二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない) 作:塩ようかん
「弁解はしません。私の独断で勝手な行動をした結果、織斑先生を含む教師の方々に迷惑を本当に申し訳ありませんでした」
事件後、念を入れて負傷を確かめる為に訪れた保健室で近くに、軽い打撲の為にベッドに寝かされていた一夏がいるのも構わず、慎吾はそう言うとしっかりと屹立して千冬に頭を下げた。
「はぁ……顔を上げろ大谷」
千冬はそんな慎吾を見て呆れたように目をつむりながら、溜め息と共にそう言う。そして慎吾が言われるがまま下げてた頭を上げた瞬間
ばしん
そんな音と共に出席簿を慎吾の頭に降り下ろした。ただし通常よりは弱めに押さえてではあるが。
「初めて受けましたが、見た以上に効く一撃ですね……これは」
出席簿で叩かれた頭を軽くさすり、苦笑しながら慎吾はそう答える。
「ふん、お前はまだ小僧のくせに何でもかんでも自分一人で背負って解決させようとし過ぎだ。困ったら少しは我々、教師達という大人にも頼れ」
「……善処します」
少々咎めるような千冬の言葉に図星を付かれた慎吾は軽く目を反らして、千冬にそう返した。
「……その言葉は元々やるつもりが無い人間が言うものだ」
そんな慎吾を見て溜め息を付きながらそう言って千冬は保健室から出ていった。
「さて……特に異常が無かったことだし、私はここまで去るとしよう」
「慎吾さん、もう行っちゃうんですか?」
千冬が保健室から去って暫くしてから慎吾もまた腰かけていた丸椅子から立ち上がり出口へと向かって歩き出す。そんな慎吾に不安げにベッドで寝ていた一夏が声をかける。
そんな一夏の声に、慎吾は一瞬振り替えると
「何、心配はいらない。私、以外にも見舞いに来てくれる相手はいるさ」
そう安心させるように一言だけ一夏に言うと、保健室の扉を開いて廊下に出ていき
「……後はお前たち次第だ、頑張れよ」
最後に保健室の出口近くで入るタイミングをうかがっていた箒、セシリア、鈴の三人にそう声をかけると自室へと戻っていった。
◇
「大谷くん?入りますよー」
「お、お邪魔します……」
その日の夜、夕食を終えて自室で軽いトレーニングをしていた慎吾の元に、ノックと共に真耶と一夏が訪れた。
「どうしました山田先生?……おや」
と、そこでトレーニングを中断した慎吾は、一夏の手に握られた荷物に気が付いた。
「もしかして……引っ越しですか?」
一瞬の間を置いて慎吾は直ぐにそれが何を意味するのかに気が付き、トレーニングで流れた汗をタオルで拭いつつ真耶に尋ねた。
「あ、はい、お引っ越しです。織斑くんは篠ノ之さんの部屋から大谷くんの部屋へと引っ越しです!」
慎吾の問いを真耶は柔らかく笑って肯定する。その後に続いて慎吾の前に一歩踏み出し、慎吾に手を差し出す。
「慎吾さん、今日からよろしくお願いしますね!」
「何、今更見知らぬ顔でもあるまい、気軽に接してくれ」
差し出した一夏の手に握手で慎吾は答えると、一夏と慎吾、双方の間に自然と笑顔が溢れる。
それは端から見てもとても幸先の良い始まりに見え、実質その光景を見ていた真耶も何か納得したかように軽く頷きながら見守っていた。
が、ここにいる三人は知らない。この平穏は恐ろしく短くも持たなかった事を。
真耶が帰った後、箒が部屋を訪れ、要約すれば、来月に開催される学年個人別トーナメントで優勝したら自分と付き合って欲しいと、一夏に大声で告げる事を。
言った場所が場所ゆえに何人かの生徒がその話を耳にし、話に尾ひれが付きまくって翌朝には何故か『学年トーナメントで優勝すれば、商品として織斑一夏、あるいは大谷慎吾と付き合える』と言うことになっていた事を。
残念ながら慎吾のIS学園生活に平穏は中々訪れてははくれないようであった。
時話あたりで……あの人を出すつもりです。ただし多少、私のアレンジを加えておりますのでご注意を