二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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172話 作戦決行 急 

 

「ふん、雁首そろえて来やがったな……。まだやられ足りて無いのか?」

 

 ベリアルの眼前に集結した五人を前にベリアルは不利な状況かつ、自身の機体が傷だらけなのにも関わらず余裕たっぷりの堂々とした態度でそう言い放つ。今、ここに至るまで自身が彼等の思う通りに動かされたと言うことはベリアル自身、理解していたが、そこにはまるで動揺は無い。この状況下でもベリアルはまるで揺るがず自身の勝利を確信していたのだ

 

「俺様に手傷を負わせてイイ気になってるつもりか? 生憎、俺様は動きに支障はない。おまけに、バトルナイザーにはまだ使えるモンスターズがいる。お前らごとき餓鬼が一斉にかかってこようが楽勝で……」

 

「いいや、この場でお前の相手をするのは俺だけだ。ベリアル!」

 

 と、その時だ、ベリアルの言葉を遮り、先頭に立ち横に並んで身構えていたラウラとシャルロットの肩の間をすり抜けつつ、真っ正面からベリアルを睨み付けながら一人がその眼前へと姿を表し、手にした刃を向けながら堂々とそう宣言した

 

「あん…………?」

 

 一方でその態度にベリアルは怪訝な声をあげる。これもまた自身を嵌めるための作戦の一つかとも一瞬は考えたが、それにしては『彼』の瞳はあまりにも真っ直ぐ、馬鹿かと思う程ににこちらを見ており、ベリアルにはそこに含みがあるようには感じれなかった

 

「……なんだ、お前?」

 

 だからこそベリアルは怪訝な顔をしながらバトルナイザーを向け、純粋な疑問としてそう問い掛け

 

「俺は……! 俺は一夏! 織斑一夏! ブリュンヒルデ、織斑千冬の弟だ!!」

 

 それ答えた彼、白式を纏った一夏は自身が千冬の弟だと言う事実を臆することも無く堂々と名乗ると手にしたブレードを向けて名乗る

 

「行くぞベリアルっ!」

 

 そうして一夏が弾かれたようにベリアルに向かって飛び出し……それが合図となって決戦の火蓋は切られた

 

『──! ────!!』

 

『…………! ──っっ!!』

 

「(う……ぐ…………こ、この声は…………? くっ……目が…………)」

 

 突如として周囲が一気に騒がしくなった事で深い闇に沈んでいた慎吾の意識は揺れ動き、再び浮上し始めていた。だがしかし、蓄積しているダメージの影響か意識こそ覚醒しているものの、その瞼は慎吾の意思とは無関係に固く閉じたままで、聞こえてくる声に耳を澄ませる事しか出来ない

 

「(ならば……せめて音で状況だけでも……!)」

 

 逸る気持ちを押さえつつ、慎吾が意識を集中させるとくぐもって雑音のようにも聞こえていた声が次第に鮮明になり……

 

『─けるかっ! ───これならっ!!』

 

『チイッ…………うっとおしいっ!』

 

 

「(……!! 一夏!!)」

 

 それが一夏とベリアルが戦闘を繰り広げている声だと分かった瞬間、慎吾の心臓が跳ね上がるのを感じた

 

「(早く……早く立たなくては……!! 私も……戦わなくては……!)」

 

 何故、一夏がここにいるのかとの疑問は湧かない。人一倍熱くて仲間思いの事だ自分を助けに来た事に違いない。そして恐らくは一夏一人では無く、ラウラやシャルロットと言った仲間達も同行している事、そして一夏だけでは無い以上、自分を助けるべく入念な作戦が立てられている事は容易く想像出来た。だが

 

「(だから……だ……! ここで一夏達の勝利を信じて静かに救助を待つ……。それも確かに正しい手なのだろう。だが……とても私にそんな事は出来ない……。一夏が……仲間が……私を『兄』と慕ってくれた妹達が奮闘しているのにも関わらず、私が倒れているだけなど……私が私を認められない……!)」

 

