってること事態は純粋に指導者の一人として慎吾の成長を褒め称えている言葉だった。だがしかし、ベリアルがそう言った瞬間、慎吾が感じ取ったのは先程向けられたものより更に濃密で深い殺意が込められたベリアルの悪意そのものであり、落ち着いたばかりの心臓が再び音を立て激しく鳴り始めるのを慎吾は感じていた

 

「(まだ……まだ、余力を残していると言うのか……っ!!)」

 

「だからこそ、俺がその強さに『敬意を表して』お前らを獲物じゃなく五人全員纏めて『敵』として叩き潰してやる。光栄に思えよ?」

 

 心中で戦慄する慎吾を他所に、バトルナイザーで集結している五人を一人、一人と棍部分を指差しするように向けながらベリアルはそう自信たっぷりに宣言する。それは冗談を言っているような軽い口調では間違いなくベリアルはそれを本気でやろうとしているのが口にせずとも五人全員が理解していた

 

「慎吾、ラウラ、シャルロット。お前達は三人まだダメージの影響が抜けきっていないだろう。俺と箒が前に出て戦うから無理をせず暫く後方から援護に回ってくれ」

 

 そう言って光は振り返らず背後の慎吾達に向けてそう言うと、一瞬だけ確認するように銀の仮面越しに自らの隣に立つ箒へと確認するように視線を向ける

 

「さて……勝手に決めた事だが頼めるか箒?」

 

「あぁ、任せておけ。共に行くぞっ! 光!」

 

 それに箒が返したのは、自身の武器である二振りの刀、雨月と空裂を構え、全く迷わぬ口調での賛同の返事であり、更に表情を見てみれば多少の緊張はあれど口元に力強い笑みを浮かべる程度の余裕すら見せていた

 

「つまらん話はそれで終わりか? じゃあ……早速、俺から行くぜぇ……?」

 

 そのやり取りが終わるや否や、ベリアルがバトルナイザーを構えて突撃し、それにコンマ一秒遅れて五人は一斉にベリアル迎撃に向けて動き出し、それぞれの武器と機体が発する爆音でそうぞうしく第二ラウンドは開始させれた

 

 

「何だって! IS学園に不明のUシリーズ機が襲撃!? しかも相手は単機だと!!」

 

 場所はIS学園から変わってM-78社、そこで重役を交えた不明のUシリーズについての対策会議が行われていたその最中、突如鳴り響いた緊急回線で衝撃的な報告を聞いたケンはこちらの行動を嘲笑うような事が起きたその衝撃に主任と言う立場も忘れて思わず叫んだ

 

「……現在の状況は? 慎吾や光からの連絡はあるのか?」

 

『はい主任! 不明機によるIS学園襲撃を既に十分以上が経過しているようですが、カメラで確認する限り学園は複数の施設が破壊されて火災発生! 被害は甚大と見られます! 連絡については先程から此方からも呼び掛けてはいるんですが…大谷パイロットから、数分前本社に向けて映像ファイルと添付された短いメッセージが送られて以降、芹沢博士を含めた両名共に全く応答がありません!』

 

 ケンの言葉により会議室内でざわめきが起きる中、逆に一呼吸置いた事で冷静さを取り戻したケンが落ち着いた口調で緊急回線を繋いだ社員にそう問い掛けると、問われた社員はやや動揺した様子ながらも、ある程度は修羅場慣れしているのか要点を纏めて答えて見せた

 

「映像ファイルか……こちらのスクリーンに映せるか?」

 

『はい! 今、映像データとメッセージをそちらに送ります!』

 

 ケンがそう指示を送ると、会議室でケンや複数の社員が集めた不明機についてのデータを描いた資料が写し出されていた大型スクリーンが一瞬、暗転したかと思うと直ぐ様切り替わり、新たに火の手が上がる学園校舎の上を悠然と飛行する一機の黒いIS、ベリアルが撮られた映像を写し出した

