二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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先日、ウルトラアクトのウルトラセブンを購入いたしました。隊長も是非欲しかったのですが……とても値段が出る値段ではありませんでした


16話 ちらつくゾフィー最強技と試合前の約束

「やぁあああっ!!」

 

 時間は放課後、場所は幾分か日が沈み始めたアリーナ。

 そこで行われているゾフィーと白式の実戦的訓練で、まさに今、一瞬の隙を付いた白式の剣撃がゾフィーのガードをすり抜けて胸に命中し、ゾフィーは剣撃の勢いでそのまま転倒すると小さく土煙を上げてアリーナの地面に叩きつけられた。

 

「よし!今の一撃は素晴らしかったぞ一夏」

 

 慎吾は受け身を取った体制から土煙をなぎはらって起き上がり、そう一夏に惜しみ無い称賛の言葉を贈る。

 

「や、やったぁ!!」

 

 その言葉に一夏は思わず片手に雪片を持ったままガッツポーズで喜びを露にする。それを見て慎吾も納得したかのように腕組みをしながら頷くと、感慨深げに語り始めた。

 

「セシリア主体によるIS操縦技術訓練。私が教えた中近格闘戦。そして箒による剣術の指導……その全てがこうして成果になり始めたんだ。箒にセシリア、二人とも手伝ってくれて本当にありがとう……。感謝している」

 

 そう、言葉の最後に箒とセシリアに向けて頭を下げて慎吾は礼を言う。

 

「い、いえ慎吾さん、私は当然の事をしたまでですし………」

 

「……お前に礼を言われるような事はしていない」

 

 そんな慎吾にセシリアは軽く手を振って謙遜するように言い、箒は慎吾から視線を外しながら言うがその耳は僅かに赤く色付いていた。

 

「あ、そう言えば……慎吾さん、ゾフィーの『初期装備(プリセット)』って何なんです?確か、Z光線やスラッシュ光線は『後付装備(イコライザ)』何ですよね?」

 

 と、そこで一夏が思い出したかのように慎吾に尋ねた。すると、慎吾は少しばかり恥ずかしそうに笑い

 

「……それなんだが、ゾフィーの初期装備は少しばかり扱いが難しくてな。セシリアや一夏を見くびっていた訳では無いんだが中々使うタイミング無くてな……だが」

 

 と、そこで慎吾は言葉を止めて一夏、箒、セシリアを順に見ると珍しく強い自信を含んだ口調で次の言葉を口にした。

 

「それを命中させれば、相手がどんなISだろうと必ず倒す事が出来る。それだけは自信を持って言えるな」

 

 

「待ってたわよ一夏!」

 

「り、鈴!?」

 

 訓練が終わり、ピットに戻ってきた一夏と慎吾をそうよく響く声で出迎えたのは鈴だった。突然の訪問に一夏は声をだして驚き、慎吾は静かに冷や汗を流す。

 

「(セシリアと箒が反対側のビットにいるのが幸いか……二人を責めるつもりは無いが、二人が絡むと話がややこしくなってしまうからな)」

 

 慎吾が出来る限り思考を冷静にしながらそんな事を考えていると、鈴は一夏にぴっと指を突き付け.bz気味の顔で問いかける。

 

「それで、一夏。反省はした?仲直りしたいって思った?」

 

「い、いや、そんなこと言われても鈴がこの数週間ほど避けてたからなぁ……あと質問は一つにしてくれ」

 

 それに一夏は戸惑った様子で鈴にそう返す。どうやら残念ながら数週間では一夏は記憶の真相を思い出す事は出来なかったようである。そんな一夏の態度が若干、苛つきだしたのか少々語気を荒げて再び尋ねる

 

「あんたね……もし、女の子が放っておいてっめ言ったらそのまま放っておくの!?」

 

「えっ、何か変かそれ?」

 

 そう純粋に不思議そうに言う一夏に、鈴の額には青筋がピクリと浮かび、慎吾は困ったように笑って頭を抱えた。

 

「あぁ……もうっ!謝りなさいよ!!」

 

 どうやら我慢の限界が訪れたようで鈴が大声でそう一夏に怒鳴り付ける。それに対して一夏も一夏で納得いかないまま謝罪するのは納得いかないらしく、譲ろうとはせず鈴に謝る理由を聞こうとし、鈴はまさか自分が昔プロポーズをしたなどと答える訳にも行かず話は平行線へと向かっていく

 

「まぁ、二人とも一旦、落ち着け。……話は聞かせて貰ったが、つまりは一夏は自分が謝る理由を知りたい。鈴は一夏に罪を認めて誠心誠意の謝罪が欲しい。という事だな?」

 

 そんな状況を変えるべく、慎吾は一夏と鈴の間に割って入り、二人を落ち着かせるようにゆっくり話し出す。

 

「丁度……と、言っては軽率になってしまうかもしれないが、来週にクラス対抗戦が控えている。その試合の結果で雌雄を決してはどうだ?少なくとも私には二人がこのまま話していても解決はしなそうに見えるしな」

 

「いいわよ、その話、乗ったわ!」

 

「お、俺もそれで構いません!」

 

 慎吾の提案を聞いた瞬間、弾かれるように直ぐ様鈴が賛成し一夏も負けじと続く。

 

「二人とも賛成か。では、話はここまでだな?」

 

 二人の反応を見て慎吾は確認するように言い、二人が同時に頷くのを確認すると。うむ、と納得した様子で小さく口にした。

 

「じゃ、一夏、あたしに謝る準備しときなさいよ!」

 

 ピットから去り際、ドアの手前で振り返り、鈴が軽く挑発するかのように一夏にそう言う。

 

「おう、お前こそ俺に説明する覚悟をしておけよ!」

 

 鈴の挑発に売り言葉に買い言葉方式で、鈴を指差しそう告げる。

 

「い、いや……説明はその……」

 

 一夏の言葉に思わず鈴が頬を染めてどもった瞬間、狙ったかのようなタイミングでドアが閉まりピットには慎吾と一夏、そして沈黙だけが残された。

 

「(さて……私としては共に鍛えた一夏には勝利してほしいとは思うが……かと言って鈴の気持ちが理解できる分、鈴に負けて欲しいとは思えない……全く、ままならぬものだな……)」

 

 ビット内で打倒鈴目指して、静かに闘志を燃やす一夏を見ながら、慎吾はそんな事を考えてこっそり溜め息を漏らした。




 前話から引き続き、宇宙最強の光線の話題を引っ張ってます。一刻も早く出せるよう頑張って執筆していきますので……これからもよろしくお願いいたします。

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