 それでも尚、慎吾は全身の力を振り絞り懸命に起き上がろうと身体に力を込める。死なない程度にしか治療を施されてなかった身体は中々、力が入らない上に鉛のように重く、触れなくとも自身の愛機であるゾフィーも展開できるかどうかさえ怪しかった

 

「(すまない……あれだけの損害を負ったのに無理をさせるのは重々承知だが……それでも『ゾフィー』! もう一度、私に皆と共に戦う力を……!)」

 

 慎吾は懸命に自らの身体に鞭打ち、半ば懇願にも似た想いで腕に装着されたゾフィーへと呼び掛けながら必死に身体を動かそうとあがき続けると、やがて蛞蝓が這うような速度ではあったが慎吾の指は徐々に動き始め、瞼もゆっくりと上がり始めていた

 

「(……こ……れ……なら……。ぐっ……やはり身体の痛みが……)」

 

 と、そんな風に慎吾が痛みを堪えながらも必死に奮闘していたその時

 

「うわっ!? すっごい重症だよ!!」

 

「な、なんちゅうこっちゃ……あの慎吾とゾフィーがここまでやられとるとは……」

 

「ダカラこそ、ボク達が頑張らなキャ!」

 

「(……! この声は……!)」

 

 何処か覚えのある三人の声が聞こえた

 

 

「うおりゃあぁぁっっ!!」

 

「……チッ! 調子に乗るなっ!」

 

 一夏が右手で振るう雪片弐型と左手のクロー状に変化させた雪羅のラッシュをベリアルは舌打ちをしながら最低限の動きで回避しつつ、致命的な一撃はギガバトルナイザーで受け流し、隙を見付けてては一夏に反撃を打ち込む。

 

 ベリアルと一夏の戦闘が始まって約2分が過ぎ、状況事態はここに来るまで移動にエネルギーを消費しなかった一夏がここぞとばかりにエネルギー消費を恐れず、隙を見ては雪片弐型と雪羅、更に隙を見ては霊落白夜を放ち、慎吾に教わった技と知識、そして何より仲間達との訓練の成果を生かし、猛烈果敢な攻撃を仕掛けベリアルを防戦一方に追い込んでいるように見えた

 

 が

 

「はぁ……はぁ……! くそっ……!」

 

 息を荒げながら悔しげにそう吐き捨てるように言う一夏。開戦当初から全て燃やし尽くすような勢いで動きで苛烈な攻撃を続ける代償か、まだ五分と時間は過ぎてないのにも関わらず、既にその額には汗粒がびっしりと浮かび、疲労の色が現れ始めていた

 

「ふん……! ちょこまかと、うっとおしい……!」

 

 対するベリアルは身体に蓄積されたダメージこそ色濃く見て取れるものの、一夏とは正反対に無駄な動きはせずエネルギーを温存しつつ、冷静に最低限の動きで一夏の攻撃を避け、あるいは弾く事で確実に対処して損害を殆ど負ってはいない

 

 つまりは結果として、徹底攻撃に回っている筈の一夏こそが体力を確実に削がれ、徐々に詰みへと近付かされていたのだ

 

「(だ、駄目だ落ち着け……っ! 冷静になれ……っ!)」

 

 当然、その現状は攻撃を続ける一夏自身もよく理解しておりシールドエネルギーの大幅な現象に感じ始めていた焦りを必死に圧し殺しながらベリアルを睨み付ける

 

「……どうやら動きの基礎は剣道。そこを更に慎吾の奴に近接格闘戦を仕込まれたな?……実戦もお仲間と共にそれなりに経験して来たと言うわけか」

 

「………! 何を………っ!!」

 

 対するベリアルはしごく落ち着いた様子で一夏を分析しており、交戦した短い時間でその戦闘スタイルまでも言い当てて見せ、一夏の顔に思わず動揺が浮かび、緊張で張り詰めていた態勢が僅かにぶれる

 

「なら……分かってるだろう? 織斑一夏ぁ? お前の実力じゃ絶対に俺様に勝てないってなぁ!!」

 

 

 その僅かな隙を逃さずベリアルはせせら笑いながら瞬時加速を利用し、固めていた防御を一気に攻勢へと変えながら一夏へと突っ込んで来た

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