 

「……これが学園を襲った不明のUシリーズか。手にしている棍棒状の武装は私は見たことは無いし……どうやら記録にも無いようだが……」

 

『続いて、メッセージを映します!』

 

 ますます会議室内の喧騒が大きくなってゆく中、スクリーンに映るベリアルを分析しながらケンが懐から端末を取り出して操作しながらそう呟く。と、その瞬間、再び通信が入ったかと思えば先程、映し出された画像がスクリーン上部に元の七割程の大きさに圧縮されて、下部に空白部を作るとそこに短い数字程の英単語を順に映し出す

 

 『A R I A 』

 

「な……っ!!」

 

 その単語を見た瞬間、ケン。そして一部の『知っている』社員は思わず言葉を止め、瞬時に凍り付いてしまったように絶句すると、その動きを止めた

 

「まさか……っ!! まさか、あの事故から生き残っていたと言うのかっ!! アリア……ッ!!」

 

 わなわなと震える手でケンは頭を抱えると、苦悩に満ちた顔で、声を震わせるとベリアルの過去の名を、そして心通わせた親友(とも)の名を叫んだ

 

「何と言う事だ……慎吾……光……! 私達が背負うべく宿命に若い彼等を巻き込んでしまうとはっ……!! せめて慎吾には真実をもっと早く伝えるべきだった……!」

 

 心中であぶくのように次々と沸き上がる後悔の念と、慎吾の心中を案じた結果として己が犯してしまった取り返しのつかない失策に苛まれケンは額から脂汗を思わず机に突っ伏して項垂れる。と、そんなまさに時だった

 

「ケン主任、大変です! 倉庫の保管室に保管されていたUシリーズの装備品が……! 保管室の扉が開かれて中の装備品が紛失していますっ!」

 

 余程、慌てているのか雑なノックと共に会議室の扉が乱雑に開かれ、顔を青ざめさせた年若い社員がケンの元に駆け寄り、そう報告する。瞬間、会議室のざわめきが水を打ったように静まりかえる。良く見れば、さっきまでざわめき立っていた社員達の顔が瞬時に先程入ってきた年若い社員同様に真っ青と言うレベルにまで青くなっていたのだ

 

 そんな会議室の社員達の無理の無い話で、そもそもの話をすれば今回の騒動の切っ掛けはUシリーズのデータ盗難。そんな最中での装備品の紛失事件など誰もが関連性を意識せずにはいられなかった

 

「……話を続けてくれ、ゼノン」

 

 そんな混乱に包まれる最中、ケンは僅かな時間で自身の混乱と動揺を隅に追いやり、自らの冷静さを取り戻すと何時もと変わらぬ口調で会議室に入ってきた若い社員。ゼノンにそう問い掛ける

 

「はいっ! 今回、私とマックスが紛失しているのを発見したのは、このM-43保管室に保管されていた……」

 

 ケンの言葉にゼノンは机の上に置いた自身の端末を要いて保管室の管理システムにアクセスすると、ケンへの説明を続けながらM-43保管室に設置されていた監視システムの記録と、使用履歴を断念に調べ始めた

 

「M- 43保管室を最も最近に利用したのは……えっ?」

 

 と、突如、端末を操作していたゼノンの手が止まる

 

「……光博士?」

 

「…………まさか」

 

 信じられないようなゼノンのその言葉を聞いた瞬間、ケンは一瞬、目を見開くと愕然とした様子で硬直し

 

「緊急を要する事態だ! 映像、通信、方法は問わない! 何としても光と連絡を取るんだ! もし『アレ』を使ってしまうとしたら……! 彼女は……!」

 

 次の瞬間、ケンは弾かれたように動きだすと一斉にそう会議室中に響くような声で指示を飛ばすと、混乱しそうな社員達の目を覚まさせるような、衝撃的な一言を口にした

 

 

「芹沢光は五割の確率で死亡してしまう!!」

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