二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 何とか間に合いました……こんなハラハラを味わわない為にも気を付けたいです。


34話 白式vsシュヴァルツェア・レーゲン!VTシステム

「止めろ!もう決着は付いてるだろ!?攻撃を止めろよ!!」

 

 白式を展開させた一夏は雪片を構え、倒れているゾフィー背に庇うように立ちながらラウラを殺気を込めて睨み、怒鳴り付ける。

 

「何を甘い事を、そもそも私がお前なぞの言うことを聞くとでも?」

 

 そんな一夏を冷えきった視線で見ながら嘲笑するような口調でそう告げるラウラ。その表情からは先程の奮闘した慎吾を称賛した時のような僅かな暖かみも完全に消え失せていた。そして、一夏に向けて挑発するようにカノンの狙いを付ける。

 

「私を止めたいのならば、さっさとかかって来い……それとも怖じ気づいて逃げ出すか?」

 

「慎吾さんを置いて……誰が逃げるかよっ!!」

 

 その言葉は隠す気すら無いら明らかな挑発ではあったが、目の前で見た事が無いほどに傷付いた慎吾とゾフィーの姿を見せられて今にも爆発しそうであった一夏の怒りに火を放つには十分だった。

 一夏は怒りのままに零落白夜を発動させると同時に瞬時加速を行って一気にラウラへ向かって突っ込んで行く。と、その時だった

 

「い、一夏……」

 

 一夏に弱々しくもはっきりと聞こえる声で個人間秘匿通信(プライベート・チヤネル)で慎吾の声が聞こえてきた。見ると、慎吾は両手で地面に手を付きながらも、ゾフィーを起こして必死に立ち上がろうとしていた。

 

「怒りで冷静さを失うな……私達との訓練を思い出せ……お前にならそれが出来るはずだ」

 

 

 その言葉を言い終わるのと同時に慎吾は力尽きたように崩れ、ゾフィーは再び地面へと倒れる。

 

「慎吾さんっ……!!」

 

 慎吾が伝えたのは、ただそれだけの短いメッセージ。しかしそれで一夏には十分だった。怒りはしっかりと残っているが頭と心は冷静さを取り戻し、瞬時加速していながらも周囲の景色がはっきりと見えるほどに驚くほど落ち着いていた。

 

「ー消えろ」

 

「………おおおっ!!」

 

 そして次の瞬間、白式の白とシュヴァルツェア・レーゲンの黒が素早く交差し

 

「ば、かなっ……!?私がこんな所で………?」

 

 次の瞬間には『シュループ』の軌道を描いた白式の瞬時加速。そこから放たれた零落白夜の一撃レーゲンのシールドエネルギーは瞬く間に枯渇し、ラウラは何が起こったのか分からない驚愕の表情のまま崩れ落ち、落下していく。

 

「……ボーデヴィッヒよ、確かにお前は強い。それほどの強さを手に入れる為にお前が一体どれほどの鍛練をしたのか……私にも想像しがたい程だ」

 

 そんなラウラの耳に、静かに語りかける慎吾の声が聞こえてきた。その声に反応して落下しながらもラウラがゾフィーが倒れていた方向を見ていると、そこには一夏の後を追って来たのであろう、リヴァイヴを展開させたシャルル肩を貸される形で地面へと立ち、しっかりと見つめてくるゾフィーの姿があった。

 

「だが、私……いや私達にはその強さを越えれる物を持っている」

 

 そう言うと、慎吾は自分に肩を貸してくれているシャルル、アリーナ客席からシャルルに続いて飛び出そうとしていたセシリアと鈴、一夏そして慎吾を信じて待つ箒の順に視線を見つめ、最後にふっと一夏に視線を向けた。

 

「それが信頼できる仲間達との絆だ。仲間達と切磋琢磨して己を磨き、そこで身に付けた技、そして生まれた仲間との絆を信じて勝てないと思うような強敵とでも決して諦めずに戦う……。それが私達の強さなのだ」

