二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 宣言通りに登場です、今回、独自設定が多いので一応閲覧注意です


20話 ゾフィーの新武装テストと現れる光

8月頭の日曜日、天井から淡い輝きを放つ照明だけが中を照らす薄暗いドーム。そこに慎吾の姿はあった。

 

 ゾフィーを展開させた慎吾は音も立てず上空からドーム中央の大地へと降下していく。

 

『それではテストを初めてください』

 

 ゾフィーがドームの大地にしっかりと降り立つと、ドーム内にアナウンスと実験開始を伝えるブザーが鳴り響く。それを確認した慎吾は身構え、素早く両手で正面に十字を組み、ゾフィーから十メートル程離れた先にある横一列に三つ並んだターゲットの一つに狙いを付ける。その瞬間

 

「……スペシウム!」

 

 慎吾の掛け声と共に組まれた手から青白く輝くビーム、スペシウム光線が飛び出し、放たれたスペシウムは真っ直ぐにターゲットに向かって飛んで行くと慎吾の狙い通りターゲットの中心に命中して粉々に粉砕した。

 

「………………」

 

 それを見ても慎吾は特に反応は示さず、冷静に次のターゲットに狙いを定め、水平にした両腕を胸の前に添える。

 

「ウルトラスラッシュ!」

 

 掛け声と共に右腕を後ろに引く慎吾。と、引いた腕に渦を巻くように光が集まると瞬時にゾフィーの右腕に沿うように青白く輝くリング状の光の刃が出現した。

 

「たぁっ!」

 

 刃が完全に完成すると慎吾は勢い良く右腕を引き戻し、ターゲットに向かって投擲する。刃はかん高く空気を切り裂く音を立てながら宙を飛び、ターゲットを真っ二つに切り裂いた。

 

「エメリウムッ……!」

 

 それを確認すると、休む間も無く慎吾は次のターゲットを狙い、両腕を今度は頭部に持っていき伸ばしたゾフィーの人差し指と中指を額に添える。その瞬間、今度はゾフィーの額部分から緑色に輝く細いビーム状の光線、エメリウム光線がターゲット目掛けて発射される。が

 

「くっ……」

 

 慎吾は狙いを外し、エメリウム光線はターゲットの中心を外れて僅かにターゲットの縁を掠めるとそのまま飛んで行き、ドームに張られたシールドにぶつかると音と共に砕け散って霧散した。

 

『ターゲットを追加します』

 

 アナウンスと共に、再び現れる複数のターゲットを見ながら慎吾は気持ちを切り替えてターゲットを狙って身構えた。

 

 

 

「今回の新武装のテストだが……単刀直入に言って君の意見はどうだ?慎吾」

 

 武装テストを終え、汗を拭き取って着替えた慎吾がドーム近くの休憩室でベンチに座って体を休めていると、慎吾のすぐ近くで腰掛けていた海を思わせるような青い髪をショートカットにし、白衣を着た少女が慎吾にそう訪ねてきた。

 

「そうだな……スペシウムとウルトラスラッシュ……この二つは扱いやすく狙いもつけやすい。ゾフィーでも十分に取り扱えると私は判断する。が、エメリウムと中近用の武器、アイ・スラッガーは元の威力は優れてはいるがゾフィーとは相性が悪いのか、それぞれ発射時に想定以上のブレが発生して威力を発揮出来ていない……。と言う所か」

 

 青髪の少女の問いに少し考えて言葉を纏めると慎吾は、ゆっくりとそう少女に告げる。

 

「成る程……ではスペシウムとウルトラスラッシュは最終調整の後、ゾフィーへの装備を見当……。エメリウムとアイ・スラッガーはゾフィーの後続機の専用装備とするか……」

 

 少女は慎吾の言葉をメモを取りながらしっかり聞き取り、手にしたファイルに素早く今後の予定を書き込んだ。

 

「しかし、すまないな慎吾。せっかくの休みに呼び出したりして……」

 

 ファイルに書き終えると少女はファイルから顔を上げ、慎吾見ると申し訳なさそうにそう言った。

 

「何、私の事は気にするな。……最も、君があの大企業Mー78社で新型IS製作の手伝いをしていたと知った時は大分、驚いた物だがな」

 

 そう、今現在、慎吾と少女がいるのは世界にも名の知れたIS大手起業のMー78社の本社近くの研究所、そこで本日、慎吾は少女から連絡を受けて研究所のドームで少女達の開発チームが新たに作り出した新武装のテストに参加していたのだ。

 

「はは……それを言うなら俺も皆で作り上げた新型IS『ゾフィー』を使うのが二人目の男子で、しかもそれが慎吾と知った時は君より驚いたさ」

 

 軽くそう言う慎吾に釣られ、少女もまた笑顔になる。そこには開発者と操縦者と言う壁は無く、長い付き合いである二人が自然と相手に見せ合う物であった。

 

「それでは私は今日は帰るが……IS学園にはいつ頃、復帰出来そうなんだ?」

 

「そうだな……確かめてみよう」

 

 立ち上がり、去り行こうとした慎吾は最後にそう少女に訪ねる。すると、少女は携帯端末を白衣から取りだし内蔵されているスケジュールをチェックし、やがてゆっくりと口を開いた。

 

「……あと三段落程、済ませればどうにか復帰出来そうだな。昨年は出席日数が足りずに危うく留年になりかけたからな……出来るだけ学園には出席しておきたいんだ」

 

「そうか……!君が来てくれるのは楽しみだな……」

 

 少女の返事が良いものだった事に慎吾は喜び、大きく頷いて見せる。

 

「……それに俺自身にも学園には少し用があるからな」

 

 だからこそ慎吾は意図して小さく呟いた少女の言葉と、その瞳に込められた静かな闘志を見逃してしまった。

 

「……さて、これから君が提供してくれたデータを纏めてくてはならないからな……それでは今度こそ、今日はさよならだ慎吾」

 

 少女は慎吾が自身の発した言葉に気が付いていないのに気付いて少しばかり安堵すると白衣を翻して慎吾の元から立ち去る。慎吾は立ち去る少女を見送りつつ言葉をかける

 

「あぁ、早く学園で会える事を祈ってるぞ……ヒカリ」

 

 

 

 大谷慎吾と芹沢(せりざわ)(ひかり)、二人がIS学園で再会し、慎吾が光が学園に向かう隠された目的を知る日までにはまだ暫くの先の事であった。




 うちのヒカリは悩んだ結果、女体化で天才学者のオレ娘になりました。残念ながら今回は今回は顔だしのみ。ヒカリの活躍はもう少し先の話になります

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