二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 ここから本格的にクライマックスに向けて進んで行こうと思います


168話 作戦決行 序

 

「……お? あいつらが動きやがったか……待ったかいがあるってもんだ」

 

 自身が示した期限の時刻が近づく最中、何度目かも分からぬ追討軍を余裕たっぷり、何なら鼻歌まで歌いながらバトルナイザーを振るって撃破し、かつてアリアと呼ばれた女性、ベリアルは自身と同じ名前の機体センサーに数機のIS。即ち学園で自身が交戦した代表候補生達の姿が写し出されたのに気付くと少しだけ嬉しそうに呟く。

 

 無論、その誰もベリアルにとっては有象無象にしか感じない程度の戦力だったが顔も覚える価値も無い雑魚とは一線を越す、少なくとも『暇潰しにはなるか』と感じる程度の力は持っている。と、ベリアルは判断していた。

 

 端から見ればそんなベリアルの思考は至極、自分勝手で自惚れた考えに見えた。

 

「いい加減、軍との遊びにも飽きてた所だ。こいつらを完膚なきに叩き潰せばいい加減にブリュンヒルデも『自分が出るしかない』!……って俺様に挑んで来るか・も・な……」

 

 そう呟くとベリアルは無造作に倒れて起き上がれぬ兵士を呑気に鼻唄を歌いながら蹴りとばす

 

「う……ぐ……」

 

 ベリアルに蹴り飛ばされた兵士は短い悲鳴を上げるが起き上がれる程の体力は既に残ってごろりごろりと積まれた山を転がり落ちて行く。

 

 そう、その積まれた山、その全てがベリアルに挑み破れた各国のIS

 

「じゃねーと……マジで全世界のIS操縦者が絶滅するぜ?」

 

 そう言うとベリアルは頭部のアーマーを解除し、長い黒髪を伸ばし素顔を晒す。その顔こそ非情に整っており切れ長な目はワイルドさを醸し出してはいたが、そこに浮かぶ表情は野獣すら上回る程にあまりにも獰猛であり、見る者に無意識に本能に危機を感じさせる。

 

「さぁ、まずは腕試しだ。簡単にやられるんじゃねーぞ?」

 

 夕焼けで真っ赤に染まる空の下、無数に倒れた人間達の前でギガバトルナイザーを天に掲げて悠然と笑うその姿はベリアルの名前の通り、正しく悪魔そのもののように見えた

 

 

「目標地点まで後、200km! 向こうは……動いていない! じっとしているよ!」

 

 夕日で赤く染まる空を飛びながらセンサーでベリアルの様子を観察し、仲間達に告げるのはシャルロット。彼女は列の中央付近に位置取り、センサーによる索敵を担当していた

 

「……我々が近付いている事にはとっくに気が付いている筈だ。なのにも関わらず動かないと言うことは……」

 

「その場にいながらも行える何かしらの対抗手段があるか……あるいは私達を大したことが無いと見くびっているのか……どちらにしろ舐められたものだな」

 

 その少し先、列の先頭を切って飛翔するのはラウラがシャルロットの言葉を聞いてそう呟き、殿を勤める眉を釣り上げて更に険しい顔をしながや箒も続けた

 

「だとしても……確実に一撃決めてやる。俺と白式で……!」

 

 そして列の中央に位置するのは一夏。彼が駆ける白式からはコードが4本伸びており、ベリアルと交戦しても尚、比較的損傷の低かった三人が前線に出る形で今回の作戦の鍵となる白式を奇襲から守り、また夏に起きた銀の福音との経験から単純に最悪に燃費が悪い白式の移動によるシールドエネルギーの消耗を押さえていた

 

「……いや待って! ベリアルがいる方角からこっちに複数の反応が近付いて来ている! これは……ISじゃない!」

 

 と、そんな中、センサーを睨んでいたシャルロットが反応に気付いて全員に警戒を促す

 

「……ってなると……!!」

 

 一夏がそう言って自分達が進む方向。その彼方を見つめた時だった

 

『───────!!』

 

