二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 ギリギリでしたね……次こそは何とか


46話 紅椿&白式&ゾフィーVS銀の福音。そして危機

「見えたぞ、一夏! 慎吾!」

 

「!!」

 

「来たか……!」 

 

 三人が飛び立って数分もしないうちにハイパーセンサーはその名の通り、全身が銀色に輝き頭部に一対の巨大な翼を持つIS『銀の福音』を捉え、三人にそれぞれ緊張が走る

 

「まずは私が先攻して隙を作ってみよう……その間に二人は攻撃を頼む」

 

「分かった」

 

「慎吾さん、資料にあった多方向時射撃に気を付けてください!」

 

 自身の言葉に二人が頷き、返事をしたのを確認すると慎吾は更にゾフィーを加速させ更に福音に接近しながら両手を重ねて矢尻状のスラッシュ光線を福音に向けて数発程発射し、狙い違わず放たれたその一撃は福音の銀の装甲に突き刺ささろうとした、まさにその瞬間

 

「何っ……!?」

 

 福音は飛行しつつ体制を僅かに動かしただけで全てを完全に回避し、放たれたスラッシュ光線は海面に激突して穴を空けた

 

「くっ……ならばっ……!」

 

 福音の回避能力に驚かされながらも慎吾は動揺を抑えて福音を追跡しながら再びスラッシュ光線を連射する形で次々と発射する。しかし、これすら福音は軽々と回避し一撃すらも福音を掠める事すら無く。空しく海面に穴を空けていく。が

 

「今だっ!」

 

 福音に隙を作るにはそれで十分だった

 

「うおおおおっ!!」

 

 慎吾が合図と同時にスラッシュ光線の連発を止めて後退したその瞬間、最高速度で福音に向かっていた紅椿からカタパルトの如く一夏の掛け声と共に凄まじい勢いで白式が発射された。さらに、それだけでは無くダメ押しとばかりに一夏は瞬時加速で白式を加速させると、満を持してそこで零落白夜を発動。二段階の加速であっと言う間に接近した一夏は未だに反応出来ていない福音目掛けて光の刃を降り下ろす

 

「なっ!?」

 

 が、福音は零落白夜の刃がその銀の装甲にあと一ミリで触れると言う瞬間に反転、後退のような形で白式と対峙し、一夏が思わず動揺の声をあげた

 

「(回避した!? いや、しかしまだ一夏の間合いだ、このまま押し切れれば……) 」

 

 福音に注意を払いつつ、そう慎吾が想うのと全く同じタイミングで一夏は体制を立て直して、第二撃を放とうと更に福音へと踏み込む。まさにその瞬間だった

 

「敵機確認。迎撃モードへと移行。《銀の鐘》、稼働開始」

 

「「「!?」」」

 

 福音は一夏の放った零落白夜の刃を再び回避すると、同時にそうオープンチャネルで抑揚の無い機械的な音声を三人に向けて流した。その声には今まで無人機であるかのように自動的に動いて攻撃を回避していた福音から、三人に向けた確かな敵意が感じられ思わず三人はそれぞれ無意識に制止して身構える。と、そのほんの僅かな隙を見逃さぬように福音の装甲の一部スラスターがまるで銀の翼を広げるように展開し

 

「……まずいっ!! 避けろ一夏! 箒!」

 

 その下から『砲口』が現れたのを確認した瞬間、慎吾は二人に向けて警告を発する。

 

「La…………♪」

 

 甲高いマシンボイスと共に福音の全砲口から高密度に圧縮された羽のような形の無数のエネルギー弾が全方位に向けて発射されたのはその直後であった

 

「くっ……こ、この破壊力は……!!」

 

 迫り来るエネルギー弾を後退しつつゾフィーのスピードを持って避け、あるいはスラッシュ光線で撃ち落としていた慎吾の元に、ほんの僅かな隙を狙ったかのように羽がすり抜けるようにゾフィーの装甲に突き刺さると即座に爆ぜ、想像以上の破壊力と体に伝わる衝撃に慎吾は思わず顔をしかめる。

 

「なんて連射速度だよ……!」

 

「くっ………!」

 

 見れば一夏と箒も被弾したのかそれぞれのISの装甲から煙をあげて注意深く福音を睨んでいた

 

「(元から長期戦などするつもりは無かったが、福音の攻撃のこの破壊力から考えるとやはり下手に勝負を長引かせるのは危険……。と、なると)」

 

 追撃はせず観察するようにこちらに視線を向けてくる福音を確認すると、慎吾は弾かれたように一気に踏み出しながら箒へと指示を出す

 

「箒、共に一夏が確実に零落白夜を福音に命中させられる隙を作るぞ!」

 

 「了解した! 私に任せろ!」

 

 慎吾の言葉に箒は力強く返事を返すと慎吾と共に福音に向かって突撃すると、全く同時に攻撃を開始した

 

「はぁぁっ!」

 

 箒が気合いを込めて斬撃を放つ。その攻撃はまたも福音には紙一重の所で回避され、攻撃を避けた福音からの反撃を箒は受けそうになるが

 

「ぜやぁぁっ!!」

 

 それは慎吾が許さない、福音が反撃に移る瞬間を見極めていた慎吾がタイミングぴったりに合わせてスラッシュ光線を放った。福音は途端に反撃の手を止めて回避するものの、今度は紅椿の機動力を生かして死角を狙った箒の攻撃が襲う。そんな風にして、徐々に二人が回避も許さない程の猛攻で押し始め、流石の福音も回避が困難になりだしたのか防御を使い始めた

 

「今だっ!」

 

 と、再び慎吾からの攻撃を回避した際に福音に生じた隙を狙って箒が二刀流による突撃と斬撃、更に腕部展開装甲から発射したエネルギー刃が発射して福音に襲いかかる。それを福音は紙一重で回避して反撃の砲撃を放とうとするが

 

「……おおおぉっ!!」

 

 箒の攻撃を抜けた瞬間、待ち構えていたゾフィーの強烈な蹴りが直撃し、福音はあさっての方角に光弾を飛ばしながら大きく吹き飛ばされて体制を崩した

 

「今だ一夏!!」

 

 ついに生まれ福音の決定的な隙に箒はすかさず一夏に呼び掛ける。が

 

「うおおおっ!!」

 

 瞬時加速と零落白夜を同時に最大出力で発動させた一夏は福音とは真逆、あさっての方向へと飛んでいった光弾に必死で追い付くとそれを書き消した

 

「い、一夏!? 何をしている!!」

 

 そんな一夏の一見すれば二人が死力を尽くして作り出したチャンスを無下にしてしまうような行動に思わず箒が叫ぶ

 

「船か……!」

 

 そして慎吾はハイパーセンサーで一夏が守ろうとした物に気が付き、一夏がもし気付いてくれなければ自身が福音を蹴り飛ばしたせいで出鱈目な方角へと飛んだ弾があの船に直撃していたのだと気付くと冷や汗を流した

 

「たぶん密漁船ですけど……見殺しには……」

 

 そう苦々しい顔で言う一夏の手に握られていた雪片弐型の光の刃が消え、展開装甲が閉じる。エネルギー切れであった。それを見た箒は苛立ちを隠せないように歯軋りすると一気に叫ぶ

 

「ば、馬鹿者! 折角のチャンスをそんな犯罪者な……!」

 

「箒!!」

 

 その先は言わせない、とばかりに箒の言葉を遮るように一夏が強く叫ぶ。と、既に体制を建て直していた福音が方向の狙いを二人に付ける

 

「くっ……!」

 

 させないとばかりに慎吾は福音の狙いを反らさせるべく、移動しつつスラッシュ光線を福音目掛けて放つ。が、その瞬間

 

「な……っ!?」

 

 まるで最初から予測していた、と言わんばかりに福音はターンするかのように静かに動くとゾフィー目掛けて光弾を発射した

 

「ぐわっ! ぐぅぅ……っ!! なんの、まだまだ……っ!」

 

 予測外の不意打ちに慎吾は怯み、爆風が視界を多い尽くす。それでも何とか戦闘を続行せんと慎吾が爆風を突き抜けると

 

「ぐああああっっ!!」

 

 そこには自身が盾になるように箒を抱き締めた一夏が福音の一斉射撃を受けて崩れ落ちる姿があった

 

 

「一夏っ、一夏っ、一夏ぁっ!!」

 

 まっ逆さまに落ちていくのも構わず、箒は涙を流して一夏の名を叫ぶ。が、エネルギーシールドで相殺出来ない程の攻撃を受けた一夏からは何の返事も返っては来ない。そのままあわや二人とも海へと落下すると思われた瞬間ふっと二人の落下が制止した

 

「これはっ……!?」

 

 いや、それだけでは無い。つい先程確かにエネルギーが尽きたはずの紅椿と白式。それぞれが甦るかのように二人の体に再び展開されたのだ

 

「……流石に二人に全てのエネルギーを渡す訳にはいかなかったが出来る限り多くを白式に優先して渡した。それで二人が無事に帰投する分はあるはずだ。私が奴の相手をする間に急げ……!」

 

 それを確認すると二人を救出し、同時にウルトラコンバータからエネルギーを与え終えた慎吾は相変わらずこちらへと狙いを付けている福音に向き直りながら背中でそう箒に告げる

 

「しかし、慎吾! お前が……!」

 

 一夏を両手で支えつつ箒がそう慎吾に訴える。

 

「早く行け! 一夏の容態は一刻の猶予も許されない! それに私といればお前たちまで攻撃されてしまうぞ!?」

 

 慎吾はそんな箒に口を荒げ大声で、箒にそう促した

 

「くっ……うっ……! すまない……すまない慎吾!!」

 

 その説得が聞いたのか箒は堪えきれない程の悔しさを見せながらも、慎吾と福音に背を向け気を失ったまはまの一夏を抱えて先頭海域から離脱して行く。それを福音は追撃しようとしたのか視線を向けるが

 

「ここから先は……何としても行かせん!!」

 

 それを食い止めんと凄まじい気迫で慎吾は二人を守る形で慎吾は福音の前に飛び出した。

 

 二人にを渡した為に八割以上のエネルギーを使いきってしまったウルトラコンバータを装備したまま、ゾフィーと銀の福音の戦いは1VS 1と言う形で第二ラウンドを告げようとしていた。




 次回、アレをやります。

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