 

「絆……それがお前の……」

 

 慎吾の言葉にラウラが何かに気が付いたような顔でそう口にした。

 

「私に、お前達のような………」

 

 そして、ラウラが消えそうな声で小さく呟いた瞬間。

 

「ああああああっ………!!!」

 

 ラウラの身を裂かんばかりの絶叫、レーゲンもそれに呼応するかのように激しい雷撃を放ち、周囲を目が眩むばかりの光に包み込む。

 

「うわっ!……一体何が……!?」

 

「これは……一体……」

 

 閃光が弱まり、ほぼ同時に視界を確保した一夏と慎吾の驚愕の声が重なる。

 

 そこにいたのはシュヴァルツェア・レーゲンだったはずのものが変形した黒い全身装甲のISだった。ボディラインはラウラのものに似ているが、装甲は腕と足に最小限のものが取り付けられてるのみで、フルフェイスのアーマからは普段なら装甲の下にあるはずのラインアイ・センサーが赤く輝いていた。そして、何より特徴的なのが

 

「あれは……雪片か……!?織斑先生がかつて使用していた……」

 

 黒いISが手にしていた唯一の武装を見た慎吾は思わず叫ぶ。当然、その事は一夏も直ぐ様、気が付いたらしく再び、いや先程、慎吾を助けようとした時よりも明らかに強い殺気を込めて黒いISと相対しようとしていた。

 

「いかん!一夏はさっきの瞬時加速を二度使用し、零落白夜も使用した……白式のシールドエネルギーはもう一撃どころがかすり傷でも尽きてしまう!……ゾフィーが動ければ……くっ!」

 

 一夏の危機を知りながらも何も出来ない現状に歯噛みする慎吾。と、その時だった

 

「……お兄ちゃん、ゾフィーのモードを一極限定にして。コア・バイパスで僕のリヴァイヴのエネルギーをあげる……」

 

 個人間秘匿通信でシャルルがそう慎吾にそう伝えた。

 

「シャル!?しかし……」

 

「今の一夏に一番力になってあげれそうなのは……僕よりゾフィーとお兄ちゃんだよ……」

 

 シャルルの提案を慌てて止めようとする慎吾ではあったが、シャルルは軽く苦笑するだけで言葉は止めない。

 

「お願いお兄ちゃん……一夏を助けてあげて」

 

 真剣な様子のシャルルに見つめられた慎吾は何も反論出来ずに沈黙し、そして……

 

 

 

「ぐうっ……!」

 

 

 黒いISからの一撃をどうにか避け、一夏は膝を付く。慎吾からの一言を聞いていたおかげで冷静さを何とか失ってはいなかったが一撃でも食らえばシールドエネルギーが尽きてしまう現状と、紛い物ではあるが千冬の動きを再現した黒いISに手をこまねき、次第にジリ貧の状況へと追い込まれていた。

 

「こ、このままじゃ……くそっ!」

 

 そんな状況に一夏が焦り始めたその時だった

 

 

 

「一夏!これと同時に行け!」

 

 そんな鋭い慎吾の声と共にシャルルからエネルギーを受け取った事で幾分かカラータイマーの点滅が緩やかに変わり、立ち上がったゾフィーから稲妻状の鋭い光線、Z光線が黒いISに向けて放たれる。行動不能と思われたゾフィーが再び稼働して攻撃した事で黒いISはZ光線を回避しようと行動を移す。その瞬間

 

「……千冬姉なら、その程度で隙は見せない。お前は所詮、ただの真似事だ」

 

 Z光線と零落白夜での縦の一閃を受け、黒いISは崩れ落ち、割れた中身から弱った様子のラウラを吐き出した。

 

「やったな……一夏」

 

 気絶したラウラを抱える一夏、そして遅れて駆けつけてきたISを展開させた教師陣の両方を見ながら、慎吾はそう優しく呟いた。




 誤植を直す。そして文章の継ぎ足してたら時間越えてしまいました……大失策です。

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