 簡易的な機械音声を響かせ、尻尾やら角が生え人型とは大きく異なる姿をした自動戦闘機械『モンスターズ』がその姿を表した。その姿は一体、また一体と増えていき、あっと言う間に30体程のモンスターズが一夏達の進行方向に立ち塞がる

 

「……ぐ……気を付けろ……。まだ計画のうちとは言え……いらぬダメージを追わないように……」

 

 そんな三人に今にも消えそうな掠れた声で警告を送るのは白式を牽引する四本のケーブルの最後の持ち主。作戦会議から病床から無理に無理を重ね、かなり強引に自身のISを修復して前線へと立つ光だった。ヒカリのアーヴギアはベリアルとの戦いの損傷が酷すぎて修理が追い付かず、どうにかナイトブレスが動作可能程度でヒカリは頭部装甲はゾフィー同様の仮面にも似た通常装甲に覆われていた

 

「分かっている。 私達のやることは……!」

 

「最低限、目の前の敵だけを倒す……!」

 

 光の言葉に答えるようにラウラとシャルロットが一切速度を落とさないまま、銃口を迫り来るモンスターズに向けると同時に発射する

 

『─────!!』

 

 その瞬間、直撃を受けた数機のモンスターズが僅かに体勢が崩れ、密集していようといた集団に僅かに隙間を作る

 

「今だっ!!」

 

 その瞬間、ラウラの合図と共に二人が銃撃を続けて僅かな隙間を閉じないようしながら、四人は一斉にモンスターズの集団に向かって最高速度で突撃した

 

「一夏! 分かってるな!? 事前に決めた通りモンスターズと戦うのは身を守る最低限に留めろ!!」

 

 目の前に迫り、襲い掛かってきたサボテンのような姿のモンスターズを一閃で切り捨てながら箒は牽制するように一夏に告げる。

 

 先制攻撃が成功した事が幸いしたのか、モンスターズ達の動きはシャルロットとラウラの射撃からの近接攻撃に翻弄されて鈍く、突っ込んでくる4人を殆ど対応しきれず蹴散らされ、危ういながらもどうにか道は途絶えることなく事、形成され続けていた。

 

「あぁ……分かってる。分かってる……! でもな……!」

 

 箒の言葉に一夏は反論する事は無く、両手を下ろしたまま黙って牽引される形で進んでいく。が、その言葉と裏腹にその表情は仲間達が懸命に戦っているのにも関わらず自分が守られている現状が心底から納得出来るものでは無いようで悔しそうに歯噛みをしていた。

 

 と、その時だ

 

『──────』

 

 

 三人の攻撃で怯んでいたモンスターズの一部が復帰して体勢を立て直し、依然前方の敵を蹴散らしながら驀進し続ける三人を背後から数機のモンスターズが狙いを付けて攻撃体勢に移り

 

 その瞬間、五人を守るように空中に『5つ』の閃光が走った

 

 

「おやおや、あいつら思ったより頑張ってるようじゃあないか。だが……いつまでもつかな……? フ、フフフ……」

 

 その頃、ベリアルは朽ち果て無造作に転がっていた廃船のマストの上にベンチのように腰掛け、モンスターズから送られ自身の機体へと投影される多勢に無勢の状況でありながらモンスターズと激闘を繰り広げるラウラや箒達の映像を自宅のようにリラックスした様子で観戦してた。 

 

 一応、奇襲を受けている立場でありながらそこには全くと言っていい程に焦りは無く。事実、ベリアルは例えメンバー全員が損害を最小に押さえて自身の元へとたどり着こうが、どんな戦略を隠していようが正面からねじ伏せる事が出来る絶対的自信があったのだ。

 

 と、そんな時だった

 

『────()()()久しぶりだな』

 

「…………っ!! あんたは……っっ!!」

 

 ベリアルの元に、彼女が生涯を通じて忘れぬ人物の一人、かつてケンと共に武術を教わった師範とも言える人物。

 

 伝説の超人と呼ばれた男、キングからの通信が入ったのは

 